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反乱する物語
第5章 調停者の責務
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世界協議会の設立から一週間が経った。僕は学院の執務室で、各世界から送られてきた報告書を読み返していた。
ベリクス帝国からの報告は特に深刻だった。構文魔法の流入により、従来の戦術が通用しなくなった三つの国家が、より激しい争いを続けている。民間人の犠牲者も増加の一途を辿っていた。
桜咲学園の状況も予想以上に悪化していた。恋愛感情を増幅する魔法の影響で、学生たちの関係が極端になり、いじめや暴力事件が頻発している。
星間連邦では、時空魔法の干渉により宇宙船の墜落事故が相次いでいた。
「このままでは、第一回世界協議会を待っている余裕はありませんね」
僕は報告書を机に置いた。隣に座っていたエリシアが心配そうに僕を見つめている。
「アルカディア君、無理は禁物ですよ。あなた一人でできることには限界があります」
「でも、僕が動かなければ、人々が苦しみ続けることになります」
僕は立ち上がって窓の外を見た。リテラ王国の街並みは平和そのものだった。しかし、次元の向こうでは戦争と混乱が続いている。
扉がノックされ、黒田さんが入ってきた。彼女の表情も深刻だった。
「田中、大変な知らせがある」
「何ですか?」
「桃原美咲……ミスティ・エンチャントから緊急通信があった。彼女の世界『魔法の森』にも異変が起こっているそうだ」
僕の心臓が重くなった。問題は拡大し続けている。
「どのような異変ですか?」
「詳細は不明だが、森の精霊たちが暴走しているらしい。住民たちが避難を余儀なくされている」
エリシアが不安そうに言った。
「これ以上被害が拡大する前に、何か手を打たなければなりません」
僕は決意を固めた。
「分かりました。僕が直接各世界に赴いて、問題を解決しましょう」
「田中、危険すぎる」
黒田さんが制止した。
「統合創造者とはいえ、一人で複数の世界を救うなんて……」
「いえ、一人ではありません」
僕はエリシアを見た。
「エリシアも一緒に来てくれますよね?」
「もちろんです」
エリシアが微笑んだ。
「どこまでもお供します」
その時、扉が開いてカイルとグランベル先生が入ってきた。
「おい、アルカディア」
カイルが拳を握った。
「俺たちも連れて行け。仲間を見捨てるわけにはいかない」
「カイル……」
「私も同行いたします」
グランベル先生が伺を構えた。
「世界間移動の魔法なら、私にもお手伝いできます」
僕は仲間たちの優しさに感動した。しかし、危険な任務に巻き込むわけにはいかない。
「でも、皆さんには関係のない問題です」
「関係ない?」
カイルが眉をひそめた。
「俺たちは家族だろう?家族の問題は俺たちの問題だ」
エリシアも頷いた。
「私たちも統合創造者になったあなたを支えたいのです」
黒田さんが苦笑いした。
「どうやら、一人で行かせてもらえそうにないな」
僕は仲間たちを見回した。みんなの目に、強い決意が宿っている。
「分かりました。皆で行きましょう」
僕は作戦を説明した。
「まず、最も緊急度の高いベリクス帝国から向かいます。戦争を止めるのが最優先です」
グランベル先生が地図を広げた。
「ベリクス帝国は軍事国家です。外交的アプローチが重要でしょう」
「僕とエリシア、黒田さんが交渉を担当します」
僕は役割分担を決めた。
「カイルとグランベル先生には、戦闘が発生した場合の護衛をお願いします」
「了解だ」
カイルが剣を確認した。
僕たちは創世の間に向かった。世界間移動の魔法陣を起動するためだ。
魔法陣の中央に立つと、空間が歪み始めた。
「目標:ベリクス帝国首都カデッサ」
僕が呪文を唱えると、光の扉が開いた。
扉をくぐった瞬間、僕たちは全く違う世界に立っていた。
そこは重厚な石造りの都市だった。建物は要塞のように堅固で、街には軍服を着た人々が行き交っている。空には黒い煙が立ち上り、遠くから爆発音が聞こえてくる。
「戦場の匂いですね」
エリシアが顔をしかめた。
「ああ。俺の故郷を思い出すな」
カイルが剣の柄を握った。
僕たちは街の中央広場に向かった。そこには大きな軍事施設があり、指揮官らしき人物が作戦を指示している。
「あの人が佐藤さんでしょうか?」
黒田さんが指差した先に、見覚えのある人影があった。しかし、その人物は現代世界で見た佐藤さんとは全く違う雰囲気を纏っていた。
立派な軍服に身を包み、威厳のある表情で部下に指示を出している。まさに軍事指導者の風格だった。
「マルス・バトルフォード将軍」
近くにいた兵士が敬礼した。
佐藤さんのベリクス帝国での名前はマルス・バトルフォードだったのだ。
「将軍、リテラ王国からの使者が到着しました」
別の兵士が僕たちを指差した。
マルス……佐藤さんが振り返った。その瞬間、彼の表情が変わった。
