優しい人に、出会ってしまった(朝比奈聖×櫻井乃)

朝比奈*文字書き

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#5「怖かった僕に、ずっと手を握ってくれる人がいた」

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⚠️注意事項
・オメガバース設定(α×Ω)
・性描写あり(事後)
・甘々ラブラブ → ストーカーによる緊張描写あり
・執着描写/店のストーカー登場
・軽度の暴力表現あり(制圧描写あり)
・恐怖・トラウマ表現あり(乃の反応)
・ハッピーエンド/安心できる展開あり
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「乃、今回も凄いな…床びちゃびちゃだ」
「きょ、今日は僕が床掃除するからっ!……拭くもの借りていい?」
朝比奈は口元を緩ませ、乃にタオルを渡す。
「俺も手伝おうか?」
「…うん…朝比奈さん、毎回僕汚してばっかだよね」
床を掃除しながら喋る。
「それだけ気持ちいいって事だろ?いい事じゃないか」
「でも……やっぱり机の上でするのは……ちょっと気が引けちゃう」
「そうだな」
「……お風呂がいい!次からお風呂でしよ?」
「うん、お風呂ならそのまま流せるし、そのままお風呂にも浸かれるしな」
床掃除が終わり、お風呂場に行く。

「洗ってやる」
シャワーを掛け、乃の体を洗う。
「いつも思うんだけど、朝比奈さんって体洗うの上手いよね?」
「そう?」
「うん、寝れそうなくらい気持ちいい」
「そうか」
お風呂にゆっくり浸かり、部屋着に着替えベッドに入る。

「寝れそうか?」
「うん、爆睡出来そう!」
「じゃあ、おやすみ~」


--朝。

朝起きると朝比奈が朝ごはんを作っていた。
「あ…朝比奈さん…今日お休み?」
目を擦りながら起きてくる乃。
「今日は休暇を取ったよ…朝ごはんも丁度できたし食べよう」
テーブルに朝ごはんを並べられる。

「わぁっ、あのお店みたい!」
「写真よりボリュームがすごいお店?」
「そう!」
厚切りのトーストに、スクランブルエッグに、オレンジジュースにサラダ。
「厚切りのトースト好き?」
「うん、大好き!」
「それは良かった……今日は何処かに出かける?」
「朝比奈さんしんどく無いですか?」
「うん、俺は全然、乃とならどこでも行けるよ」
「んー、お家でまったりも良いけど……どっか行くのもいいな…」
真剣に悩み始める乃。
「あ!」
「なに?」
「…朝比奈さんは女装とか好き?」
「乃がするの?」
「そう」
「じゃあ、洋服買いに行こうか!」
「いいの!」
「良いよ、プレゼントするよ、どんな服が良い?」
「え、えーと…僕ロリータとか可愛い服が好きです!」
「似合いそうだね、見に行こうか」
「いや、あ、でも…高いし」
「どのくらい?」
「多分…4から5万は超えると思う」
「良いよ、乃が欲しいなら惜しまないし、好きなだけ」
「じゃ、じゃあ…僕体でいい?」
「体はすでに俺のでしょ?ずっと居てくれたら良いよ」
「なんで、そんなに優しいんですか…」
「俺は、普通に俺がやりたい事をやってるから、気にしなくて良いよ!」
乃の頭をくしゃくしゃと片手で撫でる。
「ご飯食べたら準備して行こうか」
「はいっ」

ご飯を食べ終え、出かける準備をし朝比奈が運転する車に乗る。
「乃は元々女装が好きだったの?」
「女装というか、可愛い服が好きなんだ」
「だから、水色とか淡い色が多いんだね、洋服」
「はい!」
「俺はその人に似合ってたら問題ないから、乃の可愛い服も似合うと思うよ」
「そう言われて、すっごい買い物楽しみ!」
「お昼ご飯もどこかで食べようか!」
はいと楽しみの雰囲気で、ニコニコする乃。

「あ、そう言えば乃はいつもどこで洋服買ってる?」
「んー、だいたい公式サイトか、原宿…新宿とか」
「じゃあ、その辺行ってみようか」


原宿の駐車場に止め竹下通りを歩く。
「んーっ、久しぶりに来た」
「どのくらい振り?」
「お仕事始めてから来てなかったんだよね」
「じゃ数年ぶりぐらい?」
「うん、そのくらい!…でも、欲しい物いっぱいあったらどうしよう」
「欲しいやつ買えばいい、金額は気にするな」

