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吸血鬼に助けられたのに、今度は僕が殺さなくちゃいけないなんて(ジェム×櫻井乃)
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🕯️注意書き/ご注意ください🕯️
この作品には以下の要素を含みます。苦手な方、心身の体調によって影響を受けやすい方は閲覧をお控えください。
・死ネタ(明確な死描写・魂の消滅を含みます)
・執着・依存・歪んだ愛情表現
・同性愛表現(BL)
・独自の世界観/ファンタジー設定(吸血鬼・サキュバス・魂喰い 等)
・モラルに反する可能性のある表現
本作は純愛をベースにしていますが、倫理観よりも「キャラクターの感情」や「関係性の深さ」に重きを置いた内容となっています。
解釈が分かれるようなシーンや、読後に心を揺さぶる要素がございますので、自己責任での閲覧をお願いいたします。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
雨の夜、乃(ない)は道端で座り込む男・ジェムを見つける。彼は冷たく無愛想だったが、何かを隠しているように見えた。放っておけず自宅に招いた乃は、彼の異常な回復力と美しくもどこか非人間的な姿に気づく。
「…君は、何者?」
「……吸血鬼だ」
彼は追われていた。自身が犯してもいない罪を着せられ、仲間の吸血鬼たちから命を狙われているという。さらに、不老不死のはずの彼の傷が治らないことが発覚し、何者かの呪いにかけられている可能性が浮上する。
「私は死なないはずだったのに、今は……違う」
ジェムを狙う組織「サングイン・アビス」の手が迫る中、乃は彼を守るため奔走する。しかし、吸血鬼の世界の掟は非情だった。
「……君が、私を殺せ」
逃げるか、殺すか――
絶望的な選択を前に、二人は何を選ぶのか。
紅い鎖に囚われた二人の運命が、今、交錯する。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「あの、大丈夫ですか?」
その日は雨が降っており、気温も低かった。
「……」
「あ、あの…僕の声、聞こえてますか?」
「あぁ」
「こんな所で座ってると風邪ひいちゃうので僕の家来ますか?」
さぁ、立ってください!と言いながら座り込んで居る人の腕を引っ張るがビクともしない。
「あの、風邪ひいちゃうので…動いて下さい」
もう一度腕を引っ張ろうとした時、逆に引っ張られた気がして座り込んで居るの人の腕の中に倒れ込む。
「あ、ちょっと…」
倒れ込んだ乃の耳元でしか聞こえない声量で口を開く。
「私は風邪など引かない、見ず知らずの人を家にあげるなどするな」
「へ?いや、人助けです!用事が済んだら出ていってもらう前提なので!」
乃は、ふんっと座り込ん出る人から離れる。そして再び座り込んで居る人の手を掴み、立ってくださいと口を開く。
すると、座り込んで居る人はスっと立ち上がった瞬間自分より背が高く驚いてしまう。
「つ、着いてきてくださいね」
乃は早歩きで歩くが座り込んで居た人は足が長いのが普通のスピードで歩いている。
「ここが僕の部屋です、狭いですけど」
「そうだな…」
部屋の電気を付けると座り込んで居た人は色白で黄色の目をしてる。
「これ」
バスタオルを渡し、名前は?と聞くとジェムと答える。
「ジェム?…外国の人?観光できたの?」
大きくため息をした。
「観光で雨の中座り込むやつがどこにいる」
「あ、そうか!…身体冷やすと風邪ひくから何か暖かいもの飲む?」
ジェムは雫を垂らしながら狭い乃の部屋を頭を屈めながら探索する。
「あ、ちょっと」
身長差も30cm位あると髪の毛を拭こうにも拭けず、バスタオルを投げる。
