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第二章•魔王編
25話◆魔王に逢いたい少年。深夜の家出で初めての戦闘。
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魔獣化した人間、と説明された奇怪な気味の悪い者達の上に落とされた少年ライアンは、家から持ち出したロージアの剣を抱き締めたまま、アワアワ言っている。
「食べられるぅう!助けてぇ!ひいい!」
奇怪な者達にすがり付かれ、間近で顔を覗き込まれる。
その、奇怪な者達の口から這い出た黒いヒルのようなナニかが、長い身体をうねらせて何かを探すように頭らしき物を左右に振り出す。
「大丈夫!食べられやしないから!
むしろ、食べて欲しいってよ、口移しで!
そいつらは新しい宿主が欲しくてな。」
高い所から楽しそうに声を掛けるレオンハルトは、助ける気はさらさら無いようで、慌てふためく少年を面白そうに見下ろして見ている。
「誰か助けて!助けてぇ!父上ぇ!母上ぇ!」
大騒ぎで泣きながら助けを求める少年に、レオンハルトは苦笑する。
「思った以上にヘタレだな。
まぁ、高い塀に囲われた平和な国の中しか知らない10歳のガキなんて、こんなもんか。
ピーピーうるさいわ。黙っとけ。」
呆れたように笑いながら言うレオンハルトの横を、スッと風が通り抜ける。
ナイフを片手に、高い場所からフワリと舞うように地面に降りたディアーナが、少年の前に背を向けて立った。
そして、後ろのライアン少年の方を振り返る。
「ゾンビはね!頭部破壊で倒せるの!
でも、こいつらはゾンビじゃないからね!
頭部破壊してもダメなのよ!」
振り向き様、ドヤ顔で自慢気に話すディアーナに、パニクった少年が泣き叫んだ。
「お姉さん、助けて下さい!!ゾンビって何ですかー!!!!」
奇怪な者達に群がられている少年は、涙だか汗だかヨダレだかでべちゃべちゃになった顔で助けを求めている。
「ディアーナ、こちらの世界にゾンビは居ないからな。」
高い所からレオンハルトがディアーナに声を掛ける。
「え、そうなんだ?似たようなの、いたじゃない?あれは?」
「ゾンビって名称にはならないらしい。
どうも、ゾンビってのは前の世界での言葉みたいだな。」
「え?それじゃあ他のモンスターはどう…」
「早く助けて下さーい!!!」
門の上と下で、少年を無視して意味不明などーでもいい会話を続ける二人に、少年が大声で助けを求め出す。
「やだわぁ…意外とヘタレじゃない。
アゴーんパパそっくり?いや、パパよりヘタレかしら?」
ディアーナは手にしたナイフを手の平でクルンと回し、柄を握り直す。
そして少年の一番近くに居り、少年の口にヒルのようなモノを移し入れようとしている奇怪な者の首辺りに真横から首の骨を折る勢いで蹴りを入れた。
ゴキッと鈍い音がして、地面に伏した奇怪な者の口から、ヌルリと黒いヒルのようなモノが出て来ると、新しい身体を探すようにウネウネと地面を這い出す。
ディアーナはそれに、手にしたナイフを突き刺して蒸発させた。
「このように、瘴気から生まれた魔獣やら魔物には、魔法が有効ですの!
でも私には魔力がございません!ですが、ご安心下さい!
師匠に貰った、師匠の魔力がだだ漏れしているナイフがあるので、ほら、この通り!倒せます!」
「ディアーナ、それ、深夜の通販番組みたいだから。」
少年は、まだ奇怪な者達に群がられたまま、一体だけ倒してくれた(?)ディアーナを茫然と見ている。そして悟った。
━━━こいつら、俺を助ける気が無い!━━━
「そこの強い姉ちゃん!俺を助ける気は無いの!?」
じゃあ、ナニしに現れたんだよ!と疑問を込めて大声で問う。
「ないわね!
