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修学旅行
一日目 集団行動編
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・・・僕たちは飛行機でついに大阪の空港へときた。
学年主任は空港のロビーに集まった僕たちに話をしていた。その奥にあった電光掲示板は十一時を表している。
「えー、ついに大阪へとやってきました。今から駐車場にいるバスに向かいます。そのバスに乗ったら、まず京都に向かい「球数食堂」という食堂でご飯を食べます。その次に東大寺、その次は大社。それで夕飯食べてホテルよ。」
その言葉に対し皆は「はーい」と肯定し、バスへと向かった。
バスについた。そのバスの近くに女性がいた。すると、学年主任の横島が
「あれが二組のバスガイドよ。クラス委員、あいさつに行ってきなさい」
「「はい」」と、羽切と平賀は答える。そして二人はバスガイドのもとへと率先して行った。クラスの男子が「いいなあ」という視線、否、殺気を向けてくるが気にしない。
そして、羽切がバスガイドの近くに立ち、
「こんにちは、クラス委員の羽切と」
平賀は羽切の横に立ち
「平賀ですよろしくお願いします。」
「あらあら、よろしくお願いします。」
と、言った女性はとても若く、美人だった。おまけに脚も長くスタイルがいい。二十代前半かな、というくらいだった。
「荷物はどうすればいいでしょうか。」
バスガイドはバスの中心部を指し、
「あそこよ。あとは運転手さんがやってくれるからそこまで荷物運んでね。ちょっと私、トイレ行ってきますから。」
「あ、はい。」
と、バスガイドはうつむきながら、クラスの皆に顔を明かすことなく空港の中のトイレへと走って行った。
すると、あとから来た男子生徒が一人話しかけてくる。
「おい、羽切。どうだった?」
「どうだったって?何が?」
するとまた一人
「とぼけるなよ。バスガイドだよバスガイド。可愛かったか?」
と、何人もぞろぞろ来る。ったく、うちのクラスは・・・。
「ああ、すっげえ美人だった。」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおお」」」」」」」」」」
・・・うるせぇー。
と、思っていると、平賀が
「ちょっとあなたたち!さっさと運転手さんに荷物預けて座ってなさい!」
という一言で男子諸君は静まりかえった。
そして皆は運転手のところへ行き、荷物を預けていた。
あれから時間は経ち、皆がバスの座席に座り終わったとき。一人の男子生徒は言った。
「おい、バスガイドさんはどうしたんだ?」
「たしかに」「そうだよ」「何したんだ羽切」などとバスの中がざわつく。
すると
「おまったせー!みんなー!」
と、陽気に、かわいらしい声で言ったのは先ほどの美人バスガイド・・・ではなかった。
・・・誰だあんた!
皆の見つめる声の主は、先ほどの美人とは打って変わって、脚が短く、顔は普通。そして、四十代の、世間一般では「おばさん」というような人だった。
室内は静まり返る。するとバス内からバスガイドに聞こえない声で、ざわつき始める
「は?」「まじかよ」「新次元?」「あれのどこが美人だ」「羽切氏ね」などと聞こえたらまずいもんがたくさん。
それを阻むかのように、学年主任が羽切のもとへとやってきて、耳打ちした。
「ごめん、さっきの人、一組のバスガイド」
「ざけんな」
そんな暗いバス内に明るい声は響く。
「あれあれ?どうしたのみんなあ!?修学旅行始まったばっかりだよ!?こんなんじゃもたないよ?!だから私のことは「みぽりん」って呼んでね!」
・・・だから、なぜ「みぽりん」と呼ばなければならない!
まるで先ほどのバスガイドとは「月とすっぽん」「雲泥の差」と考えてしまった羽切は笑いが抑えきれなくなっていた。面白い、楽しいから笑っているのではない。急な強いキャラの登場で気がおかしくなっているのだ。
「くふふっ。くふっ、ふふふ・・・」
と、そんな笑いをバスガイドは見逃さなかった。
「おおーっと!?そこの君!いいねぇ!名前は!?」
顔と声の不協和音ぐあいに笑いながらも抑え、
「羽切・・・です。くふっ・・・」
「そっかー!はねぎり君ね!じゃあ君のことは「はねりん」って呼んじゃおう!さあ二組のみんな?!せーのでいくよーーー?」
「え、あ、へ? や、やめてくれぇぇぇ!」
そんな悲痛な叫びはバスガイドには聞きとれなかった。そしていやな言葉が来る。それは一つのものではない。クラスの三十名ほどがおりなす、大合唱だった。
「はねりん!」×不特定多数
・・・気のせいだろうか。涙が出てきた。
羽切を「はねりん」と呼び、少し明るくなった皆を乗せ、バスは走り出した。
因みに「はねりん」というセンスのない言葉は修学旅行中、消滅することはなかった。
球数食堂へとついた。
出てきたのはうどんと寿司だった。
そしてクラス委員の羽切と平賀は、「いただきます」という言葉をどちらが言うかで話し合い、結果いいところを見せようと羽切が言うこととなった。
「はい、じゃあ皆。手を合わせてください。いただきます。」
「いただきます!」×多数
因みに席順は明日の自由行動と同じメンバーで区切られた机で食べる。
その一つ開いた席に羽切は座り、出された食べ物にありつく。うどんは先ほど出されたもので、まだ湯気を出すほど暖かく、寿司はまだ艶と光があり新鮮さを表している。
・・・あれ?京都に海あったっけ?まあいいや、最近は冷蔵技術も良くなっていると聞くし。
羽切は寿司を箸で掴み、口へと運ぶ。しかし、油断していた。
「あああああ!辛いぃぃ!っ!」
そうだろう。寿司なら普通わさびくらい入っている。そんなみっともない羽切の顔を見ていた上山は、
「わああっ!大丈夫ですか?!羽切君!これを!」
と、彼女は赤く濁った液体の入ったペットボトルを差し出してくる。
・・・ううっ!ありがたい!トマトジュースかなあ?!
差し出されたトマトジュース?のような液体には粉のようなものが浮いており「刻んだドライトマト」か何か、トマト感強そうとか思いながらペットボトルを受け取り、強引に蓋を開け、喉に流し込む。
ああ、助かった。これで何とか・・・と、思ったのはつかの間。
「ぐああぁぁぁ!か、辛れええええぇ!っああ!」
「大丈夫かい!?羽切君!」
謎の時白の優しさ。今は少ししみじみする。
圧倒的な喉への攻撃は会心の一撃。むせながらも、咳き込みながらも、この液体を渡した女子へ声をかけた。
「上山さん!ナニコレ?!人が飲むものじゃないよね!というかこの浮いてるの七味でしょ!?」
すると、彼女はニッコリと
「いいえ、一味ですよ。ふふっ。」
「一味なら余計良くないよ!あー、がらい!」
すると、同じメンバーの音橋が包装された小さなチョコレートを一つ取り出すし、羽切に渡す。
・・・おお!流石、音橋さん!優しい!