「拭いてって言ったでしょ!」
不満そうな顔で乃を見る。
「何?」
「人間は面倒臭いな…」
血は美味いのにとボソッと呟く。
「こんな窮屈な部屋で生活してるのか」
「そうだけど、助けたのに文句言うの?」
「私は助けろと一言も言ってもない」
「う……」
ジェムをぼーっと見てると赤く染っているのに目が付く。
「あ、あの」
「なんだ」
「どこが怪我してますか?」
「あぁ、すぐ治る」
ほらと言って治る瞬間を見せる。驚く顔を隠せない乃を見て、鼻で笑う。
「…人間じゃ、無いんですか?」
「そうだが、見て分からないのか?…失礼したな」
そう言ってジェムは乃の家から出て行く。
数時間前、ジェムは人間界に来る前に追い出されそうになっていた。
ジェムの側近と言ってもいいほどの仲で、そんな側近が変な噂を立てていた。禁忌を犯したと。ジェムの世界では吸血鬼同士の吸血は禁止と言われてる、ただジェムはそんな事はした事がないのに、側近は何かが気に食わなかったのか側近の妹が死ぬ迄吸われたと変な噂を立てられた。
そして急に人間界に落とされ、あの場所に居た。
チラッと傷口を目にやると少し治りが遅い気がした。
「あいつ、私に何かしたな」
--乃の家にて。
狭い家の中に急にゲートが開きジェムと似たような種族が警察と軍服が混ざったような服装で複数人土足で入ってくる。
「な、なんですか!」
「ここにジェムと言う男は来ただろう?」
「知りません」
「微かに匂いが残ってるんだ、どこに行った」
「そんな人知りません!」
「そうか」
そういうと再びゲートに戻り探しに戻る。それを見た乃は、何か大変な事か怒るのかと思い、ゲートが消えた瞬間に自分に家を出てジェムを探しに行った。
(どうしよう、大変な人を助けちゃったかもしれない…)
家の近くを息を切らしながらジェムを探し回る乃。
「はぁ、はぁ…どこまで行ったんだろ…」
「誰がだ」
「はっ!!」
後ろを向くとジェムが居た。
「あ、あのさっき」
「知ってる、同族が来たのだろう」
「ジェムさん何かしたんですか?」
「何もしてない、自分で妹を殺した罪擦り付けられたくらいだ」
「くらいって…僕が何か出来ることあれば…」
「何も無い、助けて貰って巻き込んでしまってすまない」
「なんで謝るんですか?僕が勝手に助けただけなのに」
「そうだな」
「これからどうするんですか?」
「逃げる」
え?っと思ったが傷口に目が入りまだ治っていなかったようだ。
「さっきの傷…治ってないんですね…」
「そうだな…ある人に呪いをかけられたのかもしれない」
「少し…家に来て貰えますか?」
ジェムの手を掴み家に入れる。
「狭いですけど、そこに座ってくれますか?手当します」
そう言ってジェムを、座らせ救急箱を持って手当をする。
「あの、さっき呪いかけられたって言ってたましたけど…」
溜息をつき渋々口を開く。
「君はなんでも聞きたがるな…元々私達吸血鬼は基本的に不老不死なんだが、呪いをかけられると人間と同じで傷の治りが遅いと吸血鬼は死ぬ事になる」
びっくりしたような顔でジェムを見る。
「さっきより悪化しているように見えるんですけど…大丈夫ですか?」
「問題ない」
「今日、ここに泊まってください、多分外より安全だと思うし…」
「…また、来たらどうするんだ」
「僕が…何とかします」
「君に迷惑かける訳にはいかない」
「待って」
ジェムの腕を掴むが手が少し震えているのが伝わる。
「何故震えている」
「…正直…吸血鬼なんて怖いです…けどジェムさんは悪い人じゃないし…人間と一緒なら外にいると風邪引きますし…」
ジェムは乃を離そうとわざと顎を掴み首元に噛み付こうとする。
「なんだ、逃げないのか?」
乃の耳元で低い声が耳を駆け抜ける。
目も口元も力いっぱい瞑り、逃げません!と口を開く。
