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第五章
45.誰がために居る場所④
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しかし、新米従者のリオンは、オズワルドがわざわざ騎士団から引き抜いただけあって、素晴らしい反応でダイヤモンドスターの攻撃をいなしていた。
(二人目のハワードが大神官のコネで選ばれてたから、オズが派閥と関係のない人が欲しかったって言っていただけあって、素直に動いてくれる人でよかった)
オズワルドの従者は全員で三人。
一人目は父方の従弟になるバーナード。二人目は大神官の縁戚であるハワード。三人目は騎士団で従騎士を務めていた庶民出身のリオン。
このうちハワード・フローゼンの出自が、スパイの疑いを持たせていた。
大神官トーマス・ハージーの出身であるハージー男爵家は、フローゼン伯爵家の分家にあたり、王子の従者を宛がうにあたって大神官が持ち出せるカードの中で、年の近い男子で家格がもっとも高かったのが、ハワードだったのである。
リオンは、そんな憂いを減らすために、ようやく見つけた従者だったのだ。
実際、メイベルに大神官を代弁し婚約破棄を告げたのは、ハワードの弟である。
メイベルが取り入ったとされるのも彼だった。
浮気相手が、婚約者の従者の弟。まったくのデタラメでも、ゴシップが大好きな貴族には格好の餌といえよう。
そのせいか、メイベルはここずっと、オズワルドの従者のうちハワードにだけ会えていない。
「浮気を疑って……?」
メイベルは帰ってきていたオズワルドを見た。
二人は婚前であるが、今後のことと安全面を考慮し、同じ部屋をあてがわれていた。
窓から見える外は、すっかり夜である。部屋はまあまあ明るい。明るすぎる部屋を、メイベルが好まないために、他より少し暗めにランプは灯されている。
話を聞いていたオズワルドは、何を言おうか、かるく息を吐いた。右の頬には、竜化の後遺症で、傷跡のような紅い線が縦に入っている。
「ハワードが来ない理由? 浮気以外だよ。あとは君の推測通りだと思う」
「内偵と、不要な嫌疑を生まないため?」
「うん。彼の弟のこともあるし」
「ハワードにしてみたら、踏んだり蹴ったりね」
「お互い、俺の従者になった時から、分かっていたことだ」
オズワルドは、メイベルが座るソファの向かいのソファに腰を下ろした。
「姉上の即位が正式に決まった。近いうちに発表の場が設けられる。城下町の者なら、庶民でも入場を許すとのことだ。手紙はもう?」
「ええ。ユージェニー様にはお礼を申し上げなくては」
「襲われたと聞いたが。義理堅いどころじゃないだろう」
「私がいたことで、不要な混乱を招いたのは確かでしょうから。最低限のことは」
「だとしても、ダンジョンに置き去りなど、死んでいてもおかしくはなかった。君のしたことは、そのような連中を庇っているのと同じだぞ。君の方が、まるで神君竜王のそれだ」
メイベルは、つんと唇を尖らせた。
「実際の生まれ変わりは、オズだというのに」
オズワルドは呆れた口調で答える。
「その俺が言ってるんだから、そうだろ。もう」
メイベルはそっぽを向く。
「いいもの。そういうごちゃごちゃしたものは、今日で全部おしまいなのだから」
それを聞いて、オズワルドは目を細める。そっと視線を窓の外に向けた。
部屋の方が明るいから、カーテンもあって普通の目では外の景色は見えない。
「……そうだな」
新月の夜。
カースド・メラースになりかけた影響で、人外に片足を突っ込んだ異能を発揮すれば、オズワルドの視界は外の景色を楽に捉えた。
(二人目のハワードが大神官のコネで選ばれてたから、オズが派閥と関係のない人が欲しかったって言っていただけあって、素直に動いてくれる人でよかった)
オズワルドの従者は全員で三人。
一人目は父方の従弟になるバーナード。二人目は大神官の縁戚であるハワード。三人目は騎士団で従騎士を務めていた庶民出身のリオン。
このうちハワード・フローゼンの出自が、スパイの疑いを持たせていた。
大神官トーマス・ハージーの出身であるハージー男爵家は、フローゼン伯爵家の分家にあたり、王子の従者を宛がうにあたって大神官が持ち出せるカードの中で、年の近い男子で家格がもっとも高かったのが、ハワードだったのである。
リオンは、そんな憂いを減らすために、ようやく見つけた従者だったのだ。
実際、メイベルに大神官を代弁し婚約破棄を告げたのは、ハワードの弟である。
メイベルが取り入ったとされるのも彼だった。
浮気相手が、婚約者の従者の弟。まったくのデタラメでも、ゴシップが大好きな貴族には格好の餌といえよう。
そのせいか、メイベルはここずっと、オズワルドの従者のうちハワードにだけ会えていない。
「浮気を疑って……?」
メイベルは帰ってきていたオズワルドを見た。
二人は婚前であるが、今後のことと安全面を考慮し、同じ部屋をあてがわれていた。
窓から見える外は、すっかり夜である。部屋はまあまあ明るい。明るすぎる部屋を、メイベルが好まないために、他より少し暗めにランプは灯されている。
話を聞いていたオズワルドは、何を言おうか、かるく息を吐いた。右の頬には、竜化の後遺症で、傷跡のような紅い線が縦に入っている。
「ハワードが来ない理由? 浮気以外だよ。あとは君の推測通りだと思う」
「内偵と、不要な嫌疑を生まないため?」
「うん。彼の弟のこともあるし」
「ハワードにしてみたら、踏んだり蹴ったりね」
「お互い、俺の従者になった時から、分かっていたことだ」
オズワルドは、メイベルが座るソファの向かいのソファに腰を下ろした。
「姉上の即位が正式に決まった。近いうちに発表の場が設けられる。城下町の者なら、庶民でも入場を許すとのことだ。手紙はもう?」
「ええ。ユージェニー様にはお礼を申し上げなくては」
「襲われたと聞いたが。義理堅いどころじゃないだろう」
「私がいたことで、不要な混乱を招いたのは確かでしょうから。最低限のことは」
「だとしても、ダンジョンに置き去りなど、死んでいてもおかしくはなかった。君のしたことは、そのような連中を庇っているのと同じだぞ。君の方が、まるで神君竜王のそれだ」
メイベルは、つんと唇を尖らせた。
「実際の生まれ変わりは、オズだというのに」
オズワルドは呆れた口調で答える。
「その俺が言ってるんだから、そうだろ。もう」
メイベルはそっぽを向く。
「いいもの。そういうごちゃごちゃしたものは、今日で全部おしまいなのだから」
それを聞いて、オズワルドは目を細める。そっと視線を窓の外に向けた。
部屋の方が明るいから、カーテンもあって普通の目では外の景色は見えない。
「……そうだな」
新月の夜。
カースド・メラースになりかけた影響で、人外に片足を突っ込んだ異能を発揮すれば、オズワルドの視界は外の景色を楽に捉えた。
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