一店舗目の洋服屋さんに入る。
レースやフリルがふんだんに使われたゴシック調のお店。
「ここのお店初めて来た」
目をキラキラさせながら朝比奈を見る。
「はっ!」
「どうした?」
「つい…可愛くてテンション上がっちゃった」
「良いよ」
「うわぁ…フリルの姫袖…可愛い……は、ヘッドドレスもある…んー」
「ほら、貸せ、スカートとかズボンは良いのか?靴とかは?」
乃が悩んでるいる服を全て取っていく。
「え、あ…そんなに…まだ一店舗目」
「他のお店でも買えばいい」
「…んーじゃ、じゃあ…このフリフリのスカート」
「ん」
朝比奈は会計を済まし、乃と店を出る。
「一店舗目でこんなに買ってもらっちゃった」
「次は?」
「んー…あ、このお店行きたい!いつも公式で買ってたお店だ」
「じゃあ、ここが本命だな」
「ねぇねぇ、朝比奈さん、ここのお店僕全部好きなんだけど、朝比奈さんがコーディネートしたやつ着たい」
「俺…こういう系統の洋服はセンスないと思うぞ?」
「…朝比奈さんが選んだやつなら喜んで着るよ、僕」

少しため息漏らし、そうかと呟く。そして店に入る。
淡い色のロリータ服に店内もピンクの壁紙に可愛いものだらけ。
「今日は何かお探しですか?」
「あ…」
「この子に似合う洋服が欲しくて」
「あ、でしたら丁度今新作が入ってきたんですよ」
店員が箱から出してくる。

「でも、お顔が可愛いから何でも似合いそうですね…試着してみますか?」
「いんですか」
「はい、こちらにどうぞ……このブラウスもお似合いかと」
ブラウスを渡し乃が試着室に入る。


「ど、どうかな?」
結局店員が見繕ってくれたものを全部着た。
ピンクのフリフリのメルヘンロリータワンピースに、ピンクのヘッドドレス、ブラウスは丸襟で白、レース付きの白靴下に、ピンクの厚底パンプス。

「可愛いな、お姉さんこれ、一式と……このワンピースもお願いする」
「はい、ありがとうございます」
すると後ろからソロっと水色のヘッドドレスをレジに置く。
「ふっ……お姉さんすまない、これも」
「朝比奈さんが選んだワンピース水色だから、水色のヘッドドレスいる」
「……可愛いな」

会計を済ませ、店を出る。

「朝比奈さん、いっぱいありがとう……今日は満足しちゃった」
「もう、良いのか?」
「うん、全部満たされたよ!すっごい嬉しい」

そして駐車場に向かい、乃を先に車に乗せる。


「さっきから君は何か用か?」
朝比奈は勘づいていた、後ろから誰かが付いてきているのを。
「…俺の乃何だけど、取らないでくれない?」
「君、俺のマンションにも居たやつだよな?」
「俺の乃返せよ」
「君は警察から会うなと言われてるはずだが」
「関係ない」

朝比奈が戻ってくるのが遅く、乃は車から降りる。
「朝比奈さん、まだ……はぁっ」
「あ、乃、戻って来てくれたんだね」
「……いや…嫌だ…」
腰が抜け動けなくなる。朝比奈が咄嗟に乃の前に立つ。
「なぁ、俺達結婚するって誓ったよな?セックスもしたじゃん」
「……やだ…来るな……」
息が上がり、体が震える。
「俺の大事なパートナーに触れないでくれるか?」
男の腕を掴む。
「はぁ?偉そうに」

「乃、警察呼べるか?」
乃は首を動かす事しか出来なかった、震える手で携帯を取り警察に電話をする。
「おい、愛し合った仲じゃねぇのかよっ、淫乱」

朝比奈の中でブチッと切れ、男を地面に押し倒し後ろで手を抑え込んだ。

「君にはこの子の良さが分かってないから、勿体ない……」
一生近付くなと怒りが混じった声を出した。

「あ、朝比奈…さん…後5分くらいで…警察来るみたい」
「あぁ、ありがと」
男は警察に連れて行かれ、無事なのを確認したあと解放され二人とも車に戻った。

「悪かったな…せっかくのデート台無しにしてしまった」
乃は左右に首を振る。
「台無しじゃない!…僕が…嫌なの分かってて…見えない所で解決しようとしてくれたんでしょ?」
「じゃあ、何出てきたんだ?危ないだろ」
「……朝比奈さんが……いつもより遅かったから……それで心配になって」
思わず泣きそうな声で喋った。無言で乃を抱き締める。
「お前を隠してたら何もないと思った、もし出て来たら相手何するか分からないし……俺もお前の事で何しでかすか分からないからな……」
少し乃が朝比奈の腕の中で震えてるのが分かる。
「怖かったな……少し、ドライブして帰るか?」
「……うん…後さ…少しお願いある」
「なんだ」

「……僕が落ち着くまで手を繋いでて?」
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