ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

漸く終わりが見えてきたというのに

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ザッ!

「か、金成様!御報告致します!
先程"外なる者達"に向かわせた兵が返り討ちに遭っている模様!
報告によると例の"黒い二刀"の少年1人に殺られていると…」

パンッ!

「やはりそうかぁっ!
っしゃあ!今すぐ"闇蜘蛛"を送れ!
それと"時"を使い"暴坊将軍(アバレンボウショウグン)"と地均明王(ジナラシミョウオウ)を召喚せよ!
"城下を復興"させられる前に叩くのだ!」  

「ハッ!」


時羽金成は胡座をかいた状態で膝を叩いて立ち上がると、報告に来た兵に指示を飛ばす。


「それと俺の鎧を持って来い。」

「で、では出られるので…?」

「追加2体でもその者を止められんかも知れんからな!
念には念をって奴だ!」


金成はそう言いながら焦げた天守から焼け滅んだ城下を見やる。
その城下からは幾人もの兵達の叫び声が上がっていた。





バシュシュシュッ!

ドッ!「オゴッ!?」
ドズッ!「ぐぁっ!?」
ガチュッ!「ぎっ!?」


"火矢兵1体を討伐、報酬として火矢10本と"6分"を獲得しました。〟
"火矢兵1体を討伐、報酬として火矢10本と"6分"を獲得しました。〟
"火矢兵1体を討伐、報酬として火矢10本と"6分"を獲得しました。〟


「い、射れ!射続けぃっ!」

ドシュシュシュッ!

ドッ!「ガッ」ドド「おぐっ…」ドッ!

ザァッ…

「…っと、こっちも息絶えたか。」


"足軽兵1体を討伐、報酬として"4分"を獲得しました。〟


足軽兵を盾にして矢を射続けていたノアだが、火矢衆5人を討ち取った所で息絶え、崩れ落ちた。


「見よ!今の奴に防ぐ物は無い!
残存する足軽兵と槍兵はその少年を包囲せよ!
火矢衆は足を止めた少年を集中狙いだ!」

「「「「「「お"うっ!!」」」」」」

ボッ!ボボッ!ビュオンッ!

ドッ!


兵達は指示を受けると即座に槍の穂先や刀を振ってノアへ斬り掛かってきた。

が、その場でノアは垂直に飛び上がって回避。
眼下では幾本もの槍や刀が網目の様に交差していた。


ズンッ!ミシッ…「「「「うぉわっ!?」」」」


その交差した槍や刀を踏み付けると、荒鬼神2本を装備したノアの重さが崩れ、手前側に居た兵達の体勢が思いっ切り前のめりになり


ビュオンッ!『『『『『ゾリッ!』』』』』


"槍兵1体を討伐、報酬として"12分"を獲得しました。〟
"槍兵1体を討伐、報酬として"12分"を獲得しました。〟
"足軽1体を討伐、報酬として"4分"を獲得しました。〟
"槍兵1体を討伐、報酬として"12分"を獲得しました。〟
"槍兵1体を討伐、報酬として"12分"を獲得しました。〟


「ふっ!」ボッ!

『『『『ゾリッ!』』』』


"足軽1体を討伐、報酬として"4分"を獲得しました。〟
"槍兵1体を討伐、報酬として"12分"を獲得しました。〟
"槍兵1体を討伐、報酬として"12分"を獲得しました。〟
"足軽1体を討伐、報酬として"4分"を獲得しました。〟


