《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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二章 黒曜麒麟

104話

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空は薄暗くなり、
夜の帳が街を包み始めていた。

代わりに屋台の灯りと街灯の柔らかな光が、
夜の街を明るく照らし出している。

その光に引き寄せられるように、多くの
人、人、人。

街の至る所に人の流れが生まれ、
笑い声や呼び声が重なっていた。

ここに集まる多くの人々が、
この日を楽しみにしていたのが分かる。

「……すごい賑わいだな」

ソラが思わず呟く。

自分の知っている祭りとは違う世界に、
少し戸惑いながらも目を見張る。

そんな中、
ユナが歩きながら嬉しそうに話し始めた。

「このセイカイのお祭りはですね、
ダンジョンが世界に現れるよりも、ずっとずっと前から続いている、伝統あるお祭りなんです。
毎年、たくさんの人が集まるんですよ」

彼女は屋台の方を指差す。

「並んでいる料理の多くは、
この街の隣に広がる海で獲れた海産物を使っています。どれも絶品なので、ぜひ食べてほしいです!それから……」

今度は、露店に並ぶ小物を指差した。

「お土産なら、砂浜の砂や貝殻を使ったアクセサリーがおすすめです。
一つ一つ手作りで、同じものはほとんどないんですよ」

そう語るユナの声は、
弾んでいて、心から楽しそうだった。

ソラ達も自然と笑顔になり、
その話に耳を傾ける。

するとファラが、
少しからかうように笑って言った。

「ユナは、この街が本当に大好きなんですねー」

その言葉に、
ユナは一瞬、はっとしたような表情を浮かべる。

そして少し照れたように、
苦笑しながらも――

「……そうですね」

そう、はっきりと答えた。

「私は、この街が大好きなんです」

立ち止まって、ユナは空を見上げる。

夜の海から吹く風、
見上げれば広がる星空。

「この街から見える海も、夜空も、自然も……
それから、人の営みも……きっと、全部が」

そう言って、
胸に手を当てる。

「……大好きなんです」

そして、少し声を落としながら続けた。

「中央で働く父の代わりに、母がこの街を治めています、だから……」

「私はこの街を良くしようとしている母が大好きですし、誰よりも尊敬しているんです」

その言葉には、
揺るぎない誇りがあった。

そして――
ソラ達の方を向き、深く頭を下げた。

「ここにいる皆さんと屋敷にいるハーデン先生達のおかげで母は、生きることができます。
本当に……」

ユナは一拍置いてから再び続ける。

「本当に、ありがとうございます」

静かながら、ユナの心の底からの感謝。

祭りの喧騒の中で、
その場だけ時間が止まったかのようだった。

ユナから礼を告げられたソラ達は、
どこか落ち着かない気持ちになっていた。

胸の奥が、むず痒くなるような感覚。

ユナやソフィア、屋敷で働いている人たちに何度も礼を言われてきた。

けれど――
今のユナの言葉は、
心の底からの感謝だった。

けっして軽く受け流せるものではない。

それでも、
どう返せばいいのか分からない。

だからこそ――

ソラは、一歩前に出た。

「……きっとさ」

少し言葉を探しながら、話し始める。

「ソフィアさんが、この街のためにどれだけ尽くしてきたか……
いろんな人が、ちゃんと分かってると思うんだ」

ユナは、黙って耳を傾ける。

「だから、この街は活力があってさ、
ユナが言ってた、海も夜空も人の営みも……
その美しさを、みんなで守ってるんだと思う」

ソラは、少しだけ視線を逸らしながら続けた。

「ユナだって、その一人なんだ。
母親を守りたいって気持ちに、
俺たちは心を動かされたんだ……
結果だけじゃない。
そこに至るまでの、ユナの気持ちだって……
十分すぎるくらい立派で綺麗な想いだよ」

そこまで言って、ソラはユナを見る。

「だからさ……
そんなに何度も、礼を言わなくていいよ。
仲間だろ?」

言い終えた瞬間。

ソラの顔が、
じわじわと赤くなっていく。

自分でも分かるほどに。

慌てて誤魔化すように、
言葉を付け足した。

「え、えっと……!ハーデン先生なら!
……ボッケやマルコも!
きっと同じこと言うと思うよ!」

その必死な様子に――

ソラの背後で、
リン、ファラ、テナが顔を見合わせてくすっと笑った。

その笑い声につられるように、
ユナも――

「……ふふっ」

やわらかな笑顔で笑った。

「ありがとうございます、ソラ君!」

その一言は、
もう他人行儀のお礼ではなかった。

ソラの言葉がユナの心に確かに届いた証だった。

「……なんだかなぁ」

笑われたソラは、
照れ隠しに頭を掻く。

だが、
皆の笑顔につられて――

結局、自分も笑ってしまう。

祭りの灯りの下。

今はただ――
この穏やかな時間を、皆で共有していた。



ソラ達は、
花火が打ち上がるまで時間があるので、祭りの出店を回ることにした。

「まだ時間あるしさ、どこが一番おいしいか調べようぜ」

そんな軽いノリで始まったが――
それは、思った以上に“危険”な選択だった。

出店に並ぶ料理は、
ユナの言っていた通り、海鮮物が中心だ。

焼いた貝、串に刺した魚、香ばしい匂いの揚げ物。

だが、それだけではない。

麺を豪快に炒めたものや、
小麦と卵を混ぜ、クレープ状に焼いた生地の上に
野菜や肉をたっぷり乗せた お好み焼き と呼ばれる料理。

さらに――
砂糖を糸のように細く伸ばした、
ふわふわとした見た目の飴。

「これ、すっごくおいしいんですよ!」

ユナにそう紹介されるたびに、

「じゃあ、それも」
「次はあれだな」

次々に買っては食べ、
食べてはまた次へ。

気がつけば、
六店舗ほど回ったところで――

「……」

ソラは、腹を押さえていた。

(……やばい)

自分は、
そこそこ食べる方だと思っていた。

だが、完全に読みを誤った。

「……もう、限界だ……」

お腹は、かなり膨れている。
もはやパンパンである。

一方で――

「次あれ行きません?」
「えー、私はこっちも気になりまーす!」

女性陣は、
まだまだ余裕そうに盛り上がっている。

(うそだろ……)

ソラは、内心で軽く絶望した。

これ以上歩けば、
確実に苦しくなる。

「……俺、ちょっと休憩してくる」

そう言って、
座れそうな場所を探しに歩き出す。

「食べ過ぎは良くないからね」
「ちゃんと休んでてくださーい!」

そんな優しい言葉に見送られながら。

だが――

どこを見ても、人、人、人。

座れる場所は、ほとんど埋まっていた。

「……とほほ」

さすが大きな祭りだなと
心の中でぼやいた、その時。

「ソラ君」

後ろから、
柔らかな声がかかる。

振り返ると、
そこにいたのはユナだった。

「実はですね……」

少しだけ、いたずらっぽく微笑んで言う。

「あっちの方に、私の秘密の場所があるんです。
そこなら多分座れると思うので、行きましょう」

そう言って、ユナはソラの手を引いた。

「え、ちょ――」

言いかけたが、
今のソラに抵抗する力はない。

お腹は限界、歩くだけでもつらい。

(……女神様……)

ソラは心の中で、
本気でそう崇めて、導かれるままに
ユナの後についていった。

祭りの喧騒から、
少しだけ離れた“秘密の場所”へ
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