「アルカディア?なぜここに?」
「状況を確認しに来ました」
僕は彼に近づいた。
「戦争を止める方法を一緒に考えたいのです」
「戦争を止める?」
マルスの表情が険しくなった。
「君は分かっていない。この世界では、力がなければ平和は守れないんだ」
彼は街の向こうを指差した。
「東のグラニア公国が我が国の領土を侵犯し、南のヴェルダ連合が資源を奪おうとしている。話し合いなど通用しない」
「でも、このままでは民間人の犠牲が増え続けます」
エリシアが心配そうに言った。
「民間人は既に避難させている」
マルスが答えた。
「しかし、構文魔法の流入により戦況が読めなくなった。このままでは本当に国が滅びてしまう」
僕は彼の苦悩を理解した。彼は決して戦争を楽しんでいるわけではない。国と民を守るために戦っているのだ。
「構文魔法の問題なら、僕たちが解決できるかもしれません」
「どうやって?」
「まず、敵国の指導者と直接話をさせてください」
マルスが驚いた。
「直接?君は狂っているのか?」
「外交交渉です」
黒田さんが説明した。
「私たちは中立的な立場から、三国間の調停を行いたいのです」
グランベル先生も続けた。
「構文魔法の影響を取り除けば、従来の戦術バランスが復活するはずです」
マルスは長い間考え込んでいた。
「分かった。しかし、君たちに何かあっても責任は負えない」
「構いません」
僕は覚悟を決めた。
「まず、最も穏健とされるヴェルダ連合から交渉を始めましょう」
マルスが部下に指示を出した。
「ヴェルダ連合との一時停戦協定を結ぶ。使者団の保護を最優先とする」
数時間後、僕たちはヴェルダ連合の首都に向かっていた。
ヴェルダ連合は緑豊かな農業国家だった。田園風景が広がり、人々は穏やかな表情をしている。しかし、国境付近には軍事施設が並んでいた。
連合議会の議事堂で、僕たちは指導者たちと面会した。
「リテラ王国からの調停団ですか」
議長を務める初老の男性が僕たちを迎えた。
「私はヴェルダ連合議長のハロルド・グリーンフィールドです」
「アルカディア・ヴォルテクスです」
僕は丁寧に挨拶した。
「今回の紛争について、平和的解決の道を探りたいと思います」
「平和的解決……」
ハロルド議長が深いため息をついた。
「我々も戦争を望んでいるわけではありません。しかし、ベリクス帝国の軍事拡張は看過できません」
「具体的には、どのような問題があるのでしょうか?」
エリシアが質問した。
「資源の分配問題です」
別の議員が説明した。
「従来は三国間で公平に分配されていた魔石鉱山を、ベリクス帝国が独占しようとしているのです」
「魔石鉱山?」
僕は初めて聞く言葉だった。
「この世界のエネルギー源です」
黒田さんが解説した。
「恐らく、佐藤さんが設定した世界の重要資源でしょう」
ハロルド議長が続けた。
「さらに問題なのは、最近現れた『構文魔法』という未知の力です」
「構文魔法の何が問題なのですか?」
「ベリクス帝国がこの力を軍事利用しているのです」
議員の一人が憤慨した。
「従来の戦力バランスが完全に崩れました。我々も対抗手段を講じるしかありません」
僕は状況を理解し始めた。構文魔法の流入により、この世界の軍事バランスが崩壊し、それが戦争の原因となっているのだ。
「構文魔法の使用を制限することは可能でしょうか?」
グランベル先生が提案した。
「三国間で協定を結び、従来の戦術のみで解決するという方法もあります」
「それは理想的ですが……」
ハロルド議長が首を振った。
「ベリクス帝国が同意するとは思えません。彼らは軍事的優位性を手放さないでしょう」
その時、議事堂の外から爆発音が響いた。
「何事ですか?」
カイルが窓の外を見た。
空に黒い影が現れていた。それは巨大な飛行船のような形をしているが、金属的な光沢を放っている。
「グラニア公国の新兵器です」
議員の一人が青ざめた。
「『魔導戦艦』と呼ばれる、構文魔法を動力とした空中戦艦です」
飛行船から光線が放たれ、街の一部が爆発した。
「市民を避難させてください」
僕は議長に指示した。
「僕たちがあの戦艦を止めます」
「無謀です」
ハロルド議長が止めようとしたが、僕はすでに外に向かっていた。
街に出ると、魔導戦艦がゆっくりと降下してきていた。その巨大さは圧倒的で、従来の兵器では太刀打ちできそうにない。
「アルカディア君、どうしますか?」
エリシアが緊張した面持ちで尋ねた。
「構文魔法で対抗します」
僕は伺を構えた。
「あの戦艦も構文魔法で動いているなら、同じ力で無力化できるはずです」
しかし、その時、戦艦から声が響いた。
「リテラ王国の使者よ」
拡声器から聞こえてくる声は、威厳に満ちていた。
「我が名はガーランド・アイアンクロウ。グラニア公国の大公である」
戦艦がさらに降下し、人影が見えるようになった。
「君たちがこの世界に混乱をもたらした張本人だな?」
僕の血が凍った。彼は僕たちの正体を知っているのか?