「ジェムさんの怪我治るなら良いです」
「本気か?死ぬかもしれないぞ?」
「…死なないって信じてます」
「短期間で簡単に信じるな」
再びジェムは乃頭を支え首元に近づく。
「また、震えてる」
「は、早く噛んでください!」
拳に力が入る。
ジェムは大きくため息を漏らし、乃の首元に噛み付く。
「ん…っ」
ゆっくりと吸血され乃は段々と力が抜けていく。首元から離れたジェムは口元から少し血が零れている。乃はその場にペタンと座り込む。
「怪我…治りそうですか?…」
「あぁ、少しだけな」
ジェムは傷口を見るてみるが対して変わらなかった。
(時間の問題か)
とある日。
何かに感づいたジェムが逃げようとした途端いきなり現れた赤黒い紅鎖で体ごと拘束されてしまう。
「おい、逃げろ!」
「嫌だ」
「君とは二回目だね」
赤黒い扉から靴の音を鳴らしながら出て来る。
「吸血鬼の組織のSanguine Abyss(サングイン・アビス)の紅鎖執行人(こうさしっこうにん)です、今夜ジェム・ダ―ヴィト・アンデルセンを処刑する」
「君も来て貰えるか?」
「ジェムさんは犯罪者じゃない!擦り付けられたんだ」
「活きがいい人間」
執行人が手を振ると乃は吹き飛ばされる瞬間、動けないジェムが何とか庇う。
「ふん、もうそんな中だったのか残念だな」
吹き飛ばされた背後にジェムが居た。
「ジェムさんっ」
「怪我は無いか?人間の癖に無茶しやがって」
「なんで庇うんですか!」
「人間だからだ」
乃を庇った衝撃で口の中を切ったらしくて口元から血が零れる。
「すぐ治らないのは呪いのせいですね、可哀想に…さぁ行きますよ、連れて来い」
複数人にジェムは抱えられジェムの居た世界に連れ戻される。待って!と言わんばかりに口より身体が勝手に動いていた乃は一緒に別の世界に行ってしまう。
「何故来た」
「ジェムさん助けたい」
「君も来てしまったんですね、じゃあ、ついでに手伝ってもらいましょうかね」
恐怖しか無い…恐怖が染み付いてる世界でジェムは紅鎖こうさで後ろに縛られ跪いている。
「さぁ、これを」
執行人は乃に赫滅かくめつと言う短刀を渡す。
「これでジェムを一突きにすれば血が焼けるように崩壊していく」
「嫌です」
執行人は大きな溜息をつき人が変わったように口を開く。
「じゃあ、お前が死ぬか?こいつが死ぬがどっちかにしろ、ここは吸血鬼の世界だ、人間のルールなんか通じるわけない、やれ早く」
乃の足元にナイフが転がってくる。
「…嫌です…」
「…やれ、お前に殺されるなら本望だ」
ジェムが立ち上がり乃の前に座り近づく。
「嫌です…なんで、なんでジェムさんが…人殺してないのに…」
「良いから、生まれ変わってもお前の前に必ず現れる、お前永遠に生きられないだろう?」
何故か拘束されていた紅鎖こうさが解ける。
「俺は死ぬのが怖くない」
乃の手を握り赫滅かくめつを持たし自分の心臓に当てる。
「此処だ、ここを突き刺せ」
「うぅ…」
乃はボロボロ涙が溢れ止まらなくなる。
「泣くな…これでは私が虐めてるみたいだ…」
右手で乃の涙を拭い抱き寄せ、頭を撫でる。
「ほら、茶番はとっとと終わらせろいつまでやってる」
「さぁ、俺を殺せ」
「嫌だ…出来ない」
するとジェムは乃の両手を持ち自分で自分の心臓を貫く。
乃は訳分からず嫌だ嫌だと何度も叫び声が枯れそうな程。乃の中に倒れ込むジェムは赤黒い熱を持った血がドクドク流れ出る。
「…いやだ…いやだ…嫌だ!」
ジェムを抱き締め死なないでと何度も叫ぶ。
「うるさい…静かに…してくれ…最後は……お前で良かった」
最後の力を振り絞って乃を抱き締め耳元で囁く。
「…っ…やだ!そんな事言わないで…ねぇ…起きて」
うわぁぁんと大声で上げながら泣き叫ぶ乃を見る執行人はそのままどこかに行ってしまう。