「ありがとう!音橋さん!貰うよ」
今度は普通のチョコレートという食べ物のようだ。それを口に入れた、直後。
「うん!普通に美味しいよ!このチョコレートおおお!!」
と、先ほどとの差に、思わず叫んだ羽切にひとつ声がかかる。
「おい!誰だ!いまこのチョコレートとか言った奴は!修学旅行はおやつ禁止だぞ!」
そうなのだ。今担任が言ったとおり、この学校はなぜかこんな大イベントにおやつ禁止なのだ。
すると、平賀が
「羽切です。」
「おい!羽切!ちょっとこっちこい!」
「ひいぃぃあぁぁ!」
このあと、何故か羽切の荷物だけ検査された。
その荷物の中には重要なものが入っていたという?
ご飯を食べた(羽切は殆ど怒られていた)あと、バスに乗り、東大寺へと着ていた。
「うっはあ!大仏でかすぎぃ!」男子生徒 声より 一部抜粋。
「そうだなあ。お前のあれみたいだ。」男子生徒 声より 一部抜粋。
「見たこともないくせに!」
こんな下いネタがポンポンと出てくるのも中学生ならではだろうか。
「しっかし、風強いなあ」
「そうだなあ」
と、答えたのは羽切。とても大きな(あれじゃない)大仏までの道のりには突風が吹いていた。女子のスカートはめくれ・・・ひざ下という校則の拘束により、めくれることはなかった。
しかし、先行していた一組のバスガイドのスカートは短く、必死で抑えていた。その様子を眺めていた男子生徒は跳ねていた(気分的な意味で)。
すると突然。スカートを抑えるのに必死だったバスガイドの被っていた帽子は無防備だった。
「あっ」
と、風にまかれて飛んでゆく。それを見た男子生徒諸君は全力で帽子を追いかけた。
「うおおお!」「まてい!」「お前にはやらん!」「いや!帽子を渡してチヤホヤされるのは俺だ!」などと醜い会話が聞こえてくる。が、羽切は行かなかった。それは「音橋にいい所を、ちゃんとクラス委員として頑張っているところを見せたいから」だ。だから、羽切は精一杯のイケボで
「これこれ、君たち。そんなに醜い争いはよしたまえ。」
すると男子生徒諸君は
「うるっせえはねりん!」「だまれはねりん!」「くたばれはねりん!」
その汚い言葉に、猫をかぶっていた羽切の何かが「プチッ」と切れた。
「お前ら!調子に乗るんじゃねえ!俺の名は!」
「名前は!?」
見事な女子の繋ぎ、
「はねぎr・・・」
言い終わる前に、男子生徒諸君は叫んだ
「「「「「「「「「はねりん」」」」」」」」」
「はねぎりだあああ!」
すると、後ろからついてきていた二組のバスガイドがスキップしながら
「わああっ!みんなぁ!「はねりん」って名前気に入ってくれたんだね!」
「「「「「「「「いええええええええぇい!」」」」」」」」
「さあ皆で?」
「「「「「「「「「はねりいいいいいん!」」」」」」」」」
東大寺の思い出は大きな大仏ではなく、大きなはねりんという言葉だった。
次に大社へと着た。大社ではろうそくを灯籠の中に入れるという体験だった。
羽切は火の付いたろうそくを灯籠に入れようと、閉まっていた灯籠の小窓みたいなものを開けようとする。すると、
手が当たった。
それは羽切の手が灯籠にぶつかったものではない。人の手にぶつかったのだ。その手は白く、まるで雪を連想させるほど、細く伸びたその指は、誰が見ても惚れ惚れする程だった。その人は
「お、おおお、音橋さんっ!?」
彼女は無表情に
「ええそうです。音橋です。ごめんなさい、ぶつかって」
「いや!全然、そんなこと、ない!こっちも周りをよく見ていなくて・・・」
「じゃあ」と、開いた 小窓を指さした音橋は
「ここに入れよう?せっかく開けたんだし」
「そ、そうだね・・・」
「どうした?具合でも悪いの?」と上目遣いで聞いてくる。彼女のつやつやの黒髪ロングはゆらゆらと揺れ、石鹸のような匂いがしてきた。
・・・落ち着かない。
まあ、と気をとり直した気分で
「じゃあ音橋さんから先どうぞ」
「ん」と短い肯定をし、ゆっくりとろうそくを灯篭に入れた。
だいたい今は四時半くらいだろうか。少し薄暗く、灯篭の明かりがほのかなものであるにもかかわらず、ひどく明るく感じるものだ。
「じゃあ、次、どうぞ」
「あ、ああ。」
それにつられるように慎重に灯篭にろうそくを入れた。二つのろうそくを迎え入れた灯篭は、ろうそくの数が一つの時より、さらに赤く、あたたかな色をしていた。そんな美しい光景に、二人は魅了され言葉さえ生まれず、ただ赤く光る灯篭をぼんやり見ていた。そして、しばらくたち、我に返った二人は目を合わせ、
「音橋さん・・・俺。君のことが好きなんだ。」
「え!?」
ごくりと、双方は息をのみ、落ち着いてから羽切は告白した。
「たとえばこの灯篭の中に入れたろうそくのように。一つの小さな優しい明かりは二つになるだけで大きな明かりとなるように、俺は優しい音橋さんと。残りわずかな学校生活を一人で生きるより、二人で楽しく生きたいんだ。」
照れながらも羽切は
「ダメ・・・かな?」
羽切はこの時「音橋さんは困っているんじゃないか」「こんな男じゃいやなんじゃないか」などと思ったが、それを裏切るように返答は来た。
「いい・・・よ。でも、聞きたいことがある。」
「な、なんだい?」
彼女は大変真剣な顔で
「一つ目。あなたは猫が好きですか?」
・・・猫。すなわち動物。俺は正直人間以外の動く生き物は苦手だ。なぜなら言葉が通じないから。俺は友達やクラスメートとの仲を会話という戦術を用い深めてきた。しかし、そんな言葉は通じない動物はあまり好きではない。
しかし、今の羽切は音橋と付き合いたいという思いがつのり、焦りに変わり、嘘をついた。それがのちに後悔することとなるなんて今の羽切に知る由もなかった。
「はい、好きです。」
「成程」という言葉とともに彼女は頷く。そして、また、質問をした。
「二つ目。あなたは「学校生活を二人で」といいました。それは学校生活が終わったら二人の仲も終わり。ということでしょうか。」
「そ、それは・・・」
・・・先ほどの俺は軽薄だった。どうする。そのあとのことなんか考えていなかった。
そしてふと、平賀の言葉を思い出す。
儚い青春の一ページになってさよならよ
・・・ははっ。見抜かれているじゃないか。
「それは、俺と音橋さんのどちらかが嫌いになるまで・・・かな。もちろん、俺は音橋さんに好きでいてほしいから。嫌いになれないと思うんだ。だから俺は努力する。押しが弱くて、貧弱で、流されやすいけど、そんな僕でもいいなら、ずっと一緒にいてほしい。」
