《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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二章 黒曜麒麟

102話

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未だ起き上がれずにいるカイト達を回収するため、
ソラ達は九階層へと戻った。

激戦の直後。
誰もが満身創痍で、足取りは重い。

だが――
八階層の階段から、別の足音が聞こえてきた。

「……お?」

姿を現したのは、
ガリオン率いるパーティだった。

彼らもまた、
武器は欠け、防具はボロボロに、衣服は裂けて
誰が見ても満身創痍の状態だ。

それでもガリオンは、
ソラ達とカイト達を見てから

「……無事だったのか」

そう言って、
ニカッと大きく笑った。

「ったく、心配させやがって」

ガリオンは肩をすくめるが、
すぐに真剣な表情になる。

「黒曜麒麟の角な。
本当なら俺達も手伝ってやりたかったんだが……」

自分の剣を見下ろし、苦笑する。

「武器も防具もボロボロだ。
ポーションも使い切っちまった。
正直、もう戦えるコンディションじゃねえ」

そう言ってから、
ガリオンは頭を下げた。

「……すまねえ」

その瞬間。

ソラ達は顔を見合わせ、きょとんとした表情を浮かべたかと思うと、

「「アハハハハ!」」

誰からともなく、
笑い声が弾けた。

「え、えっ?」

突然笑われたガリオンは、訳が分からないと怪訝な顔をする。

「……何か、おかしなこと言ったか?」

仲間達の顔を見るが、
皆そろって首を横に振る。

「分からねえ……」
「俺もだ……」

そこで、一歩前に出たのはハーデンだった。

「説明しましょう」

落ち着いた声で、はっきりと告げる。

「黒曜麒麟の角は、すでに手に入れています」

「……は?」

ガリオンの口が、間抜けな形で開く。

ハーデンは続けた。

「それだけではありません。
――討伐にも、成功しています」

一瞬、時が止まった。

「「…………はぁ!?」」

ガリオン達は一斉に声を上げる。

「おいおいおい、冗談だろ!?」
「流石にそれは盛りすぎだ!」

だが――

「証拠なら有ります」

ソラはそう言って、
静かにアイテムボックスに手を伸ばした。

次の瞬間

ズン……と床に現れたのは、
黒曜石のような皮膚を持つ、巨大な骸。

黒曜麒麟の亡骸だった。

「…………」

言葉を失うガリオン達。

角の折れた頭部
全身に刻まれた無数の傷

これ以上ない、動かぬ証拠。

「……マジ、かよ」

ガリオン達はしばらく呆然としたまま立ち尽くし、
そして次の瞬間――

「やるじゃねーか! おまえら!!」

豪快な笑顔で叫び、
ソラの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。

「ちょ、ちょっと!やめてくださいよ!」

抗議するソラに構わず、
ガリオン達は心底嬉しそうだ。

女性陣の方を見ると、
流石に手を伸ばすことはせず、

「……よくやったな!」

と、素直に称賛の言葉を送る。

そしてハーデンの前に立つと、
無言で拳を突き出した。

ハーデンもそれに応え、静かに拳を合わせる。

ゴツン、と小さな音。

言葉はいらなかった。

このダンジョンで起きた激戦と、
この結果がすべてを物語っていた。

ソラ達は、確かに成し遂げたのだ。

黒曜麒麟の討伐を。



――だが。

ガリオンは、
ただ喜びに浸るだけの男ではなかった。

勝利を分かち合ったあと、
彼は無言で踵を返す。

向かう先は、倒れたままのカイト達の元。

「……ガリオン」

それに気づいたハーデンが声をかけ、
止めようと一歩前に出る。

だが、ガリオンは振り返らず、
低く、しかしはっきりとした声で言った。

「学生だからって、見過ごせる領分を超えてる」

その一言に、
場の空気が張り詰める。

「これはな」
ガリオンは歩みを止めずに続けた。

「俺個人だけの感情じゃねえ。
――シーカーとしての、総意だ」

その言葉に、ハーデンは口を閉ざす。

数秒の沈黙の後、静かに一歩引いた。

ガリオン達が、カイト達の前に立つ。

寝転がったまま、
未だ意識を取り戻していない五人。

ガリオンは一切の躊躇なく、
カイトの頬を――

バァンッ!!

