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第1章:銀河創生編
第23話 巨大資本を飲み込む黄金の新通貨
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耳を劈(つんざ)く、不快な高音。
管理都市ゴールディングの全域が、見たこともないような濃い深紅の光に包まれた。
これまでの、どんな外敵の襲来とも違う。
システムの根幹が、悲鳴を上げているような強制的な割り込み。
俺は椅子から立ち上がり、窓の外を見据えた。
「……ソラ様、緊急事態です」
エリーゼの声が、かつてないほど鋭く響く。
彼女の指先が、空中に浮かぶ無数のホログラムを叩いた。
「銀河市場(マーケット)の基幹網より、我が宙域への全魔力供給が完全遮断されました。発信元は次元投資ファンド、ネブラ・アセット・マネジメント。……『経済封鎖』です」
ホログラムに映し出されたエネルギーラインが、次々と血のような赤色に染まり、消失していく。
夜景の一部だった美しい魔力灯が、断末魔のように一瞬だけ激しく瞬き、そのまま沈黙した。
街が、急速に「暗闇」に飲み込まれていく。
「エネルギーの輸出規制(ブロック)か。……古典的だが、最も有効な兵糧攻めだな」
俺は冷めた瞳で、消えゆく街の灯りを見つめていた。
ネブラの連中は、俺たちが外部からの魔力供給という「外貨」で食い繋いでいると踏んだわけだ。
自分たちのルールに従わない管理者は、資源を奪い尽くした後に捨てる。
彼らにとって、世界は守るべきものではなく、ただの「搾取対象」でしかない。
「ソラ様。市民の不安指数が急上昇しています」
影の中から、ミィナが静かに姿を現した。
彼女の瞳は、揺れていない。
その手元には「アステリアの種」が、彼女の鼓動に応えるように強く脈動していた。
「……あんな略奪者たちに、私たちの居場所を汚させはしません。ソラ様、命じられたことは、すべて果たします。……この種も、私の力も」
かつて復讐だけを糧にしていた少女が、今、自分たちの居場所を守るためにその牙を研いでいる。
その誇らしげな横顔に、俺は一瞬だけ口角を上げた。
「ああ。奴らは俺が依存していると思い込んでいるが、その前提そのものが既に古い」
俺は執務室の中央に立ち、漆黒の帳簿を解き放った。
第2部で大陸を統合した際、俺は既に、来るべき銀河進出を見越した「仕込み」を終えていたんだ。
「ミィナ。その『再生の可能性』を、この世界の根源へと投資しろ。――この世界の脈動、すべてを一つに繋ぐんだ」
「了解、ソラ様。……私たちの『命』は、誰にも渡さない!」
ミィナが黄金の回路を起動させた、その直後。
――世界が、鳴動した。
供給源を断たれ、暗闇に沈みかけていた街が、爆発的な輝きを取り戻した。
いや、それは以前の魔力灯など比較にならない。
遥かに澄んだ、混じり気のない「黄金の光」が、波紋のように都市全域、そして大陸の隅々までを塗り替えていく。
「……っ、なんという因果密度。外部からの魔力なしに、世界が自力で発光している……?」
エリーゼの呟き。
当然だ。これは単なる魔法じゃない。
外部の魔力など、もはや一滴も必要ない。
新通貨【ゴールデン・クレジット】――。
それは、この世界の「存在循環そのもの」を担保とした、完全自給自足の経済圏の誕生だった。
ネブラ・アセットが仕掛けた「エネルギー封鎖」という名の暴力は、その瞬間に、何の意味も持たないゴミへと成り下がった。
『――新通貨の発行を確認』
『供給源の完全自国化により、外部制裁を無効化しました』
『判定:逆制裁(カウンター)の条件が整いました』
「さて。ネブラの担当者に、正式な監査の通告(ごあいさつ)をしてやるとするか」
俺は虚空に向けて、強制的な次元通信を叩きつけた。
スクリーンに現れたのは、無数の触手を持つ多眼の生命体。
ネブラ・アセットの執行官。
彼は、利回りを数えるような耳障りな計算音を撒き散らしながら、動揺を隠せない様子で叫んだ。
『……愚かな地上の王よ。なぜ、エネルギーが枯渇していない!? 我がファンドの制裁は、物理法則に基づいた完璧な処置だったはずだ!』
「あんたたちの汚れた金など、もう必要ないんだよ。俺の世界は、今この瞬間から、あんたたちの市場から完全に独立した」
俺は冷徹に、帳簿に記された「買収プラン」を突きつけた。
「制裁への返礼だ。あんたたちが不当に買い叩いてきた周辺世界のデフォルト債権、俺が今、すべて時価で買い取らせてもらった。……これより、ネブラ・アセットに対する『敵対的買収(TOB)』の開始を宣言する」
『な、何……!? 周辺債権をすべてだと? 馬鹿な、そんな短期間で株主たちを掌握できるはずが――』
執行官の声が、初めて恐怖に震えた。
彼は即座に通信を切断しようとしたが、その指先は既に止まらない資産暴落のログに釘付けにされていた。
完全に敗北したわけではないだろう。
だが、彼は悟ったはずだ。 自分たちが相手にしているのは、一介の管理者ではない。
市場のルールそのものを、力尽くで書き換えに来た「怪物」であるということを。
「エリーゼ、ミィナ。……これより、ネブラ・アセットの本社を直接監査しに行くぞ」
俺の声が、次元の壁を越えて宇宙の深淵へと響き渡った。
