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永久糖度
永久糖度⑧
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叶とつき合ってから毎日が楽しい。花が咲いたように世界が鮮やかで、気分が自然と上向きになる。一日一日があっという間で、気がつけばもうつき合って三か月も経っていた。
「そういや、叶が俺を好きになったきっかけってなに?」
叶の部屋でベッドを背もたれに並んで座り、話をしていたときに急に不思議に思った。ままごとのときにママ役をやらされていたことを考えると、そのときにはすでに好意を持たれていたのだろう。でもそのきっかけがわからない。
「覚えてないの?」
「なにを?」
そういえば前にもそんなことを言われた。すっかり忘れていたが、なんのことか。
「いたいのいたいのとんでけ」
「は?」
叶は自身の膝を手でさすり、恵吾に視線を送る。
「小さいときに俺が転んだら、恵吾が『いたいのいたいのとんでけ』ってしてくれて、本当に痛いのが飛んでったんだ」
「お、おう」
それは気のせいに違いない。
「その瞬間、恵吾が天使に見えて、俺はこの天使を一生守っていかなくちゃって思ったの。こんなに可愛くて優しい子、この世に他にいないって。だからすぐ結婚を申し込んだらオーケーしてくれた」
蕩けそうなまでに表情を緩めた叶は、恵吾の頬に手を添えた。誘われるままに顔を寄せ、唇を重ねる。
キスは何度してもどきどきする。慣れることは一生ない。
「あの日から俺の世界は、恵吾を中心にまわってるんだ。俺の天使が今日も笑ってるかなって思いながら目を覚ます」
「天使……」
さすがに恥ずかしすぎてむずがゆい。でも叶は本気の瞳だ。
「天使だよ。俺にはもったいないけど、絶対誰にも渡さない」
キスがとかれて叶の肩に頭をのせる。幼い頃からいつも恵吾のことを思ってくれていたのだと知り、くすぐったいけれど胸がいっぱいだった。髪を撫でてくれる緩やかな手つきが気持ちよく、瞼をおろす。
「ねえ、恵吾」
「ん?」
「羽生えてるか見せて?」
「は?」
なんて言った?
「恵吾の全部が見たいな」
「……」
それは、まさかそういう意味だろうか。全部が見たい、で叶が見るだけで終わるはずがない。叶語で誘っているのかもしれない。
「……えっと」
逃げる理由はないけれど、受け入れるには恥ずかしい。どんどん頬が火照っていって、耳まで熱い。
「きっと恵吾の羽は真っ白で綺麗なんだろうな」
「ちょちょ、ま、……て」
制服を乱してシャツの裾から大きな手が入ってくる。ぞくんと背が跳ね、吐息が零れる。そんな自分がひどくいやらしく感じた。
「ん……っ」
長い指が胸の突起をかすめて身体が揺れる。くすぐったくて逃げたいのに、腰に腕をまわされて逃げられない。逃がすなと言ったのはたしかに恵吾だが、今は逃げたい。
「恵吾が嫌ならしないけど、嫌がってないよね?」
「っ……」
下腹部を撫でられ、さっと頬に熱が集まった。たったこれだけの触れ合いなのに、すでに形を変えて前立てを押しあげている。膝を合わせて隠そうとするが、足のあいだに身体を入れた叶が許してくれない。
「恵吾、言ってみて?」
「……なにを」
「『触って』って」
「――」
言いたくなくて口を引き結ぶと、叶は困ったように眉をさげた。困っているのだろうに、表情があまりに綺麗でどきりとした。
「勝手に触りたくないんだよ」
「ここまでしといて今さらか」
「今さらでも、ちゃんと恵吾の口から聞きたい」
頬に唇が触れる柔らかな感覚に瞼をおろす。叶が視界に入らなければ、素直になれるかもしれない。
「……叶、好き」
「俺も恵吾が好きだよ」
「だから、……いいよ」
言ったと同時に頬が燃えるほどにぼうっと熱くなった。目をぎゅっと閉じたままでいたら、瞼にも柔らかいものが触れる。キスだ、と思いながら、そろりと目を開けた。
「そういや、叶が俺を好きになったきっかけってなに?」
叶の部屋でベッドを背もたれに並んで座り、話をしていたときに急に不思議に思った。ままごとのときにママ役をやらされていたことを考えると、そのときにはすでに好意を持たれていたのだろう。でもそのきっかけがわからない。
「覚えてないの?」
「なにを?」
そういえば前にもそんなことを言われた。すっかり忘れていたが、なんのことか。
「いたいのいたいのとんでけ」
「は?」
叶は自身の膝を手でさすり、恵吾に視線を送る。
「小さいときに俺が転んだら、恵吾が『いたいのいたいのとんでけ』ってしてくれて、本当に痛いのが飛んでったんだ」
「お、おう」
それは気のせいに違いない。
「その瞬間、恵吾が天使に見えて、俺はこの天使を一生守っていかなくちゃって思ったの。こんなに可愛くて優しい子、この世に他にいないって。だからすぐ結婚を申し込んだらオーケーしてくれた」
蕩けそうなまでに表情を緩めた叶は、恵吾の頬に手を添えた。誘われるままに顔を寄せ、唇を重ねる。
キスは何度してもどきどきする。慣れることは一生ない。
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「天使……」
さすがに恥ずかしすぎてむずがゆい。でも叶は本気の瞳だ。
「天使だよ。俺にはもったいないけど、絶対誰にも渡さない」
キスがとかれて叶の肩に頭をのせる。幼い頃からいつも恵吾のことを思ってくれていたのだと知り、くすぐったいけれど胸がいっぱいだった。髪を撫でてくれる緩やかな手つきが気持ちよく、瞼をおろす。
「ねえ、恵吾」
「ん?」
「羽生えてるか見せて?」
「は?」
なんて言った?
「恵吾の全部が見たいな」
「……」
それは、まさかそういう意味だろうか。全部が見たい、で叶が見るだけで終わるはずがない。叶語で誘っているのかもしれない。
「……えっと」
逃げる理由はないけれど、受け入れるには恥ずかしい。どんどん頬が火照っていって、耳まで熱い。
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「ちょちょ、ま、……て」
制服を乱してシャツの裾から大きな手が入ってくる。ぞくんと背が跳ね、吐息が零れる。そんな自分がひどくいやらしく感じた。
「ん……っ」
長い指が胸の突起をかすめて身体が揺れる。くすぐったくて逃げたいのに、腰に腕をまわされて逃げられない。逃がすなと言ったのはたしかに恵吾だが、今は逃げたい。
「恵吾が嫌ならしないけど、嫌がってないよね?」
「っ……」
下腹部を撫でられ、さっと頬に熱が集まった。たったこれだけの触れ合いなのに、すでに形を変えて前立てを押しあげている。膝を合わせて隠そうとするが、足のあいだに身体を入れた叶が許してくれない。
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「『触って』って」
「――」
言いたくなくて口を引き結ぶと、叶は困ったように眉をさげた。困っているのだろうに、表情があまりに綺麗でどきりとした。
「勝手に触りたくないんだよ」
「ここまでしといて今さらか」
「今さらでも、ちゃんと恵吾の口から聞きたい」
頬に唇が触れる柔らかな感覚に瞼をおろす。叶が視界に入らなければ、素直になれるかもしれない。
「……叶、好き」
「俺も恵吾が好きだよ」
「だから、……いいよ」
言ったと同時に頬が燃えるほどにぼうっと熱くなった。目をぎゅっと閉じたままでいたら、瞼にも柔らかいものが触れる。キスだ、と思いながら、そろりと目を開けた。
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