《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

文字の大きさ
74 / 116
二章 黒曜麒麟

七十話

しおりを挟む
あれから時間が経ちついに夏休みが始まった。

校内は一気に静けさを増し、帰省や旅行の話題で賑わっていた廊下も日を追うごとに人影がまばらになっていく。そんな中、ソラたちは例外だった。
彼らは休暇を楽しむためではなく、命がけの目的のために集まっていた。

黒曜麒麟がボスとして君臨するBランクダンジョンへ向かうために。

出発の日の朝、ソラたちは駅に集まった。皆んな大量の荷物を持ち、女性陣はさらにサイドバックも持っている状態だ。軽装なのはアイテムボックスのスキルを持つソラだけである。

ハーデン先生は、今は教師ではなく“シーカー”の顔でそこに立っている。

そしてユナ。
緊張を隠しきれない様子ではあったが、その瞳には確かな決意が宿っていた。

「……ソラ君。本当に、ありがとうございます」

そう小さく呟くユナに、ソラは軽く首を振る。

「みんなで決めたことだろう。行こう」

汽車は長い汽笛を鳴らし、ゆっくりと動き出した。
車窓の外では、見慣れた街並みが次第に後ろへ流れていく。

「いよいよって感じだな」

ボッケが腕を組みながら言う。

「帰省の汽車に、僕らのような目的で乗る人たちも珍しいよね」

マルコが肩をすくめる。

最初のうちは皆、興奮気味に話していた。
黒曜麒麟の噂、ダンジョンの構造予想、戦闘の役割分担――話題は尽きなかった。

だが、時間は容赦なく流れる。

二時間、三時間……五時間も経つ頃には、さすがに疲れが出始めた。
ボッケは座席で腕を組んだまま眠りに落ち、リンも窓にもたれて静かに目を閉じる。ファラはいつの間にか帽子を目深にかぶり、マルコも珍しくうとうとしていた。

起きているのは、ほんの数人だけだった。

ハーデン先生は通路側の席で、地図と資料を見比べながら静かに思案している。
ユナは落ち着かない様子で膝の上に手を置き、時折ぎゅっと握りしめていた。

「……緊張してる?」

ソラが声をかけると、ユナは少し驚いたように顔を上げる。

「……はい。でも、大丈夫です。皆さんが一緒ですから」

その言葉は自分に言い聞かせるようでもあった。

「それに……」

ユナは小さく笑う。

「皆さんに家に泊まって欲しいとお願いしてしまったので」

「正直、助かるよ」

ソラは苦笑する。

「宿代、馬鹿にならないし」

ユナの家は、このダンジョンのある地方でも名の知れた大きな家らしい。
皆が遠慮しても、「家族に紹介したいから」と押し切られてしまったのだ。

「……迷惑じゃ、ありませんか?」

ユナが不安そうに尋ねる。

「全然」

ソラは即答した。

「むしろありがたい」

その言葉に、ユナの肩から少し力が抜けた。

少し離れた席では、カイトが一人、窓の外を眺めていた。
流れていく山並みと空を、じっと見つめている。

ソラは一瞬だけ、その横顔に視線を向けたが何も言わなかった。
この旅においてカイトとの余計な言葉は不要だと感じていた。

さらに三時間ほどが過ぎる。

長かった汽車の旅も、ようやく終わりを告げようとしていた。
車内アナウンスが目的地の到着を告げると、眠っていた者たちも次々に目を覚ます。

「……着いたか」

ボッケが大きく伸びをする。

「八時間だからね。さすがに長いね」

マルコが肩を回す。

汽車は減速し、ゆっくりと駅に滑り込んだ。

扉が開いた瞬間、外の空気が流れ込む。
都会よりも少し涼しく、潮の香りを含んだ風だった。

「ここが……」
ユナが小さく呟く。

「黒曜麒麟のダンジョンがある街。セイカイだ」

ハーデン先生の声は落ち着いているが、その表情は引き締まっていた。

ソラは一歩、ホームに足を踏み出す。
これから先に待つのは、訓練でも授業でもない――命懸けのダンジョンでの戦闘だ。

だが、仲間は揃っている。

「行こう」

ソラはそう言って、皆を振り返った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

スキル『レベル1固定』は最強チートだけど、俺はステータスウィンドウで無双する

うーぱー
ファンタジー
アーサーはハズレスキル『レベル1固定』を授かったため、家を追放されてしまう。 そして、ショック死してしまう。 その体に転成した主人公は、とりあえず、目の前にいた弟を腹パンざまぁ。 屋敷を逃げ出すのであった――。 ハズレスキル扱いされるが『レベル1固定』は他人のレベルを1に落とせるから、ツヨツヨだった。 スキルを活かしてアーサーは大活躍する……はず。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...