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八月『先生の匣庭』
結
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──『異端の貸本商』『稀代の文豪』『譚本に愛された男』
七本三八という男についてはこれまでも並々ならぬ表現を、しつこく辟易するほどねちねちとしてきたが――今ここで、あえてそれをもう一度強調する。
第一に、唯助や音音を守った栞を作り上げる技術。
言うなれば、『毒を以て毒を制す』である。禁書の【毒】を、禁書の【毒】を纏うことで防ぐ。しかし、その纏う【毒】も、人間にとってはれっきとした毒なのだ。医療において毒(劇薬ともいう)を治療薬として用いることはそう珍しいことでもないが、一歩間違えば使用者の命が危機に晒される。
この微妙な匙加減、実は非常に難易度が高く、数十年前までは『安全性と効果の高い栞』は限られた数の禁書士にしか作成不可能であった。その作成法を簡易化し、経験の浅い禁書士でもある程度の効果がある栞を作れるよう術本化したのが、実はこの七本三八である。
第二に、譚本の【夢】を用いた心理学的治療法。かつて実井寧々子に適用した譚本による精神病の治療も、元々は三八が過去に編み出した、画期的な譚本の活用法である。(具体的な使用法は前譚にて語った通りなので省略させて頂く)。この治療法は残念ながら、先の藤京大震災をきっかけとする譚本離れの煽りを受けて憂き目を見てしまったのだが、未だにこの方法を研究し、効果を実証し続けている医学者もいるとの噂もある。
そして、今回特筆すべき点。禁書の譚本が作る【夢】――すなわち、閉じられた異界に穴を開けて入り込み、囚われた人間を救出するなどという、出鱈目すぎる芸当。
それを可能にするのも、この大陽本においては現時点で七本三八だけである。
――さて、そんな出鱈目な才覚を持つ七本三八は、なぜ禁書士としてはこんなにも知名度が低いのか?
簡単だ。
彼自身が知名度が高いということを全く望んでおらず、どころかその知名度が邪魔くさくて隠蔽しているからである。
*****
「まったく、人の空間に無理やり入り込んだ挙句、こんなに荒らして。異界に連れ込んでさえしまえば、いくら禁書士がいようともお手上げだと思ったのに。――しかし、あの頃少年だった貴方がこんなに立派に成長していたとは。邪魔をされたのは不快でしたが、こうしてまた再会できたのは嬉しいですよ、ミツユキ様」
「………………」
「それにしても、意外ですね。貴方が妻を迎えるなんて。私はあのお嬢さんを貴方の教え子だと思ったのですが」
「………………」
「ずいぶんとお若いお嬢さんであることもそうですが…確か貴方は少年時代から女性恐怖症ではありませんでしたか? それとも、そういった関係ではないと」
「………………」
「あぁ、もしかしてあのお嬢さんは子が成せないのでしょうか。だとしたら肉体関係は持たずに済むので納得ですが……しかし、天才的な貴方の遺伝子が後世まで遺されないことを考えると、勿体ないように思いますね」
「……………………」
「……ずっと、だんまりですか。残念です、昔の貴方は私にたくさん語りかけてくれたというのに」
「語るまでもなかろう。語られずとも見るだけで、その人物を見通す目。功績も罪も、全てが見える目。そんな目で見透かすままにべらべらと小生を語り散らしおって。だから小生は君が嫌いになったんだ、珱仙。しかも、どうしてそんなふうに人の神経を逆撫でするようになってしまったのかな」
「さあ、どうしてでしょう。禁書になったせいでしょうか。禁書の【毒】とまで言われる存在ですからね。少なからず悪意を持ってしまうのは、逃れられない運命なのでしょうかね」
「何を言う。君は元々性格が悪いだろう。禁書になってそれが助長されただけだ。この腹黒野郎め」
「そうは仰いますが、ミツユキ様。貴方には私を咎められる資格などないと思うのですよ。貴方こそ、また人を救うためと言いながら殺したようではありませんか。今から五年前でしょうか?」
