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距離はどれくらい? 2
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スポーツクラブのロビーを一緒に抜け、あたしの車の助手席に座る熊は、なんとも狭そうだ。昭文のアパートの近所で、路上駐車のできる場所はない。だから本当に、送って帰るだけ。
時々、部屋に寄りたいなと思う。話し足りなかったり、昭文が上機嫌だったりする時。だけどお互い仕事も持っているし、別々の生活をしているんだし、それくらいの感情のコントロールはできる程度にオトナだもの。少し名残惜しくとも、連絡ならいつでもできる。いつでも会える、近所なんだから。
公園に寄って、缶ジュース一本だけの時間、寄りかかっていることくらいはある。昭文の大きい背中に背中合わせに座って、まだ秋になる前の、だけど夏じゃない空気を吸い込んだりする。
何も言わないけど、こんな時間は好き。昭文はあたしを急がせたりしない。「結婚はすることに決まっている」と言い切るけど、それがいつという期限はなくて、ただあたしがそう決意するのを待っている感じ。
あたしの口の悪さとか、反射的に反論する癖だとかを面白がって、ニヤニヤしながらあたしの顔を覗き込む。面倒じゃないのかな、あたしなら反論に反論で対抗して、気まずくなるところだ。それで破綻した関係も、いくつも持っている。
「だから、簡単に持ち上げるなっ!」
「説明するより、見せたほうが早い」
木の幹に、涼しくなり始めたっていうのに羽化した蝉がとまっていた。薄緑に透ける透明な羽を伸ばして、しんとした美しさ。
「うわ、本当に綺麗……」
「静音はさ、こういうものをキモチワルイとか苦手とかって言わないな。ヘビは平気か?」
「爬虫類は、やだ。せめて両生類にして」
昭文は笑いながら、あたしを抱えなおした。あたしを持ち上げるために、ベンチプレスしているわけじゃないでしょうに。
「今度の休みはどうする?」
広い芝生と小さな動物園のある公園の名を答えた。
「今度こそ、あたしがお弁当作る」
「ふうん?おにぎりとウインナーだけでも、文句は言わないぞ、俺は」
ううっ! 悔しい! 実は一度、お弁当を作ると言って、寝坊した実績があるのだ。今度こそ、あたしだってやればできると言わせてやる。
前の週に図書館でお弁当の本を借りたのは、もちろん機密事項。
スマートフォンでお天気情報を確認しながら、買い物籠の中身を見て悩む。予報の進路だと、こっちには上陸しないはずなんだけど。台風さん、進路を変えないでくださいませね。だって明日は、お弁当作るって宣言しちゃったんだもん。
熊の部屋でそれを開けるより、外で見せたほうがボロが出ない……気がする。鶏肉OKアスパラOKベーコンOK、シメジOKししとうOKプチトマトOK!!!
何ですかこの量、お母さんの晩ご飯の買い物みたいじゃないの。
夕食が済んでからおもむろにキッチンに立ち、ヤングコーンに豚バラスライスを巻き始めたあたしを見て、母が驚く。
「明日、何かあるの?」
「出かけるのに、お弁当作るの」
「間違いなく台風の進路がこっちに向くわ」
どういう意味よ。
「いいところを見せたい相手なの? どんな人?」
「そういうわけじゃないのっ! しかるべき時には紹介するから、気にしないで!」
意味ありげに母が笑う。彼女は男の食事の用意をするあたしなんて、見たことない。あたし自身だって、滅多に見ないけどね。これまでの人生で、片手くらい。
だけど若干、あたしのプライドがかかってるのよ。あたしよりマメで料理のできる男に対抗してるんだとは、母には言いたくない。しかも、あんな厚い掌で、太い指で!
