王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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茶園 渚篇

第41話

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▼「...ここだ」
その公園は、雑草に囲まれた場所だった。
「ここ?」
(なんだかお手入れされていないみたいだけど...)
▼「ここは、秘密の場所だ」
「秘密の場所?」
▼「幼い頃からの馴染みの場所だ。何かあったらここにきていた」
「そうなの?」
どうやら雪との思い出の場所らしい。
「どうして私を連れてきてくれたの?」
▼「...特に意味はない。ただ久しぶりにきたくなっただけだ」
「...そうなんだ」
黒羽は少し悲しくなった。
ふと足元を見ると、以前白玉が差し出してくれた花が咲いている。
「この花、前に白玉がくれたものだよね?」
押し花にしたそれをバッグから取り出す。
バッグの中の白玉は興奮ぎみだ。
▼「...ヒメツルソバ」
「え?」
▼「ヒメツルソバっていうんだ。花言葉は確か、『愛らしい』『気が利く』とかいうやつだったぞ」
「雑草にも花言葉があるの?」
▼「無いものもあるが大体はある」
黒羽は渚に色々と聞いてみたくなった。
「じゃあ、このぷつぷつしてるやつは?」
▼「ヒロハホウキギク」
「じゃああそこの白いユリは?」
▼「タカサゴユリ、あれも雑草の一種だ」
「渚は雑草博士なんだね」
ふわり。
▼「雑草は素朴だ。だいたいが捨てられてしまう。だが...俺はどんな着飾ったものよりもいいと思った。それだけだ」
「かわいいお花はたくさんあるもんね」
▼「...勿忘草だって雑草の一種だしな」
「勿忘草だけは知ってたよ。ちゃんとしたお花としてではなく雑草扱いだってこと。でも、勿忘草だけは花言葉を知ってたの」
▼「『私を忘れないで』、か...」
渚は黒羽をそっと抱きしめる。
「渚...?」
▼「安心しろ、花がなくても俺はおまえを忘れない。おまえも、俺を忘れずにそばにいろよ」
「うん」
▼「気分転換にはなったか?」
(あ...。私のためにここに連れてきてくれたんだ)
「渚」
▼「なんだ?」
「ありがとう」
黒羽はふわりと笑って...
▼「っ!」
背伸びをしてキスをした。
▼「...おまえな、病み上がりだからって我慢してたのにそんなことされたら我慢できないだろ?」
「渚⁉」
渚は黒羽を横抱きにし、そのまま家まで走った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「渚、先にご飯を」
▼「待てるかよ」
「でも白玉が...」
いつの間に出ていったのか、部屋に白玉の姿はない。
▼「...覚悟しろ」
黒羽はそのままベッドに押し倒され、二人は濃厚な夜を過ごした。
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