「つまり、現状いまいち決まってない。ということととらえていいのかな?」
「あ、ああ。すまない。」
と、うまく告白ができなくて落胆している羽切の手を音橋は取る。
「まあ、中学生の恋なんてそんなもの。でも、あなたのろうそくと私たちを例えた告白はなかなかよかったわ。」
「え?あ、じゃあ・・・」
「いいよ、私もいつも話しかけてくれる羽切・・・いえ、まつりのことが好きになっていたの。」
と、羽切がコメントするまもなく彼女はつかんでいた手をぐっと下に引っ張る。
「え!?あっちょっ!?」
引っ張られ体制を崩した羽切の唇にやわらかいのもが、否、ぬくもりを感じるものがある。
「ん!?んん!?」
「黙って。」
それは何とも甘く、しかし大人の気分になれる苦味がたとえられないほどに心地よく伝わる。
すると二人の距離はあき、音橋言った
「私の初めて・・・まつりにあげちゃった」
羽切は「初めて」という言葉に優越感を感じ、また脳裏で罪悪感がよぎった。
・・・ああ、やっぱり俺。ながされやすいんだなぁ。
「ありがとう、音橋さん。」
「音橋さん?私のことは奏って呼んでほしいかも・・・」
「わかった「奏」・・・」
「まつり・・・」
二人は幸せそうに、否、幸せで、周りの目は気にしていなかったが、もう皆大社の入り口に出ていて集合と点呼をしている。この二人がそのことに気づくのは、クラス委員の平賀が探しに来た時の「はねりん」という言葉だった。それまで二人はまるでおとぎ話の王子と姫のような気分だったという。
そして夕飯。今度は「なたたた食堂」という「た」が嫌になりそうなところで、すき焼きだった。
今度は鍋、ということで男女別々の名簿順で席に着いた。
鍋に野菜と肉を未使用の自分の割り箸で入れる。お店の人がタレを入れたのでふたをして煮えるのを待つ。そしてふと羽切は鍋を囲むクラスメイトに疑問を言った。
「なあ、今鍋に野菜入れたの未使用の箸だろ」
「ああ、」と向かいの奴が言う。
「で、もう少したつと煮えるじゃん。それを取るのも未使用の箸じゃん。」
「ああ、」右横の奴が言う。
「で、とれば鍋の中の野菜とか肉とかなくなるじゃん」
「ああ、」左横の奴が言う。
「で、とったやつ食べるじゃん」
「ああ、」右斜め前の奴が言う。
「次、野菜とか肉とか入れるの、必然的に口つけた箸じゃん。」
「ああ、」左斜め前の奴が言う。
「お前ら、人の唾液が入ったすき焼き食いたい?」
「「「「「や、やめろぉぉ!」」」」」
・・・そんなことを言っても気になったのだからしょうがない。
すると向かいの奴が
「店員さん!箸、野菜とか入れる用にもう一本ください!」
「ナイスだ!これで唾液入りのすき焼き食わなくても済むな!」
しかし、彼らはこの後、野菜や肉をその新しい箸で入れたが、煮えたものを取るとき口をつけた箸でとっていることに気づかず、結局唾液入りのすき焼きを食べることとなっていた。
「うめぇ!このすき焼き!」
「ああ、唾液が入ってないと思うとよけいにな!」
「修学旅行最大の飯の思い出!」
つくづく悲しくなるものだ。
夕飯を食べ終わり、ホテル着。
このホテルは四人部屋。もちろん男女別々で女子は上の階、男子は下の階という、男子にとって解せないルールだった。
そして、このホテルは大浴場がある。がしかし。先ほど担任が「みなさんは部屋備え付けのあれ、あれ?あれなんていうんだっけ」すると一組の女性担任が「ユニットバスですね」ということで大浴場は使えない。しょうがなく皆はユニットバスを使った。
各部屋到着。
羽切の部屋のルームメイト?は「狭山、新井、高田」という何とも言えない集団だった。しかし、一人、「狭山」という男は異彩を放っていた。それはどんなことかというと「女子と間違われるほどの女顔で、身長も百六十。色白という姿」だ。これにより、一部。クラスの腐女子たちはざわついている。しかし羽切には「カップリングが・・・」とか「さやはね?いや、はねさや、だよ」とかの意味はイマイチ伝わってこない。
そんなこんなで、七時に部屋に入った状態から話は始まる。
「おーい、誰が最初風呂使う?」
と、新井はいう。
「うーん」
と悩んだのは高田
「僕は別にいつでもいいよ」
と狭山はいうので
「じゃあ俺最初に使うぞ?」
羽切が最初に使うこととなった。
羽切は悩んでいた。それは今直面していて、日本人はなかなかなれないものだ。と思う。それは「ユニットバス」だった。
「なんで風呂にトイレが一緒にあるんだ!そしてなんで、シャワーで泡とか汚れとか流した液体の流れる場所と風呂のお湯がある部分が一緒なんだ!」
つまりだ、お湯を入れた状態でシャワー使おうとすると、そのシャワーで流れ落ちた汚れを含む液体は先に入れていた風呂のお湯と混ざってしまうのだ。しかし、先にシャワーを使おうとお湯を張らないと、シャワー単品で、風呂にお湯がたまるまでの時間で風邪をひいてしまうかもしれない。
・・・まあ仕方ないのか。外人はあまり風呂は入らず、シャワーで済ませるというからなあ。
まあいい、と羽切はお湯をためずにシャワー単品でいった。
髪を洗おうと髪にお湯をかけ濡らす。そこに備え付けのシャンプーを投入し、泡立てる。くしゃくしゃとそういう心地の良い音が耳に届き、いい気分だった。そして、静かなこの風呂場に泡の立つ音と人の声が聞こえる。
「は!?」
その声の主は高田と新井と狭山だった。そして、音を立てずにゆっくりと扉は開く。「なぜだ!?」と思うのは鍵をかけたから。しかし、よく家のトイレとかの設計にあるだろう「ー」の形をした鍵を。あれは確かに鍵だ。だがあの「ー」はコインなどを使うと簡単に開く。たぶんそうやって開けたのだろう。しかしすぐにはのぞかれない。トイレに水が飛ばないようにするためのカーテンで羽切の姿は影でしか見ることはできない。それでも、風呂をのぞかれている時点で落ち着かない。だから
「おい!おまえら!人の、しかも男のふろを覗くなんて悪趣味だぞ!」
というと彼達は急いで扉を閉め、部屋に戻った。どうやら彼らは気づかれていないと思っていたのだろう。全く、何がいいんだか。男の覗きなんて。するとふと、音橋の姿が思い浮かぶ。
・・・音橋と付き合う。それがこんなに早い段階で叶うなんて。
これからどうしよう。とりあえずあとで音橋誘ってトランプでもすっか。
そんなことを考えつつカーテンを開ける。すると。扉は全開。カメラを持っている高田がフルチンの羽切を写真に収めどこかに行った。
「ってめぇ!まちやがれ!」
と、どうせ男しかいないんだ、全裸で行ったところで失うものはない!
