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いざ、真相を探りに!
グロリア邸は、王宮の外れにある。皇太子妃なのにこの待遇は、異例のものだ。まあ、自業自得としか言えないけど。
「いいですか。あくまで通りすがり、通りすがりですよ」
「わかってるってば。私は偶然通りがかって、グロリアさまのお見舞いにやってきた心優しき聖女サマ。誰も責めやしないわ」
もっとこう…イメージとしてはアクロバティックに大胆に潜入するイメージだったんだけど。
いや、これはこれで超大胆だけど…
どこか疲れた顔の召使いに案内されて、無駄に広くて長い廊下を進む。床には高級感あふれる毛の長い絨毯。高い天井の吹き抜けには、一枚で平民が一生生活していけそうなステンドグラスが隙間なくハマっている。
「グロリアさま。聖女リメッタさまがいらっしゃいました」
「どうぞ。入って」
音もなく、重そうな扉が開く。
癖のある、燃えるような赤毛。同じく赤い、勝気そうな吊り目が私を捉える。こうして向かい合うのはいつぶりかしら。できるだけ関わらないようにしてきたから。でも、もう、グロリアさまに怯えた昔の私じゃない。
「ごきげんよう。倒れられたとお聞きしました。お身体いかがでしょうか?」
「もう平気です。心配かけてすみません」
なっ…!すみまっ…すみませんですって⁉︎ありえない。強烈な違和感。
言葉を失う私に、グロリアさまは続ける。
「ああそれと…ご存知かもしれませんが、私、レオン殿下との婚約は破棄するつもりですので、心配なさらないでくださいね。ぜんっぜん、タイプじゃないので。どうぞ末永くお幸せに」
曇りのない笑顔と共に放たれた言葉に、私は一瞬、我を忘れた。
タイプじゃない?婚約を破棄する?どの口が言ってるわけ?
あなたのせいで、どれだけの人が泣いたと思ってるの?
レオン殿下を、どれだけ悩ませたと思ってるの?
「ふざけないで!」
「リメッタさま」
リュカの声が嫌に遠い。誰かの手を振り払った衝撃、棚の上の花瓶がバランスを崩す。悲鳴。
ガッシャァァァァン!!
耳をつんざく音と共に、無数の破片が飛び散る。
このとき、私の日常は、壊れ始めた。
「いいですか。あくまで通りすがり、通りすがりですよ」
「わかってるってば。私は偶然通りがかって、グロリアさまのお見舞いにやってきた心優しき聖女サマ。誰も責めやしないわ」
もっとこう…イメージとしてはアクロバティックに大胆に潜入するイメージだったんだけど。
いや、これはこれで超大胆だけど…
どこか疲れた顔の召使いに案内されて、無駄に広くて長い廊下を進む。床には高級感あふれる毛の長い絨毯。高い天井の吹き抜けには、一枚で平民が一生生活していけそうなステンドグラスが隙間なくハマっている。
「グロリアさま。聖女リメッタさまがいらっしゃいました」
「どうぞ。入って」
音もなく、重そうな扉が開く。
癖のある、燃えるような赤毛。同じく赤い、勝気そうな吊り目が私を捉える。こうして向かい合うのはいつぶりかしら。できるだけ関わらないようにしてきたから。でも、もう、グロリアさまに怯えた昔の私じゃない。
「ごきげんよう。倒れられたとお聞きしました。お身体いかがでしょうか?」
「もう平気です。心配かけてすみません」
なっ…!すみまっ…すみませんですって⁉︎ありえない。強烈な違和感。
言葉を失う私に、グロリアさまは続ける。
「ああそれと…ご存知かもしれませんが、私、レオン殿下との婚約は破棄するつもりですので、心配なさらないでくださいね。ぜんっぜん、タイプじゃないので。どうぞ末永くお幸せに」
曇りのない笑顔と共に放たれた言葉に、私は一瞬、我を忘れた。
タイプじゃない?婚約を破棄する?どの口が言ってるわけ?
あなたのせいで、どれだけの人が泣いたと思ってるの?
レオン殿下を、どれだけ悩ませたと思ってるの?
「ふざけないで!」
「リメッタさま」
リュカの声が嫌に遠い。誰かの手を振り払った衝撃、棚の上の花瓶がバランスを崩す。悲鳴。
ガッシャァァァァン!!
耳をつんざく音と共に、無数の破片が飛び散る。
このとき、私の日常は、壊れ始めた。
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