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第二章•魔王編
23話◆魔王に寄り添える者。
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「僕に触れるなんて、100年早いよ!!」
自分の身体を抱き留めたライアンを、竜巻でもう一度空中に浮かせるとクルクル回るライアンに声を掛ける。
「お前は、ただの人間!僕は魔王!
僕にとって人間なんて地面を這う蟻と同じだ!
そんなお前と友達になんかなれるか!バーカ!」
ロージアは王城前の畑の上にライアンを転移させると、剣と共に泥の上にベシャァっと放り出した。
ベシャッと泥の上に落ちたライアンは泥にまみれて剣を抱きロージアを見上げる。
「ロージア!俺は本気なんだってば!
ロージアと結婚したいんだ!」
「………何も分かって無いんだね…お気楽でいいよね、お前は。
今のまま無知でいる方が幸せかも知れないよ?
……僕はお前が大嫌いだ。」
ロージアは無表情のまま淡々と言葉を吐き、フイとそっぽを向きそのまま姿を消した。
「何だアイツ…照れてんのか?」
ライアンは泥にまみれたまま楽しげに笑う。
「そうだ!父上と母上にも言っておこう!
魔王と結婚したいって!驚くだろうな!」
幼いライアンには、父と母が驚いて慌てる顔しか想像出来なかった。
ロージアも、いきなり結婚を申し込んだから驚いて照れていたのだろうと。
そんな楽しいサプライズに酔っていた。
泥にまみれて王城に帰ったライアンが、父と母に逢うなり「魔王と結婚したい」と言った瞬間、父レオンハルトの顔が凍るように冷たくなった。
ライアンは応接間に連れて行かれた。
先日、応接間が、ソファーが、泥だらけになる!と嘆いた父は、泥まみれのライアンをソファーに座らせテーブルを挟んで向かい側に座ると、感情を無くした冷たい目でライアンを見る。
「この際、また剣を持ち出した事や再びロージアに逢った事を叱るのは置いておこう。
……ロージアと結婚したいというのは何だ?」
「ロージアって、実は女なんだよ!だから俺が守ってあげるって…!」
「そんな事を聞いてはいない。
ロージアと結婚とは、どういう事だ?
お前がこの国の王になり、王妃に迎えたいというのか?」
レオンハルト国王が淡々と尋ねる。
怒鳴り散らしている訳ではない。
静かに静かに言葉を紡いでゆく。
何が怖いのか分からないが、ライアンは父に恐怖した。
「それでも……いいと…思う…」
ライアンは自分でも驚く位、小さな声で答えた。
こんな恐ろしい父を見た事が無かった。
「俺は先日、ロージアは魔王という役割を与えられていると話したな。
それは神に与えられたロージアの使命だ。
それをお前は自分の都合でロージアに神を裏切らせ、ロージアを神の与えた使命を捨てた大罪人にしたいと言う事なのだな?」
「ち、違うよ!!…ち、違います!俺はそんな風には…!
ロージアが魔王になるなら、そばに居てあげたいと思ったんだ!
いつも一人で寂しいだろうから…!」
レオンハルト国王は微動だにしない。
冷たい眼差しは揺らぐ事無く、ライアンを見たまま固定されている。
「側に居たいとは何だ。魔王の側近になりたいのか?」
ライアンは側近と言う言葉に、いつも側に居て主人を支え手伝う者と解釈し、頷く。
早く父に何かしら納得して貰って、この重く冷たい空間から解放されたかった。
「それでもいいよ!俺がこの国を出て魔王のロージアを助けるんだ!」
「ならば、その剣を抜いて俺を殺せ。」
レオンハルト国王は、ライアンに固定されていた冷たい眼差しを、ロージアの置いていった美しい剣に向ける。
「な…なんで…?」
思いも寄らない父の言葉に、ライアンは声がかすれ、詰まる。
「俺もリリーもロージアに殺されかけた。
今、こうして生きていられるのは、神が起こした奇跡だ。
ロージアは、そういう者だ。
自分自身でも、そういう者だと分かっている。」
「ロージアが…父上と母上を……」
「そうやってロージアは、これからも人の命を奪っていく。
お前はそれを手伝えるのか?
それか、恐ろしい事はすべてロージアにさせて、後から頑張ったねと誉めてやるのか?
お前は積み上げられた屍の山を見た事があるのか?
その上に立つ者の狂喜や悲しみを受け入れてやれるのか?」
ライアンは涙を流して首を横に何度も振っていた。
━━悪いヤツを倒して行こう!━━
簡単に言った。そんな事を言う俺カッコいい!と思った。
ロージアに思われてたんだ…
「お前、そいつらを僕が魔王にならない為に殺せるの?」
ロージアの顔を思い出していたライアンの左頬に硬い拳が飛んで来る。
ライアンはレオンハルトに殴られ、ソファーから吹っ飛ばされていた。
「ロージアを愛する女だと言うならば!
そんな女一人に全ての罪を背負わせて、後から頑張ったねと誉めてやるだけのお前なんぞ、ロージアにとってはクソ以下だ!」
レオンハルトは、鼻血を垂らしながら床にうずくまって泣くライアンに視線を向ける事無く、応接間を出て行った。
事の成り行きを側で見ていたリリーがライアンに駆け寄り、痛みを癒す魔法を使う。
「痛い…痛いよ…父上…痛い…」
泣きながらずっと痛いと呟く。
痛いから、泣いているのだと…自分にも母のリリーにも言い聞かせるように。
本当に痛いのは心だった。
ロージアはライアンをお気楽だと言った。
失望させていたんだと知った。
守ってやると言ったのに、上辺だけの言葉で傷付けていた事が辛かった。
「ロージア……っ!」
無意識の内に名を呼んだ。
リリーだけが、その呟きを拾った。
自分の身体を抱き留めたライアンを、竜巻でもう一度空中に浮かせるとクルクル回るライアンに声を掛ける。
「お前は、ただの人間!僕は魔王!
