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第二章•魔王編
37話◆魔王に寄り添いたい少年は人の域を越えた強さに。頭はアッパラパー。
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四人の男達の持つ剣が、同時にライアンに振り下ろされる。
その全ての剣の動きがライアンには止まって見える位に遅く感じた。
ライアンは鞘から剣を抜く事も無く、振り下ろされた全ての剣の刃を柄の先だけで叩いて砕いた。
男達にとっては、完全にライアンの身体を通って下まで振り下ろした筈の剣がいつの間にか刃が砕けて無くなり柄だけになっており、その四人の中央に立つ少年は傷ひとつ無い状態でその場に居る。
「オッチャン達、おせーよ。
何が起こったかも分かってないんだろ?
俺、一本ずつ順番に折っていったんだけど。」
その行動の全てが一瞬。
男達はライアンに悪態をつく事すら出来ず、声どころか思考さえ失っているかのように身じろぎ一つ出来ないでいた。
「オッチャン達、何か黒いモヤモヤがまとわりついてる。
俺、そのモヤモヤを溜めたくないんだよね…。」
ライアンは、茫然とライアンの事を見る中年の男の方を向き尋ねる。
「こいつらって倒していいヤツ?捕まえた方がいいヤツ?」
ライアンの質問に我に返った中年の男が返事をする。
「この人数を連行するには手に余る!
今までの悪行もかなりあるだろう!倒してしまっていい!」
「了解、なら倒す。」
ライアンがそう答えたのを、中年の男が認識したと同時にライアンの回りの四人は地面に倒れ、事切れていた。
「……え…?」
中年の男には、返事をしたライアンがそのまま立っている姿しか見てない。
剣を動かした、鞘から抜く所作も見てない。
何が起こったか理解出来ない。
「ほう!速いな、あいつ。」
大木の上で様子を伺うレオンハルトは、感心したように声をあげた。
レオンハルトの膝に座るディアーナが少し悔しそうに呟く。
「ライアンの動きが私には一応見えるけど、普通の人間には全く見えてないのでしょうね。
ライアンとやり合ったら、私でも勝てないかも。
……勝てなくても絶対に負けないけど…。」
なぜ張り合おうとするのか…
いや、ディアーナと言うよりはもう、ディアーナの中に居る負けん気の強い香月の言葉なのだろう。
「ライアン…あいつにも、レオンハルト国王に憑いている少女達の加護と、祖母と母親譲りの魔力はあるが…」
ライアンには、高位の神によってロージアが生み出された際の高位の神の力の残滓が少なからず影響しているかと思われる。
でなければ修行を始めて一年で、あの人間離れした動きは有り得ない。
「ピーピー泣き喚いてうるさかったガキが立派になったもんだ…。
オツムの方にも少し、神の力が影響されていれば良かったのにな…ほぼアッパラパーだしな。」
良く聞こえなかったのか、レオンハルトの呟きを不思議そうな顔で見るディアーナ。
レオンハルトがディアーナの視線に気付き、優しく微笑みかける。
「……大丈夫だ、お馬鹿ちゃんでもディアーナは可愛い。」
「はぁ!?どういう意味よ!!」
寝起きな上にライアンの戦闘を見せられて、眠いわ足腰痛いわ悪党取られてストレス発散出来ないわで苛立ったディアーナが馬鹿呼ばわりしたレオンハルトの胸ぐらを掴む。
大木の上で、カミさんの尻に敷かれた夫が痛い目にあっている最中
ライアンは少女を捕らえている男と、馬車の陰に隠れ姿を見せずにライアンの様子を伺う男達に話しかける。
「その子を放してくれたら見逃してあげようかと思ってたんだけど…
オッチャン達さあ、仲間が死んだらモヤモヤ増えたんだよね。
それ、見逃せないんだ。」
ライアンはスラリと鞘から剣を抜いた。
水晶のように透明な美しい刀身が現れ、ライアンは一度ペコリと頭を下げる。
「痛くしないから。悪いな、オッチャン達」
助けを求めた中年の男は、少女を捕らえている男と、剣を抜いて頭を下げたライアンの姿を見た。
だが、まばたきの間にライアンは少女を肩に担いで中年の男の前に立っていた。
そして、少女を捕らえていた男と馬車の陰に隠れていた男が血を流して倒れていた。
「……な、何が起こった…?
