ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

天空大陸・第3諸島『ハルモニア』

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『『『ゴォオオオオオ…』』』(とある山の頂上付近・分厚い雲の中。)

ォオオオ…(を抜け、一面雲1つ無い青空が広がる。)

バサァッ!(赤く、大きな翼が羽ばたく。)

《緋龍ロミネよ。天空大陸で一休みしたいのだけど良いかしら?》


ノア達が居る広大な大地の奥、数千メル級の山の頂上・その直上の分厚い雲を抜けた先に、1頭の亜龍がある場所を目指して羽ばたいていた。

そこは『天空大陸』と言い、正確には『天空大陸・第3諸島『ハルモニア』』と呼ばれていた。


『『バサバサ…』』(接近するハーピー族。)

〔ロミネ様、長旅お疲れ様です。(ハーピー1)〕

〔本日は訪島される方々が多く、正門は出入りが入り乱れておりますので、居住エリアから大回りで湖エリアへと向かって下さい。(ハーピー2)〕

《えぇ分かったわ。
そういえば今日の【制空の守護者(グアジアンド・セウ)】はいつもの面子じゃないのね。》

〔チュルチーの班ですね。
皆さんインヴェルノ殿と一緒に下界へ降りておられますよ。(ハーピー2)〕

《へぇ、下界に…珍しいわね。》『『バサァッ!』』


と言っても周囲に島等無く、一面の青空と眼下に広がる雲海、亜龍と比較しても巨大過ぎる規模の雲の塊が浮かんでいる位であった。

…そこまで説明すれば後は分かるだろう。
軽く会話を終えた緋龍ロミネは翼を羽ばたかせ、その巨大過ぎる雲の方へと飛び込んでいった。


『『ゴォオオオオオッ!』』(分厚い雲を突き進む。)

『『パチチッ!』』バチッ『『バシュゥウッ!』』(轟く雷鳴。)

『『ブワッ!』』


薄暗く分厚い雲の中は雷鳴が轟き、暴風吹き荒れる壮絶な世界であったが、亜龍である彼女にとってそよ風同然であった。

数秒の後に突破し、視界が開けてくると目の前に知り合いが現れた。


[よっ!久し振りロミネ!]パリリ…
[びっくりしちゃったわ~。]ヒュゥウン…

《突然の出迎えね『雷の精霊体』、『風の精霊体』。危うく轢いちゃう所だったわ。》


緋龍ロミネの目の前に黄金に光輝く『雷の精霊体』と、半透明の『風の精霊体』が現れた。

大きさは掌サイズでとても小さく、人間で言えば光を放つホタルと例えられるだろう。

精霊は属性の近い場所に留まる特性がある為、『雷の精霊体』と『風の精霊体』は雲の直ぐ近くに漂っていたのであった。



精霊…自然界に存在するエネルギーが具現化した姿。【精霊◯◯】と名の付く適正にはもう少し具体的な姿で視える。

多少の自我があり、稀に精霊の好みで行動を共にする事がある。
その場合呼称は″使い魔″、″妖魔″等に変化する。


精霊体…精霊の集合体。完全に自我を持って行動する事が出来る。
大きさはマチマチで、掌サイズ~赤ん坊サイズと様々である。



[ねぇねぇ、ここに来たって事は『調和の樹』に休みに来たの?]パチチ…

《そうね、『イゾラ(第1諸島)』も『インテグラ(第2諸島)』も血の気の多いヤツばかりだから、ここに飛んできたって訳。
魔力も補給したいから2日程居ようと思ってるわ。》

[[わーい!じゃあ遊ぼ遊ぼ!]]

《…2人共、数秒前の事思い出してくれるとありがたいわ…》


その後何だかんだ精霊体2人と遊んだ緋龍ロミネは、雲海域を越えて『ハルモニア』空域へと入る。


ゴォッ!

