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火蓋
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次の日、運命の会合
いよいよ始まりますね
樹は何故かにこにこしている
ええ。どうなるか…、これで決まります
(燿様だけなら樹殿が丸めこめるのに…二人で参加とは。やはり廉殿は一筋縄ではいきませんね)
司の目は鋭くなった
そして二人が待つ部屋に「皇家の燿」、「辰吉家の廉」が入ってきた
樹と司は立ち上がり頭を下げる
廉も頭を下げた
では、始めよう
燿が短く宣言する
(これで決まる。手を取り合えるのか、戦うのか)
樹の目が先ほどのにこにこしたものから一変して鋭くなった
まず…我々は決して『「戦う」ことに肯定的であるわけではない』ということだけ頭に置いておいてもらいたい
燿が控えめながら意志のこもった声で伝える
はい。こちらもそうでございます。
樹がにこやかに答える
そちらは…開国派は開国した後のこの国のことはどう考えておられるのか?
どう優しく考えても列強の食い物にされる未来しか見えてこぬのだが
廉の口調は厳しい
ええ。諸外国がこの国を食い物にしようとするのならば全力で抵抗します。この国の誇り高い民はそんな「無理やり」な外国の力を受け入れはしない。ですが、ずっと殻に閉じこもり続けることは世界の情勢を見てももう不可能です。それこそ「燦の国」自体が跡形もなく滅びてしまう
司も一歩も引かない
しかし、「今まで」この国は美しい姿を保ち続けられていた。そんな外界の力、文化を入れずとも、ずっと続いていく。続いていける力がこの国にはある
燿の瞳には確かな希望があった
…燿様…。それは「あり得ない」と断言させていただきます
樹の声はいつもからは想像できないほど冷たかった
あり得ない…だと?
燿は少し不快感を出す
ええ。「ありえません」
なぜだ…?
「昔」と「今」では何もかもが違うからです。
違うなど…
燿は悔しそうに顔を少し歪める
違います。我々、燦の国ではなく「外界」が昔とは何もかも違うのです。
樹は声は冷たいが顔はにこやかであり、それが非常に恐ろしい
「外界」が…違う…?
燿は受け入れたくないのか本当にわからないのか…驚いた顔をする
ええ。外界の国々は積極的に交流し、時には戦って文化を…特に「軍事」を発達させてきました。世界中を船で航海もしているようですね。「世界の国々」から得られる力、技術。どれもこの国にはない強大な力です。その力の前に「ずっと閉じこもり続けていたこの国」はどんな抵抗ができますか?瞬く間に滅ぼされるのがおちでしょう。抵抗すらままならない。そうなってからではもう指を咥えて見ているしかない。…そんなこの国の姿…燿様は耐えられますでしょうか?
樹はこれでもかと叩きつける
…
燿は黙ってしまった
自分の視野の狭さを痛感してしまったようだ
そんな彼の姿を見て廉が口を開く
我々が一丸となって外界を追い払えば良いのでは?そちらもそれを望んでいるはずだ
…その後は?
司も負けない
その後…だと?
ええ。「その後」です。先ほど廉殿もおっしゃっていましたね。『開国した後どうするつもりか』と。ではこちらからも。鎖国派の皆様は仮に外界を追い払うことができたとしてその後はどうするおつもりですか?…外界と戦ったこの国はかなりの痛手を負うでしょう。再起には長い時間がかかる。その間にまた外界が攻めてきたら?閉じこもっているこの国では二度目の進行など絶対に耐えられない。断言できます。そしてその二度目の進行で確実に全てを奪われる。
長い目で見ればどちらが「この国の未来」を守れる道なのか、お分かりになるはずでは?
司は止まらない
…一度目に徹底的に叩き潰せばよいのだ。
二度と逆らおうなどと思えぬほどに徹底的に。そうすれば少なくともこの国が再起するまで手は出すまい。
廉は探るように言う
いえ。そんなことはないかと思いますよ?
