ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

総力戦

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~戦闘開始25分~


〔ほらチャチャ!″歌って″、″歌って″!(シッチャカ)〕

〔う、う~…何で私まで…
わ、分かったよぅ…″ラ、ラ~♪″(チャチャ)〕オドオド


↑<速度上昇(大)>シュィン!

〔うほほ!来た来た!(ヤンチャラット)〕
〔これで勝つる!(シッチャカ)〕


↓<遮音・鈍重(大)>ヌモモ…

「…彼女の声は仲間以外にはデバフなのか…」
(『あんな適当に歌っても効果はデカいんだな。』)


ヤンチャラットとシッチャカからの呼び掛けで、見守っていた3ハーピー(チュルチー、チャチャ、ゴチ)まで戦闘に参加する事となった。

常にオドオドして戦闘に前向きではなかったチャチャが急かされるままに″歌(?)″を″歌う″と、仲間達全員の体にキラキラとしたエフェクトが掛かり、反対にノアにはくぐもった音と共にデバフが掛かるのだった。



〔っし!それじゃあ…(ヤンチャラット)〕
〔次こそ行くわよヤン…(シッチャカ)〕

〔待ちなさいヤンチャラット!
それにシッチャカ!(チュルチー)〕

〔〔うへぇい…〕〕


バフが掛かって意気揚々となった2人が再びノアへ攻勢を仕掛けようとすると、チュルチーがそれを制すと、不満げな表情になる2人。


〔また馬鹿正直に突っ込むつもりでしょう!
それだと幾らやっても上手くいくハズありません!いつも言ってるでしょう″連携″を取りなさいと!(チュルチー)〕

〔うーっす、分かりましたー。(ヤンチャラット)〕
〔いつも通りっすねー。あーじゃっしたー(了解しましたー)。(シッチャカ)〕


″連携″と聞いて露骨に不満そうな2人を無視してチュルチーが行動に出る。


〔私達はハーピー族なのですよ?
優雅に戦わなくてどうします。(チュルチー)〕

『『『ギュルルルルッ!』』』(チュルチーの周囲に暴風が吹き荒れる。)

〔喰らいなさい!『暴風旋風刃』!(チュルチー)〕

『『『ドギュルルルルルッ!』』』(自身の鋭い鉤爪と暴風、巻き上げられた石片等を巻き込んだまま突っ込んでくる。)

(〔〔優雅…?〕〕)

(優雅…?)
(『優雅…?』)


チュルチーの大技を見た者は全員「何処が優雅だ?」とツッコミたくなるが、驚異である事には変わり無い為冷静に対処するとしよう。


〔優雅に散りなさい!人族の少年よ!(チュルチー)〕

(戦闘になると性格変わるタイプだ…)

(『気が合うんじゃね?』)

(え?)


如何にもボスっぽい言葉を放ちながら突っ込んでくる暴風ドリルに対し


『『ドガガガガガガガッ!』』

ビシュッ!『ブシッ!』(巻き込んだ石片が顔に刺さる。)

〔う、嘘!真正面から!?(チュルチー)〕

「<鈍重>が掛かってるので正面から来てくれて助かりましたよ、アー、オモイナー。」


顔に石片が刺さりながらもチュルチーの両手首を掴みつつ動きを止める。
幾ら高速で回転しているとは言え、腕2本を見切るのは容易い。
突進力は大したモノだが、クラーケンの触手に比べれば屁でもない。


『『グギギギ…』』(力任せに両腕を開く。)

〔あ!待って!私、経験無いから無理矢理には…!(チュルチー)〕チラッ…

「うっさい!語弊のある言い方しない!」


羽毛で大事な部分が隠れているとは言え、ハーピー族は謂わば半裸の女性。
豊満な胸を無理矢理晒す様に腕を取って抉じ開ける様は、ノアが襲っている様に見えなくもない。

と、そんなやり取りをしているが、ノアは見逃さなかった。
大技を決めて捕らえられた直後、チュルチーの視線はノアからやや上に位置。

そんなチュルチーの綺麗な瞳に、後方から高速で接近する2つの影がくっきりと映っていた。

というか先程チュルチー自身が″連携″と言っていたので、この後に何か仕掛けてくるのは明白であった。


『『ゴォッ!』』(後方からの強襲。)

ンザッ!(ギリギリでジャンプ。)

