√選びのメランコリー

松平 なま暗

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修学旅行

二日目 自由行動編

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 昨日の団体行動の次の日。本日の自由行動が始まる朝。羽切たちはベッド脇の目覚ましが六時ジャストに叫び出すのにすぐに反応し、目覚めた。しかし、この目覚ましはあの不快な音がピピッ、ど二回ほどしかならないので深い眠りについていた狭山男の娘だけは目覚めなかった。残りの二人モブはちゃんと目覚めた、途端、羽切と二人はに目がいった。それは羽切の言葉から
「おい!狭山・・・見たか?」
「ああ」
「男だけの部屋だと油断しているようだがそれは甘かったな」
「そうだよ、こんなやらしい腹と肩出してたらなあ。男でも・・・」
「お前ら!早まるな!可愛いけど、男だぞ!」
 しかし、この二人ホモ野郎にちゃんと注意できる羽切は自分で偉いと・・・え?羽切もノリノリだって?そんなことは知らない。だって、男に発情するほど女に困っていないから。昨日、音橋 奏という彼女ができた。それは羽切の憧れで、とても幸せだった。
 筈だった。
 しかし、ホテルでみんなで遊んだあとのこと。あの平賀のキスが頭から離れない。どういう事なのか、一年二年と一緒にクラス委員をやってきたが最近様子が変だったと思う。元々平賀はとても冷静で落ち着いてる印象があった。しかし何だろう。最近すぐ照れたり、感情表現が豊かだ。
・・・何なんだろ本当に。まさか俺の事が好き・・・なのか?
 いやしかし、それは自惚れすぎだ。と、思い、顔を横に、考えていることを振り切るように振ると、目の前で二人変態が狭山の着ていたボタンで閉めるタイプのパジャマのボタンを慎重に、起きないように開けていた。そういえば前に聞いていた。狭山は寝るときにシャツは着ないと。つまりこのボタンを外した先には狭山の男の娘の美しい体が待っているのか。すこし、興味のあった羽切はその二人を止めることなく、もっと狭山に近づこうとする。すると、 
 足元に落ちていたのついたワイシャツをパリッと嫌な音を立てながら踏んづけた。そのワイシャツと床は摩擦がまるで無いかのようにツルッと滑り、前屈みに、。このままでは狭山に体重のかかっている腕が当たってしまうと、何とか両腕を開き、狭山の頭の横に両腕がいく。狭山には当たらなく、ちゃんと何もないベッドの上に手をついた。しかしそれは、
・・・まるで押し倒しているみたいじゃないか。
 すると、二組の担任が起きたかどうか確認するためマスターキーで部屋を開けてきた。
「おはよー。起きてるか?着替えとけよ、もうちょっとしたら朝食だ・・・ぞ。何してんだお前ら!」
 担任の見たのは、姿。すると、新井が
「俺と高田は止めようとしたのですが、それを割って入って羽切が狭山の服を脱がせて押し倒したんですぅ。」
「何?!そんな馬鹿な!お前らだr・・・」
 言葉を言い終わる前に担任は言葉を挟む
「おい!羽切!お前どうしちまったんだ!三年になってから!」
「違いますよ!誤解です!」
 すると、口論中に狭山が目覚めた。
「んっ?あ、え!?服は?!なんで羽切君が上に・・・まさか寝てる時に僕の初めて・・・」
「やめろ!それ以上言うな!」

 朝からこんな会話ばかりで疲れてしまうがこれも修学旅行でしか味わえないものだ、と羽切は笑っていた。 すると担任が
「何笑ってんだ!反省しろ!」
「はいぃ!」
・・・理不尽だ。