少年、君は時間を止める魔法でも使えるのか…?」
「そんな事出来るワケ無いじゃん!
普通に走って、一人ずつ順番に刺しただけだよ?」
順番に?距離のある二人の男を順番に心臓を狙って刺し貫いて、そして少女を肩に担いで、今、目の前まで来たと?
「有り得ないだろう!?君は神かナニかか!?」
「神?俺は神でないけど、知り合いには…」
「何でもいいけど、さっさと下ろしなさいよ!!バカ!」
ライアンの肩に担ぎ上げられた少女がバタバタと暴れる。
「わたくしの、腰を…!足を持つなんて、無礼者!
女性は普通、横向きで抱き上げるでしょう!」
ライアンは肩から少女を下ろし、めんどくさいなぁと頭を掻いた。
ピンクブロンドの髪に、エメラルドグリーンの瞳の美少女はライアンを睨め付ける。
「昨日レオンハルト兄ちゃんが、ディアーナ姉ちゃんをこうやって担いでいたからさ。
逃がさないように。」
中年の男と少女が「誰の何の話だ?」と訝しげな顔をした。
ハッと我に返った中年の男は少女の前に跪くと、苦渋に満ちた顔付きで詫びる。
「お、お嬢様…!よくぞご無事で…!
申し訳ございません…わたくしが至らぬばかりに、このような危険な目に…」
「いいえ、わたくしの方こそ…
お忍びで、森の奥にある湖を見たいなど無理を言って…。
まさか御者が馬車ごとわたくし達を売るとは…思いませんでしたもの…。」
少女は謝罪をする中年の男に首を振る。
馬車を操っていた御者は、主を裏切り野盗に売り渡したものの、金など払うつもりもない野盗に殺されてしまったようだ。
ライアンはそんな二人を無視して倒れた馬車の方に行き、馬車の様子と馬の様子を見て首を捻る。
「うーん、馬車を動かすのは難しいかな。御者も死んでるし。
近くの町まで転移魔法で連れてくから、後は二人で何とかして?」
「ちょっ…ちょっと!
貴族の令嬢を見知らぬ町に一人放り出すつもり!?
ちゃんとお金は払うわ!
わたくしを邸まで無事に届けてちょうだい!」
ライアンはあからさまに嫌そうな表情をした。
あまりに嫌そうな顔過ぎて、顎が梅干しみたいにシワシワになっている。
「何で?俺には、君を護衛する義理は無いし、お金もいらない。
殺されそうなオジサンが居たから助けただけ……君もビービー泣いていたし……
危ない目にあってないなら、もう話すのもめんどくさい……」
少女は焦ったようにライアンの腕に手を添える。
「バカって言った事を怒っているのなら、謝るわ!
お願い、あなたみたいに強い人がわたくしを守ってくれたら…!」
少女はエメラルドグリーンの瞳を潤ませ、ライアンを必死で引き止めようとする。
その様子を見ていた中年の男が姿勢を正し、ライアンに対しボウアンドスクレープ、貴族の礼をした。
「先ほどは危ない所を助けて戴き、礼を言う。そして詫びよう…子供だと侮って申し訳無かった。」
ライアンは興味無さげに手の平をヒラヒラさせる。
「別にいいよ、じゃ町まで連れてくから」
「私はセフィーロ国、元近衛隊長コーランと申す。
こちらの姫君は、セフィーロ国第二王女クローディア殿下であらせられる」
「コーラン!!」
「殿下、身元を隠し嘘をついたままでは彼は動いてはくれませんよ。
…彼に、護衛を頼みたいのでしょう?
でしたら、身元を明かすべきです。
一国の王女の護衛など、こんな名誉な事を断りは…」
「いや、やらないし。めんどくさい。
一国の王女って、俺だって一国の王子だからね。
ディアナンネの。もう送っていい?」
話すのもめんどくさいと、ライアンは早々と転移魔法を使って二人を町に送り届けてしまいたいようである。
「ディアナンネ!?
バクスガハーツ帝国の皇帝が新しく作った国か!神の加護があるという!
