《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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二章 黒曜麒麟

六十五話

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休日の朝、ソラはクロと共に街外れにある鍛冶工房へと向かっていた。
学校は休みだが、カジトは休日でも修業を欠かさないと以前聞いている。ならば、ここに来れば会えるはずだと思ったのだ。

工房に近づくにつれ、金属を打つ澄んだ音が耳に届く。一定のリズムで響くその音は、力強く、それでいて不思議と落ち着きを与えてくれた。
入口で一度深呼吸し、ソラは中へと足を踏み入れる。

中には、恰幅のいい女性が腕を組んで立っていた。煤ひとつ付いていないが、佇まいからしてこの工房の人間だと分かる。

「あの、すみません。カジトさんはいらっしゃいますか?」

ソラがそう尋ねると、女性は一瞬ソラを観察するように見てから、ぱっと明るい笑顔を浮かべた。

「カジト君ね?ちょっと待っててね!……おーい、カジト君!お客さんだよ!」

奥に向かってそう声を張り上げてカジトを呼んでくれたのでソラは受付の隅の方で待つことにした。

しばらくして、奥の作業場から少し汚れた作業着姿のカジトが顔を出した。頬には煤が付き、額には汗が滲んでいる。

「……ソラ?」

目を丸くし、すぐに驚いたように声を上げた。

「ソラ!珍しいな、こんなとこまで。どうしたんだ?」

カジトは手を拭きながら近づいてくる。その無防備な笑顔に、ソラは一瞬言葉を詰まらせた。

――ここからだ。
覚悟を決めろ。

ソラは一歩前に出ると、迷いなく頭を下げた。

「カジト。お願いがあるんだ」

その様子に、カジトは目を見開く。

「お、おい、急にどうしたんだよ。頭なんか下げるなって」

だがソラは顔を上げない。

「どうか……俺の武器を作ってほしい」

静まり返る工房。
金槌の音も、炉の火の爆ぜる音も、今は遠く感じられた。

カジトは一瞬、言葉を失ったようにソラを見つめていたが、すぐに慌てたようにソラの肩に手を置く。

「ちょ、ちょっと待てって! ほら、顔上げろ!」

ソラの頭を無理やり上げさせると、カジトは真っ直ぐ目を見た。

「……なんでそこまで必死なんだ?」

その声は、冗談めいたものではなかった。
友として、鍛冶師として、理由を知ろうとする真剣な声だった。

ソラは一瞬だけ言葉を選び、それから正直に答える。

「これから、危険なダンジョンに行く。今の俺じゃ、持ってる剣じゃ足りない。
だから……信頼できる人に作ってほしいんだ」

カジトは黙り込む。
ソラの目を見て、ただの見栄や衝動ではないことを察したのだろう。

カジトは一度周囲をぐるりと見渡した。工房には他の弟子や職人がいるが、幸い今は皆それぞれの作業に集中している。誰にも聞かれていないことを確かめると、少し声を落としてソラに向き直る。

「……ゴーマンの時さ」

唐突にそう切り出され、ソラは目を瞬いた。

「あの時、お前がいなかったら俺はどうなってたか分からない。命を助けられたって言ってもいいくらいだ。でも俺は……礼は言ったけど、それ以上、何も返せてなかった」

カジトはそう言って、視線を床に落とす。いつもの明るさは影を潜め、少しだけ不器用な本音が滲んでいた。

「最高の鍛冶師になるって決めた男がさ。助けてもらった恩を、言葉だけで終わらせるなんて……正直、それがちょっと心に引っかかってた」

ソラは慌てて首を振る。

「そんな、気にしてないよ。助けたとか、恩とか――」

「気にするさ」

カジトは被せるように言い、そしてふっと笑った。その笑みは、どこか照れくさそうで、けれど真っ直ぐだった。

「それに、恩がどうこうを抜きにしてもだ。友達が頭を下げて頼んできてるのに、それを断るような奴だったら……俺、自分を誇れなくなる」

そう言って、カジトはソラの肩に手を置く。

「だからな、ソラ。今の俺はまだまだ未熟だけど……親父や工房の師匠みたいな武器は作れない。それでも――」

一度言葉を切り、カジトは真剣な目でソラを見つめた。

「今の俺が出せる全てを使って、お前のための武器を作らせてほしい。これは頼まれてやる仕事じゃない。俺自身がやりたいことだ」

そして、今度はカジトの方から、深く頭を下げた。

「どうか、俺に作らせてくれ」

工房の中で、金属を打つ音だけが響く。ソラはしばらく言葉を失っていたが、やがて静かに、そして力強く頷いた。

「……ありがとう、カジト。よろしく頼む」

その返事を聞いた瞬間、カジトの顔はぱっと明るくなる。

「任せろ! 俺が今出せる全力で、最高のモノを作るからな!」

汚れた作業着のまま、誇らしげに胸を張るカジトの姿を見て、ソラは胸の奥が少し熱くなるのを感じていた。
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