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茶園 渚篇
第8話
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次の日。
黒羽は部屋から出てこなかった。
▼「おい、飯だぞ」
「ごめんなさい、食欲がないの」
▼「...おい」
渚は強引にドアを開けようとしたものの、鍵が閉まっていて開かない。
▼「くそっ、どうすりゃいいんだ...」
白玉はご飯を食べるとそそくさと小さなスペースから黒羽の部屋へ入りこんでしまった。
▼「...何かあったら呼べ」
渚は仕事へと向かう。
▼「...」
「白玉...」
黒羽は声を押し殺して泣いていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
渚は雪たちを呼ぶ。
○「どうかしたのか?」
▼「実は...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひと悶着あったあと、渚は黒羽の部屋のドアに耳をあて、こっそり聞いていた。
「きゃっ!?白玉!?」
部屋のなかでは、白玉が黒羽に心配そうに林檎を渡していた。
「私にくれるの...?」
白玉は鼻をふんふんさせ、黒羽の手の上に林檎をのせる。
「ありがとう...。ありがとう、白玉...っ」
▼「...」
黒羽は誰もいないと思っているのかポツリと白玉に会話をはじめた。
「白玉といると、とっても落ち着くの...。でも、渚といると、ドキドキして...心臓が壊れそうになる。渚は何か抱えこんでるみたいだし、力になりたい。この気持ちも、ちゃんと伝えたい。でもっ...私は、字が書けないんだ。やっぱり、私はっ...迷惑だよね」
▼「...」
白玉は黒羽のズボンをそっと引っ張る。
「今は、部屋から出たくないの。ごめんね、白玉...。こんなこと話されても、困るよね。...待って、私っ、汚いからっ」
白玉は涙をふこうとしているのか、必死に前足をのばしている。
「ふふ、白玉、くすぐったいよ...」
渚は意を決してドアの鍵をピッキングを使い、開けたのち、扉を開けた。
「え、渚?」
次の瞬間、渚に抱きしめられていた。
▼「...昨日は、悪かった」
「...どうして謝るの?」
▼「何も知らないのに、責めるような言い方をしたから。それに...俺はおまえが迷惑だなんて思ってねえよ。迷惑だと思ってたら、とっくに家から追い出してる」
「...字が書けない私は、変でしょう?」
▼「そんなことねえ。...必死にやってるという過程が大切だと俺は思うから」
「だって、渚はっ...」
抱きしめたまま、黒羽の頭をそっと撫でる。
▼「俺の周りには、いない方がいいんじゃないかと思うだけだ。俺は、まともな人間じゃないから」
「それでも、話してほしい...」
▼「それは考えさせてくれ。俺は、嫌われるのが怖い」
「...うん、分かった」
▼「泣くなら俺の前で泣け」
「...うん」
黒羽は渚の腕のなかで泣いていた。
白玉は安心したように黒羽の膝の上に座っていた...。
黒羽は部屋から出てこなかった。
▼「おい、飯だぞ」
「ごめんなさい、食欲がないの」
▼「...おい」
渚は強引にドアを開けようとしたものの、鍵が閉まっていて開かない。
▼「くそっ、どうすりゃいいんだ...」
白玉はご飯を食べるとそそくさと小さなスペースから黒羽の部屋へ入りこんでしまった。
▼「...何かあったら呼べ」
渚は仕事へと向かう。
▼「...」
「白玉...」
黒羽は声を押し殺して泣いていた。
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渚は雪たちを呼ぶ。
○「どうかしたのか?」
▼「実は...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひと悶着あったあと、渚は黒羽の部屋のドアに耳をあて、こっそり聞いていた。
「きゃっ!?白玉!?」
部屋のなかでは、白玉が黒羽に心配そうに林檎を渡していた。
「私にくれるの...?」
白玉は鼻をふんふんさせ、黒羽の手の上に林檎をのせる。
「ありがとう...。ありがとう、白玉...っ」
▼「...」
黒羽は誰もいないと思っているのかポツリと白玉に会話をはじめた。
「白玉といると、とっても落ち着くの...。でも、渚といると、ドキドキして...心臓が壊れそうになる。渚は何か抱えこんでるみたいだし、力になりたい。この気持ちも、ちゃんと伝えたい。でもっ...私は、字が書けないんだ。やっぱり、私はっ...迷惑だよね」
▼「...」
白玉は黒羽のズボンをそっと引っ張る。
「今は、部屋から出たくないの。ごめんね、白玉...。こんなこと話されても、困るよね。...待って、私っ、汚いからっ」
白玉は涙をふこうとしているのか、必死に前足をのばしている。
「ふふ、白玉、くすぐったいよ...」
渚は意を決してドアの鍵をピッキングを使い、開けたのち、扉を開けた。
「え、渚?」
次の瞬間、渚に抱きしめられていた。
▼「...昨日は、悪かった」
「...どうして謝るの?」
▼「何も知らないのに、責めるような言い方をしたから。それに...俺はおまえが迷惑だなんて思ってねえよ。迷惑だと思ってたら、とっくに家から追い出してる」
「...字が書けない私は、変でしょう?」
▼「そんなことねえ。...必死にやってるという過程が大切だと俺は思うから」
「だって、渚はっ...」
抱きしめたまま、黒羽の頭をそっと撫でる。
▼「俺の周りには、いない方がいいんじゃないかと思うだけだ。俺は、まともな人間じゃないから」
「それでも、話してほしい...」
▼「それは考えさせてくれ。俺は、嫌われるのが怖い」
「...うん、分かった」
▼「泣くなら俺の前で泣け」
「...うん」
黒羽は渚の腕のなかで泣いていた。
白玉は安心したように黒羽の膝の上に座っていた...。
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