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第二章•魔王編
32話◆魔王の本命。今でも愛してる。
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白い白い創造神界は、白すぎて何も無い世界。
何も無いが望めば現れるこの世界の中に、ロージアが引きこもる為に自身で造った一室。
ファスナーのように縦に空間を裂いて造ったその場から、もぞもぞとロージアが出て来た。
ライアンを転移魔法でディアナンネに連れて行き、両親に押し付けた。
とにかく、ディアーナと旅するのをやめさせたかった。
「あら、おはようございますロージア様。」
お世話係のウィリアが柔らかい笑みを浮かべる。
「……ん……おはよう…」
「……今はまだ、幼い少年ですわ……あと、数年したらきっと立派な男性になりましてよ。
…ロージア様を悲しませる様な事をしないようになりますわよ…。」
顔を見せるなり唐突に語り出した、ウィリアの慰めの言葉にロージアが硬直する。
何か…何か、おかしいとは思ってたんだよなと。
「…ディアーナが、僕にあの馬鹿を勇者で夫として押し付けたいってのは分かったよ…断固拒否するけど……
ねぇウィリア……僕が、あの馬鹿を実は好きなんだけど意地を張って素直になれてない…とか、そんな風に思ってる?」
ウィリアは生暖かい目を向けると柔らかい笑みを浮かべたまま頷いた。
「自分でも気付いてないのかも知れませんわ…
気持ちや、言葉が届かなくて泣いてしまう程辛かったのも…
恋とは、そういうものですもの…。」
やっぱりね…やっぱりね!!!
盛大な勘違いされてるし!!!
「僕が、あの馬鹿を好きなワケ無いだろう!!
言葉が通じなくて泣いていたのは、本当に言葉が通じなくて、あいつのアホ頭にどうやっても理解させれなかったから、悔しくて情けなくて泣いてしまっただけだよ!」
ウィリアは、それが自分でも気付いてない恋心ですわ、だと思い込んでしまっている。
もう、どんな否定もソレで済まされるの!?
「あのね!!!ぼっ……僕っ……
今でもディアーナの事が好きなんだよ!?」
口にした途端、一瞬で顔が赤くなる。
魔王になってから数年、今のこの想いを誰にも話した事は無い。
ずっと心の中に隠していた本当の気持ち。
ディアーナをレオンハルトから奪おうなんて、思ってもいない。
でもロージアの中でのディアーナは今でも特別で、家族として以上に愛している。
一人の女性として愛している。
抱きたい…とは、今の所思っていない。
逆に襲われそうなので。
「……あら…そうでしたの?」
「いっ…!言っちゃ駄目だからね!ディアーナにも!
レオンハルトには特に!殺されかける!」
真っ赤になったロージアは、ウィリアに詰め寄るようにお願いする。
その表情を見たウィリアが、少し残念そうな困り顔をして微笑んだ。
「はいはい、内緒にしておきますよ。
そんな所に本気の恋があるなんて思ってませんでしたわ
…大変な恋ですわね…。」
「……帝国で皇帝だった僕が愛してしまったディアーナ…
もう、絶対に僕のものにならないのは分かってる…
でも、簡単に忘れたり出来ないんだ……」
愛という感情を与えてくれたディアーナ。
今のロージアには、ディアーナを越える存在は現れていない。
この先も現れないと思っている。
「だからね…だから…ウィリア………」
うつむき加減に感情を溜めるロージアは、拳を握り、創造神界に響く位の大声で、魂を揺さぶる心の声を叫ぶ。
「あのクソバカとくっつけようとか、余計なお世話なんだよ!!!!
馬鹿ディアーナ!!!いらん事をすんなぁ!!」
大声を出した後にはあはあと荒い呼吸を繰り返し、一回深呼吸をして息を整える。
「ライアンはディアナンネに帰したからね。
…まぁ、ディアーナがわざわざむかえに行ってまで旅に同行させてしまうならば、どうしようもないけどさ…。
ディアーナも飽きっぽいからね、何回もクソバカをディアナンネに帰してしまえば、いつか諦めてくれないかと…。」
「ライアン少年なら、ディアーナ様の所でオフィーリア様に剣の稽古を受けておいでですわよ?
