王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
356 / 427
第5章

国王様にお願い

しおりを挟む
馬車に揺られること3時間


通常なら1時間ほどあれば王都へ着くし、転移の魔法陣を利用すれば一瞬で辿り着くのだけど今回僕たちは休憩も兼ねてのんびりゆっくりと王都へやって来たのだ。

途中よった村でお昼ご飯も食べ、約束の時間より少し前に城へ着いた。




「本日は貴重なお時間を頂き誠に感謝申し上げます」

ノヴァが国王へ礼をしたのに倣って僕もノヴァの一歩後ろに立ち頭を下げる。



「よい。しかしあまり時間もないので早速だが本題について話してくれ」

そう言った国王様の目の下には薄っすらとくまが見える。

アイダオ国の制圧も無事完了し、侵略してくる敵も今の所はいなくなって落ち着きはしたが、これまでのことの後処理に城務めの者達は追われており残業続きで皆寝不足で疲労困憊だ。



とーさまも退職ではなく休暇扱いであったがために国王の補佐人として招集されており、長らく家にご帰宅されていないとのこと。

しかしワイアットが厳重にとーさまの健康管理をしてくれているそうだからそこまで心配はしていなかったのだけれど…今目の前の国王様の様子を見るととーさまのことが心配になってきた。





「捉えた刺客とアイダオ国第二王子との面会の許可が欲しいです」


「…何故だ」


「刺客はアイダオ国で強制的に従わされていたと耳にしました。家族を人質に取られていたとしても簡単には口を割らなかったことやあの戦闘力の高さは只失うには惜しいのではないかと思います。それから第二王子に関しては自身も危険ななか情報を提供しアーナンダ国に助力した功績は無視できないという点から対処に悩んでいると聞きました。でしたら元アイダオ国の領主になってもらい、こちらの者を監視兼補助人としてつけてはいかがかと思いまして」




「なるほど…まず第二王子に関してだが話し合いの結果先程貴殿が言ったように処理をするのが妥当であろうと結論が既に出ている。しかし第二王子が裏切ったことで不満や怒りを抱えている者は多くいる。領主としておいたところで3日も持たず亡き者となるやもしれん危険があるなかすぐに動かすわけにはいかん。この事に関しては慎重にすすめねばならん件であるから貴殿はでしゃばらないように…とだけ言っておこう」



「出過ぎた真似をしましたこと、深く謝罪いたします」




ふぅっと深く息を吐き出した国王様の言葉になるほどっとすぐに頭を下げた。


確かに第二王子の処遇について国の重鎮でもない僕が意見するのは良くなかった。
国際会議等に出て意見を求められることが多かったから僕も国のことに関して意見する立場にあると勘違いをしてしまっていたと気が付き恥ずかしい気持ちになる。



隣のノヴァも僕と同じように頭を下げていて、そんなことをさせてしまったことがとても申し訳なくて落ち込む。








「よい。最近はドラゴンのことなど貴殿に頼ることが幾度とあった故、貴殿も混乱していることだろう。して次に捕らえたアイダオ国からの刺客についてだが…狙った相手が貴殿だけならば貴殿の好きなようにしてよいとも言えようが、今回捕らえた者の中には私含めた王族に刃を向けた者もいる。奴等が祖国を奪った我等を恨んでないとも言えん状況下で奴等を野放しにし駒にする余裕が今のアーナンダ国にはない」


僕の失言についてさりげなくフォローする言葉をくださった国王様に気持ちを持ち直す。

そして刺客については簡単に許可は得られないだろうと思っていたので国王様の言葉に気落ちすることはない。




「なので面会をし、彼等に話を聞きたいのです。彼等の隠密の練度は素晴らしいので是非習いたいというのと、後々信頼関係を築けたら僕の仕事の助手をさせたくて…でもそれはもちろんあの者共がこちらを害さないことを誓約書に誓ってもらうことを前提として考えています」

正直僕やコルダは毒で殺されかけているので、この野郎って気持ちはあるけれど…それ以上にあの高精度な隠密スキルは評価しているし、純粋にすごいって思う。

あのスキルを習得することが出来ればもっと仕事が楽にできるだろうし、仕事も楽になる。



僕のお仕事は通常ではそう忙しいものではない。
怪しい噂に常時耳を立て、怪しい者があれば早急に情報を収集し、証拠が揃えば国に影が落ちる前に事態を収束する。

それが僕の主な仕事で、怪しい者が居なければ基本的には僕が大きく動くようなことはない。


しかしこれが有事の際には仕事が増える。
それもう僕が一人では追いつかないほどに忙しいのだと今回の件でよく分かった。




僕はまだ領地のこと等大部分をにぃ様が担ってくれているから裏家業だけに集中することが出来るけれど、とーさまは兄弟がいなかったし両親も早くに亡くしているから全てを一人で担ってきたのだと日々尊敬の念を抱いている。


とーさまは優秀な従者達が居たからやってこれたのだと言うけれど、従者達はとーさまのたゆまぬ努力あってこそと言っていて、お互いに理想的な関係だと思う。

そんなとーさまのように仕事を熟したい気持ちはあれど、今の僕には出来る自信が少しもない。




なので優秀な部下を常に欲しているのだ。





以前それをとーさまに話したことがあるが、人を使えるのもまた才能だと言っていたので僕は僕のやり方でお仕事をすればいいと自分自身に言い聞かせている。






しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

処理中です...