王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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茶園 渚篇

第43話

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「あのお店なの?」
黒羽は目の前に見える一軒の店をさす。
▼「ああ」
ガラン、と音がして扉が開く。
ー「いらっしゃいませ!」
▼「ファミレスははじめてか?」
「ファミレス...?」
▼「ファミリーレストランだ。レストランというのは、簡単にいうと料理とそれを食べる場所を提供してくれる場所...といえば分かりやすいか?」
「うん」
▼「ここは動物の同伴が許可されているから白玉は入れるが、他の店は断られることが多い」
(そうなんだ...)
渚はできるだけ丁寧に説明をした。
「ありがとう、分かりやすかったよ!」
▼「そうか」
ー「お待たせしました!」
▼「ありがとうございます」
渚が『外面スマイル』を見せている間、黒羽は白玉の頭をそっと撫でてやる。
「ニンジン、やわらかいから食べやすいんじゃないかな?」
白玉は鼻をふんふんとさせ、ニンジンに噛みつく。
▼「バカ、それは絶対熱い」
渚が言いかけたときには、すでに白玉の口はニンジンでいっぱいになっていた。
白玉は勢いよく吐き出してしまう。
咄嗟に黒羽が受け止め、事なきを得た。
「ごめんね、白玉...」
(火傷とかしてないかな?)
白玉は申し訳なさそうにしている。
「白玉、大丈夫?」
▼「黒羽、これでふけ。そのあとでいいから白玉をこっちに寄越せ」
「うん」
黒羽は手を綺麗にしたあと、白玉を抱きかかえて渚に渡す。
▼「白玉、口開けとけ。...よし、怪我はしてねえみたいだな」
「よかった...」
他のお客の視線を感じる。
▼「黒羽、出るぞ」
「分かった」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ごめんね、二人とも...」
黒羽は渚にも白玉にも謝った。
▼「気にするな、次から気をつければいい」
「ありがとう...」
家が見えてくる。
この日は偃月だった。
▼「俺は白玉を部屋へ入れてくる。おまえはリビングにでもいろ」
「うん」
(...そうだ)
黒羽はあることを思い立ち、バルコニーへと出る。
「~♪♪」
一通り歌い終えると、
▼「冷えるぞ。...それより、庭が大変なことになってるが、今歌っていたのはなんだ?」
「え?」
下を見下ろすと、草がのび放題になっていた。
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