略奪者の時代は終わったのではない。
略奪という概念そのものが、俺の手によって「新たな理」へと作り替えられようとしていた。
俺はペンを回し、次なる契約のページをめくった。
管理都市ゴールディングの全域が、見たこともないような濃い深紅の光に包まれた。
これまでの、どんな外敵の襲来とも違う。
システムの根幹が、悲鳴を上げているような強制的な割り込み。
俺は椅子から立ち上がり、窓の外を見据えた。
「……ソラ様、緊急事態です」
エリーゼの声が、かつてないほど鋭く響く。
彼女の指先が、空中に浮かぶ無数のホログラムを叩いた。
「銀河市場(マーケット)の基幹網より、我が宙域への全魔力供給が完全遮断されました。発信元は次元投資ファンド、ネブラ・アセット・マネジメント。……『経済封鎖』です」
ホログラムに映し出されたエネルギーラインが、次々と血のような赤色に染まり、消失していく。
夜景の一部だった美しい魔力灯が、断末魔のように一瞬だけ激しく瞬き、そのまま沈黙した。
街が、急速に「暗闇」に飲み込まれていく。
「エネルギーの輸出規制(ブロック)か。……古典的だが、最も有効な兵糧攻めだな」
俺は冷めた瞳で、消えゆく街の灯りを見つめていた。
ネブラの連中は、俺たちが外部からの魔力供給という「外貨」で食い繋いでいると踏んだわけだ。
自分たちのルールに従わない管理者は、資源を奪い尽くした後に捨てる。
彼らにとって、世界は守るべきものではなく、ただの「搾取対象」でしかない。
「ソラ様。市民の不安指数が急上昇しています」
影の中から、ミィナが静かに姿を現した。
彼女の瞳は、揺れていない。
その手元には「アステリアの種」が、彼女の鼓動に応えるように強く脈動していた。
「……あんな略奪者たちに、私たちの居場所を汚させはしません。ソラ様、命じられたことは、すべて果たします。……この種も、私の力も」
かつて復讐だけを糧にしていた少女が、今、自分たちの居場所を守るためにその牙を研いでいる。
その誇らしげな横顔に、俺は一瞬だけ口角を上げた。
「ああ。奴らは俺が依存していると思い込んでいるが、その前提そのものが既に古い」
俺は執務室の中央に立ち、漆黒の帳簿を解き放った。
第2部で大陸を統合した際、俺は既に、来るべき銀河進出を見越した「仕込み」を終えていたんだ。
「ミィナ。その『再生の可能性』を、この世界の根源へと投資しろ。――この世界の脈動、すべてを一つに繋ぐんだ」
「了解、ソラ様。……私たちの『命』は、誰にも渡さない!」
ミィナが黄金の回路を起動させた、その直後。
――世界が、鳴動した。
供給源を断たれ、暗闇に沈みかけていた街が、爆発的な輝きを取り戻した。
いや、それは以前の魔力灯など比較にならない。
遥かに澄んだ、混じり気のない「黄金の光」が、波紋のように都市全域、そして大陸の隅々までを塗り替えていく。
「……っ、なんという因果密度。外部からの魔力なしに、世界が自力で発光している……?」
エリーゼの呟き。
当然だ。これは単なる魔法じゃない。
外部の魔力など、もはや一滴も必要ない。
新通貨【ゴールデン・クレジット】――。
それは、この世界の「存在循環そのもの」を担保とした、完全自給自足の経済圏の誕生だった。
ネブラ・アセットが仕掛けた「エネルギー封鎖」という名の暴力は、その瞬間に、何の意味も持たないゴミへと成り下がった。
『――新通貨の発行を確認』
『供給源の完全自国化により、外部制裁を無効化しました』
『判定:逆制裁(カウンター)の条件が整いました』
「さて。ネブラの担当者に、正式な監査の通告(ごあいさつ)をしてやるとするか」
俺は虚空に向けて、強制的な次元通信を叩きつけた。
スクリーンに現れたのは、無数の触手を持つ多眼の生命体。
ネブラ・アセットの執行官。
彼は、利回りを数えるような耳障りな計算音を撒き散らしながら、動揺を隠せない様子で叫んだ。
『……愚かな地上の王よ。なぜ、エネルギーが枯渇していない!? 我がファンドの制裁は、物理法則に基づいた完璧な処置だったはずだ!』
「あんたたちの汚れた金など、もう必要ないんだよ。俺の世界は、今この瞬間から、あんたたちの市場から完全に独立した」
俺は冷徹に、帳簿に記された「買収プラン」を突きつけた。
「制裁への返礼だ。あんたたちが不当に買い叩いてきた周辺世界のデフォルト債権、俺が今、すべて時価で買い取らせてもらった。……これより、ネブラ・アセットに対する『敵対的買収(TOB)』の開始を宣言する」
『な、何……!? 周辺債権をすべてだと? 馬鹿な、そんな短期間で株主たちを掌握できるはずが――』
執行官の声が、初めて恐怖に震えた。
彼は即座に通信を切断しようとしたが、その指先は既に止まらない資産暴落のログに釘付けにされていた。
完全に敗北したわけではないだろう。
だが、彼は悟ったはずだ。 自分たちが相手にしているのは、一介の管理者ではない。
市場のルールそのものを、力尽くで書き換えに来た「怪物」であるということを。
「エリーゼ、ミィナ。……これより、ネブラ・アセットの本社を直接監査しに行くぞ」
俺の声が、次元の壁を越えて宇宙の深淵へと響き渡った。
略奪者の時代は終わったのではない。
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