「……!」
「見る度に全てを見通すこの『慧眼』。つくづく恐ろしい力です。私が知ろうとしなくても、知りたくなくても、私はこの目で見た人の全てを知ってしまう。貴方と会っていない間のことも、貴方が隠していることも――貴方が失ってしまったものも、全て。正直、貴方がこんな人間になってしまったことも、それを知ってしまったことも悔やむばかりです。しかし、貴方にそれを示したところで、詮無きことでしょう」
「……あのなあ、貴様。首元を焼かれているのによく喋れるな。喉笛までは焼けなかったようだが、かなり痛むはずなのに。さすがあの爺が紡いだ本なだけある」
「稀代の文豪と呼ばれる貴方の師匠ですからね。私にも彼に紡がれたなりの矜持がございます。……しかし、その私の手を食い破るとは、貴方の【猛毒】はやはり飛び抜けている」
「………」
「もはやその【猛毒】は、危険すぎて貴方にしか使えない。『糜爛の処女』を紡いだ貴方にしか使えないほどの代物なのですね」
「…………そこも見たか」
「ええ、見えましたよ。見たくありませんでしたが」
「いや、そんなことはどうでもいいんだ。そんな場合ではないのだよ、珱仙。君には人の過去を語るよりももっと重要なことがあるんだから」
「なんです?」
「君は禁書になってしまった。そして少なくない被害を出した。だから、懲罰を受けた今、君には二つの選択肢がある」
「ほう」
「一つ。定石通り、帝国中央図書館の地下にある書庫に収められる。二つ。小生の傘下に降り、七本屋の書庫に収まる。居心地は……まあ、中央図書館よりはよかろう。長屋くらいの感覚だと思ってもらって構わない」
「どちらも拒否した場合はどうなるんです?」
「拒否権はないよ。最終的にどちらか選んでもらう。抵抗するならもう一回焼いたのち、強制的に牢獄行きだ」
「なるほど。逃げ道はなしですか」
「抵抗するか? しても構わんぞ」
「いいえ。さすがに……これは二度も食らいたくありません。いえ、二度も食らわれたくない、でしょうか。ならば、貴方の傘下に降るべきなのでしょう。貴方の師が紡いだ本として、貴方の譚を見届けるためにも」
「……君、ほんとにやな奴だねぇ。あの爺とは別の意味で」
「ふふふ。では嫌味ついでに、この譚本の読み手であった貴方に忠告を申し上げあげましょう」
「なんだ」
「お気をつけなさい。あの子たちを傷つけまいとするその慈愛が、正しく展開するとは限らない。特に、あのお嬢さん。貴方の妻でしょう。貴方の娘ほどの年ではあるけれど、れっきとした貴方の妻だ」
「……何が言いたい?」
「ようは貴方――本当に彼女を妻として、伴侶として見ているのですか?」
「!」
「貴方の慈愛は、誰への慈愛ですか? ――という話ですよ、ミツユキ様。いいえ、七本三八様」
「……………。小生、やっぱり君のこと嫌い」
「ふふふ」
*****
――さてさて、双子の少年の譚は雨降って地固まり、一方で三八には不吉な警告が残され、後味がいいんだか悪いんだかよく分からない形で、禁書『先生の箱庭』事件は終結した。
気になる夏目世助の今後だが――彼は七本三八に類まれなる先天干渉者の資質、そして後継争いに見事勝ち残ったその負けん気を大いに評価された。そして、三八が持つ人脈への働きかけにより、優秀な帝国司書を輩出する柄田家への養子入りを勧められたのだった。
もちろん、世助は唯助同様、世間知らずのまま育っていたため、暫くは七本屋に住み込みで修行するという条件付きだ。
当の世助としては、今まで無縁と思っていた帝国司書という上級役人職へのパイプが繋がるという予想外の転機に、却って恐れ慄いていた。
そして、思わず口にした。
「おっさん、あんた何者なんだよ」
「ただの本好きな五十六歳のおっさんだよ」
「は?」
「五十六歳」
「……聞き間違いか? おっさん、もう一回だけ言って?」
「五十六歳だよ」
どう多く見積もっても三十路くらいの見た目をした三八の口から、ありえない数字が飛び出たのを受けて、世助は目を丸くし、ぽかんと口を開けていた。そしてその丸い目のまま、三八の顔を凝視する。
「いやん、いくら小生が若々しいからって、そんなに熱心に見られたら照れちゃうよ」
