鈴は割れる

まり

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決裂

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夜…豊が樹の元を訪れた

樹殿…私は…皆様と…。開国派としてこの国を守りたいと思います‼︎
それまでのどこか弱々しかった雰囲気はなくなり芯の通った声で表明した

ありがとうございます‼︎豊殿が協力してくださるのはとても心強いです‼︎
樹は微笑む

…あれ?響殿は?
豊は困惑する。

響殿はお手紙をくださいました。
我々とは道を分つと。

え……そんな…
豊はその優しい瞳の眉をこれでもかと下げてしまった

仕方がありません。響殿はどちらかといえば鎖国派寄りでしたし。鎖国派に入ると手紙にありました。
それが彼の「心の在り方」です。責めることなど誰にもできません。…残念ではありますが。ですが豊殿がこちらに来てくださっただけでもこの話し合いは有意義なものでした
樹は豊の肩に手を置いて語りかけるように言葉を紡ぐ

そう…ですよね。個人的には響殿は私の兄貴分というか、憧れだったので少し…残念ですが、私も自分の意思で開国派の一員として粉骨砕身すると決めたのです。それこそが私の「心の在り方」だと響殿もわかってくださいますよね‼︎
豊が顔を上げる

(数刻前とは比べ物にならないくらい強い意志をお持ちになられましたね、豊殿。非常に心強いです)
樹は目を細める

そして次の日、燿との会合のために樹は子の州へと出発した。それぞれ二人。四人で会合を行うという約束なので司も同行する

その間、光も聖も豊も。
それぞれの州へと帰り「最終手段」のために準備を進めておく

一方で慎たちは
いよいよ明日、皇家との会合…か

劉の門下生たちはそわそわしていた

…もしうまくいったらこの国の全員で諸外国と対等に渡り合える…よな?
彗がぼそっと呟く

ああ。その為の会合だ。樹様と司様なら…きっとお二人ならやってくださる。
彗の言葉を聞いた慎が安心させるように言う

その日のそれぞれの仕事、役目を終えて門下生たちは一度自分たちの家へ帰った

(…明日。明日で決まる。この国の全員で諸外国に立ち向かうのか。それともその前に国内で戦うことになるのか)
慎は少し怖さも感じられる表情をしながら歩く

慎‼︎
どこからか声が聞こえた

慎は辺りを見渡し、鈴を見つけた

鈴‼︎
(やはり鈴を見ると安らぐ)
慎の顔が優しくなった

どうしたんだ?もう暗くなるのに。一人では危ないだろう?
どうしてもお節介を焼いてしまう。それほどに慎は彼女を大切に思っている

もう‼︎このくらい大丈夫よ‼︎相変わらず心配性だね‼︎
鈴は少し頬を膨らませた

そんな姿も可愛らしい

ね?もう帰るんでしょう?一緒に帰りましょ?
鈴が慎の手を引く

ああ。帰ろう。

二人は手を繋いで帰る

ねぇ…
鈴は少し控えめに声をかけた

なんだ?

慎は…怖くないの?

え?

突然鈴がそんなことを聞くので慎は驚いてしまった

怖いって…何が?
慎自身、分かっていない

だって…慎と同じ…劉先生の門下生の人が言ってるのを聞いたの。
明日、「戦う」か「戦わなくてもいいのか」決まる…って

あ、ああ…そのこと…か
ようやく慎にも鈴が何を言いたいのかわかった気がした

(もし戦うことになったらもちろん俺も戦場に行く。…鈴を置いて…。戦場に行く以上、死ぬかもしれない。それは鈴もわかっている。だから…こんなことを)
慎は困った顔をする。こんな時、なんと答えれば鈴は不安を拭えるのだろうか

私…怖いよ。もし慎が戦場に行ったら…。もう会えなくなっちゃったら…
鈴は立ち止まって俯いてしまった

鈴…
慎は言葉が出ない

少し間を置いて

正直…
慎は口を開いた

どうなるかわからない。戦わなくていいのか、戦いになるのか…誰にも、わからない。でも…もし戦うことになったとしても…それは必要なことなんだ…この国の未来を守る為、鈴を…守る為だ

慎の言葉とその表情を見て鈴は黙ってしまった

そ、…そうだよね。必要なことだよ…。
ずっと慎が悩んでたのも、頑張ってきたのも知ってるから…だから…応援したいし「頑張って」って言いたい。でも…でもね…?
鈴は静かに涙を流し始めた

鈴…
慎は鈴を抱きしめた
彼女は「見えない未来とそれに巻き込まれるかもしれない『自分』を心配して涙を流している」と思ったからだ。

大丈夫。例え戦う未来になったとしても鈴を悲しませたりしない。約束する。
彼女を抱きしめる腕に力がこもった

うん…わかってる…。でも慎、もしそうなったとしたら…慎は…(行かないでいてくれる?)

必ず鈴と鈴の未来を守って帰ってくるよ
慎は優しく包み込むような声で言った

鈴はそれ以上は何も言わず慎の胸の温かさだけを感じた

慎…ごめんね。変なこと聞いて。もう大丈夫。私、信じてる。もしそうなったとしても慎は帰ってくるって
鈴は自分で涙を拭った

ああ。信じていてくれ。必ず、守るよ
慎の声は「信じても大丈夫」だと思わせてくれた
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