扉からでて部屋のほうへ行く。すると。
カメラでさっきとった写真を確認する高田。それを見る新井。そして全裸の羽切を見つめる狭山・・・と女子。
「は!?女子!?」
そこには見慣れた平賀と音橋が顔を赤くして。にやにやと笑う上山。この三人もフルチンの羽切を見ていた・・・主に下のほうを。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!」
「「「きゃあああぁぁ!」」」
羽切の悲鳴と女子の悲鳴に駆け付けた一組の女性担任は、羽切に服を着るようにいい、その担任の部屋に呼び出しをくらった。
・・・不幸だ!
まだまだ修学旅行の夜は長い。
あの後、一組の担任に「不純だ」とか「未成年だから」などというありがたいお話を三十分ほどみっちり聞いた。そして部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、校長が酔っぱらってふらふらパン一で歩いているがスルーする。
そして自室についた。その部屋で、空いている床の場所でトランプをしていた。メンバーはもちろん、高田,新井、狭山、平賀、上山、音橋、時白だった。
たぶん先ほど時白は来たのだろう。いくらクラスでいじめにあっているからといっても、美人揃いで、おまけに「生徒会長」「クラス委員」「無言」の前ではしようとは思えないだろう。
すると高田が
「よし、じゃあ何する?ババ抜きでもやる?」
すると新井が
「いや、ジジ抜きにしようぜ?」
その言葉に対し狭山が
「ジジ抜き?なにそれ」
と、平賀が
「ババ抜きの場合、最後にババが残ったら負けでしょ?ジジ抜きはそのババがわからない状態でやるの。だからどれがババになるのかがすごいドキドキするのよね。」
「成程」「賛成」
と、上山と音橋も肯定したのでジジ抜きを開始する。
高田が高速でシャッフルしているところから、誰もわからないように一枚抜き、それを皆に、八人分に分ける。皆に札が渡ったところで、かぶっている数字を抜き、始める。
このようなカードゲームも皆でやり、時間を忘れるほど楽しんだ。時間は消灯時刻の十時の十分前だった。各部屋に先生が行き、自室に戻るように促す。そして、この部屋に来ていた皆も各部屋に戻ろうとする。そんな皆に羽切は
「皆おやすみ!」と、羽切と同じ部屋ではないものに向ける。すると四人は「「「「おやすみー」」」」と返してきた。しかし、廊下に出ようとしたとき、音橋が羽切に「来い」というように手をひらひらさせる。そして、皆が自分たちを見ていない瞬間、彼女は羽切に抱きつき「おやすみなさい」といってさっていった。
何とも言えない優越感に浸っていると、廊下にいた僕は周りに誰もいないことがわかり、自分も部屋に戻ろうとした瞬間。
急に羽切の肩が強くつかまれ、羽切は肩をつかんできたものを見る。それは、先ほど帰ったはずの「平賀」っだた。
「平賀?!帰ったんじゃ!?」
そんな言葉に聞く耳は持たないというように彼女は無視し、羽切にさらに近づく。また殴られるのではないかと身をかがめる。しゃがみ、頭を押さえた。すると平賀はしゃ俯いていた羽切の顔を持ち、斜め上に向けた。その先には平賀の真剣な顔があった。
・・・なんなんだ!?
よくわからないことに体は抵抗できず、ただ状況に流されてゆく。見つめあう二人の視線は近づく、否、それは平賀から近づいてきている。頭突きでもするのだろうか、怖く、目を瞑った。しかし、それはゴンッ!と鈍い音ではなく、ただ静かに、己の頬にやわらかいものが触れていることがわかった。ゆっくり目を開けるとそこには己の頬にキスをしている平賀の姿があった。平賀からは先ほど風呂で使った石鹸のにおいがした。自分と同じにおいのする人が近くにいるというのが家族以外でいたことが滑稽に思えた。
「なっ!?何をしているんだい!?平賀!?」
平賀はその言葉にも答えずただ廊下を走り、自室へと向かった。
「なんなんだよ、もう・・・」
・・・やわらかかった、な。
今の羽切は音橋のことが頭に浮かばないくらいにドキドキしていた。
そう、このキスが後程悲劇へと変わることは知らずに。
自室に戻った平賀。
「はぁっ、はぁっ!き、緊張したー」
自分は羽切のことが好きだ。しかし、どう伝えればいいのかわからずとりあえず頬にしてみた。冷静に判断しているつもりの彼女の顔がタコのように赤くなっていることは誰も知らない。
自室にもどった羽切は皆ベッドに入っていたことから、自分も入った。すると新井が暗い部屋で言葉を生んだ。
「皆、好きな人かいいな、と思う人の名前言おうぜ。」
ああ、と新井は
「俺、因みに上山が好きかな。よくね?」
それに答えたのは高田だった、
「あーたしかに、いいかも。だけど俺、「音橋」みたいなやつ結構好きだわ。」
羽切は「音橋」という名前が他人の口から出てくることに、しかも、「好き」という言葉もついていたことに解せなかった。
「羽切は?」
もちろん即答だった。
「そりゃ、音橋かなあ。」
「おっと!?ライバル出現!?」
「んなわけないだろ?俺の圧勝だ!」
と、冗談かまして羽切は言った。このような会話の途中で狭山の声が聞こえないことから狭山は寝ているのだろう。
「あああ、疲れたな」
「ああ」
「そうだな、はよ寝るか。」
「おう、おやすみ」
「「おやすみ」」
と、皆はそれぞれ眠りにつこうとする。
先ほど羽切に向けられた「好きな人」の質問は、彼女である音橋が即答で出てきた。まあ、今日付き合ったばっかだし、ここで当然のように彼女の名前が出なければ不自然だろう。しかし、即答の答えは「音橋」であったが、心の中で「平賀」という言葉が生まれていることに羽切は無視をした。
そしてこの関係は、明日の自由行動でエスカレートしてゆく
一日目 集団行動編 完。
学年主任は空港のロビーに集まった僕たちに話をしていた。その奥にあった電光掲示板は十一時を表している。
「えー、ついに大阪へとやってきました。今から駐車場にいるバスに向かいます。そのバスに乗ったら、まず京都に向かい「球数食堂」という食堂でご飯を食べます。その次に東大寺、その次は大社。それで夕飯食べてホテルよ。」
