言葉がチートスキルになった世界で、僕だけが黙示録を書き換える破神構文。創造者と被造者の黙示録

みにぶた🐽

文字の大きさ
16 / 40
反乱する物語

第6章  改変する構文

しおりを挟む
 僕たちは泣いている女子学生に詳しく話を聞いた。

「私の名前は早川ユイです」

 彼女は制服の袖で涙を拭いながら説明した。

「最初は素敵だと思っていたんです。恋愛魔法のおかげで、誰もが理想の相手と結ばれるって……」

「最初は?」

 エリシアが優しく尋ねた。

「でも、最近おかしくなってきたんです」

 ユイの声が震えた。

「恋愛感情が異常に強くなって、みんなが狂ったように恋愛にのめり込むようになりました」

 僕は眉をひそめた。

「具体的にはどのような症状ですか?」

「一目惚れが異常に激しくなって、ストーカー行為に発展したり……」

 ユイが青ざめて続けた。

「逆に失恋の痛みも尋常じゃなくて、自傷行為をする生徒も出てきています」

 これは深刻な問題だった。恋愛魔法が学生たちの感情制御能力を破綻させているのだ。

「恋愛魔法とは、具体的にどのようなシステムなのですか?」

 グランベル先生が技術的な観点から質問した。

「各生徒に『恋愛適性値』が設定されていて、相性の良い相手同士を魔法的にマッチングするシステムです」

 ユイが説明した。

「でも最近、その数値がどんどん高くなっていって……」

「数値が高くなる?」

 黒田さんが興味深そうに身を乗り出した。

「はい。最初は穏やかな好意程度だったのが、今では『運命の人』レベルの強烈な恋愛感情になってしまうんです」

 僕は理解し始めた。これは構文魔法の流入により、この世界の恋愛魔法システムが暴走しているのだ。

「システムの中核部分を見せてもらえませんか?」

 僕は立ち上がった。

「魔法の構文を解析すれば、修正できるかもしれません」

「でも、それは学園の最重要機密で……」

 ユイが戸惑った。

「生徒会長の許可が必要です」

「では、生徒会長に会わせてください」

 カイルが剣の柄を握った。

「一刻も早く解決しなければ、被害が拡大する」

 ユイは僕たちを学園の中央棟に案内してくれた。

 廊下を歩いていると、異様な光景が目に入った。

 ある教室では、男子学生が一人の女子学生を囲んで争っている。

 別の教室では、女子学生が机に突っ伏して激しく泣いている。

 保健室からは、看護師の慌てた声が聞こえてくる。

「これは予想以上に深刻ですね」

 エリシアが心配そうに呟いた。

「ええ。早急に対処しなければ」

 僕も焦りを感じていた。

 生徒会室に到着すると、そこには一人の美しい女子学生が座っていた。

 長い黒髪を後ろで束ね、知的な眼鏡をかけている。制服も完璧に着こなし、まさに理想的な生徒会長という印象だった。

「お疲れ様です、石川会長」

 ユイが丁寧に挨拶した。

「こちらの方々が、学園の問題を解決してくださるという……」

「石川麗奈です」

 生徒会長が僕たちを見回した。

「お話は伺っています。リテラ王国からの調停団の皆様ですね」

「はい。恋愛魔法システムの暴走を止めるために来ました」

 僕は率直に説明した。

「システムの中核部分を調査させていただけませんか?」

 石川会長の表情が曇った。

「それは……困難です」

「なぜですか?」

 黒田さんが問い詰めた。

「システムの管理者であるサクラ・ブロッサム先生が、現在行方不明なのです」

 サクラ・ブロッサム。山本凛さんの異世界での名前だった。

「行方不明?」

 僕は驚いた。

「いつから?」

「一週間前からです」

 石川会長が心配そうに答えた。

「恋愛魔法の暴走が始まったのと同じ時期に、先生が姿を消されました」

 これは偶然ではないだろう。山本凛さんは、自分の世界で起こっている問題を把握して、何らかの対策を講じようとしているのかもしれない。

「サクラ先生の研究室を見せてもらえませんか?」

 僕は提案した。

「手がかりがあるかもしれません」

「分かりました」

 石川会長が立ち上がった。

「ただし、研究室は最重要機密区域です。部外者の立ち入りは本来禁止されています」

「緊急事態です」

 グランベル先生が説得した。