(《…えーっと、居住エリアから大回りで湖エリアへ、だったわね。》)


『ハルモニア』空域に入り視界に飛び込んできたのは、宙に浮かぶ巨大な崩れた三次元ひし形の浮島、その浮島に降り注ぐ太陽光を遮るかの様に聳える巨大な大樹。

その根元付近には背の低い家々が並び、中規模の街を形成している。
街の往来には大小様々なケット・シー、クー・シー(犬妖精)が居り、日々を過ごしている。

空域には幾人ものハーピー族が舞い、大樹の周りにはキラキラと光る『精霊体』の姿が見える事から、別種の『精霊体』が集まっているものと思われた。

目的の湖エリアは、街から少し離れた上流に位置し、大樹の生育と街への供給に使用されている様だ。


(《さて、羽を休めるとしますか。》)

バサァッ!


湖エリアを確認した緋龍ロミネは、翼を羽ばたかせて指示された場所へと向かうのだった。





~戦闘開始から20分後~


ガガンッ!カキンッ!(タマ切れ。)

「ありゃ。」

〔っしゃあ!今がチャンスよシッチャカ!
あの不思議な仕掛けが無ければ容易に『ガキッ!』『グリンッ!』
んにゃー!(ヤンチャラット)〕

〔馬鹿正直に突っ込むなってーの!
手が1つ潰れた位でどうにかなる訳無いでしょ!
(シッチャカ)〕

ヒュカカカカカッ!(鉤爪による連続攻撃。)

カカンッ!『『カッ!』』カカンカンカンッ!(片腕のガントンファーで全て迎撃。)

〔ぬぉおっ!放せ!放せぇっ!(ヤンチャラット)〕


こちら依然戦闘中のノア。

ガントンファーに蓄積された衝撃力が尽き、普通のトンファーとして使用せざるを得なくなったノアだが、その程度で勢いが止まる事は無い。

ヤンチャラットが勢いに任せた力業で攻め入って来たのを冷静に見、隙だらけの脚にトンファーを引っ掛けてぶら下げつつシッチャカからの猛攻をいなしていた。


〔〔……。(チュルチーとチャチャ)〕〕
〔お~…ウチの脳き…
じゃなかった、腕っぷしの強い2人がずっと翻弄されてるねぇ…(ゴチ)〕

〈久々に暴れる事が出来てるから、あの子達には良いガス抜きになったのだわさ。〉

《だがこれ以上は進展は無いだろう。
そこの2人!その者の実力は十分に分かったであろう?
一方的が過ぎる故、そろそろ終いにしようではないか!》


〔も、もうちょっと…!(ヤンチャラット)〕
〔あ、あと5分…!
ちょ、皆!皆も加勢して!お願い!(シッチャカ)〕

〔〔〔えぇっ!?(皆)〕〕〕
「えぇっ!?」


《やれやれ全く…》


進展が無さそうな2人に声を掛けるも、駄々をこね、全員参加させてまで食い下がる。
四季龍インヴェルノはやれやれといった様子である。

だが数分後に別方向から待ったが掛かる事になる。





~『ハルモニア』中枢部・管制室~ 


〔ふんふ~ん♪ふふんふ~ん?(ハーピークイーン)〕

〔御機嫌ですね、ハーピークイーン様。(ハーピー1)〕

〔最近厄介事が発生していないからね~♪
そりゃ機嫌も良くなるわよ~♪(ハーピークイーン)〕

〔そういえば先程下界に降りていった班がまだ戻ってきていませんね、四季龍インヴェルノ殿と一緒に贈り物の運搬に遣わされたとの事ですが…(ハーピー1)〕

〔あー、警備班ね~♪
何やってるのでしょう、ちょっと確認して見ましょうかね~♪
問題行動起こしていなければそれで良いわ~♪(ハーピークイーン)〕


警備班の問題行動が発覚し、管制室を飛び出す10秒前の出来事であった。
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