 こんな感じの事は朝食の始まる時間まで続いた。


 朝食の時間。広い部屋に丸いテーブルが幾つかある。そこには全て椅子があり、その椅子を埋めるように何人もの人が座っている。
 実は昨日の団体行動は制服だったのだが、今日の自由行動は私服であり、女子の私服姿は眩しい。
・・・俺は服に関して興味がなく、無地が好きで、家の近くにあるスーパーで千円以内で買えるズボンやシャツしか使っていない。
 羽切りは店に行った時「この服が五千円?!ゲーセンで俺のやってるゲーム五十回できるじゃん!」とか。友達が「おい見ろよ?このジャケット一万円もしたんだぜ?いいだろ?」などいいわけがない。それほど服に無頓着だった。
 そして、なぜか担任に合掌を頼まれたので、皆の前に出て「いただきます」と羽切はいった。
 ようやくご飯が食べれる、と席に座る。その席はやはり昨日の球数食堂と同じ、本日の自由行動メンバーだった。
 羽切の視界には五人の人間が座っている。一人は熊崎。「アイラブフィッシュ」と書かれた謎のTシャツを着ていた。二人目は時白。赤いパーカーを着ていた。
 そして女性人。上山は黒いTシャツに膝ほどのスカートだった。とても顔とあっていて美しい。次に平賀。白をメインとしたふわふわしているなんかよくわからないやつに、短いスカートだった。そして音橋。短い、ももの途中あたりで切れている短いズボンに白いパーカーだった。とても彼女のきれいな脚とその短いズボンは似合っていた。
・・・彼氏であるという優越感は何とも言えなくうれしい。
 今日の朝食はテーブルに置いてある「グラタン」「パン」「サラダ」「オレンジジュース」「牛乳」「果物」「ヨーグルト」「スクランブルエッグ」「ウィンナー」などの豊富な種類から好きなだけとれるというバイキングのようなものだった。「じゃあ、なくなったらどうなるの?」ということに問題はない。隣のテーブルにいた高田は高速でパンを食らい、テーブルにあったパンを完食したが、ホテルの人がパンの入ったバスケットを新たにもってきた。どうやら追加が来るらしい。これは今の成長期の時期にとてもうれしいものだ。
 
 朝からバイキングというものでガッツリたべた皆は(女子力をだした女子はのぞく)これから始まる楽しくも忙しい自由行動の英気を養えた。
・・・いよいよ俺の修学旅行一番のイベントが始まる!しかし、ラノベイトにいけないのが非常に残念である。



 朝食を食べ終わった後、必要な荷物を携帯用のバッグに詰め、ホテルからでて、近隣の駐車場で待っている大型タクシーのもとへと六人で歩く。もちろん先ほど一緒に朝食を食べたメンバーだ。
 しかし、そこには一人、浮かない表情のものがいた。それは羽切。なぜ彼が落胆しているかというと、

 数十分前、ホテルの自室で羽切はを探していた。その探し物は
・・・ラブレター。
 そう、とはラブレターなのだ。実はこのラブレターはへのものだった。一日目の夜。自由時間に、トランプなどをした後帰るときに渡そうとしていた。しかし、大社でいい雰囲気に流された羽切はラブレターを使わずに告白した。その大社でのときに告白は成立。付き合うこととなったためラブレターのことは必要ないもの。もうあってもしょうがないからびりびりに破ってから捨てようと思っていたのだが、朝になってそのことを思い出し、いざバッグを見るとそれはない。なぜだ?なぜなんだ?バッグを漁れたのは「同じルームメイトの高田、新井、狭山の三人」だ。「バスの人」の可能性も・・・いや、あれは大型の服とか入れるバッグを預けたのであって、携帯用のバッグは自分で持っていたから違う。じゃあ怪しいのはやはりルームメイトの三人。じゃあ、今日の夜にでもからかわれるのかもしれないなあ。と、考えた直後。思い出した。
 球数食堂で音橋さんからチョコをもらったとき、「担任」に荷物を調べられた!
 しかし、今はそんな時間はない。担任がそのラブレターを持っていると仮定し、とりあえずタクシーへと向かう。


 タクシーについた。そのタクシーから一人の初老の男性が下りてくる。どうやら運転手のようだ。するとその男性が。
「おはようございます。みなさん。今日一日という短い時間ですがどうぞお願いします」
「「「「「「おはようございます。お願いします。」」」」」」
「それでは時間も限りがあります、乗ってください。」
「はい」と皆は言い、タクシーに乗り込む。