そこの王子だと…
ああ!ちょっと待て、待ってくれ!気が早いな!」
ライアンはクローディアとコーランの腕を掴むと、町に向かい転移魔法を使った。
その全ての剣の動きがライアンには止まって見える位に遅く感じた。
ライアンは鞘から剣を抜く事も無く、振り下ろされた全ての剣の刃を柄の先だけで叩いて砕いた。
男達にとっては、完全にライアンの身体を通って下まで振り下ろした筈の剣がいつの間にか刃が砕けて無くなり柄だけになっており、その四人の中央に立つ少年は傷ひとつ無い状態でその場に居る。
「オッチャン達、おせーよ。
何が起こったかも分かってないんだろ?
俺、一本ずつ順番に折っていったんだけど。」
その行動の全てが一瞬。
男達はライアンに悪態をつく事すら出来ず、声どころか思考さえ失っているかのように身じろぎ一つ出来ないでいた。
「オッチャン達、何か黒いモヤモヤがまとわりついてる。
俺、そのモヤモヤを溜めたくないんだよね…。」
ライアンは、茫然とライアンの事を見る中年の男の方を向き尋ねる。
「こいつらって倒していいヤツ?捕まえた方がいいヤツ?」
ライアンの質問に我に返った中年の男が返事をする。
「この人数を連行するには手に余る!
今までの悪行もかなりあるだろう!倒してしまっていい!」
「了解、なら倒す。」
ライアンがそう答えたのを、中年の男が認識したと同時にライアンの回りの四人は地面に倒れ、事切れていた。
「……え…?」
中年の男には、返事をしたライアンがそのまま立っている姿しか見てない。
剣を動かした、鞘から抜く所作も見てない。
何が起こったか理解出来ない。
「ほう!速いな、あいつ。」
大木の上で様子を伺うレオンハルトは、感心したように声をあげた。
レオンハルトの膝に座るディアーナが少し悔しそうに呟く。
「ライアンの動きが私には一応見えるけど、普通の人間には全く見えてないのでしょうね。
ライアンとやり合ったら、私でも勝てないかも。
……勝てなくても絶対に負けないけど…。」
なぜ張り合おうとするのか…
いや、ディアーナと言うよりはもう、ディアーナの中に居る負けん気の強い香月の言葉なのだろう。
「ライアン…あいつにも、レオンハルト国王に憑いている少女達の加護と、祖母と母親譲りの魔力はあるが…」
ライアンには、高位の神によってロージアが生み出された際の高位の神の力の残滓が少なからず影響しているかと思われる。
でなければ修行を始めて一年で、あの人間離れした動きは有り得ない。
「ピーピー泣き喚いてうるさかったガキが立派になったもんだ…。
オツムの方にも少し、神の力が影響されていれば良かったのにな…ほぼアッパラパーだしな。」
良く聞こえなかったのか、レオンハルトの呟きを不思議そうな顔で見るディアーナ。
レオンハルトがディアーナの視線に気付き、優しく微笑みかける。
「……大丈夫だ、お馬鹿ちゃんでもディアーナは可愛い。」
「はぁ!?どういう意味よ!!」
寝起きな上にライアンの戦闘を見せられて、眠いわ足腰痛いわ悪党取られてストレス発散出来ないわで苛立ったディアーナが馬鹿呼ばわりしたレオンハルトの胸ぐらを掴む。
大木の上で、カミさんの尻に敷かれた夫が痛い目にあっている最中
ライアンは少女を捕らえている男と、馬車の陰に隠れ姿を見せずにライアンの様子を伺う男達に話しかける。
「その子を放してくれたら見逃してあげようかと思ってたんだけど…
オッチャン達さあ、仲間が死んだらモヤモヤ増えたんだよね。
それ、見逃せないんだ。」
ライアンはスラリと鞘から剣を抜いた。
水晶のように透明な美しい刀身が現れ、ライアンは一度ペコリと頭を下げる。
「痛くしないから。悪いな、オッチャン達」
助けを求めた中年の男は、少女を捕らえている男と、剣を抜いて頭を下げたライアンの姿を見た。
だが、まばたきの間にライアンは少女を肩に担いで中年の男の前に立っていた。
そして、少女を捕らえていた男と馬車の陰に隠れていた男が血を流して倒れていた。
「……な、何が起こった…?
