異世界ダンジョンさん ~ダンジョンに転生したぼくは、世界の終わりに抗う者となった~

曇天

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第四十二話「鍛冶の民と魔力の鎧、メテラ山への挑戦」

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「ダンジョン!? どういうことだ」 

 混乱するグルコフに説明をする。

「転生...... そんなことがあるのか...... ふむ、ならばモンスターでつくられたというその体も納得がいくな」

「まあ、そういうわけでぼくの中ならば安全です。 最悪、ぼくの魔核石をとられても他の場所に避難所をつくっているので」 

「なるほど、しかし確認をさせていただけるか......」

(まあ、すぐには信じられないだろうな。 見てもらうのが早い)

 グルコフたちが調べにくることになった。


「ここが本当にダンジョン内なのか......」

「ほとんど我々の町と変わらん......」

「外みたいに光があるわ」

 そうドワーフたちは驚いている。

「確かに、にわかには信じられんが、魔法ではない。 みなどうする?」

「我らにはいくべき場所もない。 もしあっても、他の場所では過酷な労働を課されるかもしれぬ」」 

「亜人種族もすんでいます。 子供たちのためにも安全な場所にすむべきでは、ここはそれが可能です」

 ドワーフたちは納得したようだった。

「カイさま、なれば我らにドワーフたちここにご厄介になりとうございます」

「ええ、どうぞ」

 こうしてドワーフたち500人程ぼくのダンジョンに、移り住むことになった。

 ダンジョン内にドワーフたちの居住階層をおいた。

「ありがとうございます。 まさか鉱石なども融通していただくなんて......」

「ああ、気にしないで。ここは君たちの魔力で生成してるんだし」

「いえ、そんな、この程度の魔力消費など、大したことはございません。 それでカイさま、その鎧なんですが......」

 そうグルコフはぼくの赤い鎧をみて首をかしげる。

「ん? デスシュリンプの甲殻からつくった鎧だよ。 これしかぼくのイビルエンシェントオクトパスの伸縮性に耐えられるものがないんだ」

「デスシュリンプか。 確かに強度と伸縮性はあります。  しかし、それではあなた方のいっていた七賢者には通用しないのでは」

「うん、トロールと同化した体にはぶつかってもへこんだだけだった」

「でしょうな。 確かにデスシュリンプは鉄剣でも切ることは難しいが、所詮生物の甲殻、強度はその程度。 どうですかな? 私に新しい鎧を打たせてもらいたいが......」

「それはぜひお願いしたいけど、強度と伸縮性のある鉱物なんてあるの?」

「ええ、リマディ法王国の【メテラ山】に【グレミンス鉱】という魔力を含む鉱石があります。 それならば鎧をうてましょう」

「それなら、とってくるか」

「......しかし、その山には【グレミンスシザーズ】というグレミンス鉱石で体を守っているモンスターがおります。 その体は伸縮性と強度が高くて、とても打撃が通りません。 これを」

 そういうと一振のハンマーを持ってきた。 それは青白く仄かに輝き熱を持っているように感じる。

「これは拾ってきたグレミンス鉱石から打ち出したハンマーです。 これならばグレミンスシザーズの甲殻を砕くことができましょう」 

 そういってハンマーをくれた。

(確かに本にあったな。 それを持ち帰ればここで複製できる。 装備を量産できる)

「ありがとう。 すぐにいってみるよ!」

 ぼくはメテラ山へと向かうことにした。


 険しい山をぼくたちはのぼっていた。

「カイさまが通路をつくっているので検問を抜けるのが容易いになりましたね」

 ディガルが苦笑する。

「かなり厳しいの」

「ええ、すべてのものをチェックされます。 身分証やある程度の資金もなければはいることすらできません」

「それでよく国がもちますね」

 ジェスカがきくとディガルはうなずく。

「各国の信者からのお布施が主な収入ですね。 あとは信者による収穫物、生産物の取引ですかね。 むかしはもっと開かれていたそうです。 ここ最近、変わったそうです」

「なぜ急に?」

「それが信者たちもいぶかしんでいますね。 ただこの国は魔王のダンジョンが存在しないので、入国するものがあとをたちません」

「つまりモンスターがいないわけではないんだよね」

「ええ、いるにはいますが。 特定の場所にいるだけで、この国の騎士団、【神官騎士団】が防衛していて安全なのだと......」

「世界に魔王のダンジョンが増えていたのに、この国も増えていない...... ラクアークのように法王が洗脳で捕らえられているとかないのかな?」

「いえ、法王の市民への説教が行われていました。 私も確認しています」

 ディガルがいう。

「......それなら、その線はありませんね」

 ジェスカはいった。


(ただ、この国にも何か手を出しているはず......)

「あそこですね」

 ジェスカが指差す方に山の岩肌に洞窟があった。

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