 車内は大型車のように、前に運転手と合わせて二人、真ん中に三人、後ろに二人と七人乗りの設計だ。前に運転手と上山。真ん中に平賀、音橋、羽切。後ろに熊崎と時白。という感じで座った。すると運転手が
「みなさんまず神社に行くと聞いたのですけど、具体的にどこに?」
 羽切は答えた。
「すいません、そういえば決めてませんでした。あの・・・どこかおすすめの場所ないですか?」
「そうですねぇ・・・」
 数秒悩んだ運転手はまるでなにかいいところが見つかった、というように相槌をうち、
「ここから少し行ったところに恋愛成就と相性診断のできる神社がありまして。そこなどどうでしょう?」
「それはいいですね」「恋愛成就と診断・・・」「え、なにそこ面白そう」「これで僕と羽切君との相性が・・・」「うぇーい」などと皆、賛同したので羽切は、
「じゃあ、そこでお願いします」
「はい。わかりました。あ、あとそこへ行く道が二つありまして、少し時間はかかるのですが今の時期桜がきれいで。そちらから行きましょうか?」
「はい、ぜひ。」
・・・俺たちの住んでいるところは東日本側なのでまだ桜の開花は早い。ここで見ておきたいものだ。
 「それでは出発しまーす。」
 タクシーは駐車場から心地の良いエンジン音を出しながら出発した。

 
 しばらく走っているとそこの近くに川があり、その川に沿うように桜が咲いていた。八分咲き、と見ごろなその桜はこの川が続くように向こうまで生えている。
「うわーすごいなあ!」
「わたしたちの住んでる周辺まだだもんね。」
「ええ、とても絶景ね」
 などどその桜を皆は愛でた。
 長く続いているように見えた桜道は車ではあっという間に通り過ぎ、いよいよそこの神社の立札が「このまままっすぐ二キロ」と赤文字で書いてあった。
 一つ目のスポットへ到着する。