ライアン少年、転移魔法を習得しているようです。」
ロージアが出て来たばかりの空間の入り口を、再びもぞもぞと開き始める。
「…あのクソバカなアホの子は、知力がゼロな分、無駄に魔力だけ高くなったみたいだよね。
知力無いのに魔法を習得してるとか、アイツの存在自体、頭おかしいんだよ。
もう嫌だ、考えたくない。…僕はしばらく部屋から出ないから。」
ロージアはファスナーを開くように縦に空間を裂いて中に潜り込むと、ファスナーを閉じるように内側から空間を閉じてしまった。
「ライアン少年も、ロージア様も、難儀な恋ですこと…」
息子や娘、孫達の恋愛事情も見て来た記憶を持つウィリアは、母親のような慈愛に満ちた笑みを浮かべ、ロージアが消えて何も無くなった空間を眺める。
「ウィリア、ロージア様は……
ああ、また部屋にこもったのか。」
ウィリアの夫、元ラジェアベリア国王のスティーヴンが外出先から帰ってきた。
遥か昔、まだラジェアベリア国の王太子だった第一王子スティーヴンは侯爵令嬢だったディアーナの婚約者だった。
ゲームと重ねられた世界で主人公に当たるオフィーリアに恋をして、悪役令嬢だったディアーナを断罪し婚約破棄を言い渡した彼は、後にレオンハルト、ディアーナ夫妻の良き友、旅の同行者となったのだが…。
人間である彼等には寿命があり、国王スティーヴンが崩御した後に何度か人間として生まれ変わりを重ね、この先もそうなるハズだったのだが
「親父!頼むからスティーヴンを人に生まれ変わらせないで、神の御子の従者として俺の側に置いてくれ!
あいつを愛してるんだ!俺達のおかんだから!」
とレオンハルトが創造神であるジャンセンに懇願した。
「おとん!私からもお願いするわ!
殿下とウィリアを私たちの側に居させて!
殿下の作るカレーとラーメン!
ウィリアのデカパイが恋しいのよ!!」
ディアーナのお願いには、物凄く嫌そうな顔をしたジャンセンだったが、暴走しがちな二人のフォローと、その時にこれから家族となる予定だったロージアのお世話係には、二人がピッタリだとジャンセンも同意した。
ジャンセンは二人の魂を呼び出し、夫妻共に神の世界の住人にならないかとスカウトした。
もう人でなくなるので二度と人としての輪廻には戻れない事、不老不死になる事等話した上で、それでも良いかと尋ね、二人は承諾した。
そして二人は神の世界の従者として、この世界に居る。
「お帰りなさい、スティーヴン
……ディアーナ様から、どのようなお話しを?」
急に下界のディアーナに呼び出され、人の世界に降りていたスティーヴンは創造神界にちゃぶ台と座布団を出し、くつろぎ始めた。
ウィリアが玄米茶を用意してちゃぶ台に置く。
隣に芋羊羹を添えて。
「あー…落ち着く。」
スティーヴンとウィリアは、ディアーナ夫妻の前世である瀧川兄妹が過ごした日本の和の文化がいたくお気に入りとなっていた。
二人ちゃぶ台で芋羊羹を食しつつ、玄米茶を飲む。
ほっこりする二人。
二人には年老いた夫婦だった記憶もあるので、たまに年寄りくさい。
「ディアーナ嬢は、ライアン少年の方向性を変えたいそうだよ。
……何か、言われたんだろうねジャンセンに。」
「……方向性……
夫にしたいと言っていたのを諦めたのでしたら、ロージア様には良い話しですわ。」
「そもそも、ジャンセンが面白半分に変なナレーションなんか流すから悪いんだけどね。
…自分で煽っといて、後からディアーナ嬢の責任みたいに言う…本当に、あの方ときたら…この野郎だよ。」
スティーヴンは茶を飲み干してホゥとまったりした息を吐き、ウィリアに微笑む。
「まぁ確かに、いきなり話を飛躍させて夫にするとまで暴走したのはディアーナ嬢なんだけどね。
ジャンセン的には自分の殻にこもりがちなロージア様が、もっと他にも目を向けるきっかけにでもなれば、と考えたんだろうけど。」
「……相変わらず、めんどくさい親子ですわね。あの方達は。」