「生徒たちの安全が最優先でしょう」

 研究室は学園の地下にあった。扉には複雑な魔法的錠前が施されている。

「これは……」

 僕は錠前を調べた。

「構文魔法と恋愛魔法の混合システムですね」

 僕は慎重に錠前の構文を解析した。

「『愛する者のみに道を開け』……なるほど、純粋な愛情を持つ者でなければ開かない仕組みです」

 エリシアが僕の隣に立った。

「一緒に開けてみましょう」

 僕たちは手を繋いで、扉に向かって呪文を唱えた。

「『真実の愛、我らを導け』」

 扉がゆっくりと開いた。

 研究室の中は、まさに魔法工学の最先端といった雰囲気だった。

 壁一面に魔法陣が描かれ、中央には巨大な水晶球が浮かんでいる。その周りを無数の数式と構文が飛び交っている。

「これが恋愛魔法システムの中核ですね」

 黒田さんが水晶球を調べた。

「予想以上に複雑です」

 僕は壁の魔法陣を解読し始めた。

「基本的な恋愛適性マッチングから……感情増幅機能……相性度計算……」

 しかし、途中で異常な構文を発見した。

「これは何でしょうか?」

 僕が指差した部分には、他の構文とは明らかに異質な文字列が刻まれていた。

「『永遠の愛、決して失われることなく』『理想の恋人、常に完璧であれ』『恋愛の痛み、存在してはならず』」

 グランベル先生が読み上げた。

「これらの構文が、システムの暴走を引き起こしているようですね」

「でも、これらの構文は後から追加されたもののようです」

 エリシアが気づいた。

「文字の色や魔力の波長が、他の部分と違います」

 僕は理解した。

「サクラ先生が、システムを改良しようとして追加した構文が、逆に暴走の原因になったのです」

「なぜそんなことを?」

 カイルが首をひそめた。

「恐らく、生徒たちをより幸せにしようとしたのでしょう」

 僕は推測した。

「『恋愛の痛みをなくしたい』『理想的な恋愛を実現させたい』という善意から」

 しかし、その善意が裏目に出てしまった。感情の自然な起伏を奪い、人工的な恋愛感情を強制することで、学生たちの心を歪めてしまったのだ。

「修正は可能でしょうか?」

 石川会長が不安そうに尋ねた。

「はい」

 僕は自信を持って答えた。

「問題のある構文を除去すれば、システムは正常に戻るはずです」

 僕は水晶球に手をかざした。

「まず、『永遠の愛』の構文を修正します」

 「『永遠の愛、決して失われることなく』を『自然な愛、時と共に育まれん』に変更」

 水晶球が青く光った。システムが修正を受け入れたようだ。

「次に、『理想の恋人』の構文です」

 「『理想の恋人、常に完璧であれ』を『真実の恋人、欠点も含めて愛されん』に変更」

 今度は緑色の光が放たれた。

「最後に、『恋愛の痛み』の構文を」

 「『恋愛の痛み、存在してはならず』を『恋愛の痛み、成長の糧となれ』に変更」

 水晶球が金色に輝いた。システムの修正が完了したのだ。

 その瞬間、学園全体に柔らかい光が広がった。

「成功したようですね」

 グランベル先生が安堵した。

 僕たちは急いで学園の各所を確認して回った。

 先ほどまで争っていた男子学生たちは、冷静さを取り戻して話し合いをしている。

 泣いていた女子学生も、友人たちに慰められながら笑顔を見せていた。

 保健室も静かになり、看護師が安心したような表情を浮かべていた。

「本当にありがとうございました」

 石川会長が深くお辞儀をした。

「学園の皆が救われました」

「いえ、僕たちにとっても勉強になりました」

 僕は正直な気持ちを述べた。

「善意であっても、自然な感情を操作することの危険性を学びました」

 その時、研究室の奥から足音が聞こえてきた。

 現れたのは、美しい女性だった。桜のような淡いピンクの髪に、優しい眼差しを持っている。

「サクラ先生!」

 石川会長が驚いた。

「どこにいらしたのですか?」

「隠れていました」

 サクラ・ブロッサム……山本凛さんが恥ずかしそうに答えた。

「自分のシステムが暴走して、学生たちを苦しめてしまったことが恥ずかしくて……」

 彼女は僕たちの方を向いた。

「リテラ王国の皆様でしょうか?システムを修正していただき、ありがとうございました」

「山本さん……いえ、サクラ先生」