 その神社へと到着した。
 大きな鳥居?のようなものが待ち受けていて、そこをくぐるようにすると、たくさんのおみくじが結ばれている場所があったのでそこに七人で向かう。ここで皆はおみくじが引けるのか、と思うがそこの横に看板があり「この左にあるお土産屋で引けます。」とあったのでそこに入る。
 その中には、いろいろなお札のようなもの、ブレスレットのようなもの、アクセサリーのようなものがたくさん売っていた。肝心のおみくじはレジで引けるようだ。
 すると音橋は羽切に、
「・・・相性診断しない?」と小声で言ってきたので、羽切は「ああ」と肯定し、二人でレジに向かった。
 羽切はレジにいた巫女?のような人に「相性診断のおみくじください。」といい「カップルの相性診断ですね?七百円です。」と笑顔で言ってきたので、羽切は。が、音橋は「割り勘にしようよ」と言ってきた。だがここは男としての意地ってものがある。
・・・かっこいいと思ってほしいからね。
「俺が全部払うよ」と言ってみた。しかし、
「私、人におごってもらうのとか嫌いなの。人からおごってもらった食べ物とか、悪い気がしておいしく感じないの。だから、私のためにも割り勘で。」
「そこまで言われたらしょうがないな」
 二人は割り勘で三百五十円ずつ払い、箱の中から棒を一本選ぶ。その棒を「どれがいいか」などと相談し、二人で一本選択し、一本をふたりで持ち、巫女に渡す。
「三十七番ですね」と言い、巫女の後ろにあったたくさんの引き出しのついた棚から「三十七」とかかれた引き出しを引き、ピンク色の紙を一枚出した。それを巫女は音橋に渡し、二人で紙に書いてある文字を覗く。
「なになに?」
 音橋は小さな声で淡々と読んだ。
「・・・相性八十五%。あなたたちはとても良い仲で互いに信頼し合えるでしょう。」
「おお!」
「しかし」
「しかし?」
とその二人の仲は崩れ始め、徐々に縁は切れ始めるでしょう。その回避法として、。仮に打ち明けない場合。だって。」
「な、なんか妙に生々しくて怖いなこのおみくじ・・・」
 すると音橋は羽切に鋭い眼光を向け
「何か思い当たる節でもあるの?」
「い、いえ!ないでふ!」
「・・・そ、そうだよね。まだ付き合ってでそんな?」
「ああ、もちろn・・・って、目が笑ってないよ!奏!」
「ふふっ、なんでもないわ、まつり。」
 結果、八十五%という相性にご満悦だった二人だが、その二人を裂くように、一人の女が割って入る。
「羽切!・・・私とも相性診断しようよ。」
「え!?平賀と!?べ、別にいいけど・・・」
 隣にいた音橋が怖いがとりあえず平賀の話に合わせる。
「な、なんで?俺となんか?」
 顔を赤くした平賀は
「べっ!別にいいでしょ!音橋さんともやったんだから!」
・・・そうだまだ俺たち二人の仲はまだ誰にもばれていない。ここで「俺と奏は付き合っているんだ」といったほうがいいのか、それとも平賀のことを思ってやったほうがいいのか。
 しかし、クラスの皆に平等に接してきた羽切に、スルーという選択肢はなかった。
「いいよ、引こうじゃないか。すいません、巫女さん。ください。」
 という言葉に音橋は強めていた眼光を和らげ、結果を待つ。音橋はどうせ悪い相性だろう。そう思って、否、そう信じていた。
「七百円です。」
「割り勘で」
 羽切と平賀は三百五十円ずつだし、棒を引く。今度は平賀にすべて任せた。「五十三番ですね」と巫女は五十三の引き出しから紙を出す。そしてその紙を平賀は受け取り、二人でのぞくとともに、平賀は読んだ。
「相性九十三%。あなたたちはこのおみくじの結果を受け、より深い友情で結ばれるでしょう。」
「は、はあ。」
「む!」と音橋の視線は強まる。
「しかし、その相手が誰かと付き合っていた場合。あなたはその相手が付き合っている人から邪魔な存在になり、あなたがその相手と結ばれるでしょう。もともと付き合っていた相手の相手は、見事に「略奪」というかたちで失恋するでしょう。」
「これはまたなまなましい・・・」
 すると平賀は
「今、羽切って誰かと付き合ってるの?」
「え?」
 と、不意な言葉につい呆けてしまった。そんな羽切の腕を強く引くものがいた。上山だった。
「羽切君。私とも相性診断してくれませんか?」
 ちょうどいい逃げ道ができた、上山に流され、平賀の質問を無視した。
「え、あっ、ちょっと!?」
 そんな平賀はただ茫然となかなか良かったおみくじを見つめていた。

「友達の相性診断でお願いします。」と上山は言う
「七百円です」
 そしてまた割り勘し、棒を引き、「八十一番」のおみくじをもらい、見た。因みに上山が読んでくれた。
「相性百%。あなたちは出会った時から運命で結ばれています。友情で踏みとどまるのがもったいないくらいです。機会があったら積極的にいきましょう。」
 そして、
「仮にどちらかが付き合っている場合。どちらか付き合っていないほうは、付き合っている相手の真実を知ることとなるでしょう。」
「なんかこのおみくじ怖くねえか?!」
「百%ですって。羽切君。ふふふ。」
 上山はとてもいい笑顔だった。しかしその反比例で羽切の顔はまさに「この世の終わり」のような顔をしていた。
 そしてそんな羽切たちを置いて、時白は恋愛成就のおみくじを一人でぶつぶつ読んでいた。
「あなたはもっと好きな人に積極的に愛情表現をするべきです。それはとても積極的に、まるでというような大きな壁を乗り越えるように。か、ははっ。」
 ・・・なんだなんだ、なんなんだこのおみくじ!なんか俺の体が震えだしてるんだが!
 そんなすごい思い空間でも熊崎は楽しそうにお土産を見ていた。
「おお!このキーホルダーかっけぇ!」
 本当に、楽しそうだった。