「構文魔法とやらを持ち込み、我が世界の秩序を破壊した罪は重い」
ガーランド大公の声に怒りが込められていた。
「償いとして、その力を我が公国に献上せよ」
「断ります」
僕は毅然として答えた。
「構文魔法は平和のために使われるべきです」
「平和?」
ガーランド大公が嘲笑した。
「君たちが持ち込んだ力のせいで、どれだけの血が流れたと思っている?」
戦艦から複数の光線が放たれた。僕たちは慌てて避難した。
「カイル、住民の避難を手伝ってください」
僕は親友に指示した。
「グランベル先生は防御魔法の準備を」
「了解だ」
カイルが剣を構えて街の奥に向かった。
グランベル先生が伺を振ると、僕たちの周りに光の障壁が形成された。
「エリシア、黒田さん、僕と一緒に戦艦を止めましょう」
「はい」
二人が僕の隣に並んだ。
僕は最大威力の構文魔法を準備した。
「『巨大なる力よ、暴力ではなく平和に転じよ』」
金色の光が戦艦に向かって放たれた。しかし、戦艦には光の盾のようなものが展開され、攻撃を無効化してしまった。
「無駄だ」
ガーランド大公の声が響いた。
「我が戦艦は反構文魔法装甲を装備している。君たちの力は通用しない」
反構文魔法装甲?そんな技術が存在するのか?
「どうやら、この世界の住民たちも独自に構文魔法を研究しているようですね」
黒田さんが分析した。
「そして、それを軍事利用している」
状況は予想以上に複雑だった。僕たちが解決しようとしている問題が、逆に新たな問題を生み出している。
その時、戦艦の砲門が僕たちに向けられた。
「最後の警告だ」
ガーランド大公が宣言した。
「構文魔法の技術を引き渡すか、それとも消滅するか、選択せよ」
僕は仲間たちを見回した。みんなの目に、同じ決意が宿っている。
逃げるわけにはいかない。この世界の平和のために、僕たちは戦わなければならない。
しかし、どうやって反構文魔法装甲を破るのか?
その答えを見つけるために、僕は必死に考えた。
そして、一つの可能性に辿り着いた。
「エリシア、黒田さん」
僕は振り返った。
「『逆転の構文』を試してみましょう」
「逆転の構文?」
「相手の技術を逆用する方法です」
僕は説明した。
「反構文魔法装甲は、構文魔法を無効化します。しかし、それ自体も構文の一種のはずです」
「なるほど」
エリシアが理解した。
「その構文を書き換えれば、装甲を無力化できるということですね」
「その通りです」
僕たちは同時に呪文を唱えた。
「『守りの文字よ、攻めの文字に転じよ』」
戦艦を覆っていた光の盾が、突然内側に向かって収束し始めた。
「何?装甲システムに異常発生?」
戦艦内から慌てた声が聞こえてくる。
「今です」
僕は最大威力の構文魔法を放った。
「『巨大なる意志よ、平和の心に変われ』」
今度は光が戦艦を貫通し、内部のエンジン部分に到達した。
戦艦がゆっくりと降下を始めた。しかし、墜落ではなく、制御された着陸だった。
戦艦のハッチが開き、一人の男性が現れた。
ガーランド・アイアンクロウ大公だった。
彼は予想以上に若く、三十代前半程度に見えた。厳しい表情をしているが、どこか知的な雰囲気も感じられる。
「見事だな」
大公が僕たちに近づいてきた。
「君たちの力は本物のようだ」
「戦争をやめてください」
僕は彼に向かって歩いた。
「この争いに勝者はいません」
「勝者はいない……」
大公が僕を見つめた。
「興味深い考えだ。しかし、君は分かっているのか?この世界の現実を」
「教えてください」
「この世界は、三つの勢力が微妙なバランスで成り立っていた」
大公が説明し始めた。
「ベリクス帝国の軍事力、ヴェルダ連合の経済力、そして我がグラニア公国の技術力」
「バランスが崩れたのは、構文魔法の流入が原因ですね」
黒田さんが推測した。
「その通りだ」
大公が頷いた。
「突然現れた未知の力により、従来の秩序が破綻した。各国が生き残りをかけて軍拡競争を始めたのだ」
僕は罪悪感を感じた。確かに、僕たちの行動が間接的にこの混乱を招いた。
