《カクヨム様で50000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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二章 黒曜麒麟

109話

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ソラがショーイチローの姿を捉えた
その瞬間に、まずいと直感した。
思考を巡らせる事よりも先に身体を動かした。

横へ――全力で駆け抜ける。

白く光る雷を纏ったソラの姿が
その場から消えた直後に、ソラの体が戻ってあった場所を
ショーイチローの拳が空を切った。

ビュン!!

と――拳が出したとは思えない、圧縮された空気が爆ぜるような風切り音が、遅れて響く。

(――っ、今の……)

背中を冷たい汗が伝う。

もし、あの一撃を正面から受けていたらどうなっていたか。

想像するだけで、冷や汗が出る。

だが――

息を整える暇など与えないと
語る様に、ショーイチローが再度ソラに攻撃を仕掛ける。

次の瞬間、ソラの視界に拳が幾つも重なって映った。

連続のジャブ――でも、容赦のない速度と威力の連打がソラを襲う。

(速っ――!?)

ショーイチローは隻腕のため、片腕のみの攻撃。

それにも関わらず、ソラは避けることで精一杯だった。

身体を捻り、跳び、滑るように地を蹴る。
それでもショーイチローの拳は、紙一重で避ける事しかできない。

(距離を取らないと――!)

全力で距離を取ろうと足に力を入れる。

地面を蹴り、ソラはその場から消える。

――だが、

走り抜けた先の視界で、すでにショーイチローがいる。

「なっ……!?」

振り切ろうと左右に切り返す。

一度、二度、三度……

でもその度に、
まるで影のように――

ショーイチローはピタリと張り付いてくる。

(嘘だろ……!なんで……!)

ソラはショーイチローを振り切ることができなくて焦る。

少しでも離れたいと
苦し紛れに、蹴りを繰り出そうとした。

だが蹴ろうとしたのを読まれ、
威力が乗る前の蹴り始めを
ショーイチローの腕で押さえ込まれてしまう。

押さえ込んだショーイチローの手が、続けてソラの足首を掴む。

「――甘い」

そのまま、無造作に。

ソラの身体ごと、勢いよく放り投げられた。

(っ――!)

ソラの視界が回転して巡るましく変わる。

勢いそのままに急に、背中に衝撃が走る。

ドンッ!

鈍い音を立てて、ソラは木に叩きつけられた。

「うっ……!」

木に叩きつけられた痛みと衝撃で、
ソラは思わず唸り声を漏らした。

少し離れた場所から、ユナの心配した声が響く。

「ソラ君! 大丈夫!?」

ソラは歯を食いしばり、ユナにすぐに声を返す。

「……だい、じょうぶ」

そう言って、地面に手をつき身体を起こす。

ショーイチローは、倒れたままのソラに追撃を仕掛けなかった。

静かに起き上がるのを待つ。

だが、その瞳に宿る闘志は、先程よりも明らかに熱を帯びていた。
ただ、冷静さを失ってはいない。
研ぎ澄まされいくかのように、鋭さが増していく。

まるで戦いのギアが上がっているようだ。

一方で、ソラの胸中には焦りがあった。

自分の魔力が、確実に減っているのを感じていたのだ。

雷神化《ライジング》
――爆発的な速度と身体能力を得られる代償として、
その性質上常に全身へ魔力を循環させ続けなければならない。

魔力の消費量は、尋常ではない。

持って、あと一回

今のソラに残された余力は、せいぜい一度の応酬。

それ以上は、魔力が先に尽きる。

だからこそ、ソラが取れる 選択は一つだった。

インファイトを仕掛ける

逃げても追いつかれる。

ならば、逃げに使える力の全てを攻撃に回す。

ショーイチローは隻腕。
そのハンデを、最大限に突く。

一気に距離を詰め、
反撃を許さないよう連続で攻撃を叩き込む。

ソラは足に力を込めた。

慎重に

だが、全力で

狙いをさだめる。

目的地はショーイチローの、真正面。

辿り着いた瞬間に
雷速の慣性を殺さず、勢いを乗せて叩き込む。
その光景を、はっきりと頭の中に描く。

心と呼吸を整える。

ソラのその様子を見て、ショーイチローも理解した。

(――次が、最後だな)

どんな攻撃にも対応できるよう、身体に力を巡らせる。

同時に、余計な力は抜く。

張り詰めているのに、柔らかい。

矛盾したその状態が、ショーイチロー自身のギアをさらに一段押し上げていた。

わずかな沈黙。

耳を澄ませば、少し離れた場所にいる
ユナの呼吸音すら聞こえてきそうなほどの、
完全な無音。

――そこへ、風が吹いた。

夜の海からの強い風が、近くの木々を揺らす。

枝が軋み、葉が一枚、はらりと舞い落ちた。

ユラユラと、重力に引かれながら落下していく葉。

その葉が、地面に触れた瞬間――

ソラは、走り抜けた。
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