 神社でものすごい濃い内容のおみくじを引き、次は錦市場という市場へ来ていた。
 とてもじゃないけど、ものすごい人で、進むのが大変だ。とりあえずいろいろなお店があるのでそこらへん適当に入ってみる。
 しかし、この場では大したイベントはないので以下略。


 人だかりの市場から抜け、再びタクシーに乗り、とある場所に来ていた。それは「デリパラ」だった。でりぱらとはデリシャスパラダイス。と言い、スイーツが食べ放題なのだ。そして、そこに入ろうとしたとき運転手が
「私はそこらをうろついてきますんで、ここの入り口に何時間後かに集合。という形にしましょう。」
「あれ?運転手さんは食べないんですか?」
「ええ、私甘いものが少々苦手で・・・」
「成程。じゃあどうしよう。」
 この周辺には本屋もゲーセンもある。多めにとっておいたほうがいいだろう。
「じゃあ「二時間半」後にここで。」
「はい、わかりました。」といい、運転手はどこかへ行った。
「よし!それじゃあ入ろうか!」
 ちょっと早めの食事になるが、皆「食べ放題」という言葉に夢中だった。


「おい!みてみろよ!うまいもんだろ!」
 熊崎が綿あめ製造機で顔より大きな綿あめを作っていた。まだ開店してすぐだったので他のお客はいない。貸し切りのようだった。
「おお!確かにうまいな」
 うまいといっても綿あめ自体の形。熊崎の頭には無数の蜘蛛の糸のように見える綿あめがへばりついていた。
 すると向こうから上山が
「おーい!羽切君!こっちきてください!」
 と、招いてきたので羽切はそちらへ向かう。そこはたくさんの種類があるドリンクバーコーナーの隣のアイスクリーム製造機だった。一度、あの渦巻くアイスクリームを作りたいと思っていた羽切はそちらへ行き、コーンを手に取り構える。レバーで引くとアイスクリームが出る仕組みのようだが、すでに上山が構えているのでどうやらレバーを押してくれるのだろう。ここで羽切は思う。定番なら、お酒を注ぐように「よし、入れてくれ」「はい」「おっとっと」と、このおっとっとがあるはず。これはアイスクリームでも起きるのか、ちょっと楽しみだ。
「よし、上山さん、お願い」
「はい」
 直後。「おっとっと」などという前に、アイスクリームとは到底思えないものが出てきた。それは
「原液!?」
 そう、アイスクリームの原液だった。
 それは「おっとっと」という間もなくコーンに高速で入り、その勢いと反動でコーンから飛び跳ねた。その飛び跳ねた液体は羽切の腕にかかった。
「うわっ!におい甘っ!べとべとする!」
「ああ、すいません!」
 上山はレバーを
「おい!逆だ逆!」
「え?」
 案の定、固まっていないアイスクリームの原液は先ほどよりもどっぷりと羽切の腕にかかった。
「・・・ちょっと、手、あらってくるね」
「すいませーん!」
 開始早々アイスクリームにやられた。どうやら開店したてでまだ機械が本調子じゃなかったのだろう。その甘い匂いは今日風呂に入るまで取れなかったという。


 手を洗って戻ってくると、ケーキのコーナーに音橋はいた。
「おとばs・・・じゃなくて奏。そのケーキ何?」
 と、適当に話を振ってみる。すると彼女は大変うれしそうに
「バナナのシフォンケーキに生クリーム増々。いいでしょう。」
「いいね!俺もそれ食べよ。」
「私が皿に盛ってあげる。」
「ああ、ありがとう。」
 すると彼女は皿にバナナのシフォンケーキを乗せ、器用に生クリームを乗せた。その生クリームを薄く延ばし、その上と皿にチョコペンで何かを書き出した。
 そして数十秒後。書き終わったケーキを渡してくる。大変彼女は照れた様子で
「・・・これが私の気持ちだよ」
「うん?」
 その皿に乗っているケーキではなくチョコペンのかわいらしい文字を見た。すると・・・
「私の大好きなまつりへ。」とケーキの上に書いてあった。しかし、それだけではなかった。ケーキの上の文字の優しさとは一変。大変とがった文字で
「浮気するなよ?My ダーリン♥」
 羽切は今思い知った。付き合うということの重さに。
 ・・・これ、浮気したらどうなるんだろう。
 と、ちょっと思ってしまった自分は馬鹿だ。そう思い笑顔の音橋に手を出した。それは変な意味ではなく、ただ彼女の頭をなでるもの。
「よし、ありがとう。奏。」
「っ!?」
 そのされた彼女は大変赤くなり照れていた。
・・・自分からはいいけど、相手からされるのはダメなのかな?まあいい。
「奏、席行って食べよ?皆待っててくれてるし。」
 もう皆大体とったものを席に持って行き、食べ始めたいけどお前らが来ないから食えない。という状態なのだ。因みに席は六人掛けの席である。
 そして、彼女は「うん」とだけ言い、羽切と席に向かった。