「でも、必ず解決策があるはずです」
エリシアが希望的に言った。
「三国が協力すれば、より良い世界を作れるのではないでしょうか?」
「協力?」
大公が苦笑いした。
「理想論だな。しかし……」
彼は空を見上げた。
「君たちの力を見て、一つの可能性を感じた」
「可能性?」
「構文魔法を軍事目的ではなく、建設的な目的に使用する可能性だ」
大公の表情が柔らかくなった。
「もし君たちが真剣に平和を望むなら、一つの提案がある」
「どのような提案ですか?」
「三国合同の平和協議を開催しよう」
大公が宣言した。
「そして、構文魔法の平和利用について話し合うのだ」
僕たちは顔を見合わせた。これは大きな進歩だった。
「賛成です」
僕は即答した。
「必ず実現させましょう」
その日の夜、僕たちは三国の代表者と共に、中立地帯で平和協議を開催した。
ベリクス帝国からマルス・バトルフォード将軍、ヴェルダ連合からハロルド・グリーンフィールド議長、グラニア公国からガーランド・アイアンクロウ大公が参加した。
「それでは、構文魔法の平和利用について話し合いましょう」
僕が司会を務めた。
「まず、軍事利用の完全禁止から始めてはいかがでしょうか?」
「待て」
マルス将軍が反対した。
「軍事利用を禁止すれば、国防に支障をきたす」
「しかし、現状では軍拡競争が止まりません」
ハロルド議長が心配そうに言った。
「では、段階的な軍縮はいかがでしょうか?」
ガーランド大公が提案した。
「三国同時に、構文魔法兵器を削減していくのです」
「それは現実的ですね」
黒田さんが同意した。
「そして、削減した分の技術を民生分野に転用する」
「具体的には?」
エリシアが興味深そうに尋ねた。
「農業の効率化、医療技術の向上、交通システムの改善など」
ガーランド大公が詳しく説明した。
「構文魔法には平和利用の可能性が無限にある」
マルス将軍も次第に興味を示し始めた。
「確かに、戦争ばかりでは国は発展しない」
「経済発展こそが真の国力です」
ハロルド議長が力説した。
「戦争による破壊ではなく、協力による建設を目指しましょう」
夜通し話し合いを続けた結果、三国間で画期的な合意が成立した。
「ベリクス平和協定」と名付けられた協定は、以下の内容を含んでいた:
1. 構文魔法兵器の段階的削減
1. 技術の平和利用推進
1. 三国間の定期的協議
1. 紛争の平和的解決義務
1. 共同研究プロジェクトの実施
「歴史的な合意ですね」
僕は感動していた。
「はい」
エリシアも涙を浮かべている。
「きっと、この世界に真の平和が訪れます」
翌朝、僕たちはベリクス帝国を離れることになった。
次の目的地は桜咲学園。山本凛さんの創造した学園世界だった。
マルス将軍が見送りに来てくれた。
「アルカディア、ありがとう」
彼は僕の手を握った。
「君たちのおかげで、この世界に希望が生まれた」
「僕たちも勉強になりました」
僕は正直に答えた。
「創造者として、住民の皆さんから学ぶことがたくさんありました」
「また会える日を楽しみにしている」
マルス将軍が微笑んだ。
僕たちは世界間移動の魔法で、次の世界へと向かった。
桜咲学園の世界は、ベリクス帝国とは正反対の雰囲気だった。
美しい桜並木に囲まれた校舎、制服を着た学生たち、青春の香りが漂う平和な世界。
しかし、その平和な表面の下に、深刻な問題が隠れていることを、僕たちはすぐに知ることになった。
学園の正門で、僕たちは一人の女子学生に出会った。
彼女は泣きながら校舎から出てきた。
「どうしたのですか?」
エリシアが心配して声をかけた。
「あの……私、もうこの学校にいられません」
女子学生が震え声で答えた。
「恋愛魔法のせいで、みんなの感情がおかしくなってしまって……」
僕たちは顔を見合わせた。
桜咲学園での問題は、ベリクス帝国以上に複雑かもしれない。
人の心に関わる問題だからだ。
果たして、僕たちは学園の混乱を解決できるのだろうか?
