鈴は割れる

まり

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犠牲を払って

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―五日後―
卯と未の連合軍は卯の州で敵を待ち構えていた

いよいよですね
聖が緊張した声で呟く

ええ‼︎準備は抜かりないです
光は希望に満ちた声で応えた

(山脈は絶対超えてこない。雪がまだ残っているあの山を大群が超えてくることはまず不可能だ。たどすると、ここを通る他に卯の州に入る道はない)
光の瞳が鋭くなる

ここで‼︎

「「必ず狙い撃つ‼︎」」


―――――
(卯の州に入るにはここを通るしか道はない。何か仕掛けてくるのならここだろう。さて、何をしてくる?)
彼は自ら軍を率いて先頭に立っている
それが寅の州の士気をこれでもかと上げていた
そしていつもの雰囲気とは違い、至って冷静に戦況を見ている

その時…

ドーーーーンというけたたましい爆音が響いた

なんだ⁉︎
猛は辺りを見渡した

すると自分から少し離れた後方、自軍の隊列に大きな穴ができていた
それだけで何人も葬られてしまったようだ

な…なんだ…あれは…⁉︎

(爆破物⁉︎しかし、こんな出鱈目な威力のものが⁉︎もともと置いてあったのであれば俺が気がつく‼︎あの威力を出すには相当な大きさなはずだ‼︎横から投げ込まれたとは考えにくい…となれば…)

上からか‼︎
猛は道の脇、崖の上を見る

崖の中腹には下からはよくは見えないが投石器のようなものを確認することができた

この爆発物は未州が外界から取り入れたものの一つであり、一つだけでもかなりの爆発力があるものだ。
それを卯州が繊細な技術でいくつも纏めて「大爆発を起こす一つの爆弾」を作り上げたのだ


(固まっていてはまずい‼︎)

全員‼︎固まるな‼︎バラけて走れ‼︎
猛の声が響く…かと思われたが第二撃が彼の声をかき消してしまう

(クソっ‼︎このままでは全滅してしまう‼︎どうすれば‼︎)
猛の顔が歪む

その時
うおおぉおおぉ‼︎
とその投石器に向かって突っ込んでいく一つの影が見えた

(あれは……鐡⁉︎なぜ一人でそんな所に⁉︎)

寅の州の後に亥の州の軍が追随して進軍していたのでもっと後方にいるはずだった

(あれは気のせいじゃなかった‼︎この道に入ってから俺にかかった影‼︎不自然なところから影が出ていた‼︎何か仕掛けられていると急いで確認してみたらこれだ‼︎だが、もう好きにはさせない‼︎猛殿の邪魔はさせない‼︎)

影の違和感に気がついた鐡は単身で崖の中腹にいる投石器部隊に切り込みに行った

投石器部隊は鐡の登場に驚いたがそれでも彼らも兵士。
例え鐡が強くても多勢に無勢であった

…ぐっ………だが…ただで死ぬほど俺は潔くは、ない‼︎

鐡は最後の力で卯の兵士から火種を奪った

そして自らその「とんでもない威力の爆発物」が積み上げられている所へ突っ込んだ

(俺は…こんな事しかできない…憧れのあなたに届く事はできなかった…猛殿、どうかこの国を…)

その瞬間、崖の中腹は大爆発を起こし崖が無惨に崩れ落ちる

猛様‼︎ここから離れなければ‼︎
部下が猛を無理矢理引っ張った

鐡…………鐡、鐡‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
―――
寅と亥の連合軍は撤退を余儀なくされる
卯州との道は今、完全に閉ざされてしまったために彼らは今後直接卯州、ひいてはその先にある未州、丑州に手を出せなくなってしまった
――――

やりましたね
聖がほっと胸を撫で下ろした

ええ。鐡殿の捨て身の攻撃は想定外でしたが、一時的にでも彼らを退けられたことは大きい。
しかし、鐡殿が戦死されたとはいえ亥の軍はほぼ無傷でしょう。寅の軍も全滅ではない。我々を侮り軍の半分ほどで進軍していたことが彼らにとって逆に「吉」と出ました…
光の言葉は少し焦りにも似たものが滲んでいる

…そうなれば道が閉ざされてしまった以上、子の州と合流すると考えた方が良さそうですね。巳や申もそろそろ動き出すでしょう。ほぼ全ての鎖国派が「子州へと集まる」時が来ます…
聖もその強大になるであろう力を想像して身震いをする
―――――

「卯の州と未の州の連合軍があの寅と亥の連合軍を追い返したってよ‼︎」

酉の州でもそんな話で持ちきりだった

(このまま…勝ち続けられるのだろうか…きっと次は更に大きな戦いとなる…その時…俺は…)
慎は俯いてしまう
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