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二章 黒曜麒麟
五十七話
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ダンジョンの入口に立ったソラは、静かに息を整えた。
目の前に広がるのは、以前にも訪れたことのあるFランクダンジョン。天井の低い洞窟型で、奥に進むほど湿った空気が濃くなる場所だ。ここには吸血コウモリが出る――数は多いが、一体一体はそれほど強くない。
肩掛けのカバンから、クロの声が落ち着いて響く。
『雷魔法のレベル2で得た力は、実際に使ってこそ、本当の感覚が身につく』
ソラは頷き、ダンジョンの中へと足を踏み入れた。
足音が洞窟内に小さく反響する。視界は明るく、ランタンは不要だが、油断はしない。
しばらく進むと、頭上からかすかな羽音が聞こえた。
「来たな……」
天井の影が歪み、逆さにぶら下がっていた影が動く。
吸血コウモリだ。赤い目がこちらを捉え、甲高い鳴き声とともに滑空してくる。
『焦るなよ、ソラ。まずは魔力を剣に通せ』
ソラは腰の鉄剣を抜き、両足でしっかりと地面を踏みしめる。
胸の奥、丹田から魔力を引き上げる感覚は、昨日のレベルアップを経て以前よりもはっきりしていた。
「――雷魔法、エンチャント」
剣を握る手に意識を集中させる。
次の瞬間、鉄剣の周囲に淡い光が走った。
細い雷が糸のように剣身を這い、パチパチと小さな音を立てる。空気がわずかに焦げた匂いを帯びる。
「……これが、レベル2」
『よし、成功だ。その状態を保て』
吸血コウモリの一体が急降下してくる。
ソラは半歩踏み込み、横薙ぎに剣を振った。
刃が触れた瞬間、雷が弾ける。
「ギィッ――!」
鋭い悲鳴と同時に、コウモリの体が痙攣し、そのまま地面に叩き落とされた。
雷は切断と同時に神経を焼き、致命傷を与えていた。
「……すごい」
以前なら、剣で当ててももう一撃必要だった。
だが今は違う。雷が確実に“止め”を刺してくれる。
『これがエンチャントの利点だ。直接的な破壊力より、付加効果で相手の動きを奪う』
ソラは剣を構えたまま、深く息を吸った。
上空に潜んでいた吸血コウモリがソラに向かって来るのを確認して指先を吸血コウモリに向ける。
「――スタンピート!」
指先から放たれたのは、雷魔法レベル2で新たに得た魔法。
発動は一瞬。詠唱もいらない。
バチッ!という短い音と共に、細い雷が吸血コウモリに命中した。
効果は小さい。だが確実だった。
吸血コウモリの動きが、ほんの一瞬――止まる。
「今だ!」
空中で硬直したその隙を、ソラは見逃さない。
一歩踏み込み、雷を纏った鉄剣を振り抜く。
ザシュッ、と乾いた音。
二つに切り裂かれた吸血コウモリは、力なく地面へ落ちた。
ソラは剣を下ろし、静かに息を吐く。
「……使えるな」
『ああ。スタンピートは威力こそ低いが、出が早く、当てやすい。
今のお前の戦い方に合っている』
クロの声には、どこか満足げな響きがあった。
ソラは剣から雷を解除し、握り直す。
――力は確実に増している。
だが、それを使いこなすには、まだ場数が必要だ。
「よし……もう少し潜るか」
ソラはそう呟き、さらにダンジョンの奥へと歩き出した。
目の前に広がるのは、以前にも訪れたことのあるFランクダンジョン。天井の低い洞窟型で、奥に進むほど湿った空気が濃くなる場所だ。ここには吸血コウモリが出る――数は多いが、一体一体はそれほど強くない。
肩掛けのカバンから、クロの声が落ち着いて響く。
『雷魔法のレベル2で得た力は、実際に使ってこそ、本当の感覚が身につく』
ソラは頷き、ダンジョンの中へと足を踏み入れた。
足音が洞窟内に小さく反響する。視界は明るく、ランタンは不要だが、油断はしない。
しばらく進むと、頭上からかすかな羽音が聞こえた。
「来たな……」
天井の影が歪み、逆さにぶら下がっていた影が動く。
吸血コウモリだ。赤い目がこちらを捉え、甲高い鳴き声とともに滑空してくる。
『焦るなよ、ソラ。まずは魔力を剣に通せ』
ソラは腰の鉄剣を抜き、両足でしっかりと地面を踏みしめる。
胸の奥、丹田から魔力を引き上げる感覚は、昨日のレベルアップを経て以前よりもはっきりしていた。
「――雷魔法、エンチャント」
剣を握る手に意識を集中させる。
次の瞬間、鉄剣の周囲に淡い光が走った。
細い雷が糸のように剣身を這い、パチパチと小さな音を立てる。空気がわずかに焦げた匂いを帯びる。
「……これが、レベル2」
『よし、成功だ。その状態を保て』
吸血コウモリの一体が急降下してくる。
ソラは半歩踏み込み、横薙ぎに剣を振った。
刃が触れた瞬間、雷が弾ける。
「ギィッ――!」
鋭い悲鳴と同時に、コウモリの体が痙攣し、そのまま地面に叩き落とされた。
雷は切断と同時に神経を焼き、致命傷を与えていた。
「……すごい」
以前なら、剣で当ててももう一撃必要だった。
だが今は違う。雷が確実に“止め”を刺してくれる。
『これがエンチャントの利点だ。直接的な破壊力より、付加効果で相手の動きを奪う』
ソラは剣を構えたまま、深く息を吸った。
上空に潜んでいた吸血コウモリがソラに向かって来るのを確認して指先を吸血コウモリに向ける。
「――スタンピート!」
指先から放たれたのは、雷魔法レベル2で新たに得た魔法。
発動は一瞬。詠唱もいらない。
バチッ!という短い音と共に、細い雷が吸血コウモリに命中した。
効果は小さい。だが確実だった。
吸血コウモリの動きが、ほんの一瞬――止まる。
「今だ!」
空中で硬直したその隙を、ソラは見逃さない。
一歩踏み込み、雷を纏った鉄剣を振り抜く。
ザシュッ、と乾いた音。
二つに切り裂かれた吸血コウモリは、力なく地面へ落ちた。
ソラは剣を下ろし、静かに息を吐く。
「……使えるな」
『ああ。スタンピートは威力こそ低いが、出が早く、当てやすい。
今のお前の戦い方に合っている』
クロの声には、どこか満足げな響きがあった。
ソラは剣から雷を解除し、握り直す。
――力は確実に増している。
だが、それを使いこなすには、まだ場数が必要だ。
「よし……もう少し潜るか」
ソラはそう呟き、さらにダンジョンの奥へと歩き出した。
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