司はしれっと言う
なんだと⁉︎
廉殿、外界が「一つの国」だとでもお思いですか?
っっ⁉︎
廉とて気づいていなかった訳ではかなったが、あまりに目の前の「今の状況をどうするのか」に囚われすぎていて失念していた
漁夫の利を狙う国があって当然です。
司は止めを刺すように言う
それでも、このまま「こもり続け」ますか?
司のとどめの一言が燿と廉を貫いた
(これで決まったと思いたいが…素直に引き下がってくれるだろうか…?いや、それほど甘くは無さそうですね…)
司は瞳の鋭さを解かない
それでも…
と今まで俯いていた燿が言葉を発する
やはり、この国が「列強の食い物にされて美しさを失っていく様」など受け入れることはできない‼︎
燿様…
廉が少しだけ困ったように呼びかける
外界が少しでもこの国を脅かす…壊していくことは耐えられない‼︎私は断固として開国など認められない‼︎其方たちが折れぬのならば戦いも辞さない‼︎
燿は言ってしまった…
今、その言葉を言うことがどのような未来を引き寄せてしまうのか。
彼自身が言った『「戦う」ことに肯定的であるわけではない』という言葉を反故にしてしまうことがどういうことなのかということを今の彼は見ることができなくなっている
…燿様、それは…交渉決裂と受け取らせていただいてよろしいのでしょうか?
樹が冷たい目で聞く
…構わない。私の思いは変わらない‼︎少しも…ほんの指先も‼︎この国に外界の力が入ることなど認めない‼︎
決まってしまった…。
もう、話し合う余地は燿が叩き切ってしまったのだ
…わかりました
樹の目は氷のようだ
この国の「義」に則り、お二人が子の州から出るまでの安全は保障する…
廉は少し暗い顔だが「こうなっては仕方がない」といった雰囲気だ
……お心遣い、感謝いたします
司が頭を下げる
(…避けたい未来でしたが…腹を括るしかありません)
四人が会合の会場であった「子国寺(ねこくじ)」を出た際…事件は起こる
「おのれ‼︎この国を魂を外国へ売り渡そうとする国賊が‼︎」
一人の男が刀を手にして樹と司に斬りかかった‼︎
樹殿‼︎‼︎
司が咄嗟に樹を突き飛ばす
そして…
司は腕を斬られてしまった
司殿‼︎‼︎
いえ…腕を斬られただけです…。幸い、深くはないようですね…。
そうは言うが司の腕からは血が溢れている
この者を捕らえよ‼︎
廉の声が響く
警備に捕えられた男は
私は間違っていない‼︎開国派など全て国賊だ‼︎この国を守れるのは鎖国のみ‼︎
と喚いている
あ……
と燿は固まってしまった
(燿様はまだお若い。こういったことには不慣れであろう。しかし、なんてことだ‼︎)
廉は二人に頭を深く下げた
本当に申し訳ない‼︎先ほど「子の州での安全は保障する」と言ったばかりなのにこの体たらく‼︎
彼の声は後悔に染まっている
顔をお上げください、廉殿。こういったことがあるかもしれないということなど、常に覚悟しております。特に今回のような場面では。
司がしっかりと答える
…
樹は何も言わなかった
すぐに手当を。そしてお二人が州を出るまでは信頼できる護衛を付けさせていただく。
廉の声は嘘偽りのないものだった
そして司は手当を受け、樹と共にそれぞれ酉の州、戌の州へと帰って行った
帰りの別れ際、護衛達には少し離れてもらい樹と司は話し合う
まさか、こんなことになるとは…司殿の怪我のことも含めて私の落ち度です
樹は目を伏せる
樹殿。それは違います。おそらく話し合いをする前から戦いうかどうかは髪の毛一本ほどの細さでしか繋がっていなかった…。簡単な衝撃でぷつりと切れてしまうほど細い希望でした。怪我のことも。廉殿にも言いましたが私は常に覚悟しておりました。樹殿とてそうでしょう?