 僕は彼女に近づいた。

「システムの修正は完了しましたが、根本的な問題について話し合いませんか?」

「根本的な問題?」

「はい。なぜあのような構文を追加されたのか、その理由をお聞かせください」

 サクラ先生の表情が曇った。

「それは……」

 彼女は長い間沈黙していたが、やがて口を開いた。

「私は、現実世界で恋愛に失敗続きでした」

 彼女の声が震えた。

「だからせめて、この世界の生徒たちには、純粋で美しい恋愛を体験させてあげたかったのです」

「お気持ちは分かります」

 エリシアが優しく言った。

「でも、恋愛の痛みも含めて、それが人間の成長には必要なのではないでしょうか?」

「そうですね」

 サクラ先生が涙を浮かべた。

「私は、自分の理想を生徒たちに押し付けていました」

 僕は彼女の肩に手を置いた。

「大切なのは、これからです。生徒たちと一緒に、より良い学園を作っていきましょう」

「はい」

 サクラ先生が微笑んだ。

「ありがとうございます」

 その日の夕方、僕たちは学園の中庭で、生徒たちと一緒に問題の総括を行った。

「恋愛魔法システムは正常に戻りましたが、今後の運用について話し合いましょう」

 石川会長が司会を務めた。

「生徒の皆さんの意見も聞かせてください」

 一人の男子学生が手を上げた。

「僕は、恋愛魔法に頼りすぎていたと思います」

「確かに」

 女子学生も同意した。

「自然な出会いや、時間をかけて育む関係の大切さを忘れていました」

 サクラ先生が立ち上がった。

「生徒の皆さん、申し訳ありませんでした」

 彼女は深くお辞儀をした。

「私の独りよがりな考えで、皆さんを苦しめてしまいました」

「先生」

 早川ユイが前に出た。

「先生も完璧である必要はありません。一緒に学んでいきましょう」

 生徒たちから温かい拍手が起こった。

 僕は感動していた。この世界の住民たちは、創造者の失敗を責めるのではなく、共に成長していこうとしている。

「新しい恋愛魔法システムの運用方針を決めましょう」

 僕が提案した。

「まず、システムの使用は完全に任意とします。使いたくない生徒は、自然な恋愛を選択できます」

「それは良いアイデアですね」

 石川会長が賛成した。

「次に、システムを使用する場合でも、感情の強制的な操作は禁止します」

 サクラ先生が続けた。

「相性の良い相手を紹介するだけに留め、実際の関係構築は生徒たち自身に委ねます」

「そして最も重要なのは」

 エリシアが微笑んだ。

「失恋や恋愛の悩みも、人間にとって大切な経験だということです」

 生徒たちが頷いた。

「これらの方針で、新しい桜咲学園を作っていきましょう」

 僕は宣言した。

 夜、僕たちは学園の屋上で星空を眺めていた。

「今日も良い解決ができましたね」

 エリシアが満足そうに言った。

「ええ。でも、技術的な修正だけでは限界があることも分かりました」

 僕は正直な感想を述べた。

「サクラ先生の心の問題を根本的に解決するには、もっと時間が必要でしょう」

「それも含めて、成長なのでしょうね」

 黒田さんが星を見上げた。

「創造者も住民も、共に学んでいく」

 カイルが剣を鞘に収めた。

「次はどこに向かうんだ?」

「星間連邦です」

 僕は次の目的地を告げた。

「鈴木さん……ステラ・コスモスの世界で、時空航行システムの修復を行います」

「宇宙の世界ですか」

 グランベル先生が興味深そうに言った。

「楽しみですね」

 僕たちは再び世界間移動の魔法を準備した。

 次の世界では、どんな問題が待っているのだろうか?

 そして、僕の技術的な解決アプローチは、より複雑な問題にも通用するのだろうか?

 星間連邦という未知の世界への期待と不安を胸に、僕たちは新たな冒険へと向かった。

 しかし、僕はまだ気づいていなかった。

 技術的な力に頼る解決方法が、やがて大きな代償を要求することになるということを。

 そして、その代償が僕自身の存在に関わる問題であることを。

 星空の向こうで、運命の歯車が静かに回り始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

処理中です...