前世女子高生の私は今、悪役令嬢を経て月の女神と呼ばれてますけどムカついたヤツはぶん殴る肉体派ですわ!

DAKUNちょめ

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第二章•魔王編

31話◆魔王の姉貴分、お節介オバチャンに?

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「あなた達は、どうして毎回『初めての事を』おかしな場所で始めようとするんです?」



木に押さえつけられた状態でオフィーリアの唇が首筋に触れそうになっていたディアーナの目の前、オフィーリアの背後に、いきなり現れたジャンセンが呆れ顔で立っていた。



「し、師匠ー!!!」



━━動きが止まったレオンに、師匠の出現で助かった!…と思って良いのだろうか?

愛する夫であるレオンに抱かれそうだったのを逃れられて、助かったと思ってしまうなんて…━━


そう考えたディアーナは、レオンに申し訳無い気がしなくもない。



━━でもオフィーリアだしな。
うん、あれはレオンハルトじゃない。

やっぱり助かった!!師匠グッジョブ!━━


申し訳無さが即、吹き飛んだ。




「……お父様……また…ですか?」


ディアーナの首筋に唇を触れさせようとした所に現れた背後のジャンセンに対し、オフィーリアは苛立ちを通り越して殺気にも似た威圧を放ちながら後ろを振り向く。



「なんですの?余計なお世話でしょう?

私達の愛の営みを邪魔なさらないで。」



小刻みに震えながらジャンセンに笑顔を向けるオフィーリア。

その笑顔は殺気に満ちているっぽい。



「……邪魔……でしたか?」



ジャンセンはオフィーリアの向こうで、木に張り付いたようになって固まっているディアーナに視線を送る。

ジャンセンと目が合ったディアーナは、激しく左右に首を振った。

邪魔なんて、とんでもない!
おとん、助かりました!と。



「あなた達は、簡易テントの中でだとか、どこぞの草っぱらですとか、何でそうおかしな場所でおっぱじめようとするんですか?
そういう趣味なんですか?」



━━え…師匠…助けてくれて、ありがたいんだけど…
それ、説教?

草っぱらでおっぱじめたのは…スミマセン、私です。

私達の初めては草っぱらです…。━━



「ちゃんと屋根のある寝室に行くまで少し我慢するとか出来ないんですか?
そういう趣味なんですか?」



「し、師匠…あの…別に趣味ってワケじゃ……あの時は…」



オフィーリアに私を奪われなくて助かったのだけど…
と、ディアーナは背後を振り返ったままのオフィーリアに目を向ける。

どんな表情をしているのかディアーナからは見えないのだが、オフィーリアは硬直して動かない。

ただ怒りのオーラが半端なくダダ漏れ状態である。



「私はね、オフィーリアとディアーナが合意の上ならば、好きにしていいと思ってますけどね……
何で、いつも外なんですか?

そういう趣味なんですか?」



「もういいから黙ってろ!!親父!!」



しつこいジャンセンに、苛立ちを隠さないオフィーリア姿をしたレオンハルトがキレた。



「レオン……あなた、見られても構わないって言ってましたけど…
それって愛しいディアーナのあられもない姿を誰かに見せてしまうって事ですよ?
それとも、それも含めてそういう趣味なんですか?」



「黙ってろって言ってんだろ!!

もういいって!!しないから!!」



オフィーリアはキレてると言うよりは、ジャンセンの正論に対して冷静になってしまい、改めて言われた事を考えてしまったら、自分の暴走が、こっ恥ずかしくなってしまった…が正しいようだ。



「………今度は、屋内でする…。」



結局するんかい!!と脳内ツッコミをするディアーナだが、実の所、ツッコミする余裕など無く、いずれ訪れるその危機をどうやって逃げようか思考を巡らせる。



「創造神界で、天蓋付きのゴージャスなベッドでも出してみては?」



ジャンセンの提案には、オフィーリアとディアーナ二人揃って首を横に振った。

あの世界での行動は、全てジャンセンに見られているみたいで落ち着かない。



「師匠、そんな事を言うためだけに、ここに来たんじゃないでしょ?」



オフィーリアの腕からするりと脱け出し、何とか自由の身となったディアーナは心の中で盛大に安堵のため息をつく。



『ふーっ!アブねぇアブねぇ、ヤバかったぜ!