思い切り引っ叩いた。

「っ!?」

続けざまに、
他の四人にも同じように平手が飛ぶ。

「起きろ」

その声は、冷たい。

乱暴な衝撃に、
カイト達は次々と目を覚ました。

「……え?」
「な、何が……?」

状況を把握できない顔。

だが――
カイト以外の四人は、すぐに思い出す。

黒曜麒麟のことを。

圧倒的な存在感で
死がすぐそこに迫ったあの瞬間を

四人は無意識に、
自分の身体を抱きしめるように震え出した。

息が荒く、視線が泳ぐ。

一方、カイトだけは違った。

皆と同様に黒曜麒麟の姿を思い出す。

だが、そこに浮かんだのは恐怖ではない。

「……次は、負けない」

唇を噛み締め、目に宿るのは復讐心。

それは、本来なら
一流のシーカーに必要な資質の一つかもしれない。

だが――この場では、違った。

ガリオンは、一呼吸置く。

そして――
地の底から響くような、低い声で口を開いた。

「おい、ガキども」

その瞬間

空気が変わる。

「……よくもまぁ、やってくれたな」

びくりと、カイト達の身体が跳ねる。

ガリオンの視線が五人を射抜く。

その圧にカイト達はもちろん、
後ろにいるソラ達ですら言葉を失った。

ガリオンは続ける。

「お前らが使ったモノ。
あれはな――ギルドで、使用を禁止されてる代物だ」

ガリオンの言葉にカイトが、噛みつくように言い返す。

「禁止はされてないはずだ!
一部を除けば、使えるって確認してる!」

反抗的な視線。

だが、ガリオンは怒鳴らない。

「……なるほどな」

フッ、と短く笑う。

「確かに、完全な禁止じゃねえ」

そして、一気に声を落とす。

「だがな」

一歩、踏み出す。

「今回お前らがやったことは、
最低限のルールすら守ってねぇ」

ガリオンの声が、冷たく突き刺さる。

「俺達が魔物香を破壊してなきゃどうなってた?
最悪、人死にが出ててもおかしくなかったんだぞ。……分かるか?」

そして――
容赦のない言葉が、落とされた。

「この人殺しどもが」

ガリオンの言葉を受けて、
カイトの顔が一気に赤く染まった。

「……人殺し、だと?」

怒りに任せて、立ち上がろうとする。

「ふざけるな!!」

カイトの声が、空間に反響する。

「シーカーは自己責任の世界だろ!?
明らかな異変を感じたのに、
それで死んだなら――それはそいつが悪いだけだ!それを俺たちのせいにするのはおかしい!」

ガリオンは、即座には答えなかった。

ただ静かに、カイトを見下ろす。

そして、低く問い返す。

「……なるほどな」

一拍してからさらに続ける。

「なら聞くが……
戻る道筋にシーマンが何十匹もいたとしても、
お前は文句を言わないんだな?」

カイトが一瞬、言葉に詰まる。

ガリオンは続ける。

「装備はボロボロ、ポーションも尽きた。
それでも戦わなきゃ進めない状況で――」

ガリオンが一歩、踏み出す。

「そこで死んだとしても、
“自分が弱かっただけ”って納得できるんだな?」

沈黙。少ししてカイトは歯を食いしばり、叫ぶ。

「それは前提が違うだろ!!」

拳を握り締める。

「俺たちはボスの手前で使ったんだ!
誰もいなかったし、誰も怪我もしてない!」

怒りに任せて、言葉をぶつける。

「あんた達が勝手に魔物香を壊しに行って負った傷まで、俺たちのせいにするな!!」

場の空気が、張り詰める。

ガリオンは――すぐには返さなかった。

ほんの一瞬、考えるように目を伏せて、
哀れな者を見る目で静かに口を開く。

「……同じだ」

その声は、淡々としている。

「それと、お前は一つ勘違いしてる」

ガリオンは、視線を巡らせる。

「魔物香の影響はな、
一つの階層だけに留まらねぇ。
ダンジョン全体に、広がる」

ガリオンのその言葉に、
カイトのパーティの一人が、
思わず声を漏らした。

想像してしまったのだ。

もし、ガリオン達の到着が遅れていたら……

他の階層で戦っていたシーカー達や
撤退中だったパーティが
運悪く、敵に遭遇してしまった者達

――自分達の行動で、
誰かが死んでいたかもしれない未来を。

顔から血の気が引いていく。

それにつられるように、
カイト以外の三人も青ざめる。

「まさか……」
「そんな……いや、でも……」

言葉にならない動揺。

ガリオンは、
そんな彼らに容赦しなかった。

「もう少し遅けりゃ、
他の階層にまで影響が出てた」

淡々と、事実だけを突きつける。

「お前らだけで死にに行くなら、
止めはしねぇ。だがな」

声が、冷たく落ちる。

「俺たちや、他のシーカーを巻き込むな」

ガリオンのその言葉は、
完全にカイト達を突き放すものだった。

それでもカイトは、
何か言い返そうとして――

結局、言葉を飲み込む。

この場では、
これ以上反論しても無意味だと理解したのだ。

忌々しげに、ガリオンを睨みつける。

それで会話は終わった。

全員がもう動ける事を確認し、
一行は十階層へと再び戻る。

満天の夜空のように広がる空間。

その奥で――
淡く光る“帰還用の球体”が、
まるで最初からそこにあったかのように待っていた。

ソラ達は、その球体に手を伸ばす。

触れた瞬間――
視界が、白に塗りつぶされる。

次に見えたのは、
セイカイダンジョンの入り口だった。

戦いは、やっと終わった。

だが――
それぞれの胸に残ったものは、
決して同じではなかった。
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