僕にとって人間なんて地面を這う蟻と同じだ!
そんなお前と友達になんかなれるか!バーカ!」
ロージアは王城前の畑の上にライアンを転移させると、剣と共に泥の上にベシャァっと放り出した。
ベシャッと泥の上に落ちたライアンは泥にまみれて剣を抱きロージアを見上げる。
「ロージア!俺は本気なんだってば!
ロージアと結婚したいんだ!」
「………何も分かって無いんだね…お気楽でいいよね、お前は。
今のまま無知でいる方が幸せかも知れないよ?
……僕はお前が大嫌いだ。」
ロージアは無表情のまま淡々と言葉を吐き、フイとそっぽを向きそのまま姿を消した。
「何だアイツ…照れてんのか?」
ライアンは泥にまみれたまま楽しげに笑う。
「そうだ!父上と母上にも言っておこう!
魔王と結婚したいって!驚くだろうな!」
幼いライアンには、父と母が驚いて慌てる顔しか想像出来なかった。
ロージアも、いきなり結婚を申し込んだから驚いて照れていたのだろうと。
そんな楽しいサプライズに酔っていた。
泥にまみれて王城に帰ったライアンが、父と母に逢うなり「魔王と結婚したい」と言った瞬間、父レオンハルトの顔が凍るように冷たくなった。
ライアンは応接間に連れて行かれた。
先日、応接間が、ソファーが、泥だらけになる!と嘆いた父は、泥まみれのライアンをソファーに座らせテーブルを挟んで向かい側に座ると、感情を無くした冷たい目でライアンを見る。
「この際、また剣を持ち出した事や再びロージアに逢った事を叱るのは置いておこう。
……ロージアと結婚したいというのは何だ?」
「ロージアって、実は女なんだよ!だから俺が守ってあげるって…!」
「そんな事を聞いてはいない。
ロージアと結婚とは、どういう事だ?
お前がこの国の王になり、王妃に迎えたいというのか?」
レオンハルト国王が淡々と尋ねる。
怒鳴り散らしている訳ではない。
静かに静かに言葉を紡いでゆく。
何が怖いのか分からないが、ライアンは父に恐怖した。
「それでも……いいと…思う…」
ライアンは自分でも驚く位、小さな声で答えた。
こんな恐ろしい父を見た事が無かった。
「俺は先日、ロージアは魔王という役割を与えられていると話したな。
それは神に与えられたロージアの使命だ。
それをお前は自分の都合でロージアに神を裏切らせ、ロージアを神の与えた使命を捨てた大罪人にしたいと言う事なのだな?」
「ち、違うよ!!…ち、違います!俺はそんな風には…!
ロージアが魔王になるなら、そばに居てあげたいと思ったんだ!
いつも一人で寂しいだろうから…!」
レオンハルト国王は微動だにしない。
冷たい眼差しは揺らぐ事無く、ライアンを見たまま固定されている。
「側に居たいとは何だ。魔王の側近になりたいのか?」
ライアンは側近と言う言葉に、いつも側に居て主人を支え手伝う者と解釈し、頷く。
早く父に何かしら納得して貰って、この重く冷たい空間から解放されたかった。
「それでもいいよ!俺がこの国を出て魔王のロージアを助けるんだ!」
「ならば、その剣を抜いて俺を殺せ。」
レオンハルト国王は、ライアンに固定されていた冷たい眼差しを、ロージアの置いていった美しい剣に向ける。
「な…なんで…?」
思いも寄らない父の言葉に、ライアンは声がかすれ、詰まる。
「俺もリリーもロージアに殺されかけた。
今、こうして生きていられるのは、神が起こした奇跡だ。
ロージアは、そういう者だ。
自分自身でも、そういう者だと分かっている。」
「ロージアが…父上と母上を……」
「そうやってロージアは、これからも人の命を奪っていく。
お前はそれを手伝えるのか?
それか、恐ろしい事はすべてロージアにさせて、後から頑張ったねと誉めてやるのか?
お前は積み上げられた屍の山を見た事があるのか?
その上に立つ者の狂喜や悲しみを受け入れてやれるのか?」
ライアンは涙を流して首を横に何度も振っていた。
━━悪いヤツを倒して行こう!━━
簡単に言った。そんな事を言う俺カッコいい!と思った。
ロージアに思われてたんだ…
「お前、そいつらを僕が魔王にならない為に殺せるの?」
ロージアの顔を思い出していたライアンの左頬に硬い拳が飛んで来る。
ライアンはレオンハルトに殴られ、ソファーから吹っ飛ばされていた。
「ロージアを愛する女だと言うならば!
そんな女一人に全ての罪を背負わせて、後から頑張ったねと誉めてやるだけのお前なんぞ、ロージアにとってはクソ以下だ!」
レオンハルトは、鼻血を垂らしながら床にうずくまって泣くライアンに視線を向ける事無く、応接間を出て行った。
事の成り行きを側で見ていたリリーがライアンに駆け寄り、痛みを癒す魔法を使う。
「痛い…痛いよ…父上…痛い…」
泣きながらずっと痛いと呟く。
痛いから、泣いているのだと…自分にも母のリリーにも言い聞かせるように。
本当に痛いのは心だった。
ロージアはライアンをお気楽だと言った。
失望させていたんだと知った。
守ってやると言ったのに、上辺だけの言葉で傷付けていた事が辛かった。
「ロージア……っ!」
無意識の内に名を呼んだ。
リリーだけが、その呟きを拾った。
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