少年、君は時間を止める魔法でも使えるのか…?」
「そんな事出来るワケ無いじゃん!
普通に走って、一人ずつ順番に刺しただけだよ?」
順番に?距離のある二人の男を順番に心臓を狙って刺し貫いて、そして少女を肩に担いで、今、目の前まで来たと?
「有り得ないだろう!?君は神かナニかか!?」
「神?俺は神でないけど、知り合いには…」
「何でもいいけど、さっさと下ろしなさいよ!!バカ!」
ライアンの肩に担ぎ上げられた少女がバタバタと暴れる。
「わたくしの、腰を…!足を持つなんて、無礼者!
女性は普通、横向きで抱き上げるでしょう!」
ライアンは肩から少女を下ろし、めんどくさいなぁと頭を掻いた。
ピンクブロンドの髪に、エメラルドグリーンの瞳の美少女はライアンを睨め付ける。
「昨日レオンハルト兄ちゃんが、ディアーナ姉ちゃんをこうやって担いでいたからさ。
逃がさないように。」
中年の男と少女が「誰の何の話だ?」と訝しげな顔をした。
ハッと我に返った中年の男は少女の前に跪くと、苦渋に満ちた顔付きで詫びる。
「お、お嬢様…!よくぞご無事で…!
申し訳ございません…わたくしが至らぬばかりに、このような危険な目に…」
「いいえ、わたくしの方こそ…
お忍びで、森の奥にある湖を見たいなど無理を言って…。
まさか御者が馬車ごとわたくし達を売るとは…思いませんでしたもの…。」
少女は謝罪をする中年の男に首を振る。
馬車を操っていた御者は、主を裏切り野盗に売り渡したものの、金など払うつもりもない野盗に殺されてしまったようだ。
ライアンはそんな二人を無視して倒れた馬車の方に行き、馬車の様子と馬の様子を見て首を捻る。
「うーん、馬車を動かすのは難しいかな。御者も死んでるし。
近くの町まで転移魔法で連れてくから、後は二人で何とかして?」
「ちょっ…ちょっと!
貴族の令嬢を見知らぬ町に一人放り出すつもり!?
ちゃんとお金は払うわ!
わたくしを邸まで無事に届けてちょうだい!」
ライアンはあからさまに嫌そうな表情をした。
あまりに嫌そうな顔過ぎて、顎が梅干しみたいにシワシワになっている。
「何で?俺には、君を護衛する義理は無いし、お金もいらない。
殺されそうなオジサンが居たから助けただけ……君もビービー泣いていたし……
危ない目にあってないなら、もう話すのもめんどくさい……」
少女は焦ったようにライアンの腕に手を添える。
「バカって言った事を怒っているのなら、謝るわ!
お願い、あなたみたいに強い人がわたくしを守ってくれたら…!」
少女はエメラルドグリーンの瞳を潤ませ、ライアンを必死で引き止めようとする。
その様子を見ていた中年の男が姿勢を正し、ライアンに対しボウアンドスクレープ、貴族の礼をした。
「先ほどは危ない所を助けて戴き、礼を言う。そして詫びよう…子供だと侮って申し訳無かった。」
ライアンは興味無さげに手の平をヒラヒラさせる。
「別にいいよ、じゃ町まで連れてくから」
「私はセフィーロ国、元近衛隊長コーランと申す。
こちらの姫君は、セフィーロ国第二王女クローディア殿下であらせられる」
「コーラン!!」
「殿下、身元を隠し嘘をついたままでは彼は動いてはくれませんよ。
…彼に、護衛を頼みたいのでしょう?
でしたら、身元を明かすべきです。
一国の王女の護衛など、こんな名誉な事を断りは…」
「いや、やらないし。めんどくさい。
一国の王女って、俺だって一国の王子だからね。
ディアナンネの。もう送っていい?」
話すのもめんどくさいと、ライアンは早々と転移魔法を使って二人を町に送り届けてしまいたいようである。
「ディアナンネ!?
バクスガハーツ帝国の皇帝が新しく作った国か!神の加護があるという!
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ああ!ちょっと待て、待ってくれ!気が早いな!」
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