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(8)ふたり風呂②
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◇◆◇
アラームの音で目を覚ます。
侑大はまだ寝ている。
出勤時間まではまだだいぶ時間はあるから寝かしておいてもいいんだけど。
「侑大、朝」
キスをするとゆっくり瞼が上がる。
「キスで起きるんだ、可愛い」
「…?」
とろんとした目で俺をじっと見ている。
そしてまた瞼を下ろそうとする。
「まだ起きない?」
「ん、まだまだへーきだろ」
「そうだけど」
「………」
既に二度寝している。
仕方ないのでひとりでベッドを出て洗面所に向かった。
「…そういえば」
来週、侑大と休みが重なっている。
いつも通り家でゆっくりするのもいいけれど、最近の疲れ具合から温泉とか行ってのんびりしたい。
確か休みの前日、俺と侑大は早番で、休みの翌日はふたりとも遅番だったはず。
このままシフトが変更にならなければ一泊くらい無理ではないかも。
その頃には忙しさもちょっとは落ち着いているだろうし。
移動で疲れるだろうか。
でも車で行けば、移動中侑大は寝ていればいいし。
どうだろう。
「やだ」
一刀両断ってこういうの言うのかな。
バッサリ切り捨てられた。
「…そう」
よさそうだと思ったのに。
「侑大、温泉嫌いだっけ」
「違う。車って事は要が運転すんだろ?」
「うん。侑大免許持ってないし」
「要が疲れるじゃん。そんなのやだ」
本当に優しい。
心がぎゅうっと鷲掴みにされる感じ。
「そっか」
残念だけどやっぱりやめといたほうがよさそう。
いいと思ったんだけどな。
そんな俺の様子を見て侑大が。
「温泉のかわりにはならないかもしんないけど、なんか面白い入浴剤買って、うちで一緒に風呂入ろ?」
「面白い入浴剤? 何それ」
「わかんないけど、探したらありそうじゃん。温泉のもとでもいいけど」
「…そうする」
楽しそう。
入浴剤探してみよう。
ベッドで並んで横になりながらタブレットで入浴剤を探す。
なんていうか。
「…すごい。種類ありすぎ」
「うん。侑大はこういうのとか希望あるの?」
「ない。面白ければいい」
次から次へと表示される入浴剤入浴剤入浴剤。
「泡風呂とか楽しそう」
「じゃあ泡風呂にする? 侑大の希望と合う?」
「んー、やっぱなんか普通。楽しそうだけど面白くはなさそう」
「…ほんとに面白さを求めるんだ」
「そりゃな」
まあ確かにせっかくなら思いっきり面白いのがいい。
一緒に風呂に入るのは別に珍しい事ではないけれど、休みの日を使ってってなったらそれなりの面白さが欲しい。
「面白いのかー……あ」
「なんかあった?」
「これ気になる」
「どんなの」
侑大がタブレットの画面をのぞき込む。
「これ。『とろとろローション入浴剤』」
どんなだろう。面白そう。
「…………」
侑大はなんか固まってる。
「決めた。これにする」
「え、マジで?」
「侑大は気にならない?」
「……気に、なる」
「ほら。だから決まり」
ポチッた。
アラームの音で目を覚ます。
侑大はまだ寝ている。
出勤時間まではまだだいぶ時間はあるから寝かしておいてもいいんだけど。
「侑大、朝」
キスをするとゆっくり瞼が上がる。
「キスで起きるんだ、可愛い」
「…?」
とろんとした目で俺をじっと見ている。
そしてまた瞼を下ろそうとする。
「まだ起きない?」
「ん、まだまだへーきだろ」
「そうだけど」
「………」
既に二度寝している。
仕方ないのでひとりでベッドを出て洗面所に向かった。
「…そういえば」
来週、侑大と休みが重なっている。
いつも通り家でゆっくりするのもいいけれど、最近の疲れ具合から温泉とか行ってのんびりしたい。
確か休みの前日、俺と侑大は早番で、休みの翌日はふたりとも遅番だったはず。
このままシフトが変更にならなければ一泊くらい無理ではないかも。
その頃には忙しさもちょっとは落ち着いているだろうし。
移動で疲れるだろうか。
でも車で行けば、移動中侑大は寝ていればいいし。
どうだろう。
「やだ」
一刀両断ってこういうの言うのかな。
バッサリ切り捨てられた。
「…そう」
よさそうだと思ったのに。
「侑大、温泉嫌いだっけ」
「違う。車って事は要が運転すんだろ?」
「うん。侑大免許持ってないし」
「要が疲れるじゃん。そんなのやだ」
本当に優しい。
心がぎゅうっと鷲掴みにされる感じ。
「そっか」
残念だけどやっぱりやめといたほうがよさそう。
いいと思ったんだけどな。
そんな俺の様子を見て侑大が。
「温泉のかわりにはならないかもしんないけど、なんか面白い入浴剤買って、うちで一緒に風呂入ろ?」
「面白い入浴剤? 何それ」
「わかんないけど、探したらありそうじゃん。温泉のもとでもいいけど」
「…そうする」
楽しそう。
入浴剤探してみよう。
ベッドで並んで横になりながらタブレットで入浴剤を探す。
なんていうか。
「…すごい。種類ありすぎ」
「うん。侑大はこういうのとか希望あるの?」
「ない。面白ければいい」
次から次へと表示される入浴剤入浴剤入浴剤。
「泡風呂とか楽しそう」
「じゃあ泡風呂にする? 侑大の希望と合う?」
「んー、やっぱなんか普通。楽しそうだけど面白くはなさそう」
「…ほんとに面白さを求めるんだ」
「そりゃな」
まあ確かにせっかくなら思いっきり面白いのがいい。
一緒に風呂に入るのは別に珍しい事ではないけれど、休みの日を使ってってなったらそれなりの面白さが欲しい。
「面白いのかー……あ」
「なんかあった?」
「これ気になる」
「どんなの」
侑大がタブレットの画面をのぞき込む。
「これ。『とろとろローション入浴剤』」
どんなだろう。面白そう。
「…………」
侑大はなんか固まってる。
「決めた。これにする」
「え、マジで?」
「侑大は気にならない?」
「……気に、なる」
「ほら。だから決まり」
ポチッた。
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