王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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茶園 渚篇

第16話

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「...」
▼「...」
二人の間には沈黙があった。
▼「聞いてくれるか?」
「うん」
(私は、渚の力になりたい)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《渚の話》
俺は、まともな生き方をしてきていない。
世界には必ず、表と裏があるんだ。
俺のもう一つの仕事、それは...
『裏』に関する仕事だ。
俺が持つ、情報という名の『鍵』を求めて、客がやってきたりする。
勿論、誰から構わず『鍵』を渡している訳じゃない。
ちゃんとした理由があるやつにだけ、力を貸しているだけだ。
だが、さっきのように襲われることも少なくはない。
小さい頃からそういう道具としてしか見られなかった。
結局周りの大人に利用され、最後には裏切られ捨てられる。
...だから俺は、せめて周りで俺を一人の人間として見てくれる人たちだけは巻き込まない、一人で全てを背負うと決めたんだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▼「...どうだ?気味が悪いだろう?」
渚は悲しそうな瞳をしながら笑っている。
(だから出会ったときから、私を突き放すような態度をとったんだ)
黒羽は涙を堪えきれなかった。
「ううん、気味悪くなんかないよ。渚は周りの幸せのためにいつも黙って自分を犠牲にしてる...。そんなのダメだよ」
黒羽は渚を抱きしめる。
▼「...そんなこと言うの、黒羽が初めてだ。俺なんかいなくてもいいと思ってた」
「渚には、渚がしたいことをしてほしい。幸せに、なってほしい。だから約束して。一つは、一人で全てを背負わないこと。一つは...いなくなるなんて言わないでね」
渚の家にきた頃、驚くほど殺風景だったのを思い出す。
(渚は多分、一人で消えるつもりだったんだ...)
膝の上にいる白玉を抱きしめながら、渚がどれだけの苦労をしてきたのか想像すると、胸が苦しくなった。
▼「...分かった」
「絶対だからね...?」
▼「おう」
渚は黒羽を抱きしめかえした。
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