「おせーよ!待ちくたびれたぜ?」
「すまんすまん」
 熊崎の言葉に軽く謝り、皆で席に着いたことを確認し、熊崎が
「よし、罰としてお前合掌しろ」
「え、ああ、じゃあ。いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
 そして皆はそれぞれのものを口に入れる。
 結局、上山はあの後時間をおいてアイスクリーム製造機を使ったらちゃんとつかえたようだ。さらにはパンケーキを乗せていて、その上にはちみつとアイスクリームを乗せている。
 平賀はアイスクリームだが、上山とは違う。 でとるアイス。そこにチョコペンを用い、顔を書いていた。自分のシフォンケーキに書いていることとは雲泥の差である。そのかわいいチョコの顔に羽切は
「平賀のかわいいな」
 すると平賀は顔を赤くし、
「私がかわいい!?いきなりどうしたのよ羽切!?」
「ちげーよ、平賀じゃなくてそのだよ!」
 音橋が睨んでくるが微笑んでごまかす。
 そして音橋のシフォンケーキは相変わらず、生クリームがたくさん乗っている。
 熊崎はパスタだ。
・・・え?
「おい熊崎!ここパスタなんかあるのか!?」
「ああ、そっちにあったぜ。」
・・・そうなのか。てっきりスイーツのみかと思っていた。
 そして時白。
「なにそれ?時白の。煮凝り?」
「オレンジゼリーだよ。食べる?」
「いや、あとで持ってくるからいい。」
 
 皆だいたい食べ終わり、新しいものを取りに行こうとしているが、羽切と平賀はまだ食べ終わっていなかったため、まだ席に座っている。平賀がなかなかアイスクリームを食べない。もう、少しずつ溶け始めているから早く食べたほうがいいのに。そんなことを言おうと羽切は話しかけてみた。
「どうした平賀。手が止まってるぞ?」
「いや、あの。」と食べていたアイスクリームの皿を羽切に向ける。すると、溶けかかっているアイスクリームにしぶとく残るチョコペンの顔があった。
「ん?早く食わないと溶けるぞ」
「この顔ちゃんと見て。」
「うん?いつもの平賀だが?」
「私じゃない!アイスクリームの顔よ!かわいくて・・・食べれないのよ」
「お前はメルヘンな子供か!」
「だってぇ・・・」
「しゃあない!俺が食う。」
 と強引にその皿を取り、アイスクリームを口にする。
「あ!それ私口つけたのに」
「え」
 確かに先ほどのアイスクリームは角の顔のない部分だけ食われてたような気がした。
「ご、ごめん」
「いや、こっちこそ。新しいの持ってこようぜ」
「うん」
 表では謝罪の言葉しか出ていなかったが、二人の心は確実に相手を意識していた。
 ・・・平賀が食べてたのか
 ・・・羽切と間接的にしたのか
 しかし、このような行動は誰にも見られてなかったので二人は良しとしたのだろう。たぶん。