ウィリアはロージアの消えた空間に視線を向けると、ため息をつく。
「世界を滅ぼせる力を持つ魔王様を、これだけ振り回すのですものね…。」
何も無いが望めば現れるこの世界の中に、ロージアが引きこもる為に自身で造った一室。
ファスナーのように縦に空間を裂いて造ったその場から、もぞもぞとロージアが出て来た。
ライアンを転移魔法でディアナンネに連れて行き、両親に押し付けた。
とにかく、ディアーナと旅するのをやめさせたかった。
「あら、おはようございますロージア様。」
お世話係のウィリアが柔らかい笑みを浮かべる。
「……ん……おはよう…」
「……今はまだ、幼い少年ですわ……あと、数年したらきっと立派な男性になりましてよ。
…ロージア様を悲しませる様な事をしないようになりますわよ…。」
顔を見せるなり唐突に語り出した、ウィリアの慰めの言葉にロージアが硬直する。
何か…何か、おかしいとは思ってたんだよなと。
「…ディアーナが、僕にあの馬鹿を勇者で夫として押し付けたいってのは分かったよ…断固拒否するけど……
ねぇウィリア……僕が、あの馬鹿を実は好きなんだけど意地を張って素直になれてない…とか、そんな風に思ってる?」
ウィリアは生暖かい目を向けると柔らかい笑みを浮かべたまま頷いた。
「自分でも気付いてないのかも知れませんわ…
気持ちや、言葉が届かなくて泣いてしまう程辛かったのも…
恋とは、そういうものですもの…。」
やっぱりね…やっぱりね!!!
盛大な勘違いされてるし!!!
「僕が、あの馬鹿を好きなワケ無いだろう!!
言葉が通じなくて泣いていたのは、本当に言葉が通じなくて、あいつのアホ頭にどうやっても理解させれなかったから、悔しくて情けなくて泣いてしまっただけだよ!」
ウィリアは、それが自分でも気付いてない恋心ですわ、だと思い込んでしまっている。
もう、どんな否定もソレで済まされるの!?
「あのね!!!ぼっ……僕っ……
今でもディアーナの事が好きなんだよ!?」
口にした途端、一瞬で顔が赤くなる。
魔王になってから数年、今のこの想いを誰にも話した事は無い。
ずっと心の中に隠していた本当の気持ち。
ディアーナをレオンハルトから奪おうなんて、思ってもいない。
でもロージアの中でのディアーナは今でも特別で、家族として以上に愛している。
一人の女性として愛している。
抱きたい…とは、今の所思っていない。
逆に襲われそうなので。
「……あら…そうでしたの?」
「いっ…!言っちゃ駄目だからね!ディアーナにも!
レオンハルトには特に!殺されかける!」
真っ赤になったロージアは、ウィリアに詰め寄るようにお願いする。
その表情を見たウィリアが、少し残念そうな困り顔をして微笑んだ。
「はいはい、内緒にしておきますよ。
そんな所に本気の恋があるなんて思ってませんでしたわ
…大変な恋ですわね…。」
「……帝国で皇帝だった僕が愛してしまったディアーナ…
もう、絶対に僕のものにならないのは分かってる…
でも、簡単に忘れたり出来ないんだ……」
愛という感情を与えてくれたディアーナ。
今のロージアには、ディアーナを越える存在は現れていない。
この先も現れないと思っている。
「だからね…だから…ウィリア………」
うつむき加減に感情を溜めるロージアは、拳を握り、創造神界に響く位の大声で、魂を揺さぶる心の声を叫ぶ。
「あのクソバカとくっつけようとか、余計なお世話なんだよ!!!!
馬鹿ディアーナ!!!いらん事をすんなぁ!!」
大声を出した後にはあはあと荒い呼吸を繰り返し、一回深呼吸をして息を整える。
「ライアンはディアナンネに帰したからね。
…まぁ、ディアーナがわざわざむかえに行ってまで旅に同行させてしまうならば、どうしようもないけどさ…。
ディアーナも飽きっぽいからね、何回もクソバカをディアナンネに帰してしまえば、いつか諦めてくれないかと…。」
「ライアン少年なら、ディアーナ様の所でオフィーリア様に剣の稽古を受けておいでですわよ?