司は強い光を宿した瞳で樹を見つめる
司殿………はい。ありがとうございます。
樹は顔を上げる
では、州へと帰りすぐさま戦いの準備を。
はい‼︎
そうして二人は別れた
いよいよ始まりますね
樹は何故かにこにこしている
ええ。どうなるか…、これで決まります
(燿様だけなら樹殿が丸めこめるのに…二人で参加とは。やはり廉殿は一筋縄ではいきませんね)
司の目は鋭くなった
そして二人が待つ部屋に「皇家の燿」、「辰吉家の廉」が入ってきた
樹と司は立ち上がり頭を下げる
廉も頭を下げた
では、始めよう
燿が短く宣言する
(これで決まる。手を取り合えるのか、戦うのか)
樹の目が先ほどのにこにこしたものから一変して鋭くなった
まず…我々は決して『「戦う」ことに肯定的であるわけではない』ということだけ頭に置いておいてもらいたい
燿が控えめながら意志のこもった声で伝える
はい。こちらもそうでございます。
樹がにこやかに答える
そちらは…開国派は開国した後のこの国のことはどう考えておられるのか?
どう優しく考えても列強の食い物にされる未来しか見えてこぬのだが
廉の口調は厳しい
ええ。諸外国がこの国を食い物にしようとするのならば全力で抵抗します。この国の誇り高い民はそんな「無理やり」な外国の力を受け入れはしない。ですが、ずっと殻に閉じこもり続けることは世界の情勢を見てももう不可能です。それこそ「燦の国」自体が跡形もなく滅びてしまう
司も一歩も引かない
しかし、「今まで」この国は美しい姿を保ち続けられていた。そんな外界の力、文化を入れずとも、ずっと続いていく。続いていける力がこの国にはある
燿の瞳には確かな希望があった
…燿様…。それは「あり得ない」と断言させていただきます
樹の声はいつもからは想像できないほど冷たかった
あり得ない…だと?
燿は少し不快感を出す
ええ。「ありえません」
なぜだ…?
「昔」と「今」では何もかもが違うからです。
違うなど…
燿は悔しそうに顔を少し歪める
違います。我々、燦の国ではなく「外界」が昔とは何もかも違うのです。
樹は声は冷たいが顔はにこやかであり、それが非常に恐ろしい
「外界」が…違う…?
燿は受け入れたくないのか本当にわからないのか…驚いた顔をする
ええ。外界の国々は積極的に交流し、時には戦って文化を…特に「軍事」を発達させてきました。世界中を船で航海もしているようですね。「世界の国々」から得られる力、技術。どれもこの国にはない強大な力です。その力の前に「ずっと閉じこもり続けていたこの国」はどんな抵抗ができますか?瞬く間に滅ぼされるのがおちでしょう。抵抗すらままならない。そうなってからではもう指を咥えて見ているしかない。…そんなこの国の姿…燿様は耐えられますでしょうか?
樹はこれでもかと叩きつける
…
燿は黙ってしまった
自分の視野の狭さを痛感してしまったようだ
そんな彼の姿を見て廉が口を開く
我々が一丸となって外界を追い払えば良いのでは?そちらもそれを望んでいるはずだ
…その後は?
司も負けない
その後…だと?
ええ。「その後」です。先ほど廉殿もおっしゃっていましたね。『開国した後どうするつもりか』と。ではこちらからも。鎖国派の皆様は仮に外界を追い払うことができたとしてその後はどうするおつもりですか?…外界と戦ったこの国はかなりの痛手を負うでしょう。再起には長い時間がかかる。その間にまた外界が攻めてきたら?閉じこもっているこの国では二度目の進行など絶対に耐えられない。断言できます。そしてその二度目の進行で確実に全てを奪われる。
長い目で見ればどちらが「この国の未来」を守れる道なのか、お分かりになるはずでは?
司は止まらない
…一度目に徹底的に叩き潰せばよいのだ。
二度と逆らおうなどと思えぬほどに徹底的に。そうすれば少なくともこの国が再起するまで手は出すまい。
廉は探るように言う
いえ。そんなことはないかと思いますよ?