「「「「「「「「……っ…」」」」」」」」


ノアが荒鬼神を一振すれば最低4人の首が撥ね飛ばされる状況に、兵や火矢衆の者達は言葉を失う。

数では圧倒的に優位であるハズの時羽軍の士気は、ここから一気に下がる事になるのであった。






片や『犬姫』やアーク、その他ノアの仲間達はと言うと


「…王都でもそうでしたが、ノア君の戦い振りは何と凄まじい…
数の優位が全く問題になってないじゃないですか…」

「あぁあ凄いノア殿、超カッコイイ…
"野盗200人斬り"の話聞いてから私、彼のファンだったんですよ~。(ハウンド)」

「うん…知ってる…」


実はハウンドはノアの隠れファンで、毎度一騎当千の戦い振りを仕出かすノアに心酔しているらしい。

因みに彼女の将来の夢は、"自分より強い人のお嫁さん"との事。


ポンッ。

「うんうん、分かりますよ~ハウンドさん。
ノア様はあれ程の力をお持ちなのに、それをひけらかす事もありませんし、力を持たない私にも対等に接してくれますし。」

ポンッ。
 
「"機兵と言う身でありながら物と扱わず、1人の女性として接してくれる。そこに惚れました。"
と、本体も申しております。」


と、ヴァンディットとラインハードの2人がハウンドの肩を叩きつつそう伝える。

そして最後にハナがトドメとして


「ホント、どっかの誰かさんとは大違いですね。」キッ!

「うっ…」


ハナに睨まれたアークは申し訳なさそうに目を逸らす。


「あなた、真面目になろうと思えばなれるのですから、普段からもそうしてれば良いでしょうに。」

「と言うか、何で急に真面目になりだしたんだ?さっき頭打ち過ぎたからか?
変わり過ぎて、正直言って気持ち悪いぞ?」

「気持ち悪いですね。(ハナ)」
「確かに気持ち悪いですね。(ヴァンディット)」
「キモい。(ラインハード)」
ウォェ。(ブラッツ)

「よ、寄ってたかって言わなくたって良いだろう!
自分でも困ってるんだ!頭の中にモヤみたいのが掛かって制御が効かなくなるんだ!」

「「「「え?」」」」

ウォ?







ザシュッ!「ごっ…ぐはぁ…」ドサッ!


"指揮兵1体を討伐、報酬として"8分"を獲得しました。〟


「う、うわぁあっ!指揮兵が殺られた!」
「駄目だ!勝てっこねぇぜ!」
「に、逃げ…いや、金成様に報告に行くぞ!」


先程まで兵達に指示を飛ばしていた指揮兵がノアに討ち倒され、地面に転がると、明らかに兵達が動揺しだす。

中には報告と言う建前の撤退をし出す者まで出てくる。




[戰場から逃げ出すとは何たる腑抜けよ…
絶望的状況の時こそ己を奮い立たせ、獅子奮迅の活躍をするべきであろうっ!]

ビリビリッ!

耳をつんざく様な大声で逃げ出す兵にそう焚き付ける声が聞こえる。

声の出所を見ると、今一同が居る場から少し離れた石垣の上に、装甲を着けた巨大な馬の上に、これまた馬鹿デカい鎧姿の武者がこちらを見ていた。


〈相変わらず馬鹿デカい声で喋るなぁ、"将軍"は。
だが、お前の言う通り戰場から逃げるとは解せんな。そこの少年諸とも"均して"やろうぞ。〉


道の奥から袈裟を羽織り、草履を履いた大男がそう言いながら歩いてきた。
だがその大男の腕を見ると、只者では無いのが直ぐに理解出来た。

大木の様に太い腕(かいな)で、凄まじい程鍛え上げた為か、金属の様な光沢を放っている。
拳を握れば、鉄塊の如き異様さである。


ズズ…

〔ヒヒヒ…ケケケ…〕


焼け落ちた家屋の影から黒いモヤの様な塊が現れる。
そのモヤは嗤い声を上げているが、人の形を成しておらず、モヤの中心には白い能面が張り付いていて不気味さを際立たせている。


[我らは金成様より産み出された存在!
そこな少年よ。
いざ、尋常に勝負なり!]

ドンッ!ズズンッ!


馬鹿デカい鎧姿の武者が馬鹿デカい馬の手綱を握り、大きく跳躍すると、ノアの目の前に降り立つ。

武者の姿を間近で見ると更に大きく、馬上と言う事も合わせて有に5メルはあるだろう。


[某は"暴坊将軍(アバレンボウショウグン)"!
大戦では時羽軍の先陣を務める者よっ!
さぁ若き兵(ツワモノ)よ!死合おうぞ!]
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