永久糖度

すずかけあおい

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永久糖度

永久糖度⑥

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「結局もとどおりかよ」
 ふたりで登校すると、梅田が呆れた顔を見せた。
「もとどおりじゃないよ。なんと」
「なんと?」
「恵吾とつき合いはじめたんだ!」
「おー」
 叶と梅田のやり取りを、今度は恵吾が呆れて眺める。梅田が拍手までするから、叶は笑顔がいつも以上に眩しい。でもそういうところも、しょうがないな、と思える。馬鹿な結論を出されなかったのだから、それ以上にあれこれと求めるのはよくない。
「今日は帰りにデートするんだよ」
「えっ」
 聞いてない。
 驚いた恵吾に、叶のほうが不思議そうだ。
「だってデートしたいもん」
「もんって」
「嫌?」
 首をこてんと傾ける叶に、少し悔しくなる。恵吾が嫌がっていないことをわかっていて、こういう聞き方をしている。
「……嫌じゃないけど」
「じゃあ決まりだね。どこ行こうかな。プランは彼氏の俺に任せてね!」
 彼氏、を強調されて、はたと正気に戻る。いや、ずっと正気だけれど。
「叶が彼氏なのか?」
「あ、そっか。恵吾も俺の彼氏だよね」
 言い方に迷うなあ、なんて呑気な声を出している叶があまりに幸せそうで、細かいことがどうでもよくなってきた。
「なんでもいっか。相手が叶なら」
「恵吾が可愛いこと言ってる」
 頬を撫でられ、くすぐったくて細める。視線をあげると叶も恵吾を見ていて、意図せず見つめ合う恰好となった。
「そーいうのはふたりきりでやれ」
 梅田は「つき合いきれん」と机に伏した。存在を忘れていたことは言わないでおこう。

 叶のイケメン具合は見慣れていると思ったが、そうでもないようだ。眩しすぎて、恵吾でもくらくらする。
「恵吾、一番上のいちご食べて」
「いいの? 叶がいちご食べたかったんだろ?」
「うん。一番上のは恵吾に食べてほしい」
 綺麗にいちごが並んだクレープを差し出され、一番上にある大きないちごを食べる。甘酸っぱくておいしい。生クリームの甘みといちごの酸味がぴったりだ。
「恵吾とクレープ、楽しいな」
「叶も食う?」
 恵吾が買ったバナナチョコクレープを差し出すと、叶は迷った素振りを見せたあと、にこおっと笑った。
「クレープより、クレープ食べた恵吾とちゅってしたい。そしたらバナナチョコ恵吾味」
 クレープを顔面に押しつけそうになった手を押し留める。自分の意思より本能で先に動きそうになった。
「『ちゅっ』じゃない」
「じゃあもっと激しくしちゃう?」
「そういうことじゃないってわかってんだろ」
 振りまわされているのに嫌な気がしない。むしろ楽しい。叶はおかしいと思っていたけれど、恵吾もけっこうおかしいかもしれない。こんな馬鹿な会話が幸せだ。なにより、叶が楽しそうにしているのが嬉しい。
「恵吾とデート」
「さっきからずっと言ってるな。そんなに嬉しいか」
 自分のことは棚にあげて叶の浮かれ具合を笑うと、頭を小突かれた。
「嬉しいに決まってるでしょ。だって俺は恵吾が大好きなんだから」
 叶だなあ、と思う。叶がまっすぐに向けてくれる気持ちを大切にしたい。
「ほんっと、叶はしょうがない」
 そんな叶が好きな俺も、しょうがない。
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