〔げ!?(ヤンチャラット)〕ギュゥン…
〔マズ…(シッチャカ)〕バサァ…


目と鼻の先に居たノアが突然ジャンプし、チュルチーに正面衝突しそうになったので急減速する両名。

それを狙っていたのか、今度はノアが仕掛ける。


ギュルッ!(高速で腰を切る。)

ガッ!〔ぐぇっ!?(ヤンチャラット)〕
ガッ!〔ふぐっ!?(シッチャカ)〕

『『ズシャッ!』』(両名の首に足を掛け、そのまま地面に叩き付ける。)

「大技を囮に2人が強襲仕掛けてくるのは良いと思うけど、同時攻撃だったから逆に対処し易かったよ。」

〔〔ぐぬぬ…〕〕

「でもチュルチーさんの言う通り″連携″したらさっきよりマシになったから、素直に指示に従ってたら良いんじゃない?」

〔う、うるせぇえええ!(ヤンチャラット)〕
〔それは私達の戦闘スタイルじゃないんよ!(シッチャカ)〕

(脳筋…)

(『気が合うんじゃね?』)


連携が取れた事で比較的マトモになったが、ノアにとって大した脅威ではなかった。

脅威なのはどちらかと言えば


ギュンッ!(チュルチーの背後から鉤爪が伸びる。)

サッ!(それを回避。)

ヒュヒュンッ!バサッ!シュババッ!(鉤爪、翼、蹴りを織り混ぜた連撃が放たれる。)

〔っは!(ヤンチャラット)〕
〔っ、げほっ!(シッチャカ)〕

〔んもー、今のは貸しだよ?後でご飯奢ってねー?(ゴチ)〕

(彼女が1番ハーピーとしての特性を上手く生かしてるし、チャチャさんからのデバフをちゃんと利用してるなぁ…)


現在<遮音・鈍重(大)>状態のノアに音も無く接近し、チュルチーの背後に移動した事で気配もチュルチーと同化し、分かり辛くなっていた。

ハーピー族は、戦闘開始時から僅かに浮いているので、人間では出来ないアクロバティックな動きが可能であり、ゴチはそれによる連撃を放ち、捕らえた2人の解放を達成していた。

それに


〔チャチャ、バフ・デバフもう一丁~。(ゴチ)〕

〔う、うん!″ル~!″(チャチャ)〕


↑<速度上昇(特大)>シュィン!

〔んおー!(ゴチ)〕


↓<遮音・鈍重(大)>+<暗闇(1分)>ヌモモ…

「デバフが酷い!」


戦闘向きでは無さそうなチャチャともしっかり連携出来ている事を考慮し


「この中で一番マトモ…」ボソッ…

〔〔〔うぉおおっ!それを言うなぁっ!〕〕〕


恐らく脳筋ズ・優雅(笑)にとっては本日最大のダメージが入った事だろう。


〔ぬっふっふ~、褒めたって何も出ないよ~。(ゴチ)〕

ヒュヒュンッ!ヒュバッ!(トリッキーな連撃。)


フワッフワな言動の割に攻撃の手を緩める事無くトリッキーな攻撃でノアを攻め立てる。

流石のノアでも音と光を遮られた状態ではゴチの連撃を凌げなかった様で


ガゴッ!

「あでっ!」

〔ぅほほーい!やったよー!
チャチャ、協力感謝!
リーダー(チュルチーの事)後でお昼奢ってねぇ!(ゴチ)〕


ノアの顔面に蹴りが入る。
ゴチは別に最初から勝とうと思っていなかった様で、1発入れただけでとても喜び、バフを掛けてくれたチャチャに感謝していた。
(もうゴチがリーダーやったら?と思ってしまったが、それはチュルチーに言うのは流石に止めた。)


〔でかした!(ヤンチャラット)〕
〔ここからが反撃の狼煙よ!(シッチャカ)〕
〔本当戦闘面では頼りになりますわ。(チュルチー)〕

〔ね、ねぇ、もうこの辺で良いんじゃ…(チャチャ)〕

「はっはっはっは…」


〔〔〔〔〔え?〕〕〕〕


と、喜び勇むハーピー5人だが、そんな彼女達の耳に笑い声が届く。
この笑い声の主は勿論ノアで


「はっはっはっは!
『ズズズズズ…』ここから反撃だな?じゃあこちらもマジメにいくぞ?』

『『『『ボコボコ…』』』』(赤黒いオーラ噴出、赤黒い腕4本生成。)


〔〔〔〔〔…何あれ…〕〕〕〕〕
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