そして、さらに多くの世界が僕たちの助けを待っている。
統合創造者としての責任の重さを、僕はひしひしと感じていた。
ベリクス帝国からの報告は特に深刻だった。構文魔法の流入により、従来の戦術が通用しなくなった三つの国家が、より激しい争いを続けている。民間人の犠牲者も増加の一途を辿っていた。
桜咲学園の状況も予想以上に悪化していた。恋愛感情を増幅する魔法の影響で、学生たちの関係が極端になり、いじめや暴力事件が頻発している。
星間連邦では、時空魔法の干渉により宇宙船の墜落事故が相次いでいた。
「このままでは、第一回世界協議会を待っている余裕はありませんね」
僕は報告書を机に置いた。隣に座っていたエリシアが心配そうに僕を見つめている。
「アルカディア君、無理は禁物ですよ。あなた一人でできることには限界があります」
「でも、僕が動かなければ、人々が苦しみ続けることになります」
僕は立ち上がって窓の外を見た。リテラ王国の街並みは平和そのものだった。しかし、次元の向こうでは戦争と混乱が続いている。
扉がノックされ、黒田さんが入ってきた。彼女の表情も深刻だった。
「田中、大変な知らせがある」
「何ですか?」
「桃原美咲……ミスティ・エンチャントから緊急通信があった。彼女の世界『魔法の森』にも異変が起こっているそうだ」
僕の心臓が重くなった。問題は拡大し続けている。
「どのような異変ですか?」
「詳細は不明だが、森の精霊たちが暴走しているらしい。住民たちが避難を余儀なくされている」
エリシアが不安そうに言った。
「これ以上被害が拡大する前に、何か手を打たなければなりません」
僕は決意を固めた。
「分かりました。僕が直接各世界に赴いて、問題を解決しましょう」
「田中、危険すぎる」
黒田さんが制止した。
「統合創造者とはいえ、一人で複数の世界を救うなんて……」
「いえ、一人ではありません」
僕はエリシアを見た。
「エリシアも一緒に来てくれますよね?」
「もちろんです」
エリシアが微笑んだ。
「どこまでもお供します」
その時、扉が開いてカイルとグランベル先生が入ってきた。
「おい、アルカディア」
カイルが拳を握った。
「俺たちも連れて行け。仲間を見捨てるわけにはいかない」
「カイル……」
「私も同行いたします」
グランベル先生が伺を構えた。
「世界間移動の魔法なら、私にもお手伝いできます」
僕は仲間たちの優しさに感動した。しかし、危険な任務に巻き込むわけにはいかない。
「でも、皆さんには関係のない問題です」
「関係ない?」
カイルが眉をひそめた。
「俺たちは家族だろう?家族の問題は俺たちの問題だ」
エリシアも頷いた。
「私たちも統合創造者になったあなたを支えたいのです」
黒田さんが苦笑いした。
「どうやら、一人で行かせてもらえそうにないな」
僕は仲間たちを見回した。みんなの目に、強い決意が宿っている。
「分かりました。皆で行きましょう」
僕は作戦を説明した。
「まず、最も緊急度の高いベリクス帝国から向かいます。戦争を止めるのが最優先です」
グランベル先生が地図を広げた。
「ベリクス帝国は軍事国家です。外交的アプローチが重要でしょう」
「僕とエリシア、黒田さんが交渉を担当します」
僕は役割分担を決めた。
「カイルとグランベル先生には、戦闘が発生した場合の護衛をお願いします」
「了解だ」
カイルが剣を確認した。
僕たちは創世の間に向かった。世界間移動の魔法陣を起動するためだ。
魔法陣の中央に立つと、空間が歪み始めた。
「目標:ベリクス帝国首都カデッサ」
僕が呪文を唱えると、光の扉が開いた。
扉をくぐった瞬間、僕たちは全く違う世界に立っていた。
そこは重厚な石造りの都市だった。建物は要塞のように堅固で、街には軍服を着た人々が行き交っている。空には黒い煙が立ち上り、遠くから爆発音が聞こえてくる。
「戦場の匂いですね」
エリシアが顔をしかめた。
「ああ。俺の故郷を思い出すな」
カイルが剣の柄を握った。
僕たちは街の中央広場に向かった。そこには大きな軍事施設があり、指揮官らしき人物が作戦を指示している。
「あの人が佐藤さんでしょうか?」
黒田さんが指差した先に、見覚えのある人影があった。しかし、その人物は現代世界で見た佐藤さんとは全く違う雰囲気を纏っていた。
立派な軍服に身を包み、威厳のある表情で部下に指示を出している。まさに軍事指導者の風格だった。
「マルス・バトルフォード将軍」
近くにいた兵士が敬礼した。
佐藤さんのベリクス帝国での名前はマルス・バトルフォードだったのだ。
「将軍、リテラ王国からの使者が到着しました」
別の兵士が僕たちを指差した。
マルス……佐藤さんが振り返った。その瞬間、彼の表情が変わった。
「アルカディア?なぜここに?」
「状況を確認しに来ました」
僕は彼に近づいた。
「戦争を止める方法を一緒に考えたいのです」