その言葉に対し皆は「はーい」と肯定し、バスへと向かった。
バスについた。そのバスの近くに女性がいた。すると、学年主任の横島が
「あれが二組のバスガイドよ。クラス委員、あいさつに行ってきなさい」
「「はい」」と、羽切と平賀は答える。そして二人はバスガイドのもとへと率先して行った。クラスの男子が「いいなあ」という視線、否、殺気を向けてくるが気にしない。
そして、羽切がバスガイドの近くに立ち、
「こんにちは、クラス委員の羽切と」
平賀は羽切の横に立ち
「平賀ですよろしくお願いします。」
「あらあら、よろしくお願いします。」
と、言った女性はとても若く、美人だった。おまけに脚も長くスタイルがいい。二十代前半かな、というくらいだった。
「荷物はどうすればいいでしょうか。」
バスガイドはバスの中心部を指し、
「あそこよ。あとは運転手さんがやってくれるからそこまで荷物運んでね。ちょっと私、トイレ行ってきますから。」
「あ、はい。」
と、バスガイドはうつむきながら、クラスの皆に顔を明かすことなく空港の中のトイレへと走って行った。
すると、あとから来た男子生徒が一人話しかけてくる。
「おい、羽切。どうだった?」
「どうだったって?何が?」
するとまた一人
「とぼけるなよ。バスガイドだよバスガイド。可愛かったか?」
と、何人もぞろぞろ来る。ったく、うちのクラスは・・・。
「ああ、すっげえ美人だった。」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおお」」」」」」」」」」
・・・うるせぇー。
と、思っていると、平賀が
「ちょっとあなたたち!さっさと運転手さんに荷物預けて座ってなさい!」
という一言で男子諸君は静まりかえった。
そして皆は運転手のところへ行き、荷物を預けていた。
あれから時間は経ち、皆がバスの座席に座り終わったとき。一人の男子生徒は言った。
「おい、バスガイドさんはどうしたんだ?」
「たしかに」「そうだよ」「何したんだ羽切」などとバスの中がざわつく。
すると
「おまったせー!みんなー!」
と、陽気に、かわいらしい声で言ったのは先ほどの美人バスガイド・・・ではなかった。
・・・誰だあんた!
皆の見つめる声の主は、先ほどの美人とは打って変わって、脚が短く、顔は普通。そして、四十代の、世間一般では「おばさん」というような人だった。
室内は静まり返る。するとバス内からバスガイドに聞こえない声で、ざわつき始める
「は?」「まじかよ」「新次元?」「あれのどこが美人だ」「羽切氏ね」などと聞こえたらまずいもんがたくさん。
それを阻むかのように、学年主任が羽切のもとへとやってきて、耳打ちした。
「ごめん、さっきの人、一組のバスガイド」
「ざけんな」
そんな暗いバス内に明るい声は響く。
「あれあれ?どうしたのみんなあ!?修学旅行始まったばっかりだよ!?こんなんじゃもたないよ?!だから私のことは「みぽりん」って呼んでね!」
・・・だから、なぜ「みぽりん」と呼ばなければならない!
まるで先ほどのバスガイドとは「月とすっぽん」「雲泥の差」と考えてしまった羽切は笑いが抑えきれなくなっていた。面白い、楽しいから笑っているのではない。急な強いキャラの登場で気がおかしくなっているのだ。
「くふふっ。くふっ、ふふふ・・・」
と、そんな笑いをバスガイドは見逃さなかった。
「おおーっと!?そこの君!いいねぇ!名前は!?」
顔と声の不協和音ぐあいに笑いながらも抑え、
「羽切・・・です。くふっ・・・」
「そっかー!はねぎり君ね!じゃあ君のことは「はねりん」って呼んじゃおう!さあ二組のみんな?!せーのでいくよーーー?」
「え、あ、へ? や、やめてくれぇぇぇ!」
そんな悲痛な叫びはバスガイドには聞きとれなかった。そしていやな言葉が来る。それは一つのものではない。クラスの三十名ほどがおりなす、大合唱だった。
「はねりん!」×不特定多数
・・・気のせいだろうか。涙が出てきた。
羽切を「はねりん」と呼び、少し明るくなった皆を乗せ、バスは走り出した。
因みに「はねりん」というセンスのない言葉は修学旅行中、消滅することはなかった。
球数食堂へとついた。
出てきたのはうどんと寿司だった。
そしてクラス委員の羽切と平賀は、「いただきます」という言葉をどちらが言うかで話し合い、結果いいところを見せようと羽切が言うこととなった。
「はい、じゃあ皆。手を合わせてください。いただきます。」
「いただきます!」×多数
因みに席順は明日の自由行動と同じメンバーで区切られた机で食べる。
その一つ開いた席に羽切は座り、出された食べ物にありつく。うどんは先ほど出されたもので、まだ湯気を出すほど暖かく、寿司はまだ艶と光があり新鮮さを表している。
・・・あれ?京都に海あったっけ?まあいいや、最近は冷蔵技術も良くなっていると聞くし。
羽切は寿司を箸で掴み、口へと運ぶ。しかし、油断していた。
「あああああ!辛いぃぃ!っ!」
そうだろう。寿司なら普通わさびくらい入っている。そんなみっともない羽切の顔を見ていた上山は、
「わああっ!大丈夫ですか?!羽切君!これを!」
と、彼女は赤く濁った液体の入ったペットボトルを差し出してくる。
・・・ううっ!ありがたい!トマトジュースかなあ?!
差し出されたトマトジュース?のような液体には粉のようなものが浮いており「刻んだドライトマト」か何か、トマト感強そうとか思いながらペットボトルを受け取り、強引に蓋を開け、喉に流し込む。
ああ、助かった。これで何とか・・・と、思ったのはつかの間。
「ぐああぁぁぁ!か、辛れええええぇ!っああ!」
「大丈夫かい!?羽切君!」
謎の時白の優しさ。今は少ししみじみする。
圧倒的な喉への攻撃は会心の一撃。むせながらも、咳き込みながらも、この液体を渡した女子へ声をかけた。
「上山さん!ナニコレ?!人が飲むものじゃないよね!というかこの浮いてるの七味でしょ!?」
すると、彼女はニッコリと
「いいえ、一味ですよ。ふふっ。」
「一味なら余計良くないよ!あー、がらい!」
すると、同じメンバーの音橋が包装された小さなチョコレートを一つ取り出すし、羽切に渡す。
・・・おお!流石、音橋さん!優しい!
