オルタナティブバース

曇天

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第四話

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「困ったな...... 帰れない...... それに死ぬかもか」

「......そうだね」

 町を歩きながら話すが、その場を陰鬱な空気が漂う。

(ま、まずい! この空気はなにかいわないと!)

「まあ、それはそれ、暗くなっても仕方ない!」

 その時、アイは努めて明るく振る舞ったように見えた。

「そうだね! まあ死んだわけじゃない! すぐ気づいてくれるかもしれないしね!」

「そうそう!」

 おれたちは励まし合うようにそういいあう。 すこし気がまぎれた。

「でもすぐにシナリオを進めるより、少し強くなった方がいいな。 このままだと危険すぎる。 魔法も覚えたい」

 アイに聞いてみた。

「ええ。 ただ覚えない人はおぼえないみたいね。 ただステータスは公平にはなってるはずだよ」 

「そうなのか...... おれはあんまり実感がないな。 ならクリアが強いのかも...... とりあえず依頼をうけながら、レベルアップしよう」

「そうしようか、コツコツするのは嫌いじゃないし」

「ロープレはその町の武具を買い揃えてから進むタイプだね」

「うん! 早速依頼を受けよう!」

 そうアイは笑っていう。

(この明るさは助かるな)

「依頼、確かNPC《ノンプレイヤーキャラクター》が依頼をだしてるんだっけ?」

「そう。 それをこなしていくと【名声】の値があがって、いままで聞けない話しなんか聞けたりするらしいよ」

 メニューをみて依頼を調べる。 さまざまな依頼があり、難易度レベルもある。

「まあ、アイテム入手、モンスター討伐、護衛、配達、普通の依頼だ」

「そうだね。 さて、なんにする?」

「どちらにせよ戦いは発生しそうだけど...... アイテム入手系統は戦闘回避も可能か......」

「最悪逃げることもできる。 期間内に達成しないと名声は下がるけど、命をまもることを考えながらいきましょ」

「なら一番低レベルのこれ、薬草採取だ」

「ベタだけど、安全だね。 それでいいとおもうよ」

 おれたちは道具屋が依頼した薬草をとりに町からでた。

  
 二人で依頼の森にきた。 それほど深い森てはなく、木々の間から明るい日差しが入ってくる。

「ここが、そのルビアの森か。 確か薬草は青く光るはず、あった!」 

「私も見つけた。 町から近いし、当面レベルが上がるのと、武具を揃えるまでここで稼ぎましょ」

「だね」

 おれたちはそこに生えている青く光る草を抜いていく。 おれはクリアをだしっぱなしにている。 クリアは気ままに動いていた。

(痛いしつかれるけど、クリアの操作になれないとな)

「まあアイテムは拾うと勝手にインベントリに入るから楽ではあるね」

「だね。【重量制限】《エンカンブランス》もないし、持ち物【重複】《スタック》の制限もないから、いくらでももてるし便利...... なにかくるよ」

 そう緊張ぎみにアイがいう。 

(なにも感じない。 アイの感知で感じているのか......)

 少しして周囲から草むらがガサガサする音がした。

「きてるな...... とりあえず戦ってみて、強そうなら逃げよう」

「そうだね。 私あんまり戦闘したことないから回復を主体に戦うね」

 おれは前にでてナイフをかまえる。

 草むらから、おれの半分ほどの大きさのカマキリがあらわれる。

「サナ。 キラーマンティスだよ。 魔法や特殊な攻撃はしないよ。 二人で戦おう」

「いや、クリアを試しながら、おれがやってみる!」

「それなら首を狙って!」

 うなづくと、クリアと左右に分かれて距離をつめる。

 カマキリがバタバタ羽をならして、こちらに向かってくると刃物のような足をふる。

 ガキィィ!

 ナイフでなんとかうける。 

「クリア! 今のうちに攻撃!」

 後ろからクリアがキラーマンティスに頭突きを行う。

「ギィイ!」

 キラーマンティスは振り向き、クリアに攻撃しようとした。

「させるか!」

 キラーマンティスの首を狙う。 うまく当たった瞬間、光るエフェクトがおこりキラーマンティスは消えていった。

「多分クリティカルだね! 倒した!」

 アイは喜んでいる。

「それで光ったのか」

「モンスターには弱点があるから、そこに攻撃があたるとクリティカルになるよ」

「詳しいな。 それで首か...... やっぱりアイとくんでよかったよ。 この状況、一人だと心が折れてたかもしれない)

「それは私もだよ」

 そう照れたようにアイはいった。

 それからも回復しながら何匹かの弱いモンスターと戦い、おれたちは薬草をもって町へと戻った。 名声は5、お金は100ゴールド手に入る。

「依頼はこなした。 でもやっぱり名声もお金は少ない」

「一番簡単な依頼と弱いモンスターだからね」 

「それと......」

「痛みね......」

 おれたちは気づいていた。

「ああ、最初に受けた痛みとちがう......」

「ええ、明らかに、痛みが増している。 やっぱり【MT】《マインドトランスファー》に不具合が出たのかしら...... 威力によって痛みが増してる」  

「クリティカルをくらったり、死ぬぐらいのダメージをうけたら怖いから、積極的にパリィも回避も狙えないな」

「そうだね......」

 二人の間に少し沈黙があった。 

「......お金は入ったから、宿代とアイテム代差し引いて、武具を買わない?」

 そう提案してみると、アイはうなづいた。

「確かにこの装備だと心もとないね。 じゃあ明日、武器と防具の店に向かおうよ」

 それから町に戻り宿に泊まった。
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