「戦争を止める?」
マルスの表情が険しくなった。
「君は分かっていない。この世界では、力がなければ平和は守れないんだ」
彼は街の向こうを指差した。
「東のグラニア公国が我が国の領土を侵犯し、南のヴェルダ連合が資源を奪おうとしている。話し合いなど通用しない」
「でも、このままでは民間人の犠牲が増え続けます」
エリシアが心配そうに言った。
「民間人は既に避難させている」
マルスが答えた。
「しかし、構文魔法の流入により戦況が読めなくなった。このままでは本当に国が滅びてしまう」
僕は彼の苦悩を理解した。彼は決して戦争を楽しんでいるわけではない。国と民を守るために戦っているのだ。
「構文魔法の問題なら、僕たちが解決できるかもしれません」
「どうやって?」
「まず、敵国の指導者と直接話をさせてください」
マルスが驚いた。
「直接?君は狂っているのか?」
「外交交渉です」
黒田さんが説明した。
「私たちは中立的な立場から、三国間の調停を行いたいのです」
グランベル先生も続けた。
「構文魔法の影響を取り除けば、従来の戦術バランスが復活するはずです」
マルスは長い間考え込んでいた。
「分かった。しかし、君たちに何かあっても責任は負えない」
「構いません」
僕は覚悟を決めた。
「まず、最も穏健とされるヴェルダ連合から交渉を始めましょう」
マルスが部下に指示を出した。
「ヴェルダ連合との一時停戦協定を結ぶ。使者団の保護を最優先とする」
数時間後、僕たちはヴェルダ連合の首都に向かっていた。
ヴェルダ連合は緑豊かな農業国家だった。田園風景が広がり、人々は穏やかな表情をしている。しかし、国境付近には軍事施設が並んでいた。
連合議会の議事堂で、僕たちは指導者たちと面会した。
「リテラ王国からの調停団ですか」
議長を務める初老の男性が僕たちを迎えた。
「私はヴェルダ連合議長のハロルド・グリーンフィールドです」
「アルカディア・ヴォルテクスです」
僕は丁寧に挨拶した。
「今回の紛争について、平和的解決の道を探りたいと思います」
「平和的解決……」
ハロルド議長が深いため息をついた。
「我々も戦争を望んでいるわけではありません。しかし、ベリクス帝国の軍事拡張は看過できません」
「具体的には、どのような問題があるのでしょうか?」
エリシアが質問した。
「資源の分配問題です」
別の議員が説明した。
「従来は三国間で公平に分配されていた魔石鉱山を、ベリクス帝国が独占しようとしているのです」
「魔石鉱山?」
僕は初めて聞く言葉だった。
「この世界のエネルギー源です」
黒田さんが解説した。
「恐らく、佐藤さんが設定した世界の重要資源でしょう」
ハロルド議長が続けた。
「さらに問題なのは、最近現れた『構文魔法』という未知の力です」
「構文魔法の何が問題なのですか?」
「ベリクス帝国がこの力を軍事利用しているのです」
議員の一人が憤慨した。
「従来の戦力バランスが完全に崩れました。我々も対抗手段を講じるしかありません」
僕は状況を理解し始めた。構文魔法の流入により、この世界の軍事バランスが崩壊し、それが戦争の原因となっているのだ。
「構文魔法の使用を制限することは可能でしょうか?」
グランベル先生が提案した。
「三国間で協定を結び、従来の戦術のみで解決するという方法もあります」
「それは理想的ですが……」
ハロルド議長が首を振った。
「ベリクス帝国が同意するとは思えません。彼らは軍事的優位性を手放さないでしょう」
その時、議事堂の外から爆発音が響いた。
「何事ですか?」
カイルが窓の外を見た。
空に黒い影が現れていた。それは巨大な飛行船のような形をしているが、金属的な光沢を放っている。
「グラニア公国の新兵器です」
議員の一人が青ざめた。
「『魔導戦艦』と呼ばれる、構文魔法を動力とした空中戦艦です」
飛行船から光線が放たれ、街の一部が爆発した。
「市民を避難させてください」
僕は議長に指示した。
「僕たちがあの戦艦を止めます」
「無謀です」
ハロルド議長が止めようとしたが、僕はすでに外に向かっていた。
街に出ると、魔導戦艦がゆっくりと降下してきていた。その巨大さは圧倒的で、従来の兵器では太刀打ちできそうにない。
「アルカディア君、どうしますか?」
エリシアが緊張した面持ちで尋ねた。
「構文魔法で対抗します」
僕は伺を構えた。
「あの戦艦も構文魔法で動いているなら、同じ力で無力化できるはずです」
しかし、その時、戦艦から声が響いた。
「リテラ王国の使者よ」
拡声器から聞こえてくる声は、威厳に満ちていた。
「我が名はガーランド・アイアンクロウ。グラニア公国の大公である」
戦艦がさらに降下し、人影が見えるようになった。
「君たちがこの世界に混乱をもたらした張本人だな?」
僕の血が凍った。彼は僕たちの正体を知っているのか?
