《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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二章 黒曜麒麟

五十六話

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家に帰ると、ソラは戸を閉め、深く息を吐いた。外での鍛錬とは違い、ここは自分と向き合う場所だ。肩掛けのカバンを外し、床に腰を下ろす。クロは机の上に跳び乗り、尻尾をゆらりと揺らした。

『始めるぞ、ソラ。今回は前とは違う。覚悟しろ』

ソラは小さく頷いた。
一度目――アイテムボックスのレベルアップは、確かに拍子抜けするほど簡単だった。魔力を流し、扉を押すような感覚で終わった。だが、クロは最初から言っていた。二度目以降は別物だと。

『丹田にある魔力を、すべて胸に集めろ。逃がすな、溢れさせるな。暴れた瞬間、失敗だ』

「……全部、胸に」

言葉にするほど簡単ではない。
丹田に溜まった魔力は、普段なら丹田から離れることはない。それを別の場所に一点に集めるというのは、濁流を小さな器に注ぎ込むようなものだった。

意識を沈め、呼吸を整える。
魔力に触れると、ざわりと抵抗が返ってくる。嫌がるように、逃げるように、体内で渦を巻いた。

「くっ……!」

額に汗が滲む。
魔力を引き寄せるほど、胸の内側が熱を帯びていく。心臓の鼓動がやけに大きく、速く感じられた。集中が一瞬でも乱れれば、魔力は暴れ、全身を引き裂きかねない。

『焦るな。力でねじ伏せるな。“制御”だ』

クロの声は低く、しかし確かだった。

ソラは歯を食いしばり、魔力に命じる。
集まれ。
散るな。
ここにいろ――。

時間の感覚が曖昧になる。数分か、数十分か、それとももっと短かったのか。
胸の奥で、ぎゅっと何かが圧縮される感覚がした。自分という存在が内側から膨らみ、限界まで引き伸ばされていくような、不思議な感覚。

「……っ!」

次の瞬間、世界が一瞬だけ遠のいた。

――パキン。

何かが噛み合う音が、確かにした。

同時に、頭の奥に澄んだ声が響く。

《アイテムボックス:レベル3に到達しました》
《雷魔法:レベル2に到達しました》

ソラはその場に崩れ落ちるように両手をついた。
肺に空気が一気に流れ込み、心臓が荒く脈打つ。全身が重く、指先がわずかに震えていた。

「……はぁ、はぁ……」

『成功だ』

クロの声に、わずかな安堵が混じる。

『感じただろ。今回は“簡単”じゃなかった。これが本来のレベルアップだ』

「……ああ。正直、途中で……弾けるかと思った」

『それでいい。いや、それが普通だ。お前はよく耐えた』

クロは机から降り、ソラの前に座る。

『忘れるな。この力は、誰にでも扱えるものじゃない。私と契約したお前だからこそ、そして――日々、積み重ねてきたからこそだ』

ソラは仰向けになり、天井を見上げた。
体は限界に近いが、不思議と心は澄んでいる。胸の奥に、確かな“広がり”を感じた。

「……まだ、先があるんだよな」

『ああ。だが今日はここまでだ。無理をすれば、積み上げたものを壊す』

クロはそう言って、軽くあくびをした。

ソラは小さく笑い、目を閉じる。
簡単ではない。危険もある。
それでも――前に進める実感が、確かにそこにあった。
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