私はね、少年を鍛えるために来たのよ!
どーしょーもない悪人なら、平気でぶった斬る事が出来る位にはしようかと。」
この姉ちゃんキレイな顔して、とんでもねぇ事を言うな!
俺を鍛える?
悪人とは言え、人を平気でぶった斬るとは何だ!
と頭の中で突っ込むと、ライアンの気持ちに少し余裕が出来た。
魔法…魔力?
「あなたの抱き締めている、それは抱き枕じゃないわよ?
魔王をも倒せる、立派な剣だわ。」
少年はずっと抱き締めていた剣を鞘から引き抜く。
体格に合わず意外と長いので、焦りながらすべて抜くのに手間取る。
抜く間、気持ち悪い奴らが何か知らんが襲いかかる事無く待っててくれていた。
この剣を。
初めて鞘から引き抜いた時、ロージアが現れた。
2度目の時も。
だが、あれ以降何度鞘から剣を引き抜いてもロージアは現れない。
逢いたくて、謝りたくて、謝らせて欲しくて父親に隠れて何度も剣を抜いた。
戦う為に剣を抜いたのは初めてだ。
改めて剣を見る。
水晶のように透明な刀身は月の光を反射して美しく輝く。
「元々、その剣には魔力は込められてるんだけどね。
少年、あなたは母親譲りの魔力を持っているのだから、更に剣に魔力を注ぐ事が出来るのよ?」
ディアーナは金色の目を細めて、少年の顔を指差す。
「魔力…注ぐ?注ぐ…?
……そんなの、分かんないよぉ!!!」
抜いた剣を構えたものの、自分に魔力があるのを自覚した事も無い為に、どうして良いか分からない少年はぶえぇと、半泣きになる。
口元は笑ったまま、目を細めて笑んでいたディアーナの目から、スーッと笑みが消えた。
笑みが消えたディアーナは少年の胸ぐらを掴んで、奇怪な者達の群れから少年を引きずり出すと、顔を近付け少年にガンを飛ばした。
その姿はもう、ただのガラの悪いヤンキーだ。
「ウゼェ!!このヘタレ!!助けてだの、分かんないだの!
ピーピー泣いてばかりで自分では何も考えもしないで!
このクソガキは!そんなんでロージアが倒せるか!!
もっかいキバってこい!」
一旦、引きずり出した少年を、奇怪な者達の群れに向かってぶん投げたディアーナの隣に、レオンハルトが並ぶ。
「乱暴だなディアーナ。いいのか?少年が魔獣に殺されちまっても。」
「そうはならないでしょ?あれ、全部作り物じゃないの。
まとわり付いて来るだけで、一向に襲って来る気配も無いし。
おとんの仕業よね。」
ディアーナとレオンハルトは、魔獣化した人間っぽい奇怪な者達っぽいヘンテコなモノ━━に、絡まれている少年を冷めた目で眺めていた。
やがて少年は涙目のままブンブンと剣を振り回す。
元々が魔力の込められた剣の為に、振り回した剣がかすっただけで魔獣っぽいヘンテコなモノはジュワっと蒸発して消えた。
「や、やった!やっつけたぞ!」
「やっつけてなどないわ!!この勘違いガキ!
剣を構えろ!ちゃんと狙え!狙うのは、口から出てるアレ!」
少年とディアーナのやり取りを、少し離れた場所で眺めていたレオンハルトは、頭を掻いてぼやいた。
「思った以上に前途多難だな…
俺達が来なきゃ、国を出た所で死んでたんじゃないか?ボーズ。
世間を知らなさ過ぎだ。過保護に育てられてんなぁ…。」
今、少年が相手をしているのは作り物の魔獣だが、ディアナンネ国の回りには、まだ深夜になると本物の魔獣や魔物がチラホラ出ると聞く。
魔獣も危険だが、少年が王子だと知られたなら身代金目的で、悪どい人間に誘拐される可能性もある。
「いい加減、腹ぁくくれ!!めんどくせぇな!!ガキャァ!」
キレて怒鳴りまくるディアーナを、親父そっくりだなと見つめるレオンハルトがいた。
「食べられるぅう!助けてぇ!ひいい!」
奇怪な者達にすがり付かれ、間近で顔を覗き込まれる。
その、奇怪な者達の口から這い出た黒いヒルのようなナニかが、長い身体をうねらせて何かを探すように頭らしき物を左右に振り出す。
「大丈夫!食べられやしないから!
