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最終章 慟哭の雨
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それから数日程時が過ぎ、ある日の放課後――。
「なぁ、聖耶」
海斗のこの一言から止まっていた運命の歯車がぎこちなくゆっくりと動き始めた。
「ん、何だ?」
「明日、何か予定あるか?」
「いや、別に……何も無いけど……」
「ならちょっと明日の放課後、俺達に付き合ってくれないか?」
「一体、何をすんだよ……」
「まぁ、明日になってのお楽しみだ」
海斗は何かを隠すように、不敵な笑みを浮かべて俺の質問を誤魔化した。
「あ、そう……」
それに対し、素っ気無く返し、鞄を手にする。
「ちょっと待って、これ仕舞ったら――」
「ごめん、今日は一人にさせてくれないか……?」
「聖耶……」
「んじゃ、また明日……」
「う、うん……また明日」
文乃に申し訳ない気持ちで一杯だったけど、それでも今は一人の時間が欲しかった。今後どうやって接したらいいのか考えたい……。
――だから、それまでは……。
校舎を出て、ただただボーッと今後の事で想い耽り、歩み続けていると……。
何故か紅葉ヶ丘公園に来てしまっていた。
ふと、海斗と文乃に再会した時の事を思い出す。
――全てはここから始まったんだよな……。一体、どこで道を間違えたのだろうか……。
「……って、あれ?」
何となく、ポケットを探った。しかし、中には何もなかった。
「おかしいな、確かにここに仕舞ったはずなんだけどな、携帯……、――あっ」
何故だかは覚えてないけど、自分の机に入れっぱなしだったのを思い出した。
「……ちょっと天気怪しいけど、携帯無いのはかなりキツいからな……」
少々面倒臭いながらも、俺は来た道を戻り、早々に学校に向かった。
その時、さっきまで綺麗な夕焼け空だったはずの空に、段々と暗雲が覆いかぶさっていた――。
雨が降る前にさっさと帰ろう……。
そう思った矢先のこと、俺が校門を通ったその時、地面に思いっきり叩きつけるかのような雨が突然激しく降り注いだ。
慌てて校舎に向かって駆け込み空を見上げる。
「……こんなに早く降るとは思ってなかったぞ、全く……」
嘆く俺を尻目に雨は容赦なく降り続けている。
だけど、ここで様子を伺っているわけにもいかないからとりあえず髪やら制服に付いている水滴を軽く払い落として教室へ向かった。
雨止むかな……。こんな事なら黙って家に帰った方が良かったな……。
などと後悔をしたものの、今更言っても遅いことだし、取る物は取って後は外の様子を見てさっさと帰ろう……。
そんなことを思いながら、教室の扉を開けた。
「――お前ら、何、やってんだよ……」
俺の目の前で起きている事をどう言葉で表したらいいかわからない……。
ただ、強いて言うなら……海斗と文乃がキスをしていた、ということだ。
「せ、聖耶どうした? 忘れ物か?」
少し焦った様子で俺を見る海斗……。
これは何かの間違いだよな――。
そう信じたかった……だけど、さっき起きたことが脳裏に焼き付いて離れない。それ故、これをきっかけに心の奥底に閉じ込めていた俺の溜まりに溜まったストレスが一気に爆発したことで……。
ゆっくり、海斗の前へ立った俺は――。
いつの間にか海斗の顔を殴っていた。
無意識とはいえ、殴ったには変わりないが、なぜか罪悪感など俺の中には存在していなかった――。
いきなりの事に文乃、殴られた海斗は少しどころか、かなり動揺している。
そんな二人を尻目に俺は自分の机の中を覗き、案の定携帯があり、それを取り出して、ポケットに突っ込む。
「聖耶、どうしてこんな事を……?」
「それは――」
「文乃と俺がキスをしてたから、嫉妬して殴ったんだろ? そうだろ、聖耶」