で、母の不気味な予言どおり、台風はこちらに進路を決めたらしい。何が悲しくて、日曜日の朝7時にどんより曇った空を見上げなくてはならないのだ。
お弁当を作るために起きたのよ、あたしは! 空に喧嘩売っても仕方がないんだけど、無駄に空を殴る仕草をしてみる。
下拵えしてしまったものを、そのままにしておくわけにもいかない。せっせと鶏の照り焼きを焼き、野菜を茹で、おにぎりを握る。
お弁当っていうのは、外で食べれば2割増で美味しいのだ。雨でも遊べる場所はないのかとか思いながら、容器を総動員して詰めていると、母が「何人前?」と訊く。
「2人分だよ」
「……カバとでも、一緒に出かけるの?」
熊だってば。あたしより更に小さい母は、自分を基準にモノを考えるから、バケモノのような大男を連想したかも。今から車で家を出ると連絡が来て外に出ようとするあたしに、くっついて出て来そうになったので、振り切るのに骨が折れた。
だから、しかるべき時には紹介しますからっ!
「向こうについた頃、雨が降りそうだよなあ」
「せっかくお弁当作ったのに」
「お、今日は起きたのか。雨の中のドライブでもしようか?」
ぶすったれて前を向く。いいもん。雨は嫌いじゃないから、ドライブがてら車の中でお弁当。これを昭文の部屋で広げて、向かい合わせてお茶を啜るなんて、考えただけで照れくさくて居たたまれない。
自分の知らない業界の話っていうのは案外と面白くて、保育園のトピックスを熱心に聞いてしまう。
「お祭の時のお姉さんみたいに、よさこいの先生になるんだって言ってる子がいるぞ」
「お姉さんって、あたし?」
「お姉さん、可愛くて上手でって、女の子に人気だよ。遊びに来れば?」
うわ、なんかくすぐったい。子供たちを驚かせて、他の人にも迷惑を掛けて、あたしにとってあのお祭は、反省だらけだった。それでも褒めて喜んでくれた子供たちに、お礼を言いたくなった、
「運動会、見に行く」
程なく雨が降り始め、ラジオから流れる台風の進路を聞く。うん、今日は一日中雨になっちゃうね。いつの間にか直撃する予報に変わってる。
遠くに行くつもりもなく、近場を車でウロウロして、都会でないことに感謝する。わざわざ出掛けて行かなくても、街を外れれば美しい自然と長閑な田園風景が、手近なのだ。雨の中で一際冴えた緑が、風を受け始めてる。
ちょっと早いけど、風が強くなっちゃうと困るので、目についた東屋のある公園に入り、屋根の下で荷物を広げた。
「おお、力作」
「力作じゃないっ!これくらいはできるっ!」
内容については、お弁当の本を参考にしたけどね。自宅暮らしで、家では母が夕食作ってるんだもん。日常的に包丁を持っている人ほど慣れていないし、「やってもらう」が当たり前になってると、自分ではしない。お料理みたいにクリエイティブなことを趣味にするのって、センスも必要だし情熱も必要で、あたしはそれを両方とも持ち合わせてない。
雨の中の東屋は、まわりがあまりにも静かで、ここだけが別世界のようだ。風は後から来るタイプの台風らしい。雨の吹き込まない場所を選んで、お弁当を広げる。
食べながら、強くなってきた雨の音を聞く。
静かで、贅沢。
「うわ、風が本格的になってきた。そろそろ片付けるぞ」
時間にして1時間弱のランチタイムが取れたので、結構のんびりと食事はした。昭文から称賛の声は聞いたけど、ダメ出しは出なかった。当たり前だ。ダメ出しなんかしたら、二度と食事の用意なんかしないもん。熊風情にナマイキは言わせん。
空いた容器を袋に入れているうちに、どんどん雨が強くなる。
「せっかく弁当作ってくれたのに、ゆっくりできなかったな」
「お粗末さまでした。またの機会をお楽しみに」
