王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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緑川真人 篇

第8話

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▲「いらっしゃいませ!こちら、花屋です」
ー「やあ。その、ぷ、プロポーズ用の花束を頼みたいのだが...」
▲「どのようなものにしましょう?」
ー「きみに任せるよ」
▲「日にちはいつになさいますか?」
ー「明日の朝七時、とりにくる」
▲「かしこまりました!ありがとうございます」
お客さんが帰っていったあと、真人はため息をつく。
「どうしたの?」
▲「いや、なんか...自分のプロポーズなのに花を選ぶのを人任せにしていいのかなって思って」
「真人が信頼されてるっていうのはいいことなんじゃないかな...?確かに自分で選ばないのはどうかなって思ったけど...」
▲「そんなふうに考えたこと、なかった」
黒羽はぽん、と頭をなでられる。
「...!」
▲「ありがとう、黒羽。ちょっとやる気でたよ!」
「わ、私にも手伝わせてね...」
(なんだろう、すごく恥ずかしい...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▲「う~ん...」
(真人、かなり悩んでるみたい...)
あっちの花を見てはこっちの花を見て、という感じだった。
▲「プロポーズなら、ジギタリス?いや、これだけだとなにか足りないな...」
「あ、の」
▲「でもこれだと...」
「あの!」
▲「ごめん黒羽ちゃん!どうしたの?」
「これと、これと...これを組み合わせたらどうかな?」
黒羽は赤いサルビア・ジギタリス・リアトリスを指さす。
▲「赤系の花で揃えて、花束に...。真ん中に赤いバラを入れたら完璧かもしれない」
「え...?」
▲「すごいよ黒羽ちゃん!いいアイデアだ」
「本当?」
▲「赤いサルビアの花言葉は『燃える思い』、ジギタリスの花言葉は『熱愛』、リアトリスの花言葉は『燃える思い』。一つ一つは地味だけど、真ん中にバラを少し添えれば...。ありがとう、黒羽ちゃん!助かったよ」
「私はただ、お花が綺麗だったから...」
(そんな花言葉があるなんて知らなかった...)
▲「夕方からブーケを作るから手伝ってくれる?」
「うん、私でよければ!」
(真人はがんばり屋さんなんだな...)
そんなことを考えながら、黒羽はブーケ作りを楽しみにしていた。
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