皮肉な感じで、海斗はあっさりと口にする。
もうここまでくると今の感情を抑えきれない、それだからまた海斗に殴りかかった――。
「――聖耶、ダメっ!!」
海斗を庇う感じで文乃が俺の前に立ちはだかった。
「聖耶……」
文乃の真剣な眼差しに気圧され、一旦怒りは収まったが、その代わり別な感情が俺を動かし、海斗を放っておいて、無理やり文乃を連れ出し教室を出た。
そして、未だに酷く降っている雨にお構いなく俺は「放して!」と騒ぎ立てる文乃と共に校舎を出た。
そして、校門をくぐり抜け、校門前にある横断歩道を渡りきったとき、やっとの思いで文乃は何とか俺の手を引き剥がした。
「聖耶は一体何を考えてるの? 昔はこんなんじゃなかったのに、再会してから昔みたいに本気の聖耶の笑顔見たことないよ……。一体何が聖耶を動かしたの……? こうなるんだったら最初から再会しなきゃ良かったんだよ私たち……」
「文乃……」
俺はただ名前を言うしか出来なかった、今の俺に反論する資格なんて一切ないしそれすら思い浮かばない――。
「――ごめん、海斗が心配だから校舎に戻るね……」
そう言って文乃は横断歩道を渡って行く――が、しかし……一台のトラックがもうすぐそこまで来ていることに気がついた。
だが、文乃はそれに気がついていなくてそのままゆっくりと渡っている。
「文乃あぶない!!」
俺は文乃に向かって喉が張り裂けるんじゃないかってくらいに大声をあげ、走って行く。
この状況に俺はデジャビュを感じた。どうしてなのかはすぐに分かった。これは俺が見た夢と全く同じ状況に立たされていること。
それでもなりふり構ってる場合じゃない。
二人の距離が目と鼻の先ぐらいの距離になって初めて文乃は、俺とトラックの存在に気づき、最悪なことに歩み足を止めて固まってしまった。
何とか文乃の元へ辿り着いて俺はすぐに勢いよく歩道に向かって突き飛ばした。
その瞬間、俺の右半身に途轍もない痛みに襲われ、意識が吹っ飛んだ――。
意識が朦朧とする中で嗚咽する文乃の姿が視界に入った。
俺を抱き上げているせいか、至る所に血が付着している。
そして、ぽつぽつと雨じゃない何かが俺の頬を伝う――。
ふと、俺は昔の事を思い出した。
文乃の笑ったときの顔、怒ったときの顔、泣いたときの顔など、いろんな表情が走馬灯のように映った。
――俺、文乃の事、今までずっと友達のように思ってきた……だけど、今この気持ちは友達としてではなく――。
「ふ、……み、の……」
力を振り絞って、文乃を呼ぶ……。
「せい、や……」
俺は何とか痛みを堪えて腕を動かし、泣いている文乃の頬に手を添える。
「ふみ、の……きい、て、くれ」
「無理しないで、死んじゃうよ……」
そんな事を俺は聞かずに、
「お、れ……文乃、のこと……好きだった――――」
もっといい言葉があったと思うが、今の俺にはこれが精一杯の言葉だ……。
その言葉を受けて文乃は、優しく微笑んで、
「私もね……聖耶の事、大好きだったんだよ……。昔から、ずっと――」
涙をこぼし、文乃はすぐに俺の告白の答えをだしてくれた。
「ごめん、な……こ、んな状……態で、告白、なんて……」
正直、こんな状態でなければ、紅葉ヶ丘で告白をしたかった――。でも、それは叶えれなかった……。
そう思った途端、涙がこみ上げてきて視界が霞む。
「ううん、全然、嬉しいよ……聖耶の気持ちが聞けたから……」
「そう、か……うっ、文乃、おれ、もうだめみたいだ――」
本当に意識がなくなってきて、所々力が入らなくなってきた。
「いや、死んじゃやだ! もう少しで救急車来るから頑張ってよ……!」
一生懸命俺にそう伝えるが、もう俺自身本当に時間が無いことを悟っている。だから――。
「文乃……」
俺は最後の力を使って、文乃の顔に自身の顔を近づけて、静かに互いの唇を重ね合わせた。