むしろ、食べて欲しいってよ、口移しで!
そいつらは新しい宿主が欲しくてな。」
高い所から楽しそうに声を掛けるレオンハルトは、助ける気はさらさら無いようで、慌てふためく少年を面白そうに見下ろして見ている。
「誰か助けて!助けてぇ!父上ぇ!母上ぇ!」
大騒ぎで泣きながら助けを求める少年に、レオンハルトは苦笑する。
「思った以上にヘタレだな。
まぁ、高い塀に囲われた平和な国の中しか知らない10歳のガキなんて、こんなもんか。
ピーピーうるさいわ。黙っとけ。」
呆れたように笑いながら言うレオンハルトの横を、スッと風が通り抜ける。
ナイフを片手に、高い場所からフワリと舞うように地面に降りたディアーナが、少年の前に背を向けて立った。
そして、後ろのライアン少年の方を振り返る。
「ゾンビはね!頭部破壊で倒せるの!
でも、こいつらはゾンビじゃないからね!
頭部破壊してもダメなのよ!」
振り向き様、ドヤ顔で自慢気に話すディアーナに、パニクった少年が泣き叫んだ。
「お姉さん、助けて下さい!!ゾンビって何ですかー!!!!」
奇怪な者達に群がられている少年は、涙だか汗だかヨダレだかでべちゃべちゃになった顔で助けを求めている。
「ディアーナ、こちらの世界にゾンビは居ないからな。」
高い所からレオンハルトがディアーナに声を掛ける。
「え、そうなんだ?似たようなの、いたじゃない?あれは?」
「ゾンビって名称にはならないらしい。
どうも、ゾンビってのは前の世界での言葉みたいだな。」
「え?それじゃあ他のモンスターはどう…」
「早く助けて下さーい!!!」
門の上と下で、少年を無視して意味不明などーでもいい会話を続ける二人に、少年が大声で助けを求め出す。
「やだわぁ…意外とヘタレじゃない。
アゴーんパパそっくり?いや、パパよりヘタレかしら?」
ディアーナは手にしたナイフを手の平でクルンと回し、柄を握り直す。
そして少年の一番近くに居り、少年の口にヒルのようなモノを移し入れようとしている奇怪な者の首辺りに真横から首の骨を折る勢いで蹴りを入れた。
ゴキッと鈍い音がして、地面に伏した奇怪な者の口から、ヌルリと黒いヒルのようなモノが出て来ると、新しい身体を探すようにウネウネと地面を這い出す。
ディアーナはそれに、手にしたナイフを突き刺して蒸発させた。
「このように、瘴気から生まれた魔獣やら魔物には、魔法が有効ですの!
でも私には魔力がございません!ですが、ご安心下さい!
師匠に貰った、師匠の魔力がだだ漏れしているナイフがあるので、ほら、この通り!倒せます!」
「ディアーナ、それ、深夜の通販番組みたいだから。」
少年は、まだ奇怪な者達に群がられたまま、一体だけ倒してくれた(?)ディアーナを茫然と見ている。そして悟った。
━━━こいつら、俺を助ける気が無い!━━━
「そこの強い姉ちゃん!俺を助ける気は無いの!?」
じゃあ、ナニしに現れたんだよ!と疑問を込めて大声で問う。
「ないわね!
私はね、少年を鍛えるために来たのよ!
