貸本屋七本三八の譚めぐり

茶柱まちこ

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十月『蹴鞠童』

その四

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 七本屋が佳孝からその報せを受けたのは二日後の朝のこと――聞けば、草村堂の店主・草村伝吉が持病によって倒れたのだそうだ。今は落ち着いているが、医者によればもう永くないとのことであった。
 さて、それを報せにきた佳孝の顔はというと、目に見えて憔悴していた。一日置いただけで人はこうも悪い方へ変われるのかと思わされるやつれ方である。二日前の顔色も決して良いものとは言えなかったが、その頬は今、刃物で削ぎ落としたかのように痩けており、目の下の隈はさらに濃厚になり、伸びた髭を剃る余裕もないようだった。あまりにもげっそりしすぎた見た目に、『お前も医者に行ったらどうか』と勧めたくなる。
 草村堂の座敷童子と伝吉の譚が密接に関わっていることは今更紛うことない話だが、今回の依頼の引き金となった座敷童子騒動がどうなったかと言えば、それは草村堂の様子を見れば嫌でも分かった。

「うっわ……見てるだけで気持ちわりぃ人だかりだな」

 草村堂の入口に押しかけた人の数を見た世助があからさまに顔をしかめる。
 記者も見物客も近所の人間も、品行省みないまま草村堂の中を覗いているのだ。さすがに鍵をかけた硝子戸を破ろうとするような並外れた馬鹿はいなかったものの、押し寄せる人の波を受け止めているその硝子戸は皮脂や吐息にべったりとまみれ、ミシミシと音を立てている。まるで墓場から蘇った亡者の群れのような執拗さと不気味さである。

「『誰にも言わないでね』とお願いしたのですが……」

 草村堂の裏口から建物に入った佳孝はそれとなくぼかして言うが、みなまで言わずとも察しのつくことであった。
 ――一昨日、座敷童子が出現した現場に居合わせた少女が、今まで佳孝が曖昧にしてきた座敷童子の存在を明言してしまったのだろう。実際、ユイは座敷童子と衝突して打撲傷を負ってしまっているし、まことしやかに囁かれてきた座敷童子の話をチラリとでも出してしまえば、信じる者がいたとしても不思議ではあるまい。兎にも角にも、噂は瞬く間に大人たちの間に広まってしまい、二日で記者も見物客も倍以上に増える結果となったのだ。まだ分別のつかない子供を責めるべきではないと頭では分かっていても、この事態を前にすれば子供の軽率ぶりも恨まざるを得まい。

「……もう、疲れました」

 建物に入った佳孝は、そこでぷつんと糸が切れたように座り込んだ。

「最初は、嬉しかったんですよ。本を買っていくお客さんも、確かに増えましたから。――でも、噂が広がるにつれて、あんなふうに人が毎日毎日押しかけてきて。何が福の神だ。『吉次郎』だかなんだか知らないが、あんなの疫病神以外の何物でもない。……もう、たくさんだ」

 認知症の親がいる手前、佳孝もこれまで弱音を吐けなかったのだろう。ひた隠しにしてきた精神的疲労を、佳孝はここに来てようやく吐き出した。吐き出さずにはいられないほど、限界が近いのだ。否、限界などとうに超えているのかもしれない。

「七本さん。私は、どうすればいいんですか」

 佳孝は喉を絞るような声で漏らす。三八に助けを求めていた。しかし、三八はそんな佳孝に対し、

「君はどうしたい?」

 と返すのだった。

「私は君の依頼を受けて来たんだ。どうするかは依頼主の君が決めないと、我々は動けないのだよ」

 三八は、あくまで佳孝のために動く立場であることを強調する。双子とて佳孝をすぐにでも救ってやりたい気持ちはあれど、短慮な振る舞いは許されない。すべては、依頼主の佳孝が何を望むかにかかっているのだ。
 佳孝は憔悴しながらも、それでも腹を決めたように、三八に言った。

「座敷童子を、この家から追い払ってください。あの人だかりが、一刻も早く消えてくれるように」
「本当に、それでいいのか?」

 念を押すような三八の問いかけに、佳孝は迷わず頷く。

「今まで、親父が喜んでいたから耐えてきたんです。座敷童子が出る度、親父が嬉しそうにするから。不気味でも、悪戯ばかりしても、親父が楽しそうにしているのがいいと思って。けど……けど」

