ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

適応力

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~再び龍宮城~ 

「ねぇリヴァイアさま、″きんきりゅー″ってリヴァイアさまとはなにがちがうんですか?」

「ははは、ぜーんぜん違うよ。
純粋な強さとか有効な属性が存在しないとか、そもそも勝負にならないとか色々あるけど、1番の違いは″適応力″かな?」

「てきおーりょく?」

「例えば私は高温が苦手だから、火山に足を入れるのに10年掛かったし、どっぷりと浸かるのは未だに苦手よ?
けど禁忌龍は短時間でその場の環境や状況に対応出来る力に長けてるの。
ほら、丁度グリードさんが何か仕掛けるみたいだよ。」 





~″海中″エリア~

ゴォオッ!

ズゥウウウ…メキメキメキメキ…


デストロイドから発射された砲弾が迫る中、25メルサイズの大きさに戻ったグリードの胴体から突然細くしなやかだが、漆黒の龍鱗の揃った立派な腕が生えてきた。


ゴギィンッ!ギリリッ!

ギュォオオオオオッ!


飛んで来た砲弾をその腕で掴み取ると、グリードの全身が煌めき始め、その光が砲弾を掴んでいる腕に集束していく。

それはプラズマレーザー発射前の状態に似ていた。


バガァッ!ドギュゥウウウンッ!

「おわぁっ!?」

\(゜ ゜)ノ\(゜ ゜\)『ごぼー。(ゥワー。)』


グリードの腕の中で大爆発が発生したかと思うと、デストロイドが放ったモノよりも数倍速い砲弾が一直線にサハギンジェネラルの方に突き進んで行く。

その際の衝撃波が周囲に伝播。
ノアや【鬼灯丸】らを吹き飛ばしてしまった。


ゴッ!

『ジ、ジャバザギゴゥェルァッ!!』

ダガァンッ!!!

ド『パガァアッ!』


数倍速く撃ち返された砲弾に慌てふためいたサハギンジェネラルが再び指示を飛ばし、デストロイドが直ぐに次弾を発射。

グリードが撃ち返した砲弾に接触した瞬間、何の抵抗も無く破壊。
真っ直ぐ一直線にサハギン、サハギンジェネラル、デストロイドに向かい


チュガッ!


強固な殻を持つデストロイドの砲塔に直撃、貫通して海底に着弾。
逃げ場を失った衝撃は大爆発という形で発現したのであった。


ドバァアアアアッ!

『『『ギャギギッ…ィ…』』』×30
『『ガ…ハァ…』』×40
 

発生した爆発の衝撃波は甚大で、デストロイドの周辺に待機していたサハギン共は吹き飛ばされ、爆発に巻き込まれる間際、木っ端微塵に粉砕していく光景が視界に入った。

その時にはサハギンジェネラルの姿が見えなかったが、あの爆発ではただでは済まないだろう。

と、ノアは左半身が砂に埋まりながらぼんやりとそんな事を考えていた。





ズズズズズ…

《主様!見て下さいましたか、私頑張っちゃいました…って、わぁあああっ!?大丈夫ですか!?》

(   /  ゜゜)ノ ザックザック…\(  ゜゜  \)


グリードが後ろを振り返ると、爆発で舞い上がった砂が積もり、体の大半が埋まったノアと、それを2人掛かりで掘り返す【鬼灯丸】達の姿があった。





(    ゜゜)(    ゜゜)←満足

「2人共ありがとう。
こりゃまたド派手にやったね、グリード。」

《すいません、初めてでしたので加減が出来ず…》

「まぁ全て片付いたから良いけど、その腕はどうしたの?」


グリードから生えた腕を見ると、腕と砲塔が一体化した様な形状をしていた。


《水中ですと私のプラズマレーザーが弱体化してしまいますので、瞬間的な爆発力を利用して発射台として利用出来ないかな~、って思って試してみたんです。》

「あ、見切り発車だったんだね。」

《飼い主に似たんです。》

「ぐぬぬ。」


何はともあれ突然始まったサハギン討伐戦は、半径200メルに被害を及ぼす大爆発が決め手となって呆気なく終了したのであった。





ザッ、ザフッ…

グルルルル…

「…ひ、ひょぇえ…(ラビッツ)」
「間近で見たのは初めてだけど、迫力凄いね…(ヤン)」
「我等をお助け頂き感謝しますグリード様。(セレイア)」

( ゜゜ )( ゜゜ )

「も、勿論ノア君が召喚したあなた方にも感謝しております。(セレイア)」


【鬼灯丸】2人の無言の圧に圧されたセレイアが感謝の言葉を述べる。




\( ゜゜ )\( ゜゜ )『『ごぼ。(では。)』』

スゥウウウ…


役目は終わったとばかりに【鬼灯丸】の体は徐々に霧散していった。


「喋れたんだ、あの2人…」

(『何だ、話してくれりゃ良かったのにな…』)





「…にしてもセレイアさん、あのサハギン共はやり過ぎでは?
下手すれば上級冒険者でも対処難しいんじゃないですか?」

「そ、そうですね。
リヴァイア様に掛け合って、検討してみます…(セレイア)」


ノアに指摘されて目を泳がせるセレイア。
その振る舞いに何処と無く違和感を覚えるノア。


「ねぇセレイアさん?
何か僕達に隠してませんか?」

「んぇっ!?い、いえ!何も隠す様な事は「だって何かさっきから難易度がおかしいモンスターが必ず1体は居ましたし、上級冒険者であるヤンさんに意見を聞いた上でダンジョンを作った割に、僕じゃないと対処のしようが無い場面ばかりでしたよ?特にこのエリアから。」

「そ、それは調整不足という事で…(セレイア)」

「ふ~~~~~ん…」


決してノアと目を合わさずにやり過ごそうとするセレイアに、ノアは疑いの目を向ける。

が、セレイアもリヴァイアから何かしら言い付けられてやっているのだろうから言うだけ仕方無いか。

と割り切ってこれ以上追及しない様にした。


「…にしても、″海中″エリアでこれか…次の″深海″エリアではどうなる事やら…」

《……。》


″海中″エリアの時点で大規模戦闘を行ったのだ。
次のエリアに向かえばどんな脅威が襲ってくるのかと考えただけで気が重くなる。

そんなノアにグリードは


ベロン。

「うおっと。」

ベロン「…ちょっと」ベロンベロン「グリードさん?」ベロベロ。

シュルルル…

ギュッ!「ちょっと!グリードさん!?」


25メルサイズのグリードがノアの事を舌で舐め始めたと思ったら急激に縮み、<人化>形態になった直後、ノアに足と尻尾を絡めて思いっ切り抱き付いてきた。


「????」


ノアは訳も分からず、されるがまま暫く抱き付かれるのであった。





パッ。《これで大丈夫ですわ。》

「どしたのグリード?
急にだったからビックリしたよ。」

《ふふふ、おまじないみたいなモノですわ。
それでは私はこれで。
また必要であればお声を掛けて下さいませ。》

ズズズ…


そう言ってグリードは25メルサイズに戻りつつ砂の中に潜って行った。
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