「僕をひとりにしないでよ…最後に愛してるって言わないで…卑怯だよ…」
𝑒𝑛𝑑
🕯️注意書き/ご注意ください🕯️
この作品には以下の要素を含みます。苦手な方、心身の体調によって影響を受けやすい方は閲覧をお控えください。
・死ネタ(明確な死描写・魂の消滅を含みます)
・執着・依存・歪んだ愛情表現
・同性愛表現(BL)
・独自の世界観/ファンタジー設定(吸血鬼・サキュバス・魂喰い 等)
・モラルに反する可能性のある表現
本作は純愛をベースにしていますが、倫理観よりも「キャラクターの感情」や「関係性の深さ」に重きを置いた内容となっています。
解釈が分かれるようなシーンや、読後に心を揺さぶる要素がございますので、自己責任での閲覧をお願いいたします。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
雨の夜、乃(ない)は道端で座り込む男・ジェムを見つける。彼は冷たく無愛想だったが、何かを隠しているように見えた。放っておけず自宅に招いた乃は、彼の異常な回復力と美しくもどこか非人間的な姿に気づく。
「…君は、何者?」
「……吸血鬼だ」
彼は追われていた。自身が犯してもいない罪を着せられ、仲間の吸血鬼たちから命を狙われているという。さらに、不老不死のはずの彼の傷が治らないことが発覚し、何者かの呪いにかけられている可能性が浮上する。
「私は死なないはずだったのに、今は……違う」
ジェムを狙う組織「サングイン・アビス」の手が迫る中、乃は彼を守るため奔走する。しかし、吸血鬼の世界の掟は非情だった。
「……君が、私を殺せ」
逃げるか、殺すか――
絶望的な選択を前に、二人は何を選ぶのか。
紅い鎖に囚われた二人の運命が、今、交錯する。
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「あの、大丈夫ですか?」
その日は雨が降っており、気温も低かった。
「……」
「あ、あの…僕の声、聞こえてますか?」
「あぁ」
「こんな所で座ってると風邪ひいちゃうので僕の家来ますか?」
さぁ、立ってください!と言いながら座り込んで居る人の腕を引っ張るがビクともしない。
「あの、風邪ひいちゃうので…動いて下さい」
もう一度腕を引っ張ろうとした時、逆に引っ張られた気がして座り込んで居るの人の腕の中に倒れ込む。
「あ、ちょっと…」
倒れ込んだ乃の耳元でしか聞こえない声量で口を開く。
「私は風邪など引かない、見ず知らずの人を家にあげるなどするな」
「へ?いや、人助けです!用事が済んだら出ていってもらう前提なので!」
乃は、ふんっと座り込ん出る人から離れる。そして再び座り込んで居る人の手を掴み、立ってくださいと口を開く。
すると、座り込んで居る人はスっと立ち上がった瞬間自分より背が高く驚いてしまう。
「つ、着いてきてくださいね」
乃は早歩きで歩くが座り込んで居た人は足が長いのが普通のスピードで歩いている。
「ここが僕の部屋です、狭いですけど」
「そうだな…」
部屋の電気を付けると座り込んで居た人は色白で黄色の目をしてる。
「これ」
バスタオルを渡し、名前は?と聞くとジェムと答える。
「ジェム?…外国の人?観光できたの?」
大きくため息をした。
「観光で雨の中座り込むやつがどこにいる」
「あ、そうか!…身体冷やすと風邪ひくから何か暖かいもの飲む?」
ジェムは雫を垂らしながら狭い乃の部屋を頭を屈めながら探索する。
「あ、ちょっと」
身長差も30cm位あると髪の毛を拭こうにも拭けず、バスタオルを投げる。
「拭いてって言ったでしょ!」
不満そうな顔で乃を見る。
「何?」
「人間は面倒臭いな…」
血は美味いのにとボソッと呟く。
「こんな窮屈な部屋で生活してるのか」
「そうだけど、助けたのに文句言うの?」