ライアン少年、転移魔法を習得しているようです。」
ロージアが出て来たばかりの空間の入り口を、再びもぞもぞと開き始める。
「…あのクソバカなアホの子は、知力がゼロな分、無駄に魔力だけ高くなったみたいだよね。
知力無いのに魔法を習得してるとか、アイツの存在自体、頭おかしいんだよ。
もう嫌だ、考えたくない。…僕はしばらく部屋から出ないから。」
ロージアはファスナーを開くように縦に空間を裂いて中に潜り込むと、ファスナーを閉じるように内側から空間を閉じてしまった。
「ライアン少年も、ロージア様も、難儀な恋ですこと…」
息子や娘、孫達の恋愛事情も見て来た記憶を持つウィリアは、母親のような慈愛に満ちた笑みを浮かべ、ロージアが消えて何も無くなった空間を眺める。
「ウィリア、ロージア様は……
ああ、また部屋にこもったのか。」
ウィリアの夫、元ラジェアベリア国王のスティーヴンが外出先から帰ってきた。
遥か昔、まだラジェアベリア国の王太子だった第一王子スティーヴンは侯爵令嬢だったディアーナの婚約者だった。
ゲームと重ねられた世界で主人公に当たるオフィーリアに恋をして、悪役令嬢だったディアーナを断罪し婚約破棄を言い渡した彼は、後にレオンハルト、ディアーナ夫妻の良き友、旅の同行者となったのだが…。
人間である彼等には寿命があり、国王スティーヴンが崩御した後に何度か人間として生まれ変わりを重ね、この先もそうなるハズだったのだが
「親父!頼むからスティーヴンを人に生まれ変わらせないで、神の御子の従者として俺の側に置いてくれ!
あいつを愛してるんだ!俺達のおかんだから!」
とレオンハルトが創造神であるジャンセンに懇願した。
「おとん!私からもお願いするわ!
殿下とウィリアを私たちの側に居させて!
殿下の作るカレーとラーメン!
ウィリアのデカパイが恋しいのよ!!」
ディアーナのお願いには、物凄く嫌そうな顔をしたジャンセンだったが、暴走しがちな二人のフォローと、その時にこれから家族となる予定だったロージアのお世話係には、二人がピッタリだとジャンセンも同意した。
ジャンセンは二人の魂を呼び出し、夫妻共に神の世界の住人にならないかとスカウトした。
もう人でなくなるので二度と人としての輪廻には戻れない事、不老不死になる事等話した上で、それでも良いかと尋ね、二人は承諾した。
そして二人は神の世界の従者として、この世界に居る。
「お帰りなさい、スティーヴン
……ディアーナ様から、どのようなお話しを?」
急に下界のディアーナに呼び出され、人の世界に降りていたスティーヴンは創造神界にちゃぶ台と座布団を出し、くつろぎ始めた。
ウィリアが玄米茶を用意してちゃぶ台に置く。
隣に芋羊羹を添えて。
「あー…落ち着く。」
スティーヴンとウィリアは、ディアーナ夫妻の前世である瀧川兄妹が過ごした日本の和の文化がいたくお気に入りとなっていた。
二人ちゃぶ台で芋羊羹を食しつつ、玄米茶を飲む。
ほっこりする二人。
二人には年老いた夫婦だった記憶もあるので、たまに年寄りくさい。
「ディアーナ嬢は、ライアン少年の方向性を変えたいそうだよ。
……何か、言われたんだろうねジャンセンに。」
「……方向性……
夫にしたいと言っていたのを諦めたのでしたら、ロージア様には良い話しですわ。」
「そもそも、ジャンセンが面白半分に変なナレーションなんか流すから悪いんだけどね。
…自分で煽っといて、後からディアーナ嬢の責任みたいに言う…本当に、あの方ときたら…この野郎だよ。」
スティーヴンは茶を飲み干してホゥとまったりした息を吐き、ウィリアに微笑む。
「まぁ確かに、いきなり話を飛躍させて夫にするとまで暴走したのはディアーナ嬢なんだけどね。
ジャンセン的には自分の殻にこもりがちなロージア様が、もっと他にも目を向けるきっかけにでもなれば、と考えたんだろうけど。」
「……相変わらず、めんどくさい親子ですわね。あの方達は。」
ウィリアはロージアの消えた空間に視線を向けると、ため息をつく。
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