司はしれっと言う
なんだと⁉︎
廉殿、外界が「一つの国」だとでもお思いですか?
っっ⁉︎
廉とて気づいていなかった訳ではかなったが、あまりに目の前の「今の状況をどうするのか」に囚われすぎていて失念していた
漁夫の利を狙う国があって当然です。
司は止めを刺すように言う
それでも、このまま「こもり続け」ますか?
司のとどめの一言が燿と廉を貫いた
(これで決まったと思いたいが…素直に引き下がってくれるだろうか…?いや、それほど甘くは無さそうですね…)
司は瞳の鋭さを解かない
それでも…
と今まで俯いていた燿が言葉を発する
やはり、この国が「列強の食い物にされて美しさを失っていく様」など受け入れることはできない‼︎
燿様…
廉が少しだけ困ったように呼びかける
外界が少しでもこの国を脅かす…壊していくことは耐えられない‼︎私は断固として開国など認められない‼︎其方たちが折れぬのならば戦いも辞さない‼︎
燿は言ってしまった…
今、その言葉を言うことがどのような未来を引き寄せてしまうのか。
彼自身が言った『「戦う」ことに肯定的であるわけではない』という言葉を反故にしてしまうことがどういうことなのかということを今の彼は見ることができなくなっている
…燿様、それは…交渉決裂と受け取らせていただいてよろしいのでしょうか?
樹が冷たい目で聞く
…構わない。私の思いは変わらない‼︎少しも…ほんの指先も‼︎この国に外界の力が入ることなど認めない‼︎
決まってしまった…。
もう、話し合う余地は燿が叩き切ってしまったのだ
…わかりました
樹の目は氷のようだ
この国の「義」に則り、お二人が子の州から出るまでの安全は保障する…
廉は少し暗い顔だが「こうなっては仕方がない」といった雰囲気だ
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「おのれ‼︎この国を魂を外国へ売り渡そうとする国賊が‼︎」
一人の男が刀を手にして樹と司に斬りかかった‼︎
樹殿‼︎‼︎
司が咄嗟に樹を突き飛ばす
そして…
司は腕を斬られてしまった
司殿‼︎‼︎
いえ…腕を斬られただけです…。幸い、深くはないようですね…。
そうは言うが司の腕からは血が溢れている
この者を捕らえよ‼︎
廉の声が響く
警備に捕えられた男は
私は間違っていない‼︎開国派など全て国賊だ‼︎この国を守れるのは鎖国のみ‼︎
と喚いている
あ……
と燿は固まってしまった
(燿様はまだお若い。こういったことには不慣れであろう。しかし、なんてことだ‼︎)
廉は二人に頭を深く下げた
本当に申し訳ない‼︎先ほど「子の州での安全は保障する」と言ったばかりなのにこの体たらく‼︎
彼の声は後悔に染まっている
顔をお上げください、廉殿。こういったことがあるかもしれないということなど、常に覚悟しております。特に今回のような場面では。
司がしっかりと答える
…
樹は何も言わなかった
すぐに手当を。そしてお二人が州を出るまでは信頼できる護衛を付けさせていただく。
廉の声は嘘偽りのないものだった
そして司は手当を受け、樹と共にそれぞれ酉の州、戌の州へと帰って行った
帰りの別れ際、護衛達には少し離れてもらい樹と司は話し合う
まさか、こんなことになるとは…司殿の怪我のことも含めて私の落ち度です
樹は目を伏せる
樹殿。それは違います。おそらく話し合いをする前から戦いうかどうかは髪の毛一本ほどの細さでしか繋がっていなかった…。簡単な衝撃でぷつりと切れてしまうほど細い希望でした。怪我のことも。廉殿にも言いましたが私は常に覚悟しておりました。樹殿とてそうでしょう?
司は強い光を宿した瞳で樹を見つめる
司殿………はい。ありがとうございます。
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はい‼︎
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