「私は助けろと一言も言ってもない」
「う……」
ジェムをぼーっと見てると赤く染っているのに目が付く。
「あ、あの」
「なんだ」
「どこが怪我してますか?」
「あぁ、すぐ治る」
ほらと言って治る瞬間を見せる。驚く顔を隠せない乃を見て、鼻で笑う。
「…人間じゃ、無いんですか?」
「そうだが、見て分からないのか?…失礼したな」
そう言ってジェムは乃の家から出て行く。
数時間前、ジェムは人間界に来る前に追い出されそうになっていた。
ジェムの側近と言ってもいいほどの仲で、そんな側近が変な噂を立てていた。禁忌を犯したと。ジェムの世界では吸血鬼同士の吸血は禁止と言われてる、ただジェムはそんな事はした事がないのに、側近は何かが気に食わなかったのか側近の妹が死ぬ迄吸われたと変な噂を立てられた。
そして急に人間界に落とされ、あの場所に居た。
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--乃の家にて。
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「な、なんですか!」
「ここにジェムと言う男は来ただろう?」
「知りません」
「微かに匂いが残ってるんだ、どこに行った」
「そんな人知りません!」
「そうか」
そういうと再びゲートに戻り探しに戻る。それを見た乃は、何か大変な事か怒るのかと思い、ゲートが消えた瞬間に自分に家を出てジェムを探しに行った。
(どうしよう、大変な人を助けちゃったかもしれない…)
家の近くを息を切らしながらジェムを探し回る乃。
「はぁ、はぁ…どこまで行ったんだろ…」
「誰がだ」
「はっ!!」
後ろを向くとジェムが居た。
「あ、あのさっき」
「知ってる、同族が来たのだろう」
「ジェムさん何かしたんですか?」
「何もしてない、自分で妹を殺した罪擦り付けられたくらいだ」
「くらいって…僕が何か出来ることあれば…」
「何も無い、助けて貰って巻き込んでしまってすまない」
「なんで謝るんですか?僕が勝手に助けただけなのに」
「そうだな」
「これからどうするんですか?」
「逃げる」
え?っと思ったが傷口に目が入りまだ治っていなかったようだ。
「さっきの傷…治ってないんですね…」
「そうだな…ある人に呪いをかけられたのかもしれない」
「少し…家に来て貰えますか?」
ジェムの手を掴み家に入れる。
「狭いですけど、そこに座ってくれますか?手当します」
そう言ってジェムを、座らせ救急箱を持って手当をする。
「あの、さっき呪いかけられたって言ってたましたけど…」
溜息をつき渋々口を開く。
「君はなんでも聞きたがるな…元々私達吸血鬼は基本的に不老不死なんだが、呪いをかけられると人間と同じで傷の治りが遅いと吸血鬼は死ぬ事になる」
びっくりしたような顔でジェムを見る。
「さっきより悪化しているように見えるんですけど…大丈夫ですか?」
「問題ない」
「今日、ここに泊まってください、多分外より安全だと思うし…」
「…また、来たらどうするんだ」
「僕が…何とかします」
「君に迷惑かける訳にはいかない」
「待って」
ジェムの腕を掴むが手が少し震えているのが伝わる。
「何故震えている」
「…正直…吸血鬼なんて怖いです…けどジェムさんは悪い人じゃないし…人間と一緒なら外にいると風邪引きますし…」
ジェムは乃を離そうとわざと顎を掴み首元に噛み付こうとする。
「なんだ、逃げないのか?」
乃の耳元で低い声が耳を駆け抜ける。
目も口元も力いっぱい瞑り、逃げません!と口を開く。
「ジェムさんの怪我治るなら良いです」
「本気か?死ぬかもしれないぞ?」
「…死なないって信じてます」
「短期間で簡単に信じるな」
再びジェムは乃頭を支え首元に近づく。
「また、震えてる」
