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「……あれ、課長は?」
「居ませんよ」
「えっ、後輩くん!?じゃあ、おれ、歩きまっす!」
「歩けないでしょ。で、先輩の家どこなんすか」
予想外の人物に戸惑いが隠せない。あんなに俺を見ては面倒そうにする彼がわざわざこんな面倒事を引き受けるなんて明日は槍でも降るのだろうか。
折角彼を助けたと思いきややはり彼の方が一枚上手だ。先輩なのに後輩に担がれるとか格好悪い。でも今はまともに歩けそうにもないし心地好い背中から離れたくなくてそのまま彼に身を任せた。
「偉いねぇ、後輩くん。いつもありがとう」
「はぁ、大したことはしてませんが」
「いやー、君は凄いよ!女の子からモテモテなのは腹立つけど!」
頭が回らずだらしなく本音が零れる。
顔だけとか他の社員には恨まれているが、やはり彼は今のように文句を言わず俺を背負ってくれるあたり、優しさもある。俺には勿体ない程の部下だ。
明るい俺の声とは真逆に彼は低い声で呟いた。
「嫌なら、俺の為なんかに無理して飲まなくてもいいんじゃないですか」
「え?」
「酒、一気無理やり飲んだんでしょ」
なんだ、気付かれていたのか。まあ察しの良い後輩の事だ。それ位当然だろう。
彼も彼なりに俺に対して罪悪感みたいなものを感じているのだろうか。完璧な彼でもそんな人間らしい事を思うのだろうか。
それは本人じゃないから分かんないけど、いつもみたいに無表情で何も気にしない彼らしくなくて、そんな思いをさせたくなくて俺は声をかけた。
「後輩が困ってる時に助けるのが先輩じゃん。俺、後輩くんの教育係だから当たり前だよ」
「……そうですか」
「ね、今のすごく格好良いと思わない!?」
「は?」
我ながらデキル男過ぎる台詞である。彼の顔を覗くと、目を見開いていた。やはり君も驚いているか。いつもと違って格好良い姿を見せる俺のギャップにときめいちゃったのか。ふはは。
「おれ、困ってる後輩を助けるかっこいー先輩になりたかったんだー! いつも君の方がかっこいーステキーって言われてるけど、さっきのは「先輩……素敵!」って見直されるでしょ!!」
満足気にニッと笑う。いやぁ、これは孫の代まで語れるぞ。
興奮している俺に対して、彼は俯き小刻みに震え始めた。
「くくっ」
「え、何? 君も吐きそう?」
「ふはっ、違う。あんた、本当に馬鹿だと思って」
「え。俺、バカ!?」
まさかの言葉に今度は俺が目を見開く。まさか突然暴言が吐かれるなんて思いもしなかった。
そして、彼は笑いながらもついさっきのことについて話した。
「さっきなんて酒大好きな野郎にしか見えませんでしたよ」
「それ本当!?」
「ははっ、それなのに格好良いとか本当にあんたって人は」
自分が恥ずかしくて顔が赤くなる。笑い続ける彼の背中を何度も叩いてやった。
夜風が冷たい。それなのに顔は火照ったまま。静かな夜の街に後輩の笑い声だけが響く。大の男が大の男に背負われて笑ってる、そんなカオスな状況だが何だか心地好くて、この時間がずっと続けばいいのに、なんて思った。
「居ませんよ」
「えっ、後輩くん!?じゃあ、おれ、歩きまっす!」
「歩けないでしょ。で、先輩の家どこなんすか」
予想外の人物に戸惑いが隠せない。あんなに俺を見ては面倒そうにする彼がわざわざこんな面倒事を引き受けるなんて明日は槍でも降るのだろうか。
折角彼を助けたと思いきややはり彼の方が一枚上手だ。先輩なのに後輩に担がれるとか格好悪い。でも今はまともに歩けそうにもないし心地好い背中から離れたくなくてそのまま彼に身を任せた。
「偉いねぇ、後輩くん。いつもありがとう」
「はぁ、大したことはしてませんが」
「いやー、君は凄いよ!女の子からモテモテなのは腹立つけど!」
頭が回らずだらしなく本音が零れる。
顔だけとか他の社員には恨まれているが、やはり彼は今のように文句を言わず俺を背負ってくれるあたり、優しさもある。俺には勿体ない程の部下だ。
明るい俺の声とは真逆に彼は低い声で呟いた。
「嫌なら、俺の為なんかに無理して飲まなくてもいいんじゃないですか」
「え?」
「酒、一気無理やり飲んだんでしょ」
なんだ、気付かれていたのか。まあ察しの良い後輩の事だ。それ位当然だろう。
彼も彼なりに俺に対して罪悪感みたいなものを感じているのだろうか。完璧な彼でもそんな人間らしい事を思うのだろうか。
それは本人じゃないから分かんないけど、いつもみたいに無表情で何も気にしない彼らしくなくて、そんな思いをさせたくなくて俺は声をかけた。
「後輩が困ってる時に助けるのが先輩じゃん。俺、後輩くんの教育係だから当たり前だよ」
「……そうですか」
「ね、今のすごく格好良いと思わない!?」
「は?」
我ながらデキル男過ぎる台詞である。彼の顔を覗くと、目を見開いていた。やはり君も驚いているか。いつもと違って格好良い姿を見せる俺のギャップにときめいちゃったのか。ふはは。
「おれ、困ってる後輩を助けるかっこいー先輩になりたかったんだー! いつも君の方がかっこいーステキーって言われてるけど、さっきのは「先輩……素敵!」って見直されるでしょ!!」
満足気にニッと笑う。いやぁ、これは孫の代まで語れるぞ。
興奮している俺に対して、彼は俯き小刻みに震え始めた。
「くくっ」
「え、何? 君も吐きそう?」
「ふはっ、違う。あんた、本当に馬鹿だと思って」
「え。俺、バカ!?」
まさかの言葉に今度は俺が目を見開く。まさか突然暴言が吐かれるなんて思いもしなかった。
そして、彼は笑いながらもついさっきのことについて話した。
「さっきなんて酒大好きな野郎にしか見えませんでしたよ」
「それ本当!?」
「ははっ、それなのに格好良いとか本当にあんたって人は」
自分が恥ずかしくて顔が赤くなる。笑い続ける彼の背中を何度も叩いてやった。
夜風が冷たい。それなのに顔は火照ったまま。静かな夜の街に後輩の笑い声だけが響く。大の男が大の男に背負われて笑ってる、そんなカオスな状況だが何だか心地好くて、この時間がずっと続けばいいのに、なんて思った。
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