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二章 黒曜麒麟
七十一話
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ソラ達が降り立ったこの街の名はセイカイ。
青く澄んだ海を臨む港町でBランクダンジョン攻略の拠点であると同時に、リゾート地としても知られている場所だった。
潮の香りを含んだ風が頬を撫でる。
遠くでは波が穏やかに砕け、白い建物と赤い屋根が並ぶ街並みが陽光を反射してきらめいていた。
「わあ……」
思わず声を漏らしたリンに、ユナが少し誇らしげに微笑む。
「セイカイは海が綺麗で有名なんです。観光で来る人も多いんですよ」
確かに、ダンジョンの街というよりは休暇を過ごすための町に見える。
石畳の通りには開放的な店が並び、遠くからは楽しげな人々の笑い声も聞こえてきた。
「まずは荷物を置きに家まで行きませんか?」
ユナの言葉に、ソラたちは頷く。
駅から街を抜け、少しずつ人通りが減っていく。やがて道は緩やかな坂へと変わった。
「家は街から少し離れているんですけど……」
歩きながら、ユナはそう前置きしてから振り返る。
「その分、景色はとてもいいんですよ」
坂を上るにつれて視界が開け、街と海を一望できる場所に出た。
青い海、白い波、そして小さく見えるセイカイの街並み。そのすべてが穏やかに広がっている。
「……これは、確かにすごいな」
ボッケが感心したように呟くと、ファラも大きく頷いた。
「ファラは戦いに来た場所とは思えないでーす」
「確かに……でも気を緩めないようにしなくちゃダメだよね」
リンが静かに言葉を添える。
ソラはその景色を見つめながら、胸の奥で気持ちを引き締めていた。
この美しい街の近くに黒曜麒麟の棲むBランクダンジョンがある。
ユナの家族を助けるために、自分たちはここへ来たのだ。
ユナの家はその坂の上に静かに佇んでいた。
白壁に囲まれた大きな家が、穏やかな海風を受けながらソラ達を向かい入れる。
ユナが家の扉をくぐった瞬間だった。
「お嬢様、おかえりなさいませ」
揃った声とともに数名のメイド服を着た女性と、紳士服に身を包んだ男性たちが一斉に頭を下げる。
動きに一切の無駄がなく、その所作はまるで舞台の一幕のように洗練されていた。
その列の奥から一人の年配の男性が静かに前へ出る。
白髪をきっちり撫でつけ、背筋を伸ばしたその姿は長年この家を支えてきたことを感じさせる。
「長旅でお疲れでしょう。お嬢様」
深く、そして品のある一礼。
その光景にソラは思わず言葉を失った。
ボッケも、リンも、マルコも、ファラも完全に固まっている。
「……え?」
誰かが小さく、間の抜けた声を漏らした。
明らかに、今まで自分たちが見てきた“普通の家”とは違う。
空気そのものが違うのだ。
一方でテナとセノンそしてハーデン先生は特に驚いた様子もなく、どこか納得した表情を浮かべている。
ユナはくるりと振り返り、少しだけ照れたように微笑んだ。
「皆さん、改めて自己紹介をさせてください」
そう前置きして、背筋を伸ばす。
「この街――セイカイを治める、セイカイ公爵家の長女」
一拍置いてから、はっきりと告げた。
「ユナ=セイカイです」
青く澄んだ海を臨む港町でBランクダンジョン攻略の拠点であると同時に、リゾート地としても知られている場所だった。
潮の香りを含んだ風が頬を撫でる。
遠くでは波が穏やかに砕け、白い建物と赤い屋根が並ぶ街並みが陽光を反射してきらめいていた。
「わあ……」
思わず声を漏らしたリンに、ユナが少し誇らしげに微笑む。
「セイカイは海が綺麗で有名なんです。観光で来る人も多いんですよ」
確かに、ダンジョンの街というよりは休暇を過ごすための町に見える。
石畳の通りには開放的な店が並び、遠くからは楽しげな人々の笑い声も聞こえてきた。
「まずは荷物を置きに家まで行きませんか?」
ユナの言葉に、ソラたちは頷く。
駅から街を抜け、少しずつ人通りが減っていく。やがて道は緩やかな坂へと変わった。
「家は街から少し離れているんですけど……」
歩きながら、ユナはそう前置きしてから振り返る。
「その分、景色はとてもいいんですよ」
坂を上るにつれて視界が開け、街と海を一望できる場所に出た。
青い海、白い波、そして小さく見えるセイカイの街並み。そのすべてが穏やかに広がっている。
「……これは、確かにすごいな」
ボッケが感心したように呟くと、ファラも大きく頷いた。
「ファラは戦いに来た場所とは思えないでーす」
「確かに……でも気を緩めないようにしなくちゃダメだよね」
リンが静かに言葉を添える。
ソラはその景色を見つめながら、胸の奥で気持ちを引き締めていた。
この美しい街の近くに黒曜麒麟の棲むBランクダンジョンがある。
ユナの家族を助けるために、自分たちはここへ来たのだ。
ユナの家はその坂の上に静かに佇んでいた。
白壁に囲まれた大きな家が、穏やかな海風を受けながらソラ達を向かい入れる。
ユナが家の扉をくぐった瞬間だった。
「お嬢様、おかえりなさいませ」
揃った声とともに数名のメイド服を着た女性と、紳士服に身を包んだ男性たちが一斉に頭を下げる。
動きに一切の無駄がなく、その所作はまるで舞台の一幕のように洗練されていた。
その列の奥から一人の年配の男性が静かに前へ出る。
白髪をきっちり撫でつけ、背筋を伸ばしたその姿は長年この家を支えてきたことを感じさせる。
「長旅でお疲れでしょう。お嬢様」
深く、そして品のある一礼。
その光景にソラは思わず言葉を失った。
ボッケも、リンも、マルコも、ファラも完全に固まっている。
「……え?」
誰かが小さく、間の抜けた声を漏らした。
明らかに、今まで自分たちが見てきた“普通の家”とは違う。
空気そのものが違うのだ。
一方でテナとセノンそしてハーデン先生は特に驚いた様子もなく、どこか納得した表情を浮かべている。
ユナはくるりと振り返り、少しだけ照れたように微笑んだ。
「皆さん、改めて自己紹介をさせてください」
そう前置きして、背筋を伸ばす。
「この街――セイカイを治める、セイカイ公爵家の長女」
一拍置いてから、はっきりと告げた。
「ユナ=セイカイです」
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