「は、早く噛んでください!」
拳に力が入る。
ジェムは大きくため息を漏らし、乃の首元に噛み付く。
「ん…っ」
ゆっくりと吸血され乃は段々と力が抜けていく。首元から離れたジェムは口元から少し血が零れている。乃はその場にペタンと座り込む。
「怪我…治りそうですか?…」
「あぁ、少しだけな」
ジェムは傷口を見るてみるが対して変わらなかった。
(時間の問題か)
とある日。
何かに感づいたジェムが逃げようとした途端いきなり現れた赤黒い紅鎖で体ごと拘束されてしまう。
「おい、逃げろ!」
「嫌だ」
「君とは二回目だね」
赤黒い扉から靴の音を鳴らしながら出て来る。
「吸血鬼の組織のSanguine Abyss(サングイン・アビス)の紅鎖執行人(こうさしっこうにん)です、今夜ジェム・ダ―ヴィト・アンデルセンを処刑する」
「君も来て貰えるか?」
「ジェムさんは犯罪者じゃない!擦り付けられたんだ」
「活きがいい人間」
執行人が手を振ると乃は吹き飛ばされる瞬間、動けないジェムが何とか庇う。
「ふん、もうそんな中だったのか残念だな」
吹き飛ばされた背後にジェムが居た。
「ジェムさんっ」
「怪我は無いか?人間の癖に無茶しやがって」
「なんで庇うんですか!」
「人間だからだ」
乃を庇った衝撃で口の中を切ったらしくて口元から血が零れる。
「すぐ治らないのは呪いのせいですね、可哀想に…さぁ行きますよ、連れて来い」
複数人にジェムは抱えられジェムの居た世界に連れ戻される。待って!と言わんばかりに口より身体が勝手に動いていた乃は一緒に別の世界に行ってしまう。
「何故来た」
「ジェムさん助けたい」
「君も来てしまったんですね、じゃあ、ついでに手伝ってもらいましょうかね」
恐怖しか無い…恐怖が染み付いてる世界でジェムは紅鎖こうさで後ろに縛られ跪いている。
「さぁ、これを」
執行人は乃に赫滅かくめつと言う短刀を渡す。
「これでジェムを一突きにすれば血が焼けるように崩壊していく」
「嫌です」
執行人は大きな溜息をつき人が変わったように口を開く。
「じゃあ、お前が死ぬか?こいつが死ぬがどっちかにしろ、ここは吸血鬼の世界だ、人間のルールなんか通じるわけない、やれ早く」
乃の足元にナイフが転がってくる。
「…嫌です…」
「…やれ、お前に殺されるなら本望だ」
ジェムが立ち上がり乃の前に座り近づく。
「嫌です…なんで、なんでジェムさんが…人殺してないのに…」
「良いから、生まれ変わってもお前の前に必ず現れる、お前永遠に生きられないだろう?」
何故か拘束されていた紅鎖こうさが解ける。
「俺は死ぬのが怖くない」
乃の手を握り赫滅かくめつを持たし自分の心臓に当てる。
「此処だ、ここを突き刺せ」
「うぅ…」
乃はボロボロ涙が溢れ止まらなくなる。
「泣くな…これでは私が虐めてるみたいだ…」
右手で乃の涙を拭い抱き寄せ、頭を撫でる。
「ほら、茶番はとっとと終わらせろいつまでやってる」
「さぁ、俺を殺せ」
「嫌だ…出来ない」
するとジェムは乃の両手を持ち自分で自分の心臓を貫く。
乃は訳分からず嫌だ嫌だと何度も叫び声が枯れそうな程。乃の中に倒れ込むジェムは赤黒い熱を持った血がドクドク流れ出る。
「…いやだ…いやだ…嫌だ!」
ジェムを抱き締め死なないでと何度も叫ぶ。
「うるさい…静かに…してくれ…最後は……お前で良かった」
最後の力を振り絞って乃を抱き締め耳元で囁く。
「…っ…やだ!そんな事言わないで…ねぇ…起きて」
うわぁぁんと大声で上げながら泣き叫ぶ乃を見る執行人はそのままどこかに行ってしまう。
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𝑒𝑛𝑑
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