「ありがとう!音橋さん!貰うよ」
今度は普通のチョコレートという食べ物のようだ。それを口に入れた、直後。
「うん!普通に美味しいよ!このチョコレートおおお!!」
と、先ほどとの差に、思わず叫んだ羽切にひとつ声がかかる。
「おい!誰だ!いまこのチョコレートとか言った奴は!修学旅行はおやつ禁止だぞ!」
そうなのだ。今担任が言ったとおり、この学校はなぜかこんな大イベントにおやつ禁止なのだ。
すると、平賀が
「羽切です。」
「おい!羽切!ちょっとこっちこい!」
「ひいぃぃあぁぁ!」
このあと、何故か羽切の荷物だけ検査された。
その荷物の中には重要なものが入っていたという?
ご飯を食べた(羽切は殆ど怒られていた)あと、バスに乗り、東大寺へと着ていた。
「うっはあ!大仏でかすぎぃ!」男子生徒 声より 一部抜粋。
「そうだなあ。お前のあれみたいだ。」男子生徒 声より 一部抜粋。
「見たこともないくせに!」
こんな下いネタがポンポンと出てくるのも中学生ならではだろうか。
「しっかし、風強いなあ」
「そうだなあ」
と、答えたのは羽切。とても大きな(あれじゃない)大仏までの道のりには突風が吹いていた。女子のスカートはめくれ・・・ひざ下という校則の拘束により、めくれることはなかった。
しかし、先行していた一組のバスガイドのスカートは短く、必死で抑えていた。その様子を眺めていた男子生徒は跳ねていた(気分的な意味で)。
すると突然。スカートを抑えるのに必死だったバスガイドの被っていた帽子は無防備だった。
「あっ」
と、風にまかれて飛んでゆく。それを見た男子生徒諸君は全力で帽子を追いかけた。
「うおおお!」「まてい!」「お前にはやらん!」「いや!帽子を渡してチヤホヤされるのは俺だ!」などと醜い会話が聞こえてくる。が、羽切は行かなかった。それは「音橋にいい所を、ちゃんとクラス委員として頑張っているところを見せたいから」だ。だから、羽切は精一杯のイケボで
「これこれ、君たち。そんなに醜い争いはよしたまえ。」
すると男子生徒諸君は
「うるっせえはねりん!」「だまれはねりん!」「くたばれはねりん!」
その汚い言葉に、猫をかぶっていた羽切の何かが「プチッ」と切れた。
「お前ら!調子に乗るんじゃねえ!俺の名は!」
「名前は!?」
見事な女子の繋ぎ、
「はねぎr・・・」
言い終わる前に、男子生徒諸君は叫んだ
「「「「「「「「「はねりん」」」」」」」」」
「はねぎりだあああ!」
すると、後ろからついてきていた二組のバスガイドがスキップしながら
「わああっ!みんなぁ!「はねりん」って名前気に入ってくれたんだね!」
「「「「「「「「いええええええええぇい!」」」」」」」」
「さあ皆で?」
「「「「「「「「「はねりいいいいいん!」」」」」」」」」
東大寺の思い出は大きな大仏ではなく、大きなはねりんという言葉だった。
次に大社へと着た。大社ではろうそくを灯籠の中に入れるという体験だった。
羽切は火の付いたろうそくを灯籠に入れようと、閉まっていた灯籠の小窓みたいなものを開けようとする。すると、
手が当たった。
それは羽切の手が灯籠にぶつかったものではない。人の手にぶつかったのだ。その手は白く、まるで雪を連想させるほど、細く伸びたその指は、誰が見ても惚れ惚れする程だった。その人は
「お、おおお、音橋さんっ!?」
彼女は無表情に
「ええそうです。音橋です。ごめんなさい、ぶつかって」
「いや!全然、そんなこと、ない!こっちも周りをよく見ていなくて・・・」
「じゃあ」と、開いた 小窓を指さした音橋は
「ここに入れよう?せっかく開けたんだし」
「そ、そうだね・・・」
「どうした?具合でも悪いの?」と上目遣いで聞いてくる。彼女のつやつやの黒髪ロングはゆらゆらと揺れ、石鹸のような匂いがしてきた。
・・・落ち着かない。
まあ、と気をとり直した気分で
「じゃあ音橋さんから先どうぞ」
「ん」と短い肯定をし、ゆっくりとろうそくを灯篭に入れた。
だいたい今は四時半くらいだろうか。少し薄暗く、灯篭の明かりがほのかなものであるにもかかわらず、ひどく明るく感じるものだ。
「じゃあ、次、どうぞ」
「あ、ああ。」
それにつられるように慎重に灯篭にろうそくを入れた。二つのろうそくを迎え入れた灯篭は、ろうそくの数が一つの時より、さらに赤く、あたたかな色をしていた。そんな美しい光景に、二人は魅了され言葉さえ生まれず、ただ赤く光る灯篭をぼんやり見ていた。そして、しばらくたち、我に返った二人は目を合わせ、
「音橋さん・・・俺。君のことが好きなんだ。」
「え!?」
ごくりと、双方は息をのみ、落ち着いてから羽切は告白した。
「たとえばこの灯篭の中に入れたろうそくのように。一つの小さな優しい明かりは二つになるだけで大きな明かりとなるように、俺は優しい音橋さんと。残りわずかな学校生活を一人で生きるより、二人で楽しく生きたいんだ。」
照れながらも羽切は
「ダメ・・・かな?」
羽切はこの時「音橋さんは困っているんじゃないか」「こんな男じゃいやなんじゃないか」などと思ったが、それを裏切るように返答は来た。
「いい・・・よ。でも、聞きたいことがある。」
「な、なんだい?」
彼女は大変真剣な顔で
「一つ目。あなたは猫が好きですか?」
・・・猫。すなわち動物。俺は正直人間以外の動く生き物は苦手だ。なぜなら言葉が通じないから。俺は友達やクラスメートとの仲を会話という戦術を用い深めてきた。しかし、そんな言葉は通じない動物はあまり好きではない。
しかし、今の羽切は音橋と付き合いたいという思いがつのり、焦りに変わり、嘘をついた。それがのちに後悔することとなるなんて今の羽切に知る由もなかった。
「はい、好きです。」
「成程」という言葉とともに彼女は頷く。そして、また、質問をした。
「二つ目。あなたは「学校生活を二人で」といいました。それは学校生活が終わったら二人の仲も終わり。ということでしょうか。」
「そ、それは・・・」
・・・先ほどの俺は軽薄だった。どうする。そのあとのことなんか考えていなかった。
そしてふと、平賀の言葉を思い出す。
儚い青春の一ページになってさよならよ
・・・ははっ。見抜かれているじゃないか。
「それは、俺と音橋さんのどちらかが嫌いになるまで・・・かな。もちろん、俺は音橋さんに好きでいてほしいから。嫌いになれないと思うんだ。だから俺は努力する。押しが弱くて、貧弱で、流されやすいけど、そんな僕でもいいなら、ずっと一緒にいてほしい。」