オフィーリアだけはなぁ!どうしてもなぁ!』



心の中で本音を吐露する。



「……ディアもね…数百年、逃げおおせてますが、もういい加減覚悟決めたらどうですか…
…ブレませんよ、レオンは…。」



ジャンセンがディアーナにしか聞こえない位の小声で囁く。



げ!心の声読まれてるし!

いや、父親の言う台詞と違うだろ!

娘に、女装変態の餌食になれとか!



「私がここに来たのは……
まあ、ディアナンネのバカップルの馬鹿息子が見たかったのと……
うちのバカップルが面白い事になっていたので見に来たのと……。」



絶対こっちがメインだろう!とオフィーリアがジャンセンを睨むが、分が悪いので文句は言えない。



「ディアが、ご近所の世話好きなお節介オバチャンみたいになってるのではと…少し心配になりまして…。」



「……は?」


お節介オバちゃんだと?

何か久しぶりに懐かしい言葉の響きを聞いた。

遥か大昔、日本人だった頃に良く聞いたわソレ。

香月だった頃に、兄の廉に対して彼女はまだなのだとか、結婚は若い内にした方がいいだの、素敵なお嬢さんがいるから紹介しようかだの……。


道行く顔見知りの若い男女を捕まえては話し掛けてくる、ご近所でも有名なお節介オバチャンが確かに居た。

仲人が趣味だとかで、近所の独身の若い人達をくっつけようと、躍起になっていた世話好きオバチャンが確かに居た。

すこぶる、うぜぇのが。



「その気になったら、お願いしますね。」と、大人の対応で軽くあしらう兄の廉に反して、妹の私の方が苛立ちを隠せないでいた。



ババア!うちのお兄ちゃんに、いらん事をすんな!お節介だ!こんちくしょう!!



そう思って、会ってもろくに挨拶もしなかった。

「瀧川さんちの香月ちゃんは、恥ずかしがり屋さんねぇ」

と、オバチャンは瀧川の母に言っていたらしい。



そのオバチャンみたいに、私がなりつつあるだと!!?

つか、大人の対応していた兄の廉と、目の前に居るお預け食らって悶々としているオフィーリアが同一人物とか、今さらだけどおかしいわ。



「……師匠、それどういう意味よ…。」



「教えたら、つまらないじゃないですか。

私、あくまで傍観者でいたいので。」



楽しげに笑う、黒髪、黒目、黒い衣装のジャンセン。

その腹の中は、彼の黒い部分の中で一番黒い。



助けて貰っといて何だが、と憎々しげにジャンセンを睨むディアーナに、ジャンセンが親指で背後を指差す。



「とりあえず、ロージアに夢中な馬鹿息子は見ました。

彼はさっきからずっとソコでアナタ達二人の行為を観察してましたからね。」



「「何だって!?」」



オフィーリアとディアーナが、二人揃ってジャンセンの指差した方向を向く。



「み、見られていたの!!私!!あ、あんな恥ずかしい姿を…!ライアンに!」



「あのまま進んでいたら、恥ずかしいどころじゃなかったでしょうね。
だからレオン、あなた後先考えて行動しなさいと…
ディアーナの肌を人に見られる事になるんですよ?
猛省しなさい。このケダモノ。」



レオンハルト…ではなく、オフィーリアがこれでもかって位に落ち込んでいる。

少しばかり、ザマァと思ってしまう。



「そうよね…思春期の青少年を前に、見るなって方が無理よね…
しかも、美しい私たちの愛し合う姿を……

このガキャあ!何が先に休むだ!出て来い!この野郎!」



剣を抜いて繁みに向かったオフィーリアの姿が見えなくなると、森の奥からギャーと叫ぶライアンの悲鳴と剣の交わる音が響いて来た。



再び八つ当たり稽古をされているようだ。

見られても構わない言ってたくせにな。

つか、私はめちゃくちゃ構うわ!見られてたまるか!



「師匠…お節介オバチャンって…どういう事?

ライアンとロージアをくっつけようとしている事を言ってんの?
余計なお節介だと。」



ジャンセンは否定も肯定もせずに肩を竦め、さぁ?とジェスチャーする。



イラッとするわね!おとん!ジャンセン、この野郎!





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