 その続きの言葉は、佳孝の中で逡巡してから、初めは小さく紡がれた。

「親父はボケていくばかりで、店主だって親父の生きがいと思って譲っていたけれど、結局それは形だけで、実際に経営しているのは私なんですよ。なのに親父は本を処分しようとすると暴れるし、勝手に本を仕入れてこようとするし、ボケているのに頑固で方針は変えないし、これじゃあ経営が苦しいのだって」

 堰に空いた小さな穴から水が吹き出していくように、佳孝の溜め込んできた思いもまた、音を立てて吹き出していく。三八はそれをただ、静かに見ていた。

「お願いです。座敷童子を、この店からなくしてください」
「承った」

 三八は佳孝の判断に後悔の余地もないと見ると、今度こそ、しかと受け取った。

「二人とも。この前の反省点は分かっているね? もう一度、譚を読み解いてみなさい。それが終われば、あとは小生が判断する」

 双子は頷いた。


 伝吉は布団の上に静かに横たわっていた。呼吸はあるが、それもいつ消えるか知れない細さだ。
 世助は伝吉の枕元に寄ると、その手をそっと握った。

「爺さん、起きてるか。おれのこと分かるか?」

 牛蒡でできたように細くなった手にはまだ温もりがある。伝吉は世助の声を捉えると、世助の手の中でピクリと指を動かした。

「……だれだい?」
「世助だよ。一昨日来た世助」

 伝吉の声はさらに細くなり、元から嗄れているのもあって、耳を澄ませなければ何を言っているかも分からない。息は細く、喋るのもやっとといった様子だ。なのに、不思議なことに、伝吉の表情は苦しむ様子も恐れる様子もなく、穏やかなままであった。

「爺さん、起こして悪いな。おれら、吉次郎に謝りに来たんだ。追っかけ回してごめんって。吉次郎の居場所、分かるか?」

 三八と双子が店に入った時、座敷童子は姿を現さなかった。先日追いかけ回してきた双子を嫌がっているのか、それとも特定の条件下でしか現れないのか定かではないが、座敷童子を読み解くためにも、頼みの綱となるのはこの老人なのである。

「……あ」
「ん? なんだ」

 伝吉が何かを訴える。囁くような声だ。世助が伝吉の口へ耳を近づける。

「……あっち? ……あぁ、あれか」

 伝吉の伸びきらない人差し指と視線の先を探って、世助は気づく。
 そこは先日、襖が閉められていた奥座敷である。双子も閉め切った部屋には近づかなかったので気づかなかったが、その部屋には仏壇があったのだ。その周りにはいくつか玩具が転がっていて、仏壇の前に置かれた座布団は中央が不自然に陥没し、そのちょうど真上くらいに鞠がふわふわ浮いている。よくよく目を凝らせば、紺色の着物を纏った座敷童子が鞠を持って座っている姿がぼんやりと浮かんだ。

「唯助、見えるか。仏壇の前の座布団」
「あぁ、見えた」

 世助が言うまでもなく、唯助は奥座敷へ歩いていく。部屋には入らず、襖の前にそっと正座すると、唯助は仏壇の方に向かって話しかけた。

「吉次郎、聞こえるか?」

 座布団の上で静かに鞠と戯れていた座敷童子は、声に弾かれたようにビクッと背筋を伸ばした。毛の逆立った猫のように警戒して、唯助をじっと見ている。

「ごめんな、吉次郎。一昨日、お前を追いかけたりして。いきなり追いかけられて怖かったよな」

 座敷童子は謝罪する唯助を意外そうに見ていて、唯助がどう動くのかをじいぃっと伺っているようだった。

「兄ちゃんと仲直りしてくれないか。お前と話がしたいんだ」

 唯助はその場から近寄ることなく、引くこともなく、その場に座して語りかけた。座敷童子の方から近づくのをただひたすら待った。それはもう根気強く、座敷童子の警戒が解けるまで、数分ほど待ち続けていた。
 周囲も固唾を飲んで見守る中――座敷童子は座布団から立ち上がると、鞠を手にそろりそろりと近づいてきた。

「兄ちゃんのこと、許してくれるか?」

 唯助が静かに、柔らかい声音で座敷童子に問う。すると、座敷童子は唯助の胸に向かって、大事に抱えていた鞠を差し出した。

『いっしょにあそぼ』

 実際、そう聞こえたわけではなかった。座敷童子の笑ったような表情と口の動きから、そんなふうに言われたような気がしただけだった。ああ、これが座敷童子にとっての仲直りなのだと、唯助は解釈した。童子と言うのだから当たり前なのだけど、本当に子供のようだ。大人のような余計なしがらみや企みなど一切ない、まだまだ純粋な子供のやり取りである。

