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第二章
11.盗賊退治……?
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魔法で雨から身を守りながら、メイベルは盗賊の根城になっている見張り塔を見た。
塔の中からは明かりがいっぱいに広がっていて、見張り塔だというのに無防備もいいところである。
ギルドに出向いていた頃に噂で聞いていたのが、本当だったらしい。
しかも、メイベルには、あの見張り塔に覚えがあったので、管轄の騎士団はなにをしているのかと眉をひそめる。
オズワルドに伝えておけば良かったが、メイベルは現状に自分が思うより堪えていたようで、申し渡し忘れていた。
(せめて、遺跡へ向かう前に。ここを片付けよう)
屋敷を出た後、メイベルは地図を思い浮かべたところで見張り塔の噂を思い出すと、そう思って嵐の中ここまで来たのである。
見張り塔の内部は人影が踊っていた。
楽しんでいるようで、ゆったりと賑やかに忙しない。それらの動きは襲撃前のそれには見えず、酒宴でもしているのだろうと当たりをつける。
メイベルは、身の丈以上の杖をアイテムボックスから引き出した。屋敷から着の身着のまま脱出しているのでドレスの裾が邪魔でしかたがない。
盗賊を倒して、それを報告する気はなかった。
今のメイベルに、また嘘だと言われてまで報告する義務を感じない。
パーティーから追放される前、パーティーメンバーの功績を奪っているとまで言われるようになったのを思い出し、メイベルは遠い目をしかけた。
ここが盗賊の根城でなかったら、深いため息を吐いていたに違いない。
(……よし)
メイベルは戦闘準備を整え最後に、自分の顔がバレないよう魔法をかけると、正面から扉を開け放ち塔の中へ転がり込んだ。
「なんだ!?」
完全に出来上がっていた盗賊たちは、侵入者に驚いて腰を浮かしたが、手足に力が入っていなかった。
「——ふっ」
その隙を逃さず、メイベルは近くの盗賊から、体当たりするように杖を振りかぶる。
「襲撃だ!」
盗賊の誰かが声を上げる。
メイベルは盗賊の男たちを相手に軽やかに立ち回った。
後方で魔法を唱える者が居れば同じく魔法で締め上げ、接近戦となればこれもまた魔法で動きを鈍らせ杖で仕留める。
酒の入った彼らは、毒煙を浴びた獲物のように狩りやすかった。
そのため根城の制圧に時間はかからなかったが、メイベルは彼らの酒精を帯びながらも統率の取れた動きに嫌な予感がした。
(彼ら、まさか……!)
床に転がる剣を、とっさに足で拾い上げ、見覚えのあるそれを見れば、メイベルの懸念は当たっていた。
「お前たち! 騎士団が何をやっている!?」
「コイツ……! 絶対逃がすな!」
正体がバレて、盗賊あるいは騎士が唾を吐き散らす。その後ろで。
「逃がすなもなにも、お前らは終わりだ」
奥まった影から、相手を見下すような声音が聞こえた。
かと思うと、まだ残っていた盗賊たちがバッタバッタと泡を吹いて倒れる。
「だれ……!」
メイベルはいつでも外へ逃げ出せるように、開け放ったままの扉を背にし、声のした方へ杖を向けた。
「よう。待ってたぜ、アンタをな」
塔の中からは明かりがいっぱいに広がっていて、見張り塔だというのに無防備もいいところである。
ギルドに出向いていた頃に噂で聞いていたのが、本当だったらしい。
しかも、メイベルには、あの見張り塔に覚えがあったので、管轄の騎士団はなにをしているのかと眉をひそめる。
オズワルドに伝えておけば良かったが、メイベルは現状に自分が思うより堪えていたようで、申し渡し忘れていた。
(せめて、遺跡へ向かう前に。ここを片付けよう)
屋敷を出た後、メイベルは地図を思い浮かべたところで見張り塔の噂を思い出すと、そう思って嵐の中ここまで来たのである。
見張り塔の内部は人影が踊っていた。
楽しんでいるようで、ゆったりと賑やかに忙しない。それらの動きは襲撃前のそれには見えず、酒宴でもしているのだろうと当たりをつける。
メイベルは、身の丈以上の杖をアイテムボックスから引き出した。屋敷から着の身着のまま脱出しているのでドレスの裾が邪魔でしかたがない。
盗賊を倒して、それを報告する気はなかった。
今のメイベルに、また嘘だと言われてまで報告する義務を感じない。
パーティーから追放される前、パーティーメンバーの功績を奪っているとまで言われるようになったのを思い出し、メイベルは遠い目をしかけた。
ここが盗賊の根城でなかったら、深いため息を吐いていたに違いない。
(……よし)
メイベルは戦闘準備を整え最後に、自分の顔がバレないよう魔法をかけると、正面から扉を開け放ち塔の中へ転がり込んだ。
「なんだ!?」
完全に出来上がっていた盗賊たちは、侵入者に驚いて腰を浮かしたが、手足に力が入っていなかった。
「——ふっ」
その隙を逃さず、メイベルは近くの盗賊から、体当たりするように杖を振りかぶる。
「襲撃だ!」
盗賊の誰かが声を上げる。
メイベルは盗賊の男たちを相手に軽やかに立ち回った。
後方で魔法を唱える者が居れば同じく魔法で締め上げ、接近戦となればこれもまた魔法で動きを鈍らせ杖で仕留める。
酒の入った彼らは、毒煙を浴びた獲物のように狩りやすかった。
そのため根城の制圧に時間はかからなかったが、メイベルは彼らの酒精を帯びながらも統率の取れた動きに嫌な予感がした。
(彼ら、まさか……!)
床に転がる剣を、とっさに足で拾い上げ、見覚えのあるそれを見れば、メイベルの懸念は当たっていた。
「お前たち! 騎士団が何をやっている!?」
「コイツ……! 絶対逃がすな!」
正体がバレて、盗賊あるいは騎士が唾を吐き散らす。その後ろで。
「逃がすなもなにも、お前らは終わりだ」
奥まった影から、相手を見下すような声音が聞こえた。
かと思うと、まだ残っていた盗賊たちがバッタバッタと泡を吹いて倒れる。
「だれ……!」
メイベルはいつでも外へ逃げ出せるように、開け放ったままの扉を背にし、声のした方へ杖を向けた。
「よう。待ってたぜ、アンタをな」
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