「構文魔法とやらを持ち込み、我が世界の秩序を破壊した罪は重い」
ガーランド大公の声に怒りが込められていた。
「償いとして、その力を我が公国に献上せよ」
「断ります」
僕は毅然として答えた。
「構文魔法は平和のために使われるべきです」
「平和?」
ガーランド大公が嘲笑した。
「君たちが持ち込んだ力のせいで、どれだけの血が流れたと思っている?」
戦艦から複数の光線が放たれた。僕たちは慌てて避難した。
「カイル、住民の避難を手伝ってください」
僕は親友に指示した。
「グランベル先生は防御魔法の準備を」
「了解だ」
カイルが剣を構えて街の奥に向かった。
グランベル先生が伺を振ると、僕たちの周りに光の障壁が形成された。
「エリシア、黒田さん、僕と一緒に戦艦を止めましょう」
「はい」
二人が僕の隣に並んだ。
僕は最大威力の構文魔法を準備した。
「『巨大なる力よ、暴力ではなく平和に転じよ』」
金色の光が戦艦に向かって放たれた。しかし、戦艦には光の盾のようなものが展開され、攻撃を無効化してしまった。
「無駄だ」
ガーランド大公の声が響いた。
「我が戦艦は反構文魔法装甲を装備している。君たちの力は通用しない」
反構文魔法装甲?そんな技術が存在するのか?
「どうやら、この世界の住民たちも独自に構文魔法を研究しているようですね」
黒田さんが分析した。
「そして、それを軍事利用している」
状況は予想以上に複雑だった。僕たちが解決しようとしている問題が、逆に新たな問題を生み出している。
その時、戦艦の砲門が僕たちに向けられた。
「最後の警告だ」
ガーランド大公が宣言した。
「構文魔法の技術を引き渡すか、それとも消滅するか、選択せよ」
僕は仲間たちを見回した。みんなの目に、同じ決意が宿っている。
逃げるわけにはいかない。この世界の平和のために、僕たちは戦わなければならない。
しかし、どうやって反構文魔法装甲を破るのか?
その答えを見つけるために、僕は必死に考えた。
そして、一つの可能性に辿り着いた。
「エリシア、黒田さん」
僕は振り返った。
「『逆転の構文』を試してみましょう」
「逆転の構文?」
「相手の技術を逆用する方法です」
僕は説明した。
「反構文魔法装甲は、構文魔法を無効化します。しかし、それ自体も構文の一種のはずです」
「なるほど」
エリシアが理解した。
「その構文を書き換えれば、装甲を無力化できるということですね」
「その通りです」
僕たちは同時に呪文を唱えた。
「『守りの文字よ、攻めの文字に転じよ』」
戦艦を覆っていた光の盾が、突然内側に向かって収束し始めた。
「何?装甲システムに異常発生?」
戦艦内から慌てた声が聞こえてくる。
「今です」
僕は最大威力の構文魔法を放った。
「『巨大なる意志よ、平和の心に変われ』」
今度は光が戦艦を貫通し、内部のエンジン部分に到達した。
戦艦がゆっくりと降下を始めた。しかし、墜落ではなく、制御された着陸だった。
戦艦のハッチが開き、一人の男性が現れた。
ガーランド・アイアンクロウ大公だった。
彼は予想以上に若く、三十代前半程度に見えた。厳しい表情をしているが、どこか知的な雰囲気も感じられる。
「見事だな」
大公が僕たちに近づいてきた。
「君たちの力は本物のようだ」
「戦争をやめてください」
僕は彼に向かって歩いた。
「この争いに勝者はいません」
「勝者はいない……」
大公が僕を見つめた。
「興味深い考えだ。しかし、君は分かっているのか?この世界の現実を」
「教えてください」
「この世界は、三つの勢力が微妙なバランスで成り立っていた」
大公が説明し始めた。
「ベリクス帝国の軍事力、ヴェルダ連合の経済力、そして我がグラニア公国の技術力」
「バランスが崩れたのは、構文魔法の流入が原因ですね」
黒田さんが推測した。
「その通りだ」
大公が頷いた。
「突然現れた未知の力により、従来の秩序が破綻した。各国が生き残りをかけて軍拡競争を始めたのだ」
僕は罪悪感を感じた。確かに、僕たちの行動が間接的にこの混乱を招いた。
「でも、必ず解決策があるはずです」
エリシアが希望的に言った。