「……い、まま、で、あり、が、とう――――」
俺の意識は静かになくなり、そして俺の物語はここで幕を閉じた。
「なぁ、聖耶」
海斗のこの一言から止まっていた運命の歯車がぎこちなくゆっくりと動き始めた。
「ん、何だ?」
「明日、何か予定あるか?」
「いや、別に……何も無いけど……」
「ならちょっと明日の放課後、俺達に付き合ってくれないか?」
「一体、何をすんだよ……」
「まぁ、明日になってのお楽しみだ」
海斗は何かを隠すように、不敵な笑みを浮かべて俺の質問を誤魔化した。
「あ、そう……」
それに対し、素っ気無く返し、鞄を手にする。
「ちょっと待って、これ仕舞ったら――」
「ごめん、今日は一人にさせてくれないか……?」
「聖耶……」
「んじゃ、また明日……」
「う、うん……また明日」
文乃に申し訳ない気持ちで一杯だったけど、それでも今は一人の時間が欲しかった。今後どうやって接したらいいのか考えたい……。
――だから、それまでは……。
校舎を出て、ただただボーッと今後の事で想い耽り、歩み続けていると……。
何故か紅葉ヶ丘公園に来てしまっていた。
ふと、海斗と文乃に再会した時の事を思い出す。
――全てはここから始まったんだよな……。一体、どこで道を間違えたのだろうか……。
「……って、あれ?」
何となく、ポケットを探った。しかし、中には何もなかった。
「おかしいな、確かにここに仕舞ったはずなんだけどな、携帯……、――あっ」
何故だかは覚えてないけど、自分の机に入れっぱなしだったのを思い出した。
「……ちょっと天気怪しいけど、携帯無いのはかなりキツいからな……」
少々面倒臭いながらも、俺は来た道を戻り、早々に学校に向かった。
その時、さっきまで綺麗な夕焼け空だったはずの空に、段々と暗雲が覆いかぶさっていた――。
雨が降る前にさっさと帰ろう……。
そう思った矢先のこと、俺が校門を通ったその時、地面に思いっきり叩きつけるかのような雨が突然激しく降り注いだ。
慌てて校舎に向かって駆け込み空を見上げる。
「……こんなに早く降るとは思ってなかったぞ、全く……」
嘆く俺を尻目に雨は容赦なく降り続けている。
だけど、ここで様子を伺っているわけにもいかないからとりあえず髪やら制服に付いている水滴を軽く払い落として教室へ向かった。
雨止むかな……。こんな事なら黙って家に帰った方が良かったな……。
などと後悔をしたものの、今更言っても遅いことだし、取る物は取って後は外の様子を見てさっさと帰ろう……。
そんなことを思いながら、教室の扉を開けた。
「――お前ら、何、やってんだよ……」
俺の目の前で起きている事をどう言葉で表したらいいかわからない……。
ただ、強いて言うなら……海斗と文乃がキスをしていた、ということだ。
「せ、聖耶どうした? 忘れ物か?」
少し焦った様子で俺を見る海斗……。
これは何かの間違いだよな――。
そう信じたかった……だけど、さっき起きたことが脳裏に焼き付いて離れない。それ故、これをきっかけに心の奥底に閉じ込めていた俺の溜まりに溜まったストレスが一気に爆発したことで……。
ゆっくり、海斗の前へ立った俺は――。
いつの間にか海斗の顔を殴っていた。
無意識とはいえ、殴ったには変わりないが、なぜか罪悪感など俺の中には存在していなかった――。
いきなりの事に文乃、殴られた海斗は少しどころか、かなり動揺している。
そんな二人を尻目に俺は自分の机の中を覗き、案の定携帯があり、それを取り出して、ポケットに突っ込む。
「聖耶、どうしてこんな事を……?」
「それは――」
「文乃と俺がキスをしてたから、嫉妬して殴ったんだろ? そうだろ、聖耶」
皮肉な感じで、海斗はあっさりと口にする。
もうここまでくると今の感情を抑えきれない、それだからまた海斗に殴りかかった――。
「――聖耶、ダメっ!!」
海斗を庇う感じで文乃が俺の前に立ちはだかった。