「つまり、現状いまいち決まってない。ということととらえていいのかな?」
「あ、ああ。すまない。」
と、うまく告白ができなくて落胆している羽切の手を音橋は取る。
「まあ、中学生の恋なんてそんなもの。でも、あなたのろうそくと私たちを例えた告白はなかなかよかったわ。」
「え?あ、じゃあ・・・」
「いいよ、私もいつも話しかけてくれる羽切・・・いえ、まつりのことが好きになっていたの。」
と、羽切がコメントするまもなく彼女はつかんでいた手をぐっと下に引っ張る。
「え!?あっちょっ!?」
引っ張られ体制を崩した羽切の唇にやわらかいのもが、否、ぬくもりを感じるものがある。
「ん!?んん!?」
「黙って。」
それは何とも甘く、しかし大人の気分になれる苦味がたとえられないほどに心地よく伝わる。
すると二人の距離はあき、音橋言った
「私の初めて・・・まつりにあげちゃった」
羽切は「初めて」という言葉に優越感を感じ、また脳裏で罪悪感がよぎった。
・・・ああ、やっぱり俺。ながされやすいんだなぁ。
「ありがとう、音橋さん。」
「音橋さん?私のことは奏って呼んでほしいかも・・・」
「わかった「奏」・・・」
「まつり・・・」
二人は幸せそうに、否、幸せで、周りの目は気にしていなかったが、もう皆大社の入り口に出ていて集合と点呼をしている。この二人がそのことに気づくのは、クラス委員の平賀が探しに来た時の「はねりん」という言葉だった。それまで二人はまるでおとぎ話の王子と姫のような気分だったという。
そして夕飯。今度は「なたたた食堂」という「た」が嫌になりそうなところで、すき焼きだった。
今度は鍋、ということで男女別々の名簿順で席に着いた。
鍋に野菜と肉を未使用の自分の割り箸で入れる。お店の人がタレを入れたのでふたをして煮えるのを待つ。そしてふと羽切は鍋を囲むクラスメイトに疑問を言った。
「なあ、今鍋に野菜入れたの未使用の箸だろ」
「ああ、」と向かいの奴が言う。
「で、もう少したつと煮えるじゃん。それを取るのも未使用の箸じゃん。」
「ああ、」右横の奴が言う。
「で、とれば鍋の中の野菜とか肉とかなくなるじゃん」
「ああ、」左横の奴が言う。
「で、とったやつ食べるじゃん」
「ああ、」右斜め前の奴が言う。
「次、野菜とか肉とか入れるの、必然的に口つけた箸じゃん。」
「ああ、」左斜め前の奴が言う。
「お前ら、人の唾液が入ったすき焼き食いたい?」
「「「「「や、やめろぉぉ!」」」」」
・・・そんなことを言っても気になったのだからしょうがない。
すると向かいの奴が
「店員さん!箸、野菜とか入れる用にもう一本ください!」
「ナイスだ!これで唾液入りのすき焼き食わなくても済むな!」
しかし、彼らはこの後、野菜や肉をその新しい箸で入れたが、煮えたものを取るとき口をつけた箸でとっていることに気づかず、結局唾液入りのすき焼きを食べることとなっていた。
「うめぇ!このすき焼き!」
「ああ、唾液が入ってないと思うとよけいにな!」
「修学旅行最大の飯の思い出!」
つくづく悲しくなるものだ。
夕飯を食べ終わり、ホテル着。
このホテルは四人部屋。もちろん男女別々で女子は上の階、男子は下の階という、男子にとって解せないルールだった。
そして、このホテルは大浴場がある。がしかし。先ほど担任が「みなさんは部屋備え付けのあれ、あれ?あれなんていうんだっけ」すると一組の女性担任が「ユニットバスですね」ということで大浴場は使えない。しょうがなく皆はユニットバスを使った。
各部屋到着。
羽切の部屋のルームメイト?は「狭山、新井、高田」という何とも言えない集団だった。しかし、一人、「狭山」という男は異彩を放っていた。それはどんなことかというと「女子と間違われるほどの女顔で、身長も百六十。色白という姿」だ。これにより、一部。クラスの腐女子たちはざわついている。しかし羽切には「カップリングが・・・」とか「さやはね?いや、はねさや、だよ」とかの意味はイマイチ伝わってこない。
そんなこんなで、七時に部屋に入った状態から話は始まる。
「おーい、誰が最初風呂使う?」
と、新井はいう。
「うーん」
と悩んだのは高田
「僕は別にいつでもいいよ」
と狭山はいうので
「じゃあ俺最初に使うぞ?」
羽切が最初に使うこととなった。
羽切は悩んでいた。それは今直面していて、日本人はなかなかなれないものだ。と思う。それは「ユニットバス」だった。
「なんで風呂にトイレが一緒にあるんだ!そしてなんで、シャワーで泡とか汚れとか流した液体の流れる場所と風呂のお湯がある部分が一緒なんだ!」
つまりだ、お湯を入れた状態でシャワー使おうとすると、そのシャワーで流れ落ちた汚れを含む液体は先に入れていた風呂のお湯と混ざってしまうのだ。しかし、先にシャワーを使おうとお湯を張らないと、シャワー単品で、風呂にお湯がたまるまでの時間で風邪をひいてしまうかもしれない。
・・・まあ仕方ないのか。外人はあまり風呂は入らず、シャワーで済ませるというからなあ。
まあいい、と羽切はお湯をためずにシャワー単品でいった。
髪を洗おうと髪にお湯をかけ濡らす。そこに備え付けのシャンプーを投入し、泡立てる。くしゃくしゃとそういう心地の良い音が耳に届き、いい気分だった。そして、静かなこの風呂場に泡の立つ音と人の声が聞こえる。
「は!?」
その声の主は高田と新井と狭山だった。そして、音を立てずにゆっくりと扉は開く。「なぜだ!?」と思うのは鍵をかけたから。しかし、よく家のトイレとかの設計にあるだろう「ー」の形をした鍵を。あれは確かに鍵だ。だがあの「ー」はコインなどを使うと簡単に開く。たぶんそうやって開けたのだろう。しかしすぐにはのぞかれない。トイレに水が飛ばないようにするためのカーテンで羽切の姿は影でしか見ることはできない。それでも、風呂をのぞかれている時点で落ち着かない。だから
「おい!おまえら!人の、しかも男のふろを覗くなんて悪趣味だぞ!」
というと彼達は急いで扉を閉め、部屋に戻った。どうやら彼らは気づかれていないと思っていたのだろう。全く、何がいいんだか。男の覗きなんて。するとふと、音橋の姿が思い浮かぶ。
・・・音橋と付き合う。それがこんなに早い段階で叶うなんて。
これからどうしよう。とりあえずあとで音橋誘ってトランプでもすっか。
そんなことを考えつつカーテンを開ける。すると。扉は全開。カメラを持っている高田がフルチンの羽切を写真に収めどこかに行った。
「ってめぇ!まちやがれ!」
と、どうせ男しかいないんだ、全裸で行ったところで失うものはない!