どーしょーもない悪人なら、平気でぶった斬る事が出来る位にはしようかと。」
この姉ちゃんキレイな顔して、とんでもねぇ事を言うな!
俺を鍛える?
悪人とは言え、人を平気でぶった斬るとは何だ!
と頭の中で突っ込むと、ライアンの気持ちに少し余裕が出来た。
魔法…魔力?
「あなたの抱き締めている、それは抱き枕じゃないわよ?
魔王をも倒せる、立派な剣だわ。」
少年はずっと抱き締めていた剣を鞘から引き抜く。
体格に合わず意外と長いので、焦りながらすべて抜くのに手間取る。
抜く間、気持ち悪い奴らが何か知らんが襲いかかる事無く待っててくれていた。
この剣を。
初めて鞘から引き抜いた時、ロージアが現れた。
2度目の時も。
だが、あれ以降何度鞘から剣を引き抜いてもロージアは現れない。
逢いたくて、謝りたくて、謝らせて欲しくて父親に隠れて何度も剣を抜いた。
戦う為に剣を抜いたのは初めてだ。
改めて剣を見る。
水晶のように透明な刀身は月の光を反射して美しく輝く。
「元々、その剣には魔力は込められてるんだけどね。
少年、あなたは母親譲りの魔力を持っているのだから、更に剣に魔力を注ぐ事が出来るのよ?」
ディアーナは金色の目を細めて、少年の顔を指差す。
「魔力…注ぐ?注ぐ…?
……そんなの、分かんないよぉ!!!」
抜いた剣を構えたものの、自分に魔力があるのを自覚した事も無い為に、どうして良いか分からない少年はぶえぇと、半泣きになる。
口元は笑ったまま、目を細めて笑んでいたディアーナの目から、スーッと笑みが消えた。
笑みが消えたディアーナは少年の胸ぐらを掴んで、奇怪な者達の群れから少年を引きずり出すと、顔を近付け少年にガンを飛ばした。
その姿はもう、ただのガラの悪いヤンキーだ。
「ウゼェ!!このヘタレ!!助けてだの、分かんないだの!
ピーピー泣いてばかりで自分では何も考えもしないで!
このクソガキは!そんなんでロージアが倒せるか!!
もっかいキバってこい!」
一旦、引きずり出した少年を、奇怪な者達の群れに向かってぶん投げたディアーナの隣に、レオンハルトが並ぶ。
「乱暴だなディアーナ。いいのか?少年が魔獣に殺されちまっても。」
「そうはならないでしょ?あれ、全部作り物じゃないの。
まとわり付いて来るだけで、一向に襲って来る気配も無いし。
おとんの仕業よね。」
ディアーナとレオンハルトは、魔獣化した人間っぽい奇怪な者達っぽいヘンテコなモノ━━に、絡まれている少年を冷めた目で眺めていた。
やがて少年は涙目のままブンブンと剣を振り回す。
元々が魔力の込められた剣の為に、振り回した剣がかすっただけで魔獣っぽいヘンテコなモノはジュワっと蒸発して消えた。
「や、やった!やっつけたぞ!」
「やっつけてなどないわ!!この勘違いガキ!
剣を構えろ!ちゃんと狙え!狙うのは、口から出てるアレ!」
少年とディアーナのやり取りを、少し離れた場所で眺めていたレオンハルトは、頭を掻いてぼやいた。
「思った以上に前途多難だな…
俺達が来なきゃ、国を出た所で死んでたんじゃないか?ボーズ。
世間を知らなさ過ぎだ。過保護に育てられてんなぁ…。」
今、少年が相手をしているのは作り物の魔獣だが、ディアナンネ国の回りには、まだ深夜になると本物の魔獣や魔物がチラホラ出ると聞く。
魔獣も危険だが、少年が王子だと知られたなら身代金目的で、悪どい人間に誘拐される可能性もある。
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