囲いの中で

すずかけあおい

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ふたりで

ふたりで②

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なんか、静か…。
普段ならなにか話してくれるのに、朝食の間も昼も学校に行く道中もなにも話してくれなかった。
そして帰り。

「……衛介、どうしたの?」
「なにが」
「無口じゃない?」
「気のせいだ」

気のせい?

「………」
「………」

これが普段どおりだっけ。
気まず過ぎない?

「…衛介」
「なに」
「なんか話して」
「……天気いいな」

空を見上げる。
曇り空。
無口なんじゃなくて、意識がどこかいってる?

「どうした? 具合悪い?」

衛介の額に手を当てる。
熱はない。

「……尚紀、わかってるのか」
「なにが?」
「………」

しばらく見つめ…睨み合ってお互いふいっと顔を背ける。
でもすぐに頭にぽん、といつものように手が乗った。

「それでいい」
「?」

ほんとになんだろう。

衛介が時々難しい顔をしているのは、難しいことを考えているのかなと思った。
だけど、もしかして意識がどこかにいっているだけのときもあるのかな。
俺は衛介の言うことを聞いていればいいから、今までなにも考えてこなかった。
でもあんなにたくさん『好き』って言ってくれたんだ。
少し、聞いてみてもいいかな…。

「衛介は、なにを考えてる?」
「!」
「衛介の考えてること、知りたい」

また鼻をつままれてしまった。
これもなにを意味するんだろう。

「帰るぞ」
「うん…」

やっぱり知られたくないこと、あるんだろうな。
俺も衛介に知られたくないことがある。
いつか素直に言えたら、衛介はどう反応するだろう。
もういらない?
それでもいいって言ってくれる?

あれ…。

どきどきと心臓が嫌な音を立てる。
いらないって言われたらどうしようって不安になってる。
困らせるだけで済むならいい。
もし、俺がいらないってなったら…俺は……。

今度は俺が無口になる番だった。

「―――尚紀!」
「へ?」
「鍵開けずにどうやって入るんだ」

俺はドアノブを握ってる。
ここは衛介と俺の部屋の前だ。
いつの間に帰ってきたんだろう。

「ぼんやりし過ぎだ」
「…ごめん」
「……まあ、いいけどな」

衛介が鍵を開けてくれて部屋に入る。

「シャワー浴びてこい」
「ご飯は後にする?」
「ああ。先に尚紀を食べる」
「………」
「俺のほうは覚悟はできてる。尚紀に言われたからな」

覚悟……言った。
確かに言った。
まさか様子がおかしかったのは、しっかり覚悟するためだったりする?

「衛介…」
「一緒に浴びてもいいぞ」
「やだよ、恥ずかしいからひとりで浴びる!」

バタバタと脱衣室に駆け込む。
顔が熱い。
シャワーの前に水で顔を洗う。
それでも熱が引かない。

「衛介に、抱かれるんだ…」

衛介のものになる。
心臓がバクバク言って、落ち着かない。
シャワーを浴び終えて浴室から出ようとして気付く。

着替え持ってくるの忘れた!

部屋までタオル一枚で戻らなくちゃいけない?
どうしよう。
と思ったら脱衣カゴに俺の着替えが置いてあった。

「……」

衛介しかいないんだから衛介だ。
こういうところ、好きだな…。
そこで、あれ、となる。

「俺、昨日衛介に『好き』って言わせただけで俺はなにも言ってない、んじゃ…」

これ、マズくない?
いや、普段から言ってるから………言ってたっけ。

「なにやってる」
「!!」

背後から声をかけられてびくっとなる。

「衛介…なんで」

まさかここで襲われる?

「俺もシャワー浴びる。尚紀はその格好で待っててもいいぞ」
「え…? うわあっ!!」

自分の格好を思い出して慌てる。
裸じゃん!
なにも着てないじゃん!!

衛介もシャツを脱いで洗濯カゴに入れる。
じっと見ていたら、衛介がこちらを見て眉を顰める。

「…?」
「ここ、痣ができてる」
「え、どこ?」
「腰の少し下」

すす、と指でなぞられてぞくっとする。
なんでそんないやらしい触り方するの!?
俺が考え過ぎ!?

「シャワー浴びてきて!」
「……」
「早く…」

衛介の視線から隠れたくて、でも隠れる場所がないから衛介に浴室に入ってもらう。

「俺の部屋で待ってろ」
「………うん」

もう心臓壊れるかも。

衛介が持ってきてくれた寝間着を着ようとしてやめる。
タオルだけ身体に巻いて、衛介の部屋に行く。
恥ずかしいけど、これからもっと恥ずかしいことするんだし…。
衛介のベッドに入って布団をかぶる。
裸に直接だと変な感じだけど、でも布団や枕から衛介のにおいがたくさんして、素肌に直接衛介を感じるようで興奮した。

瞼を閉じて、前にスマホで検索したことを思い出す。
あれを衛介にされると思ったら…もう無理だった。
でも待っている間に自慰とかだめだよな、と思って堪える。
身体がむずむずする。
特に腰の辺り。
衛介が、俺に触れることを想像する。
吐く息が熱くなっていく。
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