「聖耶……」
文乃の真剣な眼差しに気圧され、一旦怒りは収まったが、その代わり別な感情が俺を動かし、海斗を放っておいて、無理やり文乃を連れ出し教室を出た。
そして、未だに酷く降っている雨にお構いなく俺は「放して!」と騒ぎ立てる文乃と共に校舎を出た。
そして、校門をくぐり抜け、校門前にある横断歩道を渡りきったとき、やっとの思いで文乃は何とか俺の手を引き剥がした。
「聖耶は一体何を考えてるの? 昔はこんなんじゃなかったのに、再会してから昔みたいに本気の聖耶の笑顔見たことないよ……。一体何が聖耶を動かしたの……? こうなるんだったら最初から再会しなきゃ良かったんだよ私たち……」
「文乃……」
俺はただ名前を言うしか出来なかった、今の俺に反論する資格なんて一切ないしそれすら思い浮かばない――。
「――ごめん、海斗が心配だから校舎に戻るね……」
そう言って文乃は横断歩道を渡って行く――が、しかし……一台のトラックがもうすぐそこまで来ていることに気がついた。
だが、文乃はそれに気がついていなくてそのままゆっくりと渡っている。
「文乃あぶない!!」
俺は文乃に向かって喉が張り裂けるんじゃないかってくらいに大声をあげ、走って行く。
この状況に俺はデジャビュを感じた。どうしてなのかはすぐに分かった。これは俺が見た夢と全く同じ状況に立たされていること。
それでもなりふり構ってる場合じゃない。
二人の距離が目と鼻の先ぐらいの距離になって初めて文乃は、俺とトラックの存在に気づき、最悪なことに歩み足を止めて固まってしまった。
何とか文乃の元へ辿り着いて俺はすぐに勢いよく歩道に向かって突き飛ばした。
その瞬間、俺の右半身に途轍もない痛みに襲われ、意識が吹っ飛んだ――。
意識が朦朧とする中で嗚咽する文乃の姿が視界に入った。
俺を抱き上げているせいか、至る所に血が付着している。
そして、ぽつぽつと雨じゃない何かが俺の頬を伝う――。
ふと、俺は昔の事を思い出した。
文乃の笑ったときの顔、怒ったときの顔、泣いたときの顔など、いろんな表情が走馬灯のように映った。
――俺、文乃の事、今までずっと友達のように思ってきた……だけど、今この気持ちは友達としてではなく――。
「ふ、……み、の……」
力を振り絞って、文乃を呼ぶ……。
「せい、や……」
俺は何とか痛みを堪えて腕を動かし、泣いている文乃の頬に手を添える。
「ふみ、の……きい、て、くれ」
「無理しないで、死んじゃうよ……」
そんな事を俺は聞かずに、
「お、れ……文乃、のこと……好きだった――――」
もっといい言葉があったと思うが、今の俺にはこれが精一杯の言葉だ……。
その言葉を受けて文乃は、優しく微笑んで、
「私もね……聖耶の事、大好きだったんだよ……。昔から、ずっと――」
涙をこぼし、文乃はすぐに俺の告白の答えをだしてくれた。
「ごめん、な……こ、んな状……態で、告白、なんて……」
正直、こんな状態でなければ、紅葉ヶ丘で告白をしたかった――。でも、それは叶えれなかった……。
そう思った途端、涙がこみ上げてきて視界が霞む。
「ううん、全然、嬉しいよ……聖耶の気持ちが聞けたから……」
「そう、か……うっ、文乃、おれ、もうだめみたいだ――」
本当に意識がなくなってきて、所々力が入らなくなってきた。
「いや、死んじゃやだ! もう少しで救急車来るから頑張ってよ……!」
一生懸命俺にそう伝えるが、もう俺自身本当に時間が無いことを悟っている。だから――。
「文乃……」
俺は最後の力を使って、文乃の顔に自身の顔を近づけて、静かに互いの唇を重ね合わせた。
「……い、まま、で、あり、が、とう――――」
俺の意識は静かになくなり、そして俺の物語はここで幕を閉じた。
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