ひどくなる雨の中、傘を傾けて車に戻ると、膝から下はびしょびしょになった。あたしはクロプド丈のパンツだからまだマシで、昭文のデニムが重そうだ。
駐車場にぽつんと一台だけおいてある車は、雨の中を漂流する小さなカプセル。フロントガラスを流れる雨粒が、外を遮るカーテンになる。エンジンをかけずに肩を寄せて、ふたりで雨の音を聞いていた。
時々、部屋に寄りたいなと思う。話し足りなかったり、昭文が上機嫌だったりする時。だけどお互い仕事も持っているし、別々の生活をしているんだし、それくらいの感情のコントロールはできる程度にオトナだもの。少し名残惜しくとも、連絡ならいつでもできる。いつでも会える、近所なんだから。
公園に寄って、缶ジュース一本だけの時間、寄りかかっていることくらいはある。昭文の大きい背中に背中合わせに座って、まだ秋になる前の、だけど夏じゃない空気を吸い込んだりする。
何も言わないけど、こんな時間は好き。昭文はあたしを急がせたりしない。「結婚はすることに決まっている」と言い切るけど、それがいつという期限はなくて、ただあたしがそう決意するのを待っている感じ。
あたしの口の悪さとか、反射的に反論する癖だとかを面白がって、ニヤニヤしながらあたしの顔を覗き込む。面倒じゃないのかな、あたしなら反論に反論で対抗して、気まずくなるところだ。それで破綻した関係も、いくつも持っている。
「だから、簡単に持ち上げるなっ!」
「説明するより、見せたほうが早い」
木の幹に、涼しくなり始めたっていうのに羽化した蝉がとまっていた。薄緑に透ける透明な羽を伸ばして、しんとした美しさ。
「うわ、本当に綺麗……」
「静音はさ、こういうものをキモチワルイとか苦手とかって言わないな。ヘビは平気か?」
「爬虫類は、やだ。せめて両生類にして」
昭文は笑いながら、あたしを抱えなおした。あたしを持ち上げるために、ベンチプレスしているわけじゃないでしょうに。
「今度の休みはどうする?」
広い芝生と小さな動物園のある公園の名を答えた。
「今度こそ、あたしがお弁当作る」
「ふうん?おにぎりとウインナーだけでも、文句は言わないぞ、俺は」
ううっ! 悔しい! 実は一度、お弁当を作ると言って、寝坊した実績があるのだ。今度こそ、あたしだってやればできると言わせてやる。
前の週に図書館でお弁当の本を借りたのは、もちろん機密事項。
スマートフォンでお天気情報を確認しながら、買い物籠の中身を見て悩む。予報の進路だと、こっちには上陸しないはずなんだけど。台風さん、進路を変えないでくださいませね。だって明日は、お弁当作るって宣言しちゃったんだもん。
熊の部屋でそれを開けるより、外で見せたほうがボロが出ない……気がする。鶏肉OKアスパラOKベーコンOK、シメジOKししとうOKプチトマトOK!!!
何ですかこの量、お母さんの晩ご飯の買い物みたいじゃないの。
夕食が済んでからおもむろにキッチンに立ち、ヤングコーンに豚バラスライスを巻き始めたあたしを見て、母が驚く。
「明日、何かあるの?」
「出かけるのに、お弁当作るの」
「間違いなく台風の進路がこっちに向くわ」
どういう意味よ。
「いいところを見せたい相手なの? どんな人?」
「そういうわけじゃないのっ! しかるべき時には紹介するから、気にしないで!」
意味ありげに母が笑う。彼女は男の食事の用意をするあたしなんて、見たことない。あたし自身だって、滅多に見ないけどね。これまでの人生で、片手くらい。
だけど若干、あたしのプライドがかかってるのよ。あたしよりマメで料理のできる男に対抗してるんだとは、母には言いたくない。しかも、あんな厚い掌で、太い指で!