「ありがとな」

 差し出された鞠を、唯助の手が受け取った。たくさん蹴られてボロボロになった鞠の、ほつれた感触が指に伝わった、その一瞬――唯助はふっ、と体内から何かを吸い取られるような感覚と共に、意識を手放した。


*****


「──ほら、見て。貴方の弟よ」

 そう言う母の腕に抱かれていたのは、本当に本当に小さな赤ん坊だった。頭はころんとしていて、鞠くらいの大きさしかなくて、目は閉じていて、頬が真っ赤だった。すやすや眠っている赤ん坊の頬を指でちょいちょいつつくと、赤ん坊はつつく私の指を探してこちらを向いた。指をちうちう吸われた私は、その赤ん坊に対して可愛いといと思うより先に、未知の不思議な生き物に触れているような感じを覚えた。

「吉次郎っていうのよ。よろしくね」

 母は赤ん坊の手を取ると、私に向かってゆるゆる振って見せた。赤ん坊は相変わらず寝ていた。
 その日からその赤ん坊は、吉次郎は、私の弟になった。吉次郎ははいはいを覚えると、あちこちかまわず家中を這いまわった。あっという間に歩くことができるようになると、家中どこでもなんて当たり前、気づけば外にまで出ようとしていたなんてこともあった。お絵描きを覚えれば襖に落書きをし始め、おやつの羊羹を一人だけ先に食べてしらばっくれ、母に叱られてしょげてはまた懲りずに繰り返す。
 ――思えば、本当に手のかかる弟だった。けれど手がかかる分だけ、愛着も増していった。「兄ちゃん」と呼ばれて近寄られることが、私はこの上なく嬉しかった。

 吉次郎は蹴鞠をよく持ってきては私を遊びに誘っていたけれど、近所の子供たちと遊ぶ時は決まって隠れんぼをしていた。蹴鞠が上手くできない子供もいて、皆が一緒に遊べなかったからだ。
 ある日、皆で隠れんぼをしていたとき、吉次郎だけがいなくなってしまったことがある。同い年の与太郎や、近所のミヨコさんにも呼びかけて探し回ったけれど、まるで神隠しにあったかのように見つからなかった。最終的に村中を巻き込んだ大捜索をして、ようやく吉次郎は林の中から見つかった。吉次郎は叱られても転んでも笑っているような子だったが、この時ばかりは本当に怖かったらしい。おじさんにおぶわれた吉次郎は、家に帰るまでわんわん泣いていた。

 ――吉次郎はそれから間もなくして、本当にいなくなってしまった。周りの大人たちが『コロリだ』としきりに話していたけれど、何があったのか様子を見に行こうとすれば必ず誰かに『近づいてはだめ』と引き止められた。吉次郎がいない、周りの大人は騒いでいる、そんな状況に置かれてしまった私の頭は混乱するばかりだった。その騒ぎを境にして、吉次郎とは二度と会えなくなってしまった。周りの大人たちが『可哀想に』『あんなに元気だったのに』と話していたけれど、私にはそれがどういった意味なのか、分からなかった。
 ある日私が、吉次郎はどこ? と聞いた。大人たちは悲しそうな顔をするばかりで、何も教えてくれない。ただ、『コロリだ』『コロリのせいだ』と言うばかりだった。
 分からないから、探しに行った。村の中も、友だちの家も、林の中も、全部探した。吉次郎はどこにもいなかった。誰かに居場所を聞いても、皆が口を揃えて『コロリ』と言う。私は、分からなかった。最後まで、どうしていなくなってしまったのか、分からなかったのだ。――ただ、たった一つだけ。吉次郎がいなくなったことだけは、認めざるを得なかった。その事実を飲み込んだ時、私はようやく、声を上げて泣いた。
吉次郎はいない。どこにもいなくなった。悪戯好きで困らせたがりの、可愛い私の弟は。消えてしまったのだ。


*****


「唯助」
「!」

 気がついた唯助の目の前にいたのは、紺色の着物を着た座敷童子ではなく、紺色の着物を着た三八だった。しかし視界が滲んでいて、その姿は靄がかっている。目を擦ると、手に濡れた感触があった。

