《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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二章 黒曜麒麟

百話

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ボッケとセレンが、黒曜麒麟の突進によって吹き飛ばされた瞬間。

ソラは歯を食いしばり、視線を一瞬だけそちらへ向けた。

――無事であってくれ。

だが、立ち止まる暇はない。
次の一手を逃せば、全員が終わる。

ソラはすぐ近くにいたファラへと叫んだ。

「ファラ! 俺を――アイツの上まで運んでくれ!!」

唐突な叫び。

ファラは一瞬、吹き飛ばされたボッケの方を見る。

動かないボッケを見て胸の奥が、きしむ。

けれど――

ここで迷えば、すべてが無駄になる。

ソラも、ボッケも、ハーデンも
そしてここにいる全員が、命を懸けて繋いできたこの一瞬。

ファラは、ソラの顔をまっすぐに見つめた。

覚悟を決めた目。

迷いのない声で、ファラは答える。

「……わかりました、ソラ!」

そして、少しだけ声を張り上げる。

「――駆け上がりまーす!!」

ファラはソラの手を、強く握った。

同時に、ファラは自身のスキルを発動する。

――《スカイロード》。

空中に“道”を生み出し、歩くことができるスキル。
そしてそれは、ファラ本人だけでなく、接触している相手にも効果が及ぶ。

二人の足元に、透明な足場が生まれる。

一歩。
二歩。

空を蹴る感覚。

三歩、四歩。

下では黒曜麒麟と氷の槍がぶつかり合う。

五歩、六歩。

風を切り、重力を無視して、二人は駆け上がる。

七歩。

八歩。

十分だ。

この高さ、この位置。
黒曜麒麟の――真上。

「ここでいい!」

ソラはそう叫び、ファラの手を離した。

その瞬間、スカイロードの効果が途切れ、
ソラの身体は重力に引かれ――落下する。

落ちながら、ソラは姿勢を整えた。

空中で身体を捻り、重心を定める。

そして、心と向き合う。

この戦いで、
自分たちは限界を超える激戦を繰り広げた。

仲間が傷つき、
何度も死がよぎり、
それでも前に進んできた。

だから――

(この一撃で、決める)

ソラは、心の奥に溜め込んでいた感情を解き放つ。

恐怖
怒り
焦り
悔しさ
仲間を信じる想い

この短くも長く激しい戦いのすべて。

心の波を、意図的に荒立てる。

(全部、込める)

黒曜麒麟まであと僅か。

ソラは魔力を、腕へと集めて振り被る。

「――これで、終わりだァァァ!!!」

拳が、黒曜麒麟に叩きつけられる。

――ゴッ!!

鈍く、重い衝撃。

狙いは一点。
幾度も狙われ、ひび割れた――黒曜麒麟の角。

パキン、という乾いた音。

ついに、黒曜麒麟の角が折れた。

だが、それでソラの拳は止まらないで、
続けざまに顔面へと振り抜く。

――ドンッ!!

黒曜石のように硬い皮膚に、
ピシピシと亀裂が走る。

内側から、赤黒い血が滲み出す。

「――――!!」

思いがけない一撃に、黒曜麒麟は激しく身体を振る。

ソラを振り解こうとするが――

「……まだだ!」

ソラは、黒曜麒麟を掴んだまま離さない。

振り解けないと悟った黒曜麒麟は、
身体を持ち上げ、上から叩きつけようとする。

――だが。

脚が、動かない。

砂が、
黒曜麒麟の脚を覆い、固めていた。

「……ナイス、ハーデン先生」

ソラは、小さく呟く。

そのまま、腰に収めていた剣を引き抜く。

狙いは、頭部。

本来なら、決して通らない硬さ。だが――

激戦による無数の傷。
角付近を執拗に狙われ続けた結果、
そこはすでに“薄く脆く”なっていた。

今までの全てが無駄ではなかった。

ソラが剣を突き刺す。

――ズブリ。

剣は、確かに頭へと沈み込んだ。

それでも――黒曜麒麟は、まだ倒れない。

ソラは、心の中で静かに敬意を払う。

(……強かった)

大人数で挑み、
それでもなおギリギリだった。

ほんの少し何かが狂っていれば、
結果は逆だっただろう。

確信に近い思い。

ソラは、黒曜麒麟へと小さく呟く。

「……戦ってくれて、ありがとう」

そして――

魔法を発動する。

雷魔法レベル2《エンチャント》

剣を通して、
雷が黒曜麒麟の内部へと流れ込む。

焼け付くような雷が、内側から駆け巡る。

いかなる生き物であろうと、
内部を焼かれて無事で済むはずがない。

黒曜麒麟の動きが、止まる。

そのまま――

立ったまま。

誇り高く、気高い姿勢のまま。

黒曜麒麟は、静かに命を終えた。
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