扉からでて部屋のほうへ行く。すると。
カメラでさっきとった写真を確認する高田。それを見る新井。そして全裸の羽切を見つめる狭山・・・と女子。
「は!?女子!?」
そこには見慣れた平賀と音橋が顔を赤くして。にやにやと笑う上山。この三人もフルチンの羽切を見ていた・・・主に下のほうを。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!」
「「「きゃあああぁぁ!」」」
羽切の悲鳴と女子の悲鳴に駆け付けた一組の女性担任は、羽切に服を着るようにいい、その担任の部屋に呼び出しをくらった。
・・・不幸だ!
まだまだ修学旅行の夜は長い。
あの後、一組の担任に「不純だ」とか「未成年だから」などというありがたいお話を三十分ほどみっちり聞いた。そして部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、校長が酔っぱらってふらふらパン一で歩いているがスルーする。
そして自室についた。その部屋で、空いている床の場所でトランプをしていた。メンバーはもちろん、高田,新井、狭山、平賀、上山、音橋、時白だった。
たぶん先ほど時白は来たのだろう。いくらクラスでいじめにあっているからといっても、美人揃いで、おまけに「生徒会長」「クラス委員」「無言」の前ではしようとは思えないだろう。
すると高田が
「よし、じゃあ何する?ババ抜きでもやる?」
すると新井が
「いや、ジジ抜きにしようぜ?」
その言葉に対し狭山が
「ジジ抜き?なにそれ」
と、平賀が
「ババ抜きの場合、最後にババが残ったら負けでしょ?ジジ抜きはそのババがわからない状態でやるの。だからどれがババになるのかがすごいドキドキするのよね。」
「成程」「賛成」
と、上山と音橋も肯定したのでジジ抜きを開始する。
高田が高速でシャッフルしているところから、誰もわからないように一枚抜き、それを皆に、八人分に分ける。皆に札が渡ったところで、かぶっている数字を抜き、始める。
このようなカードゲームも皆でやり、時間を忘れるほど楽しんだ。時間は消灯時刻の十時の十分前だった。各部屋に先生が行き、自室に戻るように促す。そして、この部屋に来ていた皆も各部屋に戻ろうとする。そんな皆に羽切は
「皆おやすみ!」と、羽切と同じ部屋ではないものに向ける。すると四人は「「「「おやすみー」」」」と返してきた。しかし、廊下に出ようとしたとき、音橋が羽切に「来い」というように手をひらひらさせる。そして、皆が自分たちを見ていない瞬間、彼女は羽切に抱きつき「おやすみなさい」といってさっていった。
何とも言えない優越感に浸っていると、廊下にいた僕は周りに誰もいないことがわかり、自分も部屋に戻ろうとした瞬間。
急に羽切の肩が強くつかまれ、羽切は肩をつかんできたものを見る。それは、先ほど帰ったはずの「平賀」っだた。
「平賀?!帰ったんじゃ!?」
そんな言葉に聞く耳は持たないというように彼女は無視し、羽切にさらに近づく。また殴られるのではないかと身をかがめる。しゃがみ、頭を押さえた。すると平賀はしゃ俯いていた羽切の顔を持ち、斜め上に向けた。その先には平賀の真剣な顔があった。
・・・なんなんだ!?
よくわからないことに体は抵抗できず、ただ状況に流されてゆく。見つめあう二人の視線は近づく、否、それは平賀から近づいてきている。頭突きでもするのだろうか、怖く、目を瞑った。しかし、それはゴンッ!と鈍い音ではなく、ただ静かに、己の頬にやわらかいものが触れていることがわかった。ゆっくり目を開けるとそこには己の頬にキスをしている平賀の姿があった。平賀からは先ほど風呂で使った石鹸のにおいがした。自分と同じにおいのする人が近くにいるというのが家族以外でいたことが滑稽に思えた。
「なっ!?何をしているんだい!?平賀!?」
平賀はその言葉にも答えずただ廊下を走り、自室へと向かった。
「なんなんだよ、もう・・・」
・・・やわらかかった、な。
今の羽切は音橋のことが頭に浮かばないくらいにドキドキしていた。
そう、このキスが後程悲劇へと変わることは知らずに。
自室に戻った平賀。
「はぁっ、はぁっ!き、緊張したー」
自分は羽切のことが好きだ。しかし、どう伝えればいいのかわからずとりあえず頬にしてみた。冷静に判断しているつもりの彼女の顔がタコのように赤くなっていることは誰も知らない。
自室にもどった羽切は皆ベッドに入っていたことから、自分も入った。すると新井が暗い部屋で言葉を生んだ。
「皆、好きな人かいいな、と思う人の名前言おうぜ。」
ああ、と新井は
「俺、因みに上山が好きかな。よくね?」
それに答えたのは高田だった、
「あーたしかに、いいかも。だけど俺、「音橋」みたいなやつ結構好きだわ。」
羽切は「音橋」という名前が他人の口から出てくることに、しかも、「好き」という言葉もついていたことに解せなかった。
「羽切は?」
もちろん即答だった。
「そりゃ、音橋かなあ。」
「おっと!?ライバル出現!?」
「んなわけないだろ?俺の圧勝だ!」
と、冗談かまして羽切は言った。このような会話の途中で狭山の声が聞こえないことから狭山は寝ているのだろう。
「あああ、疲れたな」
「ああ」
「そうだな、はよ寝るか。」
「おう、おやすみ」
「「おやすみ」」
と、皆はそれぞれ眠りにつこうとする。
先ほど羽切に向けられた「好きな人」の質問は、彼女である音橋が即答で出てきた。まあ、今日付き合ったばっかだし、ここで当然のように彼女の名前が出なければ不自然だろう。しかし、即答の答えは「音橋」であったが、心の中で「平賀」という言葉が生まれていることに羽切は無視をした。
そしてこの関係は、明日の自由行動でエスカレートしてゆく
一日目 集団行動編 完。
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