「三国が協力すれば、より良い世界を作れるのではないでしょうか?」
「協力?」
大公が苦笑いした。
「理想論だな。しかし……」
彼は空を見上げた。
「君たちの力を見て、一つの可能性を感じた」
「可能性?」
「構文魔法を軍事目的ではなく、建設的な目的に使用する可能性だ」
大公の表情が柔らかくなった。
「もし君たちが真剣に平和を望むなら、一つの提案がある」
「どのような提案ですか?」
「三国合同の平和協議を開催しよう」
大公が宣言した。
「そして、構文魔法の平和利用について話し合うのだ」
僕たちは顔を見合わせた。これは大きな進歩だった。
「賛成です」
僕は即答した。
「必ず実現させましょう」
その日の夜、僕たちは三国の代表者と共に、中立地帯で平和協議を開催した。
ベリクス帝国からマルス・バトルフォード将軍、ヴェルダ連合からハロルド・グリーンフィールド議長、グラニア公国からガーランド・アイアンクロウ大公が参加した。
「それでは、構文魔法の平和利用について話し合いましょう」
僕が司会を務めた。
「まず、軍事利用の完全禁止から始めてはいかがでしょうか?」
「待て」
マルス将軍が反対した。
「軍事利用を禁止すれば、国防に支障をきたす」
「しかし、現状では軍拡競争が止まりません」
ハロルド議長が心配そうに言った。
「では、段階的な軍縮はいかがでしょうか?」
ガーランド大公が提案した。
「三国同時に、構文魔法兵器を削減していくのです」
「それは現実的ですね」
黒田さんが同意した。
「そして、削減した分の技術を民生分野に転用する」
「具体的には?」
エリシアが興味深そうに尋ねた。
「農業の効率化、医療技術の向上、交通システムの改善など」
ガーランド大公が詳しく説明した。
「構文魔法には平和利用の可能性が無限にある」
マルス将軍も次第に興味を示し始めた。
「確かに、戦争ばかりでは国は発展しない」
「経済発展こそが真の国力です」
ハロルド議長が力説した。
「戦争による破壊ではなく、協力による建設を目指しましょう」
夜通し話し合いを続けた結果、三国間で画期的な合意が成立した。
「ベリクス平和協定」と名付けられた協定は、以下の内容を含んでいた:
1. 構文魔法兵器の段階的削減
1. 技術の平和利用推進
1. 三国間の定期的協議
1. 紛争の平和的解決義務
1. 共同研究プロジェクトの実施
「歴史的な合意ですね」
僕は感動していた。
「はい」
エリシアも涙を浮かべている。
「きっと、この世界に真の平和が訪れます」
翌朝、僕たちはベリクス帝国を離れることになった。
次の目的地は桜咲学園。山本凛さんの創造した学園世界だった。
マルス将軍が見送りに来てくれた。
「アルカディア、ありがとう」
彼は僕の手を握った。
「君たちのおかげで、この世界に希望が生まれた」
「僕たちも勉強になりました」
僕は正直に答えた。
「創造者として、住民の皆さんから学ぶことがたくさんありました」
「また会える日を楽しみにしている」
マルス将軍が微笑んだ。
僕たちは世界間移動の魔法で、次の世界へと向かった。
桜咲学園の世界は、ベリクス帝国とは正反対の雰囲気だった。
美しい桜並木に囲まれた校舎、制服を着た学生たち、青春の香りが漂う平和な世界。
しかし、その平和な表面の下に、深刻な問題が隠れていることを、僕たちはすぐに知ることになった。
学園の正門で、僕たちは一人の女子学生に出会った。
彼女は泣きながら校舎から出てきた。
「どうしたのですか?」
エリシアが心配して声をかけた。
「あの……私、もうこの学校にいられません」
女子学生が震え声で答えた。
「恋愛魔法のせいで、みんなの感情がおかしくなってしまって……」
僕たちは顔を見合わせた。
桜咲学園での問題は、ベリクス帝国以上に複雑かもしれない。
人の心に関わる問題だからだ。
果たして、僕たちは学園の混乱を解決できるのだろうか?
そして、さらに多くの世界が僕たちの助けを待っている。
統合創造者としての責任の重さを、僕はひしひしと感じていた。
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