平凡な女子高生が王族の令嬢に異世界転生した場合の対処法について

杏子

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護衛と街 -1-

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 今日は待ちに待った街へお出かけができる日だ。流石に今日は診療所には行けないだろうけど、外を把握する為にも街へ出られることはとてもうれしかった。
早くザインさんが来ないかな。支度を済まし自室でそわそわとしていると、ザインさんが暗い面持ちで部屋に入ってくる。これはまさか⋯⋯。

「すみません、リオ様。今日は急な用務が入ってしまいまして⋯⋯」

やっぱり。
ザインさんに用務が入るということは、私のお出かけは無しになったも同然だ。肩を落としながらも一縷の望みを持ってザインさんに聞いてみる。

「今日は街に行けないってことですか⋯⋯?」
「⋯⋯本来ならばそうするのですが、ずっと前から楽しみにしていらしたリオ様にそんな残酷なことはできません。なので私の代わりに護衛をつけさせます」
「え! じゃあ街へ行ってもいいってことですか?」
「はい。今日は存分に遊んで来てください」

それでは少々お待ちください。とザインさんは言って、部屋から出て行った。きっと護衛の人を呼んでくるのだろう。
⋯⋯どんな人なんだろうか。怖い人じゃなければいいな。

「お待たせ致しました」
「おはようございます。お嬢様」

そこには柔和な笑みを浮かべた少年が立っていた。年は私と同じくらいか少し上だろうか。太陽のような金髪にアイスブルーの瞳はまるでどこかの国の王子様のようだ。

「今日はお嬢様の護衛を勤めさせて頂きます。ネイと申します 」

そう言ってネイという少年は丁寧にお辞儀をした。それはとても様になっていて、本当にどこかの国の王子様なのではないかと思ってしまう程だった。

「よ、よろしくお願いします! 」

ネイを真似る様にお辞儀をすると、彼は優しく微笑み返してくれた。
なんだか、とても優しそうな人だ。

「ネイはこう見えて隠密に長けておりまして、今回お嬢様の護衛につけさせて頂くことになりました」

隠密に長けている⋯⋯。ということは彼に隠れて何かをするのはとてもじゃないができないだろう。やっぱり、今日の時点では診療所に探りを入れることは難しそうだ。けれど、それを抜きにしても街に出られることは嬉しい。

「それでは行ってらっしゃいませ」

ザインさんに見送られて私たちは街へ向かった。

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