 デリパラでたくさん食べ、おなか一杯になったところでこの班は大雑把に三つに分かれる。
 一つはゲーセンに行くグループ。これは熊崎メイン。二つ目は本屋。これは女子メイン。そして三つ目。羽切と音橋は猫カフェ。しかし、時白はこの二人、主に羽切についていくというのだ。
・・・別についてきてもいいけど、せっかく奏と一緒なんだもんなあ。
 だからと言って「時白、悪いけど違う場所行ってて。」などととても言えない。
・・・どうすれば。
 と、思った時だった。今皆でデリパラの出口で会議中。そんな中で音橋は動いた。その動きは隣にいた羽切の腕をつかみ、寄り添うように腕にしがみついた。大きくない胸ながら当たるとやわらかい。という感触に羽切は戸惑った。
・・・いや!今はそんなときじゃない!ついにあのことを言うのか!
 音橋は大きく息を吸い、落ち着いたところで。いつも静かな彼女から出るとは到底思えない大きな声が出た
「私、まつりと付き合ってるの!だから私たちこれからいちゃいちゃしながら猫カフェで楽しむから。どうか二人にさせてください!」
 突然。普段あまり喋らない音橋が喋ったことにも皆は驚いているが、それよりもやはり皆は
「つつつつ、付き合ってるの?!」
「落ち着けよ平賀!」
 そう止めに入る熊崎だったが、無残にも無視された。
「そうですか、二人は付き合っていたのですか。」
 そう普段通りに告げる上山も表情には曇りがある。
「羽切君が付き合っているなんて、僕なんか・・・」
「そう自分を責めるな!時白!」
 しかしまた熊崎は無視された。ちょっと落ち込んでいる熊崎の背中が寂しく見えるのは気のせいだろうか。
 すると、平賀が
「さっき神社で私が「 今、羽切って誰かと付き合ってるの? 」って聞いた時、答えなかったのはこういうことだったのね」
「あ、ああ」
「成程。もういいわ。行きましょ?上山さん。皆も、時白も空気読んでこのバカップルをいちゃいちゃさせてあげなさい」
「う、うん・・・」
 納得のいかない時白は、落ち込みながら近くにあったコンビニに入っていった。
 あることに気づいた平賀は
「じゃあ皆。またここに一時間後集合だからね?厳守よ?」
 それに皆は頷き、それぞれ散らばった。
「遅れたらジュースをグループメンバー分だけ奢らせるからね!」
 と、強気の彼女は相変わらずいつもとは口調や声は変わらなかった。しかし、表情は嘘がつけていない。落ち込んでる様子がよくわかる。それに気づいた上山は
「どうしたんです?平賀さん?早く行って「なまくら商人は嘘が下手」の限定版を見に行きましょう?」
「ええ!」
 気を取り直した・・・ように見えた、彼女たちの顔には陰りがあった。


 猫カフェに羽切と音橋は来ていた。
 二人は先ほどたくさん食べたのに、「カフェ」という以上飲み物くらいは頼まなくてはならないだろう。二人はミルクティーを頼み、それが来るまで猫じゃらしで猫と遊んでいた。大変猫と遊んでいる彼女は楽しそうにしていた。すると、羽切のもとに新しく猫が来た。しかし「引っかかれたりするのではないか」という考えが脳裏によぎる。少々おびえながらも猫の頭をなでる。大変人懐っこいようだ。とても気持ちよさそうな猫を見ていると自然と嫌いだった動物に、ならかわいいと思えるように羽切はなっていた。
 ・・・これで人の言葉が通じればなあ
 そう幻想を考えていると、店員がミルクティーを持ってきた。
「失礼します。ミルクティーです。」
「どうも」「ありがとうございます」
 と二人はいい受け取る。店員が去って行ったことを確認し、二人は口にミルクティーを流し込む。
 ・・・うっ。さっきの食べ放題で紅茶飲んだんだよなぁ
 多少の気持ち悪さを感じながらも羽切は味わう。すると、一息ついた音橋が
「まつり。今日の夜なんだけど・・・」
「うん?また昨日みたいに遊ぶ?」
「いいえ。」
「ん?」
 彼女はとても照れた様子で
「今日の夜。私の部屋に来て。私の部屋のメンバーそれぞれどこか行くから。残ったら一人。」
「えっ!?あっ、まあいいけど。何するの?」
「ひ・み・つ。よ」
「ひ・み・つ。か」
「わかった。じゃあ今日は二人で過ごそうか。」
「うん」
 二人で過ごす時間を定め、カップルらしく幸せに過ごそうとした。しかし、物事はそんに思い通りに進むものではない。