で、母の不気味な予言どおり、台風はこちらに進路を決めたらしい。何が悲しくて、日曜日の朝7時にどんより曇った空を見上げなくてはならないのだ。
お弁当を作るために起きたのよ、あたしは! 空に喧嘩売っても仕方がないんだけど、無駄に空を殴る仕草をしてみる。
下拵えしてしまったものを、そのままにしておくわけにもいかない。せっせと鶏の照り焼きを焼き、野菜を茹で、おにぎりを握る。
お弁当っていうのは、外で食べれば2割増で美味しいのだ。雨でも遊べる場所はないのかとか思いながら、容器を総動員して詰めていると、母が「何人前?」と訊く。
「2人分だよ」
「……カバとでも、一緒に出かけるの?」
熊だってば。あたしより更に小さい母は、自分を基準にモノを考えるから、バケモノのような大男を連想したかも。今から車で家を出ると連絡が来て外に出ようとするあたしに、くっついて出て来そうになったので、振り切るのに骨が折れた。
だから、しかるべき時には紹介しますからっ!
「向こうについた頃、雨が降りそうだよなあ」
「せっかくお弁当作ったのに」
「お、今日は起きたのか。雨の中のドライブでもしようか?」
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自分の知らない業界の話っていうのは案外と面白くて、保育園のトピックスを熱心に聞いてしまう。
「お祭の時のお姉さんみたいに、よさこいの先生になるんだって言ってる子がいるぞ」
「お姉さんって、あたし?」
「お姉さん、可愛くて上手でって、女の子に人気だよ。遊びに来れば?」
うわ、なんかくすぐったい。子供たちを驚かせて、他の人にも迷惑を掛けて、あたしにとってあのお祭は、反省だらけだった。それでも褒めて喜んでくれた子供たちに、お礼を言いたくなった、
「運動会、見に行く」
程なく雨が降り始め、ラジオから流れる台風の進路を聞く。うん、今日は一日中雨になっちゃうね。いつの間にか直撃する予報に変わってる。
遠くに行くつもりもなく、近場を車でウロウロして、都会でないことに感謝する。わざわざ出掛けて行かなくても、街を外れれば美しい自然と長閑な田園風景が、手近なのだ。雨の中で一際冴えた緑が、風を受け始めてる。
ちょっと早いけど、風が強くなっちゃうと困るので、目についた東屋のある公園に入り、屋根の下で荷物を広げた。
「おお、力作」
「力作じゃないっ!これくらいはできるっ!」
内容については、お弁当の本を参考にしたけどね。自宅暮らしで、家では母が夕食作ってるんだもん。日常的に包丁を持っている人ほど慣れていないし、「やってもらう」が当たり前になってると、自分ではしない。お料理みたいにクリエイティブなことを趣味にするのって、センスも必要だし情熱も必要で、あたしはそれを両方とも持ち合わせてない。
雨の中の東屋は、まわりがあまりにも静かで、ここだけが別世界のようだ。風は後から来るタイプの台風らしい。雨の吹き込まない場所を選んで、お弁当を広げる。
食べながら、強くなってきた雨の音を聞く。
静かで、贅沢。
「うわ、風が本格的になってきた。そろそろ片付けるぞ」
時間にして1時間弱のランチタイムが取れたので、結構のんびりと食事はした。昭文から称賛の声は聞いたけど、ダメ出しは出なかった。当たり前だ。ダメ出しなんかしたら、二度と食事の用意なんかしないもん。熊風情にナマイキは言わせん。
空いた容器を袋に入れているうちに、どんどん雨が強くなる。
「せっかく弁当作ってくれたのに、ゆっくりできなかったな」
「お粗末さまでした。またの機会をお楽しみに」
ひどくなる雨の中、傘を傾けて車に戻ると、膝から下はびしょびしょになった。あたしはクロプド丈のパンツだからまだマシで、昭文のデニムが重そうだ。
駐車場にぽつんと一台だけおいてある車は、雨の中を漂流する小さなカプセル。フロントガラスを流れる雨粒が、外を遮るカーテンになる。エンジンをかけずに肩を寄せて、ふたりで雨の音を聞いていた。
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