「あれ、おれ」

 ポタッと雫が落ちる。その先を辿ると、唯助の手にはボロボロになった鞠があった。喉に何かが詰まったような息苦しさを自覚して、唯助はやっと自分が泣いていたことに気づいた。
 辺りを見渡してみる。座敷童子はいなかった。少し離れたところで伝吉の手を握った世助がこちらを見守っている。

「旦那、おれは……」
「譚はかい」
「っ!」

 三八の言葉によって、唯助は自分の身に何が起きていたのか、感覚として理解した。
 あれは、あの夢は――

「伝吉さんの、譚……?」
「ああ」

 三八は全て分かっていたかのように、唯助の言葉に頷く。

「話してみなさい。君が見たものを、小生に語ってみなさい」

唯助は唾を飲み込む。涙を拭って、ふー……と息を整えて、譚を語り始めた。

「……座敷童子は、吉次郎は、伝吉さんの弟です。小さい頃の伝吉さんが、心の底から可愛がっていた弟だったんです。でも……コロリに罹ったせいで、突然亡くなってしまった。伝吉さんは、吉次郎がどうしていなくなったか分からなくて、ずっとずっと探して、探して探して、見つからなくて、ただ、いなくなったことだけ、ずっと残ってて……それで」

 その先は、唯助には分からなかった。なぜ、数十年も経った今になって、吉次郎が伝吉の譚の【夢】として現れたのか、この店に居ついたのか、そこまでは分からなかった。
 唯助が続きの言葉を紡げないでいると、三八は唯助と、後ろにいた世助に向かって言った。

「……唯助、世助。人には様々な老い方がある。病と闘いながら老いていく者、ある日突然ぽっと火が消えたように力尽きる者。――伝吉殿は、人間として一番純粋な部分だけを残しながら老いていたのだ。子供から大人になるにつれ、厚着をしていくように重ねてきたものを、少しずつ脱ぎ捨てていくようにね」

 そうして一つ一つ脱ぎ捨てながら、生まれたての姿に戻っていく。その最果てに残るのは、性別も、個性も、社会的地位も無い、一人の赤ん坊のような無垢な裸体なのである。

「ずーっとずっと、死後何十年も弟を愛し続けた兄の譚か」

 三八は脱力した唯助の手から鞠を受け取り、すっと音もなく立ち上がると、布団に横たわった伝吉のもとへ歩いていった。枕元で世助の反対側から手を握り、三八はゆっくりと彼の耳に語りかけた。

「伝吉殿、貴方は綺麗な夢を見る人だね。吉次郎が本当に可愛かったんだね」

 ほとんど眠ったようにぐったりしていた伝吉の、枯れ木のような手が、またピクリと動いた。世助が初めに話しかけた時よりも弱くなったその手の力は、弱くなったはずなのに強い熱を感じる。伝吉は「吉次郎」と名を呼びながら、呻くように泣き始めた。

「一人ぼっちで、寂しかったねぇ……ずーっと見つけられなくて、ごめんねぇ……兄ちゃんもそっちに行くからねぇ……ちゃんといい子で待ってるんだよ、吉次郎……」

 息も切れ切れで、いつ消えるか分からない線香の火のような言葉だった。

かいしたよ、伝吉殿」

 伝吉の想いを受け取った三八が、鞠を宙に放り上げる。すると、鞠が淡い光を放った。
 それは柔らかい日差しのようでもあり、燃え尽きる寸前の炭火のようでもある。
 決して色鮮やかではない、どころか輪郭までぼやけた、煤を纏ったような光だった。
 鞠がほつれてできたふわふわの毛糸のような光が文字を織り、頁を成し、三八の手の上に収束して本に編まれていく。

「――あぁ、これはいい譚だ。とてもいい譚だよ、伝吉殿」

 ほう、と夢を見るように、三八の唇から柔らかなため息が零れた。その様を間近で見ていた世助や、離れて見守っていた唯助は、譚が本になっていく光景にすっかり魅了されていた。
 伝吉の喉から、く、という音が漏れる。伝吉は腕を力強く宙に伸ばすが、伸ばされた腕は瞬く間に、呆気なく、力を失って下ろされていく。身体中からやっとこさかき集めた、本当に最期の力を出し切ったその手を、三八の手が優しく握りしめた。

「おやすみなさい、伝吉殿」

 三八は燃え尽きていく老人に囁くと、うっすら開いたままのその瞼にそうっと指で触れた。
 ――一人の男の人生が、静かに終幕を迎えた瞬間である。
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