オルタナティブバース

曇天

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第十五話

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「おい!! やめろコージ!」

 コージは矢を次々放ってくる。 なんとかそれを剣で払う。

「サナ! コージは混乱してるよ!」

 コージは焦点の合わない顔で矢を放ってくる。

(まずい! 矢が頭や心臓に当たったら、しぬかもしれない! どうする? 切るわけにはいかないし!)

「マナ! 解除はできないか!」

「すみません! 私はバフ、デバフとHP回復しかできないんです! うっ!」

 マナの腕に矢があたった。 苦痛に顔を歪めた。

「やめろ!」

 おれは走ってコージの両腕を押さえた。 

「クリア! 頭を揺さぶれ!」

 うしろからクリアにぶつかってもらい、コージ気絶させた。

「ふぅ...... なんとかなった」

「まさか、ここに混乱のスキルを持つものがいるなんて」

「その情報はしらなかったです......」

 マナは、そういってコージを回復させている。

「うっ...... 俺は」

 おれたちは少し休憩した。

「まずい。 まさか混乱がここまで危険だとは......」

「......すまない」

 コージは肩をおとしている。

「まあ、助かったからね」

「ええ」

「しかし混乱は危険だ。 普通ならたいしたことのない状態異常だけど、いまの状況だと死ぬことすらあり得る」

 おれが提案すると、アイとコージはうなづいた。

「そうだね。 痛みがある状態だから、止めようにも当たりどころが悪ければ気絶や、ショック死もあるかもしれない」

「そうだな。 報酬に変な笛しかないんじゃ...... 帰るか」

「......そうですね。 噂だとそれほど遠くない場所に10万ゴールドの宝箱があるってきいてきたんですけど...... 危険ですしね」

 マナがそういった。

「10万!?」

 コージが声をあげた。

「かなり高額だね」

「10万か...... それ本当かマナ」

「ええ、噂でも複数のチャットでもきいた話です」

「宝箱はリスポーンするからな。 もう一度とれるし、10万は大きいな」

「正直...... ほしいけど」

「四人で分けても2万5000......」

「私は当分金策がいらなくなると思って。 町でこの状況が改善するまでにげきれるなら...... このシナリオをやりたかったんですが、混乱があるならやめた方が......」

 マナは言葉を止めた。 やはりおしいようだ。

(確かにそれほどゴールドが手に入ると、任務もモンスター討伐も、町でPKも避けられる。 危険を避けるには絶好のチャンスだもんな)

「どうする?」

 アイも迷ってるようだ。

「ああ...... どうしようか」

「うけようぜ! 金が入るなら話は別だ! やろうぜ!」

 コージがそう興奮気味にいった。

「だけど、混乱を使ってくるということは眠りや、毒、恐怖、石化なんかのバッドステータスを与えてくるかもしれないよ。 いまの私たちなら下手したら全滅もある」

「そうですね......」

 アイにマナも同調する。

「いや、そうだけどさ! みんな全員が同時にかかる訳じゃないし! 敵レベルも低い、さっさと倒せば大丈夫だろ! なっ! なっ!」

 コージはお金があきらめられないようだった。 必死にそういう。

「じゃあマナ全員にバフを切らさないでくれ、それで生存率があがる」

「わかりました。 任せてください」

 おれたちは先へとすすむことにした。

 
「マナまだか...... かなり先に進んだぞ」

 コージは焦るようにいった。

「ここら辺のはずです...... ほらあそこ」

 そういってマナははしり、奥の壁に手をついた。

「壁?」

「ええ、ここに隠し部屋が......」

 ゴゴゴゴ...... 

 壁が横にスライドし、通路を抜け大きな部屋につくと中央に大きな宝箱があった。 マナはそれを開けると黄金が光った。

「おお! すげえ! 早く帰って分けようぜ!」

「............」

 マナは背をむけたまま無言だった。

「どうした? マナ! まさか罠か!」

「マジックシール! アイテムシール!!」

 マナが鞄から玉のようなものを投げた。

「魔法が封じられた!」

 アイがさけんだ。

「なんのつもりだ!」

 マナはこちらに振り返る。

「まだわかんないの。 簡単なことでしょ」

 そういってニヤリと笑う。

「まさか裏切ったのか!」

「はははっ、裏切るもなにも元々そのつもりでここにつれてきたのよ」

「最初からか! くっ、転送石も使えない!」

「逃がさないよ。 あんたたちが町で話せば、二度とできなくなるからね」

「まさか前に......」

「......そういうこと」

 マナは広角をあげた。

「だけどPKしたのなら、ネームは赤のはず」

「ええ、PKはしてないわ。 反撃で殺したならネームは赤にならないのよ」

 そういうと禍々しい笛をだしてふいた。 笛は不快な旋律を奏でた。

「なんだこの音色......」

「危ない!」

 アイの声に反応して横に動くとそばを矢が通過した。

「............」

 コージはまた焦点の合わない目をしている。

「混乱させられたのか!」

「ええ、この疑心の笛は混乱を引き起こす。 コージにはあんたたちが敵にみえてるわ」

 コージはつぎつぎ矢をはなってくる。

「くっ! 目を覚まさせないと! クリア!」

「させないよ! スローアンカー!!」

 マナの魔法でクリアの動きが遅い。

「くそっ、遅延か」

「そうあなたたちはコージに殺されて、そしてコージを私が倒せば、PKにはならない」

 そう口で笑いながら、マナは蔑むようにこちらをみている。
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