 一時間後。デリパラの入り口前に皆はそろった。
 平賀と上山は手に本の入った袋を下げ、熊崎は汗びっしょり(おそらく音ゲ)。時白は普段通り変わらなく、羽切と音橋は恋人つなぎでそこにいる。すると平賀が
「ちょっとあなたたち!公衆の面前でいちゃいちゃしないで!」
 すると音橋が
「・・・悔しい?」
「く、悔しくなんかないわよ!私だって明日のテーマパークでいちゃいちゃできる彼氏がほしいわよ!」
「お、おい平賀・・・」
「何よ!」
「周り見ろって・・・」
「え?」
 あたりに歩いていた人たちは不思議そうに平賀を見ていた。急に顔を赤くした平賀は静かになった。
「と、とりあえず行こうか」
 するといきなりどこかから出てきた運転手が
「それでは行きましょう。」
 次は清水寺だ。しかしここもイベントはないのでカット。


 自由行動が終わり、夕飯も昨日とは違う場所で食べ「お刺身」だった。そして、昨日と同じホテルにつき、昨日と同じメンバーの部屋で、昨日と同じ順番で風呂を使った。つまり羽切が一番だ。今日、羽切は体を念入りに洗い、髪を乾かし、三十分ほどテレビを見て時間をつぶしてから。

 昨日と同じメンバーが来るはず。そう思っていた。しかし、羽切は「ちょっと自販機で飲み物買ってくるわ」と言ってどこかへ行った。音橋も来ていない。そして以外にも上山と平賀も来ていない。だからあの部屋にいるのは「高田、新井、狭山、時白」の四人だ。
 そして、その羽切は音橋の部屋へと向かっている。他の人に見つかると面倒くさいから慎重に、まるでFPSでもやっているかのように向かっていた。
 男子の階の廊下を誰にも見つからずに歩き、女子の階へと向かうため階段へときた。このホテルの階段は一階上がるための階段は長い。やっと半分ほど登り、踊り場へときたとき。ある人がそこにいた。
 平賀と上山だ。
「やあ、二人ともこんなところでどうしたんだい?」
 すると上山が
「どうも羽切君。私たちは
「用、かい?悪いけど今急いでるんだ。急ぎの用事かい?それだったら聞くだけ聞くけど・・・」
「いえいえ、その必要はありません。と、言ったでしょう?」
 すると、上山は羽切の背後にまわり、羽切の腕を自分の腕で固定し、脚を前から後ろに引くようにして羽切のすねをけり、膝から倒した。羽切は両腕を拘束され、両足のふくらはぎあたりを足で踏まれ拘束され動けない。確か上山はテニス部。帰宅部の羽切には性別という壁があっても筋力では到底かなわない。女子に負けている、という屈辱感は味わうことができなかった。それは
「は?」
 目の前には平賀がいて。平賀は錠剤の薬の入っていた包装を持っていて、包装の中の錠剤は平賀の口に入っていて、口に含んでいる錠剤は
 直後。羽切は倒れた。倒れた羽切から平賀はゆっくり唇を離すとそこから糸が伝い、切れた。それを見た上山は「平賀さん。それで満足ですか?」
 顔を赤くし、呼吸が荒い彼女は
「いいえ、まだよ」
「そう。ならいいわ。
「ええ」と平賀は言うと、上山は拘束を解き、羽切をおんぶのかたちで背負った。



 某所。そこには二人の女子がいて、一人の男子がベッドで横たわっている。すると一人の女子が
「ようこそ。私たちの部屋へ。」
 もう一人も言う。
「羽切はもう音橋さんでは満足できないカラダになるわ。ちなみに拒否権は無し。」
「それじゃあ」「始めましょうか」
 横たわって意識のない男子の服のボタンは外れてゆく。


 二日目 自由行動編 四分の三が完。
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