三八が気色悪く体をくねらせた数秒後、世助が近所から怒鳴られるほどの大絶叫を発したのは言うまでもない。
八月『先生の匣庭』・了
七本三八という男についてはこれまでも並々ならぬ表現を、しつこく辟易するほどねちねちとしてきたが――今ここで、あえてそれをもう一度強調する。
第一に、唯助や音音を守った栞を作り上げる技術。
言うなれば、『毒を以て毒を制す』である。禁書の【毒】を、禁書の【毒】を纏うことで防ぐ。しかし、その纏う【毒】も、人間にとってはれっきとした毒なのだ。医療において毒(劇薬ともいう)を治療薬として用いることはそう珍しいことでもないが、一歩間違えば使用者の命が危機に晒される。
この微妙な匙加減、実は非常に難易度が高く、数十年前までは『安全性と効果の高い栞』は限られた数の禁書士にしか作成不可能であった。その作成法を簡易化し、経験の浅い禁書士でもある程度の効果がある栞を作れるよう術本化したのが、実はこの七本三八である。
第二に、譚本の【夢】を用いた心理学的治療法。かつて実井寧々子に適用した譚本による精神病の治療も、元々は三八が過去に編み出した、画期的な譚本の活用法である。(具体的な使用法は前譚にて語った通りなので省略させて頂く)。この治療法は残念ながら、先の藤京大震災をきっかけとする譚本離れの煽りを受けて憂き目を見てしまったのだが、未だにこの方法を研究し、効果を実証し続けている医学者もいるとの噂もある。
そして、今回特筆すべき点。禁書の譚本が作る【夢】――すなわち、閉じられた異界に穴を開けて入り込み、囚われた人間を救出するなどという、出鱈目すぎる芸当。
それを可能にするのも、この大陽本においては現時点で七本三八だけである。
――さて、そんな出鱈目な才覚を持つ七本三八は、なぜ禁書士としてはこんなにも知名度が低いのか?
簡単だ。
彼自身が知名度が高いということを全く望んでおらず、どころかその知名度が邪魔くさくて隠蔽しているからである。
*****
「まったく、人の空間に無理やり入り込んだ挙句、こんなに荒らして。異界に連れ込んでさえしまえば、いくら禁書士がいようともお手上げだと思ったのに。――しかし、あの頃少年だった貴方がこんなに立派に成長していたとは。邪魔をされたのは不快でしたが、こうしてまた再会できたのは嬉しいですよ、ミツユキ様」
「………………」
「それにしても、意外ですね。貴方が妻を迎えるなんて。私はあのお嬢さんを貴方の教え子だと思ったのですが」
「………………」
「ずいぶんとお若いお嬢さんであることもそうですが…確か貴方は少年時代から女性恐怖症ではありませんでしたか? それとも、そういった関係ではないと」
「………………」
「あぁ、もしかしてあのお嬢さんは子が成せないのでしょうか。だとしたら肉体関係は持たずに済むので納得ですが……しかし、天才的な貴方の遺伝子が後世まで遺されないことを考えると、勿体ないように思いますね」
「……………………」
「……ずっと、だんまりですか。残念です、昔の貴方は私にたくさん語りかけてくれたというのに」
「語るまでもなかろう。語られずとも見るだけで、その人物を見通す目。功績も罪も、全てが見える目。そんな目で見透かすままにべらべらと小生を語り散らしおって。だから小生は君が嫌いになったんだ、珱仙。しかも、どうしてそんなふうに人の神経を逆撫でするようになってしまったのかな」
「さあ、どうしてでしょう。禁書になったせいでしょうか。禁書の【毒】とまで言われる存在ですからね。少なからず悪意を持ってしまうのは、逃れられない運命なのでしょうかね」
「何を言う。君は元々性格が悪いだろう。禁書になってそれが助長されただけだ。この腹黒野郎め」
「そうは仰いますが、ミツユキ様。貴方には私を咎められる資格などないと思うのですよ。貴方こそ、また人を救うためと言いながら殺したようではありませんか。今から五年前でしょうか?」
「……!」
「見る度に全てを見通すこの『慧眼』。つくづく恐ろしい力です。私が知ろうとしなくても、知りたくなくても、私はこの目で見た人の全てを知ってしまう。貴方と会っていない間のことも、貴方が隠していることも――貴方が失ってしまったものも、全て。正直、貴方がこんな人間になってしまったことも、それを知ってしまったことも悔やむばかりです。しかし、貴方にそれを示したところで、詮無きことでしょう」
「……あのなあ、貴様。首元を焼かれているのによく喋れるな。喉笛までは焼けなかったようだが、かなり痛むはずなのに。さすがあの爺が紡いだ本なだけある」
「稀代の文豪と呼ばれる貴方の師匠ですからね。私にも彼に紡がれたなりの矜持がございます。……しかし、その私の手を食い破るとは、貴方の【猛毒】はやはり飛び抜けている」
「………」
「もはやその【猛毒】は、危険すぎて貴方にしか使えない。『糜爛の処女』を紡いだ貴方にしか使えないほどの代物なのですね」
「…………そこも見たか」
「ええ、見えましたよ。見たくありませんでしたが」
「いや、そんなことはどうでもいいんだ。そんな場合ではないのだよ、珱仙。君には人の過去を語るよりももっと重要なことがあるんだから」
「なんです?」
「君は禁書になってしまった。そして少なくない被害を出した。だから、懲罰を受けた今、君には二つの選択肢がある」
「ほう」
「一つ。定石通り、帝国中央図書館の地下にある書庫に収められる。二つ。小生の傘下に降り、七本屋の書庫に収まる。居心地は……まあ、中央図書館よりはよかろう。長屋くらいの感覚だと思ってもらって構わない」
「どちらも拒否した場合はどうなるんです?」
「拒否権はないよ。最終的にどちらか選んでもらう。抵抗するならもう一回焼いたのち、強制的に牢獄行きだ」
「なるほど。逃げ道はなしですか」
「抵抗するか? しても構わんぞ」
「いいえ。さすがに……これは二度も食らいたくありません。いえ、二度も食らわれたくない、でしょうか。ならば、貴方の傘下に降るべきなのでしょう。貴方の師が紡いだ本として、貴方の譚を見届けるためにも」
「……君、ほんとにやな奴だねぇ。あの爺とは別の意味で」
「ふふふ。では嫌味ついでに、この譚本の読み手であった貴方に忠告を申し上げあげましょう」
「なんだ」
「お気をつけなさい。あの子たちを傷つけまいとするその慈愛が、正しく展開するとは限らない。特に、あのお嬢さん。貴方の妻でしょう。貴方の娘ほどの年ではあるけれど、れっきとした貴方の妻だ」
「……何が言いたい?」
「ようは貴方――本当に彼女を妻として、伴侶として見ているのですか?」
「!」
「貴方の慈愛は、誰への慈愛ですか? ――という話ですよ、ミツユキ様。いいえ、七本三八様」
「……………。小生、やっぱり君のこと嫌い」
「ふふふ」
*****
――さてさて、双子の少年の譚は雨降って地固まり、一方で三八には不吉な警告が残され、後味がいいんだか悪いんだかよく分からない形で、禁書『先生の箱庭』事件は終結した。
気になる夏目世助の今後だが――彼は七本三八に類まれなる先天干渉者の資質、そして後継争いに見事勝ち残ったその負けん気を大いに評価された。そして、三八が持つ人脈への働きかけにより、優秀な帝国司書を輩出する柄田家への養子入りを勧められたのだった。
もちろん、世助は唯助同様、世間知らずのまま育っていたため、暫くは七本屋に住み込みで修行するという条件付きだ。
当の世助としては、今まで無縁と思っていた帝国司書という上級役人職へのパイプが繋がるという予想外の転機に、却って恐れ慄いていた。
そして、思わず口にした。
「おっさん、あんた何者なんだよ」
「ただの本好きな五十六歳のおっさんだよ」
「は?」
「五十六歳」
「……聞き間違いか? おっさん、もう一回だけ言って?」
「五十六歳だよ」
どう多く見積もっても三十路くらいの見た目をした三八の口から、ありえない数字が飛び出たのを受けて、世助は目を丸くし、ぽかんと口を開けていた。そしてその丸い目のまま、三八の顔を凝視する。
「いやん、いくら